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Geo日記
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[83]. スーパー北斗で函館本線+海線!
    一般市民が情報発信の時代に!

  9/2夜から北斗星3号で北海道に出発し9/5台風来襲直前の夜に羽田着。
かすかに仕事がらみの親睦慰安旅行でJR東日本型北斗星の酔っぱらい隔離車に発車前から陣取ったりして三晩に亘り概ね飲んだくれてた訳ですが、函館で乗り換えた281系スーパー北斗の韋駄天走行には驚嘆。五稜郭−東室蘭間の非電化区間やその先の平野部に入ると、だだっ広い原野ばかりなので切迫したスピード感こそないのですが、線路脇の景色の流れる早さは尋常ではありません。ロングレールの溶接痕を通るときの微かなコツコツ音を腕時計でカウントすると30秒間に44回=132km/h(=44×90秒/30秒)ですから優に130km/h突破!と思っていると連れの元タクシードライバー氏が「これはすごい!130km/hは超えてるぜ!」と回りに話しかけています。流石プロの速度感覚!とこっちが感心。ドライバ氏は大沼前後の急カーブ急勾配でクセのある揺れがありトイレまで行って果たせず「これは噂の振り子かな?」と思ってそのまま戻ってきたけれど,もし間違ってシッタカとからかわれるのが嫌で宿まで黙ってたんだとか。宿のTVにデジカメを繋いで先頭車の「FURICO」のロゴ前での集合写真を見せて「その通り!振り子で〜す」。「えっ!それ判ってて皆を集めて撮ったんだ!」と予期せぬ鉄ヲタ暴露とはなりました。まさしく沈黙は金!トホホホ!

 281系は起動加速時と山間のカーブ進入直前には確かにクイッ、クイッという変な揺れを感じます。神経質な人は酔うのかもしれません。当方10名は函館市場の朝食宴会+前夜の宿酔いで元々酔っていて全く無関係でしたが。

  函館本線大沼前後の山間のカーブの多くは姫川事故88/12/13時には本則60km/h制限でしたから300Rで尼崎事故現場と同じ曲率半径のはずです。(山陽本線瀬野−八本松間の急勾配も300Rの連続)。2つの峠を越える毎にすぐ25/1000の下り勾配ですから登り勾配での牽引力と合わせると降りは勾配加速度の二倍以上になり特に機関車列車に危険な条件が生まれます。初速0でも標高差で最大20m:距離にして最大790m弱で100km/hに達しますし、峠での初速を60km/hとすれば、約500m(=((100/3.6)^2−(60/3.6)^2)/(2・2g・tanθ))走行で100km/hに達する訳で、ここに速度照査ATSが無かったために、姫川事故2件を含む3度もの転覆事故に至りました。此処での3度目の転覆事故後はさすがに速度照査ATSが設置されています。 が、運輸省がこの事故の経験に学んで 曲線速度制限ATS設置を勧告していたら尼崎事故は起きないで済んでました。その速度照査ATS設置基準は現通達の乗り心地限界ではなくもっとラフな安全限界水準で充分です。'88/12/13姫川事故当時の新聞は乗務前の運転士の豪快な飲みっぷりばかり報道して、肝心の安全対策や、列車分離後10数kmも単機で走った謎は全く追究しませんでした。この時の木鐸も残念ながら見当違いばかりで。

  当時、インターネットでも普及していれば若干は状況を変えられたのでしょうが、直前'88/12/05の東中野事故での警報型直下地上子(130kHz)方式の欠陥すらJR東広報に言いくるめられて記事としては追及できませんでした。JR東広報は「お猿の電車じゃあるまいし、2度の警報を受けて止まらない運転士は居ません!」と居直ったのですが、現実に衝突して2名が亡くなっているのですから「運転士は猿並だった」と言うに等しい暴言に報道側が圧されてしまったのです。

  しかしながら事故後の対策の実体は山之内副社長が公約したATS-P換装とは別に全JRに-SN/ST/Sx強制停止機能開発付加が行われましたから本当は成果があったのですが、目に見える形にはならず「直下地上子で非常制動」という'67/08/08新宿タンク車炎上事故対策での国鉄の嘘は追及できませんでした。もし本当に国鉄の説明通りに直下地上子(警報点)で非常制動が掛かっていれば東中野事故も追突前に停止できて事故にならずに済んでいました。

  今回の尼崎事故でJR西日本が数々の責任逃れを図って、踏切事故説、置き石説に続き、鉄道総研の印籠までかざして「133km/hまでは脱線しない」説を流し「それより低速で転覆したのには何か別の原因があり(それはJR西日本の責任ではない)」という責任逃れの誤導を試み、某鉄道文筆業川島令三ヲタ氏などがそれをTV番組で強烈に主張した訳ですから、地味な扱いの国鉄OB斉藤雅男氏や金沢工大永瀬和彦教授ら真の専門家・研究者が「300R70km/h制限で100km/hを超えれば転覆の危険が急増する」と妥当な指摘しているのに、見た目の派手な川島ヲタ氏などの愚論に負けてしまって省みられず、JR西日本の嘘が通りかねない状況になりました。これを覆すにはマスコミが自信を持って対抗できる分かり易い客観事実をぶつける必要がありました。
  過速度転覆事故として記録があるのは旅客事故では踏切事故が主因の富士急三ッ峠事故だけでダメ。貨物ですと先出函館本線大沼前後の勾配急カーブでの3回の転覆事故。その内の後二回は高速コンテナーで旅客列車に近い走行性能で、姫川事故は100km/hでの転覆脱線です。しかし現場の曲線半径の報道はなく「本則60km/h制限は300Rのハズだ」だけでは反論記事になりにくいので、記者から現場R値について裏取りの取材をして貰う前提で「読者からの情報提供」。その結果、毎日が4/28「記者の目」で300R100km/hでの転覆脱線:姫川事故を指摘、翌29日の読売が110km/h台での転覆事故の可能性を指摘してようやくJR西日本の133km/hまで不転倒という主張を粉砕。事故調も「机上の空論的計算」とは言ってましたが、自称?「専門家」の133km/h以下不転倒論は繰り返し垂れ流されて地歩を固めており、解釈の余地のない具体的事実が虚構粉砕に最も有効でした。未だに133km/h不転倒説にこだわってボルスターレス台車主犯論で本を出して稼いでしまうとは恐れ入った大ヲタではあります。JR西はヲタを侮り一般世論をなめちゃいけません。細かなことを言えばカント本則40mm前後と尼崎の97mmは制限が10km/h前後は違うのですが、姫川100km/h、尼崎108km/hでの転覆であり誤差範囲で比例的に等しいということで(w。

  この他、信号ATSと過速度ATSの混同問題Sxの動作ATS-Pの動作と特徴などの基本知識のページには事故当日以降驚異的なアクセスがあって「ATS-P換装で事故が防げた」かの解説内容が次第に修正されていきましたが、NHKのように最後まで誤報訂正をしないところとか、毎日新聞の様に事故後一旦は修正しながら9月の署名記事で当初のATS混同を復活させてしまったりで、理解し切れない内容では正確な記事を書けないことも露呈しました。誤謬記事はJR西日本の解説と、それを前提の評論として書かれたので、どの報道機関も「訂正記事」の形は採りませんでしたから、「誤報ではない誤謬」が未だに彷徨っているのですが、報道機関側が何らかの訂正で結着を付けない限り自社を含めて誤謬再生産は続くでしょう。しかし従来「パターン」とだけ呼ばれていたATS-Pの速度照査方式が「位置基準車上演算型制限速度照査方式」などと書かれるようになりましたのでこのページの記載内容が拡がっているのが垣間見えます。webで調べて驚きますが「なぜP方式が優れているか」の総論的解説がどこにも見つからず、やむなく自作したものです。鉄道社内教育用テキスト「ATS・ATC」にも個々の要素の動作は載っても総論部がありませんでした。教科書でATS-Sxへの直接批判がタブーで、無解説の廃止済み私鉄ATS通達掲載で言外の主張をされたことは判りますが、余程読み込まない限りその意図は伝わりませんから、せめてATS-Pの原理的な良さ、速度照査の意義は明確に書くべきではないでしょうか。それとも第一線の開発屋さんは他分野・一般向け総論解説が苦手なのでしょうか?

  裏返せば内容とアプローチ次第では全くの一般市民が世論形成に大きく影響を与えられる時代になったと云うことでしょう。その点は面白い時代になったものです。但しいくら物理的に正しい主張でも権威の大看板がないと表だった主張にならないのが痛いところで、記述内容を理解した取材側が金箔や原典を見付けてきて記事にするのは仕方ない処です。意図的な誤導を粉砕できる程度の影響力は発揮できるけど、JPN型ゲッペルスにはまだまだ敵わないということでしょう。

【 日記尼崎事故関連部 】 日記一覧表
[58]4/25 実証してしまったか!「カーブを忘れて突っ込むと脱線転覆になる」
[59]4/28 133km/h以下不脱線論批判
[60]4/29(過速度無視は)木を見て森を見ない!おかしな原因論議
[61]4/30 転倒境界角計算、電柱衝突角計算
[62]5/03 的外れ!ATS-P換装まで再開認めず,公明大臣
[65]5/07 ようやく過速度転覆に収斂か
[63]  [64]  [66]  [67]  [68]
[69]5/17 !1面トップで私鉄ATS通達廃止問題!
[70]5/19 降雪中の過走事故2件!冒進、異線進入 JR西日本
[73]5/27 過速度防止装置通達
[76]6/13 問題にフタをする幕引き儀式にするな
[77]6/16 転倒限界倍速説批判
[71]  [72]  [74]  [75]  [78]
[79]7/26 尼崎事故から3ヶ月、安全対策の到達点は?
[80]8/05 RJ9月号亜細亜大佐藤信之氏の批判に応えて
[81]8/22 ヲタの戯れ言!ボルスタレス台車転覆原因説
[82]8/28 最高速度」の危険な誤解一掃措置が必要
2005/09/07 23:30
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