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国鉄103系長期使用、軽量化遅れは怠慢だったのか?!

 右枠のご見解を頂きました。御自身で客観事実を抽出して、解析的アプローチを為さるのは大歓迎!です。当サイトでも「解析ヲタ入門」とか、列車制動衝突解析法などと、具体的な考え方、立式、計算法などを示して、繰り返しお誘い申し上げているのですが、残念ながら自己解析による真相追求で見解を公表する者など極々少数派のままでなかなか拡がらず、相変わらず伝聞・レッテル・受け売り派が主流のママなので、自主解析派の出現は格段に嬉しいものです。ソースのない自力解析はドジれば即ドンキホーテ化するリスクを背負って公に言いたいことを言うわけですから、借論より格段に負荷が大きいでしょうが、是非、頑張ってみて下さい。
 GuestBook(BBS)に返事を書きましたが、論点が多岐に渡り、Max500字制限、訂正不能では、あまりにレジメ的にしか書けませんでしたのでここで補足します。
<307.> 2014/2/9 (Sun) 22:58:24、訂正23:01:06, 23:11:23 <C1>
管理人さんへ

 はじめまして、桃谷です(HNは私の祖父が駅員として働いていた駅からです)。
いつもこのサイトの記事、特に軌道破壊の項目を興味深く閲覧させて頂いています。

 さて、新幹線の保線費用と実際の費用の差ですが、空車時の自重=55.1トンに、乗客50人分(定員100人の50%に相当)の重量=0.06(ton)*50(人)=3トンを足して計算したところ、鉄道総研が出した仮説の何と5.894倍になり、実際の保線費用が予想の5.88倍に達したのと近似しています。

 やはり、「労組の非協力」などではなく、物理的なものだったんですね!

 同速度の条件で103系を205系に全面的に置き換えたら、103系の空車時の平均軸重≒8.5トンに対して205系の軸重≒6.975トンより、軸重比は6.975/8.5≒0.82で、その4乗は0.45.つまり、軌道破壊比は103系の45%になり、仮説の82%よりも大幅に減少する結果になりました。

 予算のずれを辻褄合わせにした罪は、省電力にも繋がる軽量化の阻害にまで至りますから、実に大きいですね…

 ところで、この計算結果に対し、管理人さんはどう思われますか?
     桃谷

あるじ注:桃谷駅(ももだにえき)は、JR西日本大阪環状線の駅。
     大阪市天王寺区堂ケ芝一丁目。
<307.1>[Res.]
 日記#141日記#246 に述べた通りです。
 http://jtqsw192.nobody.jp/DOC/diary/dry0141.htm#W^1
    根本問題として、
  • ナマデータの語る内容を抽出する意思も体制もなかった!
    • 未知の高速度領域の作業量仮説を作った鉄道技研に、実運用データを真っ先に持ち込んで修正を求めるべきところを無為に30年間放置、
    • 現場が、ナマデータから法則性を抽出する整理をしなかった。
    • 折れ線特性など基本的なデータ整理法が教育されてない(特殊専門技術化)
  • 本質を掴まず、デマ宣伝で検討責任回避
    • 「国労の非協力」に責任転嫁。全編の枕詞化!
    • 卓効のあった踏面研削0.1mm/年を隠して、そこそこだった「重軌条化の成果」に捏造
    • 技術分野には踏み込まない国労見解・方針・行動部隊組織化の不足。
      • ハッタリと押し出しの幹部請負労働運動。
        ドカチン親分型富塚三夫路線(当人は学卒だが)。
      • 仕事否定の極左路線凌駕で技術追求が隠れキリシタン化!(職場の国労組合員への信頼を保つ)
      • 労使協調・反日共主義が卓越。内部社党右派系からも執拗な攻撃!
        技研から(特別)中央役員でも選出すれば団結の中核に成ったものを!
<307.3> 2014/2/12 (Wed) 17:35:14(21:24:18)
[名前] : 桃谷

Kitarou182さん

私の質問にお答え頂き、ありがとうございます。結果論とはいえ、この問題は余りに悪質かつ有害極まりないもので、本当に酷いとしか言えません。
さて、この事例を踏まえた上で私見を述べさせて頂くと、
●軽量化の効果を過小評価し、車体設計の技術進歩を停滞させた!
 ○国鉄の軽量化に対する得失の認識はこの程度だったらしく、軽量化による保線費用の低減には一言も出ていない!!仮に出ていたとしても、「引き合わない」で済ましていただろう。
☆103系を継続して作り続けた理由
  http://server04.joeswebhosting.net/~ta3030/club103/bbs/mtbbs.cgi?list=bknum&no=000027
の[102]より

[鉄道ジャーナル1995年5月号]
久保田博 「国鉄時代の近代化EC・DC設計の考え方とその拝啓」(「拝啓」は「背景」の間違い?)

(5)軽量化と車両寿命
…車両に一般に使用されている炭素鋼にくらべて軽合金やステンレス鋼は数倍の高値で(中略)、軽量化により軽減できる動力費と増加する車両コストを比較した採算性が検討された。当時の電力単価を17円/kWh、エネルギーコストの上昇を年6%と仮定して、採算限界の車両コストの増は軽量化1tあたり約150万円と算定され、軽合金やステンレス鋼の採用はこれを上回るため見送られた。

 つまり、国鉄の赤字が増大した理由は、新技術の効果に対する車両設計・経営側の見誤りからくる研究の放棄と努力不足も挙げられるということです。
 そしてそのツケは、登場時点で既に時代の要請に応えられていない国鉄形車両に乗せられ、毎年税金で国鉄の借金を支払う若い私たちにも来ている訳ですね(苦笑)。
[2階震動系の制動の違い]       <C2>

弱すぎる制動:減衰振動状態

制動を強める
油圧ダンパーの適切化で振動整定を早くする→臨界制動状態

いつ分かったかが問題
最新知見で過去は糾弾できない  <1>

 まず、最新の知見で過去の業績を糾弾するのは不適切だし、意味がありません。分かっていたのに怠慢や故意で必要な措置を取らなかったのなら非難の対象になるでしょう。
 また、優秀・有能な人達が、その基本的能力を発揮していたら重大事に至らず対応できたはずのことなら怠慢とか、仕事をさせる管理体制の問題として非難できますが、軸重^4乗と保守作業量の問題は、どんなものでしょうか?
 国鉄ATSに於ける速度照査機能不存在については鉄道専門家として良く分かっていて私鉄ATS通達もあるのを国鉄JR方針で放置したことで十分非難されることだと思います。現に貨物輸送を手掛けていた東武・西武などは私鉄ATS機能通達(1967年1月)の時点で車上演算パターン型ATSを導入決定しており、国鉄JRが1986/12東海道線4ヵ所にH-ATS(ATS-P装置原型)設置、1988/12の東中野事故でようやくJR東日本主要路線で換装設置に踏み切り、JR東海が導入を決めたのが2005/04尼崎事故の犠牲の後だったことは怠慢・サボタージュの結果と責められて当然でしょう。

保線作業量定量化経過は? <2>

 保線にとって、軸重の軽量化に卓効があることに気付いたのはいつ頃だったか明かではありません。かなり詳細を述べている「新幹線保線物語」(山海堂出版'06/02/20刊)にも全く記載がなく、当該の19年間余は敢えて記載を避けています。
 線路の損傷は高速運転ほど、高軸重ほど烈しいことは保線現場として定性的につかんでいて、甲線・乙線などと路線の最大許容軸重を区分していましたが、なかなか定量化できませんでした。国鉄在来線の高速化に際して、保線側から強い抵抗が起こりましたが、定量的に限界を示せず、結局は曲線速度制限規定を従前のカント無しで定義する「本則」方式ではなく、均衡カントから実カントを引いた「不足カント」の限界=「許容不足カント」で定義し直して高速制限とする「本則+αnnキロ」方式を適用する列車を「座席指定車が主の列車(=特急)に限る」と言う形で運転と保線が折り合いを付けて、普通列車や貨物列車の曲線制限速度は上げなかったことがあります。高速指向のJR西日本では現在、普通列車も「本則+α」を採用している模様です。
 この国鉄特急高速化で、最高速度が曲線の転覆限界を超える地点が続出しながら、その安全対策の必要性に踏み込まなかったことで、2005年4月の福知山線尼崎事故に繋がりました。運輸安全委員会松本陽(あきら)鉄道部会長の尼崎事故裁判証言に拠れば、それまでは最高速度でも転覆しない線路設計だったようです。過速度安全対策ミスの出発点がこの高速化検討[列車速度調査委員会]となります。
   See→年表:43.10ダイヤ改正と列車速度調査委員会

 東海道新幹線建設で保線作業量の見積のため、鉄道技研が在来線の補修実績から提唱したのが「通トン理論」(Σi(速度×軸重))でしたが、開通してみると、未知の高速領域である新幹線の損傷実態に全く合わず大問題になりながら、(作業積算基準は変えなかったためか?)特別の作業量でも埋めきれずに、全線半日運休約50回(正式には44回)の若返り工事に至り、重軌条化(50T(53kg)→60kgレール化)と路盤整備をしました。

 それが、どの時点で線路損傷量が定量化されて、速度の2乗と軸重の4乗に比例するとされたのか?を考えますと、速度については最高速度が200km/hから240kmに上げられた東北・上越新幹線開通で東海道山陽側も高速化してデータが得られるようになって以降、最高速度270km/hの300系のぞみが走り始めてからでしょう。
 軸重については同じく300系で非常に軽量化して、従前の0系の車重60トンに対して300系以降は約44トン(軸重15トン→11トン)と、73%に軽減されましたが(See→<T1>)、違う軸重の影響を分離抽出して定量化するのはなかなか困難で、0系の運行がかなり限られて300系以降軸重10トン〜11トン車両が主流になってからのデータを分析して、軸重比の4乗も違うことに初めて気付き、対応を取り始めたと考える方が自然です。
 RJ誌2010/10の500系開発記事では「米国アッショーテスト」などと外部から権威レッテルを持ってきていますが、その時点では既に軸重15トンと重かった0系が東海道を撤退して、300系以降の軸重10トン〜11トン車だけになった自前の実保線データが得られていますから、特性式を論議の余地無く確定できるハズ。(See→日記#246#W^4右カコミ)
 時期の問題としては205系供用が1985年、209系供用が1993年、300系が1992年、700系供用が1999年(See>→T1、T2)ですから、軌道破壊が軸重^4乗に比例することが明確に分かったのはJR209系出現の後で、それ以前の新幹線保線データでは速度2乗比例を抽出すべきところを放置した→在来線軽量化の遅れには責任がないということです。

鉄道技研の位置は <3>

 よく「鉄道は経験工学の世界」などと言われて、長年の運用経験や前例で組み立てられて、「鉄道技術研究所」も、設立当初の実態は、鉄道データ収集実験所という色彩が強く、理論解析して最適値を捜して、高性能車両を開発運用するという方向はあまりありませんでした。鐵道省・国鉄としては僅かに東海道新幹線の前身となった戦前の「弾丸列車計画」や、南満州鉄道(満鉄)での高速列車の試みがある程度でした(機関車パシナ牽引による高速豪華急行列車など)。

 第2次大戦敗戦で航空機製造を禁止されたため、航空機技術者たちが鉄道技研に流れ込んで、航空機設計流の基本原理的解析を導入して、優等車両の電車化や、東京-大阪間を4時間半余で走破する高速列車を提案!文系官僚支配の国鉄本社は、鉄道技研の越権行為としてこれを厳しく非難。しかし小田急が高速列車案に強い関心を示して、鉄道技研の「協力・参加」で小田急特急ロマンスカー3000系SE車を開発。通勤型高性能電車プロトタイプとしてモハ90系(後に101系に改称)を試作したり、蒸気機関車C62などによる高速試験で120km/hを達成し諸データを得ていて、これらをベースに電車特急車両開発を目指して、東海道本線上で(鉄道技研が開発に参加した)小田急SE車の高速試験を実施し、当時の狭軌鉄道の世界記録145km/hを達成、モハ20系(151系→181系)こだま型特急電車を開発、大好評につき、全国で優等列車の電車化、ディーゼル車化と高速化が進められると共に、技研提唱の標準軌別線である東海道新幹線建設が決まりました。

 鉄道高速化の大きな障壁は台車・車体の振動系でしたが、航空機での2次振動系の解析:2階の線形微分方程式による解析を、鉄道向けに「バネ下荷重の軽減」と言い換えて、それまでは「車体重量が重いほど安定して走る」などの誤解が鉄道界に蔓延っていたものを、震動追従性と、共振の制動という本来の形に転換させ、この時代に、新幹線の保線量を予測するための仮説として所謂「通トン量理論」が提示されました。
 新幹線は、未知の高速車両と言うだけでなく、多岐に渡る新規開発課題を抱えて、本格的な交流電車、高速用架線・集電装置、レール締結装置、信号・ATC、徹底したフェイルセーフ導入、保守体制、などほとんどの分野を未知の高速運転用に洗い直す、実験を交えて新規開発する必要がありました。総武線津田沼駅傍の鉄道技研分室では新幹線用レール締結具の加速寿命試験をしていて、多数の震動台に枕木と締結したレールが並んで地響きを立て続けていました。これらの開発課題では試験結果・実施結果が開発・設計者に直接返されて改良が進み実用化されたのですが、数少ない出たきりの一方通行が「通トン量仮説」で、現実との著しい乖離を生じました。

 ここで通トン量理論というのは、線路保守作業量の推定を依頼された鉄道技研が、従前の国鉄在来線の保守実績データ(最高速度80km/h〜110km/h)を元に、200km/h運転での作業量を単純速度比例・重量比例として積算する指標を考えて提示したもので、それはあくまで運用実績も実験データもない「裏付けのない仮説」だった訳で、実運用開始後の実績データで速やかに修正されるべきものでした。
 しかし、運用する現場にそういう仮説認識はなく、また「仮説」と作業推定量を現場に返した鉄道技研は「実績で修正の必要な仮説」という取扱上の注意を付さなかったことで、仮説が金科玉条化して新幹線の線路保守については長期の混乱が始まりました。

若干不用意な単純仮説「通トン理論」  <4>

 少し引いて考えれば、撃力(≡衝突速度×質量)が線路を徐々に破壊するにしても、小さい値では影響しない境界域が十分考えられて、比例増部があったとしても「折れ線特性」(図の緑線になる可能性はあり、また一定限界を超える大きな撃力には比例を越えて大きく変形破壊していくのではないか?単純比例式(図の黒線は実態とは大きく違う可能性があるかも知れない、程度の推定は可能でした。
          <F1>

折れ線と2乗特性が良く一致!
          <F2>

2乗、3乗、4乗特性と接線
          <F3>
回帰直線
最小2乗法に拠る回帰直線
 すなわち「折れ線特性」が予測されるのなら、2倍速の数値的取扱としては2乗特性(図の赤線が考えられ、大撃力で大きく変形破損することが考えられるものは、2乗より、もっと高次の変形特性かもしれない。実データを見て2乗〜5乗程度は採り入れることになる可能性大、と考えられます。(下図:2乗、3乗、4乗特性と接線参照)
 すなわち最低限、折れ線近似に非常に良く似た2乗特性は最初から考えるべきで、そうすれば保線作業予定量の実態との乖離は、まずまず許容範囲で大きな問題にはならなかったでしょう。当初の鉄道技研仮説の完全比例方式「Σ軸重×速度」は若干、不用意に過ぎたのではないでしょうか。形ばかりの「技術研究所」ではない鉄道技研なら限りなくエラーに近い!そういう水準です。

 折れ線など屈曲点を境に処理を変える、状態の不連続を扱う例では「偏差」「誤差」があります。誤差の正負により処理を分けるのは大変なので普通は「偏差2乗平均根」=「標準偏差」として個々の偏差の正負で処理が違わない扱いにしています。また相関関係から「回帰直線函数」を求める「最小2乗法」も、各偏差の2乗の和が最小となる直線を求めますので偏差の正負は無関係になっています。(See→左図F3
 問題は、どんな函数形で直線を示すものか、・・・・理論解析が出来ていれば、その函数形で逆変換して回帰直線を求めれば良いのですが、理論化できていないデータ群では函数形を様々当てはめて最も良く一致するものを選び出して取り敢えずの記述函数とします。基本の1次式の他、指数函数・対数函数、2乗、3乗、4乗、n乗、等の逆函数で偏差2乗和を比較して偏差2乗和が最小のもの=相関係数が最も±1に近いものを選びます。ここに処理が面倒なだけの「折れ線特性」は出てくる余地はなく、n乗特性とされるでしょう。
 新幹線保線で30年余もの大変な労苦の蓄積を後日きちんとデータ整理した結果が、「軌道破壊量が速度の2乗に比例、軸重の4乗に比例」という経験式で、当初、鉄道技研が提起した「速度比例、軸重比例」とは大きく違ったことを、原理的に解決せず、長期に辻褄合わせの作業量増で埋めてしました。
 予測値の6倍余もの過酷な作業量を求められた現場も、なぜ実データを集めて鉄道技研に送り返して見解を求めなかったのか?まるで不可触の金科玉条!神の御託宣扱いであり、技研側としても、推定結果を何も知らされなかったのですから、研究機関としては殺されるようなものです。
 この当初見積の6倍余もの作業量に追いまくられる状況の責任を「国労の非協力」として生け贄を仕立てて押しつけたのが、新幹線物語保線版の深澤義朗氏編纂著作「新幹線保線物語」(山海堂出版'06/02/20刊)で、現場情報環流の必要な鉄道技研を殺し、国鉄労働運動を殺す国家的謀略に加担して自らの手落ちを糊塗しました!有り得ない異常データ!を、なぜ提唱ソース:鉄道技研に送り返して尋ねなかったのか!

データ処理方法の教育課程は?
技術・研究系の新人教育に必要な内容か!?  <5>

 こうしたデータ処理法を学校でどこまで教わったかを辿りますと、高校では「回帰直線」は範囲外でして、応用数学では2項分布、標準偏差と正規分布と続いて、僅かに「相関係数」「強い相関、弱い相関、無相関」が出ている程度でした。大学は1〜2年次の数学・統計学でようやく回帰直線の求め方が入りましたが、直線となるべき特性値が函数形のものについては全く言及が無く、当然、例題もありません。入学直後に「物理実験概説」として学部で作成した冊子で実験データの回帰直線を求める解説の標題に代用特性から求める「間接測定」と「○×曲線」とあって、必然的に函数尺に結びつきますが、標題以外の具体的解説はなく、それを詰め込まれた当時には思いもよりませんでした。
 私自身が函数形での回帰直線算出例に出合ったのは磁気カード式プログラム電卓にオマケで添付の英文ワークブックにあったプログラミング例題「傾向線分析:Trend Line Analysis」だったと思います。 相場投機傾向線分析ソフトで指数函数を対数化して回帰直線を求めるもので、投機相場にあたかも法則性があるかの誤解を振り蒔いて小金持ちを時折の暴落でスッカラカンに落とし込む魔性の小道具として売れまくった電卓でした。 鉄火場に張るべきタマをあいにく持ち合わせなかった私には全く損害は無かったのですが、このプログラム電卓付属ワークブックはなかなか面白くて電卓プログラミングの重箱の隅を突いてトリッキーな2重コマンドの間接代入とか・・・・・・英文音痴の私もこっそり仕事を放り出して全文を読み切りました(w。
        <F4>

レール表面研削0.1mm/年の卓効!→日記#140

        <F5>

'74年〜'93年以降に19年間もワープ

重軌条化、運休44回'76〜'82
表面研削試験'87〜'95卓効
時間軸省略で効果を横取り!
 従って、これらデータ処理を専門的に学んだ人以外は、研究・設計実務の場でたまたま現れた現象で函数特性にぶち当たってその必要性に気付かない限りは、鉄道技研型の単純直線総トン理論に陥ってしまいます。実験式を作成して使う仕事では、ルーチンの新人教育として特に注入すべき内容です。新幹線開発当時、ベテラン所員は超多忙で、解析を比較的手空きの新人に振って、指導者が解答論文の点検漏れをして「線形通トン仮説」が世に出てしまったんじゃないでしょうかねぇ(w。それでも実施結果が戻される体制なら「仮説」は妥当な内容に修正できました。

便利だった「ラテン方格:直交表」講習  <5.2>

 私が新人教育で詰め込まれて使い方次第で大変有用だと思った課題は農業の品種改良などで用いられてきたラテン方格実験配置法:直交表実験です。工程品質改善管理など固有技術力で解析的には求めきれない各種要因を割り付けて最小の実験数で結果を得て統計的処理で有意水準を判定する方式で、設定パラメター同士に交互作用の無い独立現象に特に有効です。
 学校の実験では効率の悪い1元配置実験が標準ですが、これを避けて、多要因を一遍に実験してしまう方式です。品種改良など年単位・ン10年単位掛かる課題ほど多要因の試験を同時に進めないと研究者自身の生物学的寿命が尽きてしまい結論データが得られませんので、その分野では良く利用されてきたそうです。すぐに結果の得られる電子機器設計では軽視されましたが、量産工程で収率を上げる、不良率を下げる試行錯誤には非常に有用で日本製品の高品質化を陰で支えた技術でもありますが、同時に「ZD運動」や「カンバン方式」「マル生」同様に滅私奉公思想注入と一体で行われて、労働条件切り下げや首切りを労働者自らが自発的に提案するアタマに調教する毒薬込みでして、処理の複雑さでパニックにさせて健全な常識を粉砕する働きもあって、そこも理解して労働運動として組織的に対応して毒薬の部分を断固排除しなければ徐々に悲惨なことになります。

 解析主義主流の電気・機械系学校教育とは懸け離れたアプローチで極論すれば当面の結果さえ良ければ理屈は当面どうでも良い!というわけで、経営陣のお声掛かりで強権的に進められたこともあって、普及担当からは理論解析を無視して何が何でも直交表利用が求められるような無茶もあって、その押し付け被害をどう跳ね除けるか!という切実な観点から無用の直交表実験排除法=設計計算力を否定されない活用法を検討してバカチン直交表普及担当に対抗したものでした(w。
 それでも「棄却率1%で有意差がある」などと他人に説得力ある結論が得られて便利だったので結構実務に採り入れまして、パソコン普及前でしたから、データ処理手順表を作ってそこに実験データを書き込み厖大な計算を計算処理の得意な技術課試作係の女性達に頼んで結果を出して貰うようにしました。延々と続く単純ベルト作業には適さない優秀どころの女性は設計技術課試作係など間接部門に廻っていましたのでなかなか頼りになりましたが、技術計算など開発設計諸作業は技術サンプル試作の本来業務ではない(実験用のサンプル試作自体はOKな)ので、手空き時間に突っ込んで貰うお願いも気を遣いました。日記#340のスナック・ママはこの時代、濃紺のジャンバー作業着だらけの工場司令室・技術課を真っ赤なカーディガンを羽織って大型金魚のように華やかに遊泳していたものです。 エンジニアリング・ワークステーションやパソコンの普及は、ほのかに粉黛香る生身の計算機に接する密かな楽しみを奪いました(w。後日、作成した直交表処理プログラムのテストで、技術資料登録されている彼女たちの手計算結果を見ましたら、分散値が10倍も違うものがありましたが、棄却率1%有意か0.1%有意かの違いに留まり結論が違わず助かった!と思いました。
 それでも通トン理論は在来線の工数見積には有用で、補修計画が立ちました。 鉄道技研に新幹線現場での実施結果がフィードバックされれば修正の機会となりましたが、不幸にして金科玉条化されてしまい、新幹線には不適のママ30年以上修正されませんでした!

データ無視・結論誤導の「保線ものがたり」!  <6>

 さらに、個々には有用な原情報を提示した書籍「新幹線保線物語」について付言すれば、結論の重大な歪曲で書籍の価値を墜落させています。 すなわち、個々のエピソードやデータの語る真実を無視して、不具合の責任を枕詞的に「国労の非協力」に集約するのと、後日、東海道新幹線経年劣化回復工事で、レール折損多発対策として(1).重軌条への交換を行った効果と、(2).鉄の結晶化防止として踏面を年に0.1mm研削する効果とを、敢えて混同させて、実際は(1).重軌条化で1/3に減少する著効、(2).踏面研削でさらに1/100の卓効だったのを、途中、連続した19年間のデータを抜くことで総て自分たちの関与した(1).重軌条化の成果と紹介して、最も大きな、決定的な効果のあった踏面研削の事実には全く触れない作為的な記述をしていて、その誠意を疑われるものになっています。
 レール折損件数1/3化というのは大きな成果で、実は他に1/100〜1/300化する卓効の手段があるのに気付けず大きな費用を使ったとしても、それ自体は緊急安全対策として肯定されることです。 それを、後日、遙かに効果のある対策が完成したからと言って、その成果まで大きな費用を使った先の対策の成果に見せかけるのは、技術レポートや真面目な本ではなく、何処に地雷が埋め込まれているか警戒しながら慎重に読むべき、信用度のごく低い本ということになります。編著者は、それを分かっていながら意図的な歪曲をしたのでしょうか?

【新幹線車両】     <T1>
形式出現M車重 備 考保線
0系196460t東海道低圧タップ制御50T(53kg)
200198260t東北・上越 サイリスタ
(SCR)位相制御
半日運休44回
'76〜82(60N
100198653.5M更新
300199244.4高速化 3相交流モータ
VVVF制御
500199643.8軽量化300km/hMax '95〜
シェリング0!
試験区間〜
700199944.3量産270km/hMax
N700200743.8九州対応300km/h+車体傾斜
N700A2013


【通勤型国電】     <T2>
形式出現M車重備 考
旧型
国電
戦前
1950

40t

湘南型80系→モハ72クハ79
抵抗制御
101195734t新性能国電の祖、中央 +発電制動
(省メンテ)
1031963山手置換
3011966営団東西線乗入用103
201197941.5中央置換 電機子チョッパー
回生制動(省エネ)
2031982営団千代田線乗入用201
2051985山手置換
界磁添加制御
抵抗制御起動
界磁チョッパー相当
高速域
回生制動
209199328.0新系列国電の祖、京浜東北 3相交流モータ
VVVF制御
軽量省エネ
(省メンテ)
E217199428.9総武-横須賀置換4扉
209-500199829.8総武置換
E2312000
E2332006中央、京葉等置換
 だから、全体としては事実に対して不真面目な酷い本でありながら、鉄ヲタとして個々の事実を拾うには使える本!それは朝日新聞が自社の見解に合う事実のみを拾って「不都合な真実」は捨てて報道する姿勢で、その究極が珊瑚の傷とか伊藤律・田中知事単独記者会見まで捏造報道したわけですが、改憲右翼読売新聞は面白ければ社の見解に反する内容でも平気で報道してしまう相違になぞらえば、読売新聞型の本ということでしょう。朝日も読売も、お互い「ブル新」には違いないが、個々のナマの事実を知りたい側からは情報操作が微妙に違います。

無かった適切なマネージメント  <7>

新型出ずは怠慢か?緊縮策か?  <8>

 Guest Bookご指摘の国鉄車両軽量化の遅れ(BBS#307.3)は、現場の特別の悪意や怠慢から発したものとは思われず、本社文系主導、成り行き任せのお役所的無方針の結果=経営管理側の怠慢だと思います。先に概説した通り、戦後、技研の体質改善強化が図られて、電車化徹底の新性能化、新幹線に結実して、その後、国鉄累積赤字増大と新幹線騒音問題の放置で、新たな動きを封じられて技術革新が私鉄車両より大幅に遅れましたから、これらは経営側の方針の問題が主です。
 戦前の日本の優れた軍用機開発でも、その前に何度欠点のある失敗作を作っても開発発注を続け経験と改良を重ねて世界に賞賛される名機を世に出しており、零戦をカモにしたF6F撃墜の源田サーカス「紫電改」の「改」は「紫電」の大幅改良型でした。翻って高利赤字に追われる国鉄での「失敗できない新規開発」というのにはかなりの無理があり、他の特に優れた実績を拾って構成するスタンスになるのはモハ90モハ20(101系151系)が私鉄で成功した構造をなぞった時代から一貫しているではないですか!空前の規模での大展開というのが新幹線も含めての国鉄施策の特徴でしょう。いきなり冒険的施策を大規模にはやりにくいものです。

 国鉄分割民営化で独立して鉄道総研になった鉄道技研は、かっては良い仕事をしながら経営では軽んじられて、高速列車提案さえ本社から批判されましたが、国鉄JR職員からの絶大な信頼はあり、それが「通トン仮説」が金科玉条化して長期に悪影響する背景でもあった様です。

当時の電力単価は <8.1>

 また<307.3>引用のRJ記事中のs40.('65年)当時の電力料金が\17.円/kWというのはかなり過大ですから、記事の試算の前提を踏まえれば、当時の軽量化の直接メリットはもっと少なかったはず。特に大量消費の首都圏の電力は半分近くが自前の発電で、さらにその半分が信濃川水力発電所の低コストである水路式発電でしたから、設備費の割掛けの問題も絡み、電力会社からの買電より相当安く見積もった可能性が大きいと思います。
 制度的にも回生制動で返した電力は電力会社に只取りで鉄道側には何のメリットもないし、回生失効頻発の不安定さで運転阻害の原因と考えられていた訳で、山陽本線瀬野八の長い下り坂を回生制動で下り、その発生電力を変電所設置の負荷で吸収して、機関車を過熱させないために利用しましたが、回生電力を他の列車の起動に安定的に使えるとは思っていなかったのでしょう。夜中に東海道線を疾駆する高速貨物電車スーパーレールカーゴM250系は発電制動で回生制動機能が無いのは夜中では使ってくれる列車がなく回生失効ばかりなのを摩耗烈しい機械式ブレーキで代替したくないからです。

 電力料金は従量単価と、受電容量に拠る基本料とがあり、さらに高圧受電、特別高圧受電などによる大口電力契約がありまして、当時の我が社工場での6000V受電大口契約での従量単価は\4.円/kW前後、基本料金と均して\7.円/kW余でしたから、国鉄のように特別高圧受電の超大型契約ですと変電・配電設備が需要家持ちですから従量では2円/kW台になっているはずで、記事想定の\17.円/kWは高価な一般家庭の従量電力単価を採用しているか、高圧受電の基本料込みで7円/kWの誤植の可能性があります。

 私の加入していた労働組合事務所は、工場内配電盤から子メータを介して電源を接続し、当初の電気料金はアボイダブル・コスト方式(JR貨物の線路使用料決定法式)で決められて、工場の6000V受電従量単価をそのまま適用して4円/kWで契約・運営して居ました('71/01〜)が、後日、会社の組合弾圧政策が強まって、固定料金分の分担も求められて、年間総支払額比例配分方式で7円/kWに値上げ('74/01〜)されて、他の工場では同律の料金改訂契約が遅れる間に大量解雇争議が起こされて原職復帰解決までの半年間の大混乱で賃貸契約調印が吹っ飛び、元々特別高圧受電で電力機器損より僅かな電力使用料で工場幹部がチマチマやってられないのもありまして4円/kWに維持され('75/04)ました。
 組合の争議裁判の資料整理でこれら「組合事務所賃貸契約書」現物を見ましたので先出、久保田博氏RJ記事の比較対象となる数値的根拠としては確かです。灯油暖房と電熱暖房とでコスト比較計算して単価8円/kWまでは電力が得だ(=一般家庭向け電力料金では灯油の2倍以上!)などと弾いていて「組合敵視をやめて、今まで通り4円で逝け!自分とこの組合から賃料だの電気代だの取っているセコイ会社自体が珍しい!」などと両工場当局と口角泡を飛ばして交渉していましたが、反面、事務所に賃貸借契約があると、突然追い出すのが法的に大変難しくなるというのです。 一旦追い出されたらお終い、居座り・実力占拠が基本ではあり、賃借料が組合嫌悪の現れではあっても、反面、全商連や極左全国金属の組合結成を全員解雇や遠隔配転で潰しきった凶暴な会社でもあり、そこでの構内組合事務所確保に保険的な意味を生じるので妥結していました。
 案の定、組合弾圧弾圧強化時に「賃貸料滞納による事務所明け渡し要求」が出てきましたが、例年は年間電力使用量を検針して事務所賃貸料と一緒に請求書を出して精算していましたから、明文の「賃貸契約書」に基づく精算請求書もないまま、使用電力料の検針さえしないままの突然の賃貸物件明け渡し請求に道理はなくて、係争中の事件に引用されて無効・組合嫌悪不当労働行為意思の実例として認定されて事務所確保に有効に働きました。(当時の従量単価4円/kWに強い根拠が感じられる「余談」でしょう(w)

界磁チョッパーの究極形!界磁添加制御  <8.2>

 電機子チョッパー車201系は「高価」ということで中央快速を置き換えて以降配備がほとんど止まりましたが、国鉄末期に開発した、軽量車体に高速度領域の回生制動を直巻きモーターのママ安定的に可能にした「界磁添加制御」の抵抗制御車205系はなかなかの傑作です。電力消費分は当初考えられていた起動抵抗損よりも、起動抵抗を使わない並列フルステップ以上の速度エネルギーの方が遙かに大きいので、私鉄は早くからそれに着目して複巻電動機と界磁チョッパーによる回生制動車を導入していましたが、モータが複雑化して高価なのと電圧急変に対応しがたい弱点を抱えていました。
抵抗制御  国鉄が開発した「界磁添加制御」は、直巻きモータの界磁コイルを独立外部電源で励磁することで分巻特性に転換して回生制動を行うため、直巻き用の界磁コイルのインダクタンスが非常に小さいので、電機子電源電圧で励磁する分巻き界磁より制御しやすく電圧変化に追従しやすく、分巻き界磁コイルが不要ですので合理的で優れたものに仕上がりました。界磁添加制御方式は界磁チョッパー方式の究極形といって良いものです。

 エネルギー量の試算として、並列フルステップ速度時の運動エネルギーを基準1に考えますと、直並列制御をした場合の起動抵抗損がその1/2、最高速度がフルステップ速度の3倍ですと、その運動エネルギーは9倍(=3^2)ですから、電機子チョッパー化で減らせる起動抵抗損失は、最高速度のエネルギーの1/18に過ぎません。それなら、回生制動で最高速度からのエネルギーを効率よく回収すれば起動抵抗損の分は相対的に非常に小さくなってしまい、当時非常に高価だった電機子チョッパーは避けて従前の抵抗起動のママとする、というのが私鉄の界磁チョッパー制御積極採用の理由でしょう。
 解析・先端技術好みの営団地下鉄が特に電機子チョッパーに拘ったのは、効率よりも寧ろ、長らく車両の冷房は行わない方針で、相互乗り入れ車両の冷房までOFFにさせる無茶をしていて、地下駅ホーム前後に集中して抵抗熱が噴き上がるのが特に不評ということも有ったのでは。猛暑期に抵抗制御で地下鉄路線に乗り入れる103系地下鉄仕様301系などは特に迷惑だったとか(w。

高利貸し借金赤字・談合工事費高騰赤字が本質  <8.3>

 特に「国鉄累積赤字27兆円」の起源は、鉄道省から国鉄公社発足時に、鉄道を道路・港湾と同じ公共輸送インフラと位置付けて、国が資金手当てすることを法で決めたのに、現実には高利の「鉄道利用債」など借金で調達させたことで、この利払い分が丁度国鉄累積赤字額となりました。法律通り資金手当てされていて利払いが無ければ経営として自己完結できて国鉄累積赤字はなかった!のが真相です。
 この高利資金調達は、郵便貯金運用の「財政投融資資金」の他、銀行業界が一番多く引き受けてリスク無く暴利を挙げて国鉄財政を食い物にした中から政権党に多額の「政治献金」をしていました。自民党への政治献金の最大供給元が国鉄から高利を吸い上げた銀行業界でした。
 国鉄が初めて赤字経営になったのは東海道新幹線が開業して建設費の償還を始めた年からで、借金体質が赤字原因であることは外形的にも明らかでした。高利の借金で新線を作るような無茶をしなければ、既存の地方赤字路線の維持は人の住める国土にするためのインフラであり、道路、港湾同様に十分に耐えうる支出でした。 現に「ペイする道路」とか「港湾整備」とは言いませんし、北海道の弁慶号、義経号は当面のペイを前提に走らせたのではありませんでした。ここを国が対策せずに高利貸しに食い荒らさせて上前をはねる政治勢力が権力を握って恣にしていたことが国鉄累積赤字の基本的原因です。

 中曽根「国鉄改革」は、この国鉄累積赤字の発生責任を国鉄労働者怠惰悪者キャンペーンで彼等に被せて国民負担に付け替える国家ぐるみの謀略を強行して国鉄累積赤字債務のほとんどを国民に付け替えて「処理」し、新たな新線建設利権:整備新幹線建設などを再開させました。この部分は国鉄労使とも政策決定当事者ではありません。

 中曽根「改革」は、大経営で唯一御用組合化に成功せず、労働者の要求で闘う勢力の先頭として日本の労働運動を支えていた国労・国鉄労働運動を亡き者にして総評を破壊することに加えて、労働者派遣法を制定して人入れ屋を合法化し、数次の改悪を重ねて労働組合に結集困難で首切り合理化自由の非正規派遣労働者を増やして正社員に置き換えていくことで、賃金水準を大幅に下げて、ワーキングプア層を形成させて、「労働力再生産」を極めて困難にして、市場を冷え込ませて長期不況とし、とうとう人口減少で社会保障が成り立たなくなる危機にまで追い込んだが、それらと同時に行われた労働組合否定、政治否定に国民一般が煽られて、不平等・不当支配に唯一対抗できる手段を被害者たる国民自ら否定する風潮を蔓延らせて、権力を握り続けて悪政と、劣悪な労働条件・国民生活を押しつけてきました。
 被害を受ける勤労国民側は国家機関・マスコミなどを総動員した、これらの攻撃に常に後手に回って、繰り返しのデマ宣伝に乗せられてしまい、セクト的に労働者組織を支配する勢力に生活防衛手段を占拠され、あるいは煽りに乗った無関心放置で、有効な反撃をできないでいます。
 第2次大戦敗戦後の経過を辿れば、労働組合結成民主化とその御用化の繰り返しで、今はラストの1989年総評解体御用化連合統合と労働組合・政党政治否定攻撃のさなかにあって、煽られた労働者・勤労者が自分たちを護る有効な手段を自ら否定・攻撃して、当面の改善を困難にしています。
 これらを職場から揺らぎ無く主張し続けて大きな世論にまで育てられる勢力がこれまで現れなかったことが大変残念です。

頑張った国労組合員  <8.4>

 国鉄の保線幹部から不具合蔓延の理由として以上の政治謀略の流れに乗って「国労の非協力」が繰り返し挙げられているので一言。保線の困難は職制側の分析検討の不十分・不徹底が主原因なのはこれまで述べてきた通りで、組合のセイではありません。 責任転嫁に汲々として、他から得られた著しい成果:0.1mm/年の表面研削の結果まで、重軌条化の成果に見せる見苦しさです。
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かって鉄道総研にも
国労分会があった!
@2010年三多摩メーデー
 国労が、その潜在能力と機会を放棄しているように見えるのは、仕事内容についての見解をほとんど出していないこと。 中核派擁護で悪評の千葉動労がJR労働者には一目置かれているのは、全組合員の参加する安全運行闘争で無理な高速ダイヤを全国的に見直させ路盤強化をさせるなどの過去の輝かしい実績があるからで、組合が提唱の地点毎最高速度が線路実態に良く合っていて運転士達が守りやすくて房総特急が約10分遅れになるのを当局が正式ダイヤに採用。仕事否定の『極左暴力集団』とは宗旨が違うじゃねぇか!というカラカイは有っても一目置かれる実績となりました。
 国労が技術的内容に踏み込まないのは、それとは対極で、運動的にも勿体ないと思います。労働運動に勢いのあった時代に極左勢力が仕事そのものを否定し、体得の努力を嘲る中で、隠れキリシタン的に学んでいた真面目な労働者が多く居まして、烈しい弾圧に晒される国労組合員への職場の信頼を繋ぎました。 これらの力を専門委員会などにきちんと組織化して見解を述べられるようにするとか、写真P1に見られる鉄道技研分会から特別執行委員などを出してもらって、信頼と団結の核にするとかの工夫は欲しいとズ〜〜〜〜っと思っていましたが、現在は皆定年で分会は無くなっている様に思います。 仕事はダメの口先だけの活動家ではなかなか説得力を持てません。
 私たちの経験でも、繰り返し「仕事」に助けられており、組合結成時からして、結成妨害に中心幹部を遠方に長期出張の島流しにして赴任した日に会社が本社工場の全従業員2600人余を中庭に集めて「新製品立ち上げの仕事の必要で優秀な○×君に出張して貰った。組合結成妨害ではない」と昼礼をやって逆効果となり、雪崩を打って組合加入が増えてしまい、慌てて「アカの謀略!」などと烈しく組合を 非難し始めたものの「社員集会で優秀社員って言ったろう!?」などと全く受け入れられなくなりました。 一製造部の朝礼で製造部長曰く「得意先が探偵を使って委員長を調べたら『共産党』だったと教えてくれた。お客さんが離れると困るから『委員長は共産党ではない』と嘘をつきなさい」と手の込んだ攻撃をして、これが20歳前の若い女工さん達には結構効いたりして。学生時代の元左派新聞会は「嘘でなく共産党ではない」のですが(w、新生組合への結集を混乱させるデマとしては効きましたがここでも仕事:「開発本部技術者」が支持をつなぎました。
 他県工場では社員代表の研究技術者を係長に出世させて大阪営業所配転で隔離して結成妨害を図る攻撃に反対運動が起こって組合結成運動に転換して1100人で結成大会を開き、東京では末端生産労働者と技術・開発研究の職場が組合派、以前の全金組合結成潰しに動いた班長など末端監督職層が養殖御用組合派と分かれました。 しかも実際に組合結成活動を仕切っていた中心的な参謀役活動家(=学生時代から民青同の経験深い参謀役だった学卒技術者)の重要性に会社側が十分には気付かず、交替勤務用女子寮内の一角に日常の作業場を作って一人隔離していたことで、時間外には自由に動けて組合結成指向派と連絡が付くので「不当出張弾圧に抗して組合結成大会を成功させよう!」と運動に火を付けてしまい組合支持の流れがさらに強まって、1600人が組合参加! 同盟支持の右から全国金属労組右派否定の左まで、様々のセクト系も社員として皆同等に会社の紐付きでないことだけを条件に結集、結成大会議長は自民党地域重鎮の家柄の精密機械設計技術者。ほぼ同時結成の養殖御用組合結成大会参加は130人となりました。
 「極左」全金労組中の右派が指導した万歳突撃のような無謀な組合結成呼びかけの大失敗に学んでの、組合指向派による御用団体役員占拠で社員会丸ごと第二組合化を抑え切った結果で、その後、大合理化と長期の弾圧・差別・大量解雇争議で組合員を減らされるのですが組合結成の緒戦は大勝利となりました。
 運動の基本的な力になるのは末端生産労働者ですが、信頼を集める団結の核となったのは各職場リーダーだけでなく、エリート扱いだった技術・開発研究・自動機設計・電算処理の専門職場の仕事で信頼される労働者達の参加でした。国鉄JRでの鉄道総研・鉄道技研職場は労働組合への結集の核の大看板として使えばもっともっと有効に働いたと思います。

 分割民営化攻撃に国労幹部たちが次々変節して、労働者を護る基本原則を投げ捨て、争議切り捨て、闘争団追い出し方向に変質する中で、その都度、職場の組合員たちが組合の変質・解体を許さず、修善寺大会のように時に新たな真面目な執行部を立てて、社会党右派勢力などの全面降伏路線側の言う2段ロケット、3段ロケットの分裂策動を乗り越え、当事者の意向を無視した闘争団切り崩し・切り捨ての4党合意押し付けなどを職場組合員の討議でこれも乗り越える粘り腰を示しました。集団つるし上げなどで一切の組合批判を許さない他の養殖御用組合との決定的な違いでした。

結局、何が問題だったのか?!    <9>

 国鉄型の直流型新性能通勤電車101系103系(301系)投入から、プリ次世代201系(203系)、次世代205系、次々世代の209系(E217/E231/E233)の投入時期をみるときに、103系の時代があまりにも長すぎて、実質界磁チョッパー回生制動の205系まで22年間、徹底軽量化と3相交流モータの新系列国電209系までの30年間の通勤輸送の多くを、ずっと103系が担ってきたことで、改良がサボられた怠慢ありなどと非難されて、さらに「省電力にも繋がる軽量化の阻害」、「国鉄の赤字が増大した理由は、新技術の効果に対する車両設計・経営側の見誤りからくる研究の放棄と努力不足も挙げられる」(See→<#307.3>リンク・スレ)と論難されている訳です。

 しかし真相は、国鉄経営の実態は銀行資本とゼネコンと政治の食い物にされて、高利の支払い分と国鉄価格の高額発注とによる「大幅赤字決算」を前提に、文系官僚支配の本社により、あらゆる経費が抑えられて、稼ぎ頭の新幹線騒音対策研究すら十分な予算が得難かった状況で、103系自体旧型国電よりは軽量化されており、どんなポンコツでも走らせればボロ儲けの大都市圏通勤輸送用に新型開発・研究など文系役人基準では許されようがなかったのではないでしょうか。
 現に、国鉄分割民営化法で国鉄累積債務の国民負担への付け替えが決まって高利による累積赤字債務負担の必要が無くなった途端に、新生JRに継承させる資産整備が始まり、国鉄予算で大量の軽量化省エネ車205系が配備されました。
 この短期的利潤追求唯一論経営:潰す前提の役人的暫定経営の修正に、自社で車両を製造する新津車両製作所設立・東急車輌買収の試みが有るように見えます。

 予想以上の軽量化の実現は事実ですが、それは国鉄末期205系以降のことで、それ以前の国鉄時代は、軽量車体のコストが私鉄でもなかなか下げられなかったし、ある程度の衝突強度も残したかった様に思います。
 先の2/14夜の降雪下で追突した東急東横線車両は衝突速度40km/hとされているのに車体床が1mも盛り上がって大破状態というのは脆弱に過ぎる感があります。
 かっての中央線緩行東中野事故'88/12/05で53km/h前後で衝突して連結面1窓分が潰れて乗客一人が亡くなりましたが、衝突速度は大きくエネルギーで70%増しなのに今回の東横線ほどは派手には壊れていません。鉄道車両としては関係2編成20両中18両が廃車になりましたが・・・・・・。
 ATCに拠る絶対的衝突防御で、無駄な強度を減らせるという考え方は、新幹線でも採用されて西欧系高速鉄道よりはギリギリの強度で設計されている模様ですが、今回の東横線事故は、衝突防御の前提となる制動力に不安定があると惨事化する危険のあることを示し、周囲状況により減速度設定を変えるとか、ブレーキをライニング・シューの温度でブレーキを間歇強制動作させて加熱し氷結を防ぐとか、原始的には速度ランクを降雪モードに切り換えるなどの対応が必要なことを示しています。豪雨中に数百mの過走事故を起こしている新幹線も、速度計軸を中間の8両目にしてその軸の制動力は弱める対策だけで足りるかどうか=降雪下での減速度設定の変更は無用かどうかの再点検が必要です。関西空港特急「はるか」も北陸特急「雷鳥」も降雪中に止まりきれず冒進事故(See→日記#70)を起こしています。


2014/02/17 01:55

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