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Geo日記
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[66]. 私鉄ATS通達のJR化直前廃止問題が漸く明るみに

  今日9日付け読売朝刊38面に「安全装置30年遅れ」としてようやく私鉄ATS通達(昭和42年鉄運第11号通達「自動列車停止装置の設置について」:自動列車停止装置の構造基準)の有効性と、それが国鉄JR化に伴い廃止され、東中野駅追突事故を起こした事実が紹介された。
  Google検索ではこのHP各ページが上位にランクされていてアクセス数も多いから既に読んでご存じの方も多いのだろうが、それがマスコミに指摘されたのは初めてだ。主にJR関係の社員教育用の信号関係テキスト「ATS・ATC」の冒頭章にこの廃止済み通達全文を無解説で掲載して後進たちに言外にATS−Sx系の重大欠陥を伝えようとした国鉄・JR信号技術者たちの仕掛けがようやく伝わり始めたのだろうか。前JR東日本会長の山之内氏がその著書で「到底『自動列車停止装置』とは呼べないしろもの」と繰り返し述べているATS-Sxではあっても現役社員が直截に「ATS-Sxは欠陥ATSだ」とは言えないのだろう。
  しかし科学音痴の文系記者たちに対して技術サポートを続けない限り線香花火で終わってしまう。

  1967/08/08新宿駅タンク車衝突炎上事故後、対策として国鉄は場内信号の20mほど手前に、(約600m手前に設置するロング警報地上子と全く同じ)「直下地上子」を設置したが、これを「赤信号を冒進すると非常制動で止まる様にした」と説明し、88/12/05東中野追突事故で最も悲劇的な形でその嘘がバレるのだが、それにマスコミは誰一人気付けなかった。直下地上子がもし非常制動機能(SN型)に改められていたら先行列車との距離が137mあり、推定52km/hで冒進した東中野衝突は先行列車手前で停止して事故にならなかったのだ。
  事故直後、「警報をリセットして冒進する運転士に再度警報したって、漫然と、或いは確信があってリセットしていたら、またリセットして止まれない。非常制動が当然だ」との追及にJR東日本広報はムキになって「2度も警報を受けて止まらない運転士はいない」と現実の衝突事故発生の事実を無視して強弁したのだが、後日、山之内秀一郎副社長が引き取って事故4日前開業の京葉線に採用のATS-P換装計画前倒しを公約して、現在JR東日本だけがATS-P/Ps以上の装備率が30%を超えダントツになっている。首都圏中心の整備なので輸送量ベースでみれば倍近い装備率になる

  今回「ATS-P導入で過速度事故は防げた」という誤謬が全マスコミと国土交通大臣に広がっているが、ATS-P区間拡大には大賛成の立場ながら、どうか再び「ATS-P下での過速度惨事」でバレる前に「青信号で働くATS」の存在を明確にしてATS-P/ATS-SW/-Sxを問わず危険なカーブへの速度制限地上子設置通達で防いでもらいたいものだ。

#   些末だが、今日の読売記事が、在来線ATC導入が'88年東中野事故以降と取れる書き方をしているのは間違いだ。66/04国鉄全線へのATS設置後も事故が後を絶たず、1972年に在来線(山手,京浜東北,根岸,赤羽)のATC化を決定し赤羽線を除き1981年から稼働したが、最も過密の中央線はATCでは列車間隔を保証出来なくなり輸送量を維持する為には換装出来ず、ATS-B型のまま残したため'88年の東中野追突事故に至った。
  その点ATS-Pは、停止予定点、速度制限点一杯まで余分な速度制限を受けずに走れるので列車間隔の詰んだ中央快速線にも採用でき、ATCで開業した東京トンネル(横須賀・総武快速錦糸町−品川間)と山手貨物線新宿−池袋間(埼京線)を昨2004ATS-Pに換装して輸送容量を増やし増発や解結に備えた。
2005/05/09 18:00
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