BBS
BBS
mail to: adrs
旧
新
Diary INDEX
Geo日記
戻る
LIST
主目次

[82]. 「最高速度」の危険な誤解一掃措置が必要

([80].枕より移動)
  JR西日本尼崎事故は,事故調査委員会による車載ATS-P装置の記録解析に依れば,110km/h余の速度からノーブレーキでカーブに突入後20mほどから運転手が常用制動を掛けたが減速せず,電柱に衝突した頃に非常制動が掛かったが,運転士が非常制動を掛けた形跡がない.JR西日本の運転士教育内容を調べる.との記事が今日(08/05)の朝刊各紙に載りました.

  当日記[77].で指摘した,必然的転覆限界速度と安全限界速度の混同による確信犯の疑いが出てきた訳です.110km/h台の速度で惰行というのことから「ボンヤリ」「居眠り」説もあり得ますが、常用制動は掛けているので意識はあった可能性が大きいと思います.

  誤解の源と目される「鉄道工学ハンドブック」の曲線通過速度限界についての記述は,制限速度の決め方の基準としてのみ意味のある遠心力と重力の釣合い点を,必要な横だけでなく速度:転覆−復元境界速度を現実に計算して評価を加えてしまい「現行規定速度の約2倍となるが,………,転倒速度は2倍よりやや下回る」として,あたかも脱線限界速度と誤解されるような表現で書いていることに問題があります.社内教育では結果しか詰め込まれず、原理は自学自習するしかない運転士たちのテキストとしては誤解を回避するために無用・有害な値に触れるべきでありませんでした!

  この本が制限の倍近くまで平気という誤解の震源ならJR西日本の運転士だけに限らず他の鉄道でも広がっている可能性があります.危険な誤解の余地の大きい記述は早急に書き直してもらい,その旨を運転現場に周知徹底する必要があるでしょう.運転理論の講座が鬼門と言われ敬遠される中で,信頼する大先輩の著書で自ら学んで体得した内容の否定には,それに対抗しうる構えが必要になります.
  余計な数行を書いてしまった著者本人の解説は特に有効です.        (05/08/05記)


#  以上は[80].項のまくら部分ですが、[81].項の川島令三氏の著書も同じ誤解から発した「ボルスタレス台車は転覆しやすい」という思いこみで記されており、[80]項記載内容とは関連が薄いので改めて独立させ加筆します。

 JR西日本が強調した133km/hは、何キロの速度で転倒するのかという記者団の質問に対して、走行振動や車体の傾斜、設営誤差や偏りを全く無視した転倒限界遠心力を機械的に速度に換算した値ですから「……までは転倒しない」という説明が基本的な誤りです。
 川島氏はこれを真に受けて「133km/hまでは転倒しない」(4/28TV朝日)と言い続けてJR西日本の誤った世論操作を援護し続け、JR西日本が訂正した後も、誤導の辻褄合わせとして「ボルスタレス台車の欠陥」という説明を持ち込まざるを得なかったのでしょう。しかし、他の台車でも同様に遠心力による車体傾斜と重心移動は起こり、走行振動や風と併せて転倒力となるので、制限速度の√2倍(遠心力で2倍)を超えると、非常に危険な状態になる訳です。これは斉藤雅男氏や永瀬和彦金沢工大教授などが事故後の談話で強調していましたが、70km/h/74km/hに対しては99km/h/105km/hで尼崎事故での転倒速度とされる108km/hに良く一致しています。(74km/hというのは5km/h単位に丸める前の生の速度制限計算値です)。

 もう一つの可能性として、車掌が指令に過走の報告をする無線に意識が集中してしまい運転操作がおろそかになって最高速度到達後から惰性走行のまま無減速で300Rに突入してしまった!永久乗務停止処分を怖れて過走距離を8mに圧縮して報告して貰っている訳で、報告内容は気が気ではなかったでしょう。高見運転士の気持ちの動きは事故調の言うように確定しようがありませんが,いずれにしろ処罰優先の「日勤教育」体制が悪影響を及ぼしているであろうことは変わりありません(この節'05/09/06追記)

2005/08/28 23:55
旧
新