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軸重の4乗×速度の2乗に比例!軌道破壊量!    <W^4>

 「現場式とその理論化」項(日記#141)で、軌道破壊量が速度と通過重量に比例という鉄道技術研究所提示の仮定が実態に合わず2乗、3乗比例の可能性のあることを指摘しましたが、鉄道ジャーナル誌2010/06号、JR西日本設計担当執筆の500系開発回顧記事(p88右L3〜4)で、それは速度の2乗と軸重の4乗(のΣ:通過量)に比例すると記されていました。設計現場では案の定、原式を実態に合わせて修正していたけれど、外部(や保線関係OB深澤氏)には発表していなかったことになります。
 試算条件として、
自然に学んだ500系新幹線電車
時速300キロの軌跡(7)  ,
元 西日本旅客鉄道kk   ,
総合企画本部技術開発室長
 同  試験実施部長
中津 英治
氏 執筆
 (鉄道ジャーナル誌2010/06号p88右〜)

 500系新幹線の車体の横板と床材に、このアルミハニカムパネルが使われている。これらも含む実践により500系電車は、車体重量が40トンという軽量化に成功した。この軽量化の意味するところは実に大きい。軌道に優しいのである。概括的に言うと線路、道路などの破壊量は車両速度の2乗に比例し、車両の軸重の4乗に比例する(米国アッショーテスト)。鋼体でできていた0系新幹線の重量は60トンあり軸重に換算して15トンであった。500系の軸重は10トンである。速度は時速200キロの0系に比べ時速300キロとなった。・・・・・


2乗、比例、折れ線比較

4乗、2乗、比例比較

  1. 在来線電車の重量を40トン、速度を110km/h、12連、
  2. 0系新幹線は1両60トン、210km/h、16連、
  3. 500系新幹線は1両40トン、300km/h、16連、
  4. 貨物列車は、機関車重量100.8トンF型、コキ1両60トン、110km/h、21両牽引、
として在来線電車を基準に軌道破壊量比を試算すると
  1. 特急B1={(40/4)/(40/4)}4×4×12×{110/110}2=48
  2. 0系B2={(60/4)/(40/4)}4×4×16×{210/110}2 =1181=48×24.6
  3. 500系B3={(40/4)/(40/4)}4×4×16×{300/110}2 =476.0=48×9.92
  4. 貨物B4={(100.8/6)/(40/4)}4×6×1×{110/110}2 +{(60/4)/(40/4)}4×4×21×{110/110}2
    =47.8+425.3=473=48×9.9
となって、在来線特急を基準とした列車1本当たりの破壊量が、0系新幹線で約25倍!、500系新幹線で10倍、高速コンテナ貨物で10倍!ということになります。

 当初の鉄道技研による仮説の「Σ(総重量×速度)」による試算では
  1. 特急B1 ={(40/4)/(40/4)}1×4×12×{110/110}1=48
  2. 0系B2 ={(60/4)/(40/4)}1×4×16×{210/110}1 =183.3=48×3.82
  3. 500系B3 ={(40/4)/(40/4)}1×4×16×{300/110}1 =174.5=48×3.64
  4. 貨物B4 ={(100.8/6)/(40/4)}1×6×1×{110/110}1 +{(60/4)/(40/4)}1×4×21×{110/110}1
    =10.86+126=136.9=48×2.85
となりますから、東海道新幹線での半日運休50回もの若返り工事は開業時想定(鉄道技研仮説)の6倍以上(1181/183.3=6.4倍)の烈しい軌道破壊消耗に拠って軌道メンテナンスが間に合わなくなって行われたというのが真相です。保線本「新幹線保線ものがたり」(P98L2)(深澤義朗編著、山海堂出版'06/02/20刊)に示す実績も通トン3400万トンで1km当たり68万円の予定が実績では400万円掛かったと言うのだから試算値と非常に良く一致しています(400/68=5.88倍≒6.4倍)!その数値は深沢保線本の言うような「国労の非協力のセイ」では決してない物理的なものであることを明示しています。

 試算には軸バネの性能は考慮に入れてませんから、吊り掛け式駆動によるモータ重量の衝撃、バネ上荷重化による機械的コンプライアンス向上は無視されて誤差要因として残りますが、式よりも約8%の安上がりになっていて、こんなに良く一致するとは思いませんでした。

 また、鉄道技研仮説式「Σ(速度×通過トン)」では0系210km/hの軌道破壊量と500系300km/hのそれがほぼ同値を示しますが、軸重4乗速度2乗比例式では何と1/2.5に減少することが分かります。43%高速化して線路の損耗を1/2.5に抑えたという画期的な成果です。

 高速貨物の軌道破壊も鉄道技研仮説の3倍以上も烈しく(9.9/2.85=3.47倍)、これでは「アボイダルコスト」の計算が大きく狂って、JR東海が執拗に「EH型電気機関車は機関車2両分、スーパーレールカーゴは4両分払え!」などとJR貨物を目の敵にゴテる数値的根拠になっているのでしょう(w。

 軸重が4乗で効くというのなら、高速貨物が3軸台車に履き替えた場合の線路破壊量は
  • 貨物B5={(100.8/6)/(40/4)}4×6×1×{110/110}2 +{(60/6)/(40/4)}4×6×21×{110/110}2
        =47.8+126=173.8=48×3.62倍=48×9.9/2.73
     メンテナンスの面倒さを考えなければ3軸台車化による2/3輪重化で線路破壊は1/2.73に低減されることが分かります。
     線路使用料をΣ(軸重4×速度2)比例方式に改めて軽負荷誘導を図るなど現場的解消策は考えられますが、空荷も多い貨物輸送で実負荷の積算は困難があり、急激な切換は無理で、第3セクター化した整備新幹線の並行在来線とのシームレスの対策としては、国土交通インフラは道路同様に国が面倒をみるのが原則という当然の基本政策に戻って、矛盾の少ない具体策を決める必要があるでしょう。

    2010/04/23 23:30

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