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Geo日記
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[67]. 省令の平衡カント算式に小さくない誤差発見!

 [ 曲線速度制限ATS設置義務基準制定 ]
  ATS-SW/SxATS-Pを問わず曲線手前の過速度防止装置(速度制限ATS)設置義務付けを打ち出した5/9付け国土交通省通達文書に続き10日の参議院国土交通委員会で省としての再発防止策を明かした。「運転士の適正、教育訓練法、健康管理などを外部の専門家の意見を聞いて対策としてまとめる」というのはまだ対策以前だから、実質的には「急カーブ区間の手前で速度超過を防止するための列車自動停止装置(ATSシステム)の改良を義務付ける」というのが対策だが、最高速度からの過走防止速度照査ATS設置を定めた3/29国鉄技第195号通達に含んでいて当然の内容である。ATS-SW/ATS-Sxでは現物は全く同じ物ではないか!宿毛、尼崎両事故に共通して最高速度からの防御がサボられていることが直接絡んでいる。
  安全装置とはオペレータのエラーを前提に、重大事態に至らない様にするもの。最も危険を抱える最高速度が『想定外』の安全装置などあり得ないのは一般業界では常識だが、それが全く通らなかったのが国鉄JRである。JR化時に、私鉄ATS通達(昭和42年鉄運第11号)を廃止して野放しにするのではなく、当面の猶予期間を宣言して線区に合わせた適切な改良を迫るべきだった。

  速度照査ATS設置基準は、遠心力による転倒力と、それを押さえるカントで決められるから、最近の曲線速度制限高速化見直しが、不足カント=普通車60mm、特急70mm、振り子式特急110mmと定めて合成転倒力で管理しているのに倣って、一義的には、直線からその最高速度のまま曲線に突入した場合の不足カントが○○○mm以上(たとえば165mm以上)の箇所に速度制限ATS設置を義務付けるというのが実態に即した決め方だろう。JR東海での設置基準の40km/hダウンでは、尼崎事故現場の脱線速度108km/h、制限速度70km/h、速度減38km/hより大きいので採用できない。30km/h差以上で設置ににしないと説得性に乏しい。

  均衡カント算出には、運輸省令で定めた算出式があるが、遠心力から直接算出した値より微妙に大きくなる。誤差原因を調べると、カントが通常は使わない非常に大きい領域の算出なので、運輸省算出式が微少だとして切り捨てた2乗項が影響したためであることが判った。速度照査設置限界の均衡カントの計算には省令算式を1067mm用に特化した国鉄算式も使いたくないということだ。
  それにしても計算尺と紙による解析計算時代の省略算式を未だに運輸省令として残しているとは、改めて鉄道業界というのは歴史と伝統の業界だと思う。&M+付8桁電卓\105.時代に即した微調整が必要だろう。
2005/05/12 22:00
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