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エアセクション短絡停車から移動・運転再開を経験

 防護無線発報を受けて緊急停止して丁度セクション区間に停車した電車に乗り合わせました。5月3日17時15分頃、中央線快速下り線信濃町駅を過ぎた地点で防護無線受信の警報が鳴り緊急制動を掛けてX.2km標識付近に停車(千駄ヶ谷駅8.6km手前500m付近に思えたのでおそらく8.2km標識手前)、停止までに「防護無線による緊急停車」のアナウンスがあり、車内は停電して非常灯に切り替わり、続いて「停電させて係員が車外を点検する必要のある場所に停止。そのまま出発すると架線や変電所が故障する可能性あり。停電のため照明も冷房も止まっており、換気のため窓を開けて、暫く待って。車外には出ないように。」とあり更に15時17分頃には「新宿駅での人身事故発生で防護無線が発報された」と停止原因がアナウンスされ、必要事項は適切に説明されました。ここのところ続けざまに起こった閉じこめ事故に、必死に対応訓練を重ねたんだと妙に納得(w。緩行が早く運転再開して3本ほど抜かれていきましたが乗客は平静で「初めての経験!」などと興味津々の雰囲気でした。See→停止禁止区間標識2017/08
 某とうほぐ線のように案内で「窓を開けて」と言うべき処を「ドアを開けて」と言い間違えて乗客が線路に出てしまい、架線熔断の自線ばかりか隣接線まで巻き添えに4時間余の運休になった手痛い経験が生かされています。必要な情報を適切に提供することが重要であることを事実をもって示すことになりました。
 アナウンスが女声だったので、もしかしてたった今、女性がマグロ処理をしているのかもしれないと思いました。

 乗り合わせた車両はE233系クハ232で、運転台のモニタースクリーンは、10両編成全体のパンタの上げ下げや、インバータ、SIVなどの状態表示と操作ボタン画面が出されていて、パンタグラフは3基とも赤表示でパン下げ状態であることが分かります。
 運転士の点検作業はモニタ画面以外は両側の窓から身を乗り出して後方を見るだけで、下車しませんでした。車掌は分かりませんが、運転士の左右確認の時間間隔からしておそらく下車してないでしょう。セクションに掛かったパンタグラフがどれかを確認できれば、その上げ下げは運転室から出来るので、下車点検は必要なかったのでしょう。便利になったものです。

 運転士と指令・車掌との遣り取りは全く聞こえないので何故だろうと思い客室との仕切ガラスを良く見ると隅の銘刻が2cm?くらい離れて2重に見えます。2重ガラスです!これまで気付きませんでした。(右端の客室へのドアは1重ガラス)。E231と比べて水平の埋め込み手摺があるのは気付いてたんですが、それはラッシュの混雑に邪魔にならず、かぶりつきにも楽なサ−ビス構造として支持します。でも2重ガラスによる客室との遮音だなんて、後から吠えて邪魔する酔っぱらいがそんなに多いんでしょうかね?と一瞬思ってから思い至ったのは、5年前、必要な業務連絡中に「謝罪放送しろ!」なんて劣位の下らない要求で割り込んで中断させ108名死亡の大惨事の引き金を引いた馬鹿な乗客対策を2006年後半にデビューのE233系設計で早速導入したのだとすれば非常に敏感な措置です。事故時には動転してなかなか完全には出来ないことが多いけれど、乗務員の最優先作業は何を置いても列車防護。個々の乗客に構ってる場合じゃない優先作業が多々あることは乗客にも知らせる必要はあるでしょう。保安要員の乗務員なのか、改札・案内人なのか不明な低賃金狙いの非正規・派遣の乗員というのもあって難点ではありますが、。もっとも手摺については殺人ラッシュの昔はガラス保護のパイプ付きの車両もあり、ATC仕様で壁ばかりになった経過もありましたから、必要なものが改良復活されたということでしょう。
 緩行線運転再開後暫くして、指令と打ち合わせて前側のパンタグラフを1基だけ上げて、モニターに示されるエアー圧の上がりを待って1ユニット駆動で出発、12km/h程度で200m余を走って停止、残る2基のパンタグラフを上げて、暫く待ってからようやく運転再開で、17分程度の停車で運転再開になりました。
 事故現場は新宿駅快速上り8番ホームで、先頭がホーム中央付近で止まっていました。そちらは30〜40分は遅れた模様(∵電光表示)です。(写真は直前にバッテリー上がりで撮影できず残念!スペアと交互に使っていても購入から5年経つとそろそろ交換が必要らしい)

 鉄道の人身事故は、重傷事故で助からない場合が多いのですから、その危険性は繰り返し放送するなどきちんと広報して注意喚起すべきだと思います。今回の防護無線発報も無事だと良いのですが先頭がホーム中程に泊まったまま30分以上動かないというのでは、軽微ではすまなかったでしょう。
 先日深夜にも津田沼止まりの車庫回送車で車掌も駅員も監視していない状況の電車に、先の駅へ行く酔っぱらいが寄り掛かったのを見て、30mほどの距離がありましたが「アブナイよ!離れて!」と叫んで、電車から離れて約2秒後、全く合図無しに出発しました。たとえ回送列車でも乗客の居るホームから出発する場合は発車案内警報と出発監視は要るでしょう。その辺の徹底した「個人責任」主義はかなり乱暴だと思います。

[補足] 勝手参加の5.3憲法集会で思わぬ同僚に出会う <+>

 この日午後、日比谷公会堂とその前の広場で行われた5.3憲法集会と銀座パレードに参加して、東京駅から中央線快速電車でハシゴ帰宅途中の出来事。

JOQR取材風景
JOQR局の取材に応える美形の同僚.私人につき尊顔は晒さず.
取材者が6〜7分間も質問を続けるまとまった話をしました.
'10/05/03 15:41
JOQR取材風景
'10/05/03 15:38
三多摩メーデー
国労闘争団ガンバレ
5.1三多摩メーデー
全労連系にもアピール
(鉄研=鉄道総研/鉄道技研) JOQR取材風景
長時間の録音取材でしたが、この日、JOQRで放送されたのでしょうか?帰館が深夜で不明
【参考】
●高校卒業程度認定試験過去問題リスト:文部科学省
●H17年度 数学問題:(旧大検試験も同レベル〜心持ち高め)
(公式サイトから大検過去問題集が削除されています。
 残せば良いものを!基本的な良い問題だが中高齢向きか?)
 近年小泉、安倍首相たちが強力に推し進め、公明、民主も呼応して「日本を普通の国にする=戦争をやれる国にする」動きが顕著になり、財界側もTOYOTA奥田・CANNON御手洗らの発言に見られるよう、海外出兵自由化、武器輸出自由化と、米のヴェトナム戦争から顕著に見られた、非正規・派遣に追いやられたワーキングプア層の貧困脱出の志願兵化で、若者が自発的に海外での武力制圧に参加させられる流れが明らかになって、毎年左派大結集の5.3憲法集会と銀座パレードが開かれるようになり、憲法改悪手続法が成立した年は銀座通りを10000人パレードが埋めていました。

 今年は自民公明政権崩壊でそんな切迫感も無くなって、屋外第2会場参加者が日比谷公園の時計花壇の柵まで一杯に溢れた最盛時の1/3くらいに減少し、総勢約4500人のパレードになったのですが、実際は現鳩山首相、岡田・前原元党首、枝野など民主党首脳陣の多くは改憲論者ですし、小沢幹事長主張の「国連決議の下の参戦」を掲げて、それに邪魔な内閣法制局の国会答弁を禁止する国会法改正を図っており、改憲投票法も施行直前で、今も生やさしい事態では無いのです。
 ところが、小泉、安倍、麻生の強面から目先がソフトに変わったことで認識に緩みが生じた様です。2日前の井の頭メーデーで会って、湖畔の音楽堂脇で酒盛りしたりの顔見知りのメンバーは全滅です。例年なら個人参加や団体参加で数名は見つけるのですが。

 この手の政治集会は労働組合や政党後援会ルートのお誘いはほとんどなく、昔からずっと個人で勝手参加していましたが、今回は職場の同僚がご主人を連れて参加しているのとバッタリ出会ってビックリ。組合弾圧支配の職場で、御用第2組合から第1組合へ移籍した女性社員で、役員就任などで様々な活動の先頭に立つことはあまりなく、運動面では目立たない方だったのですが、憲法集会第二会場ではJOQR局の取材に堂々と応じてなかなかの貫禄。いきなりマイクを握らされるのは慣れているようです。職場の労働組合が職場集会での全組合員発言方針を貫いて、幹部の話を黙って聞くだけの組合運営にはしなかったことの反映だなぁと思いました。全員集会でも時々発言されてました。そして組合からの強制参加ではなく、全く個人の参加なのだから、自分が勝手参加するだけではなく周りにも声を掛けるべきだったなぁと若干深めに反省。

 その某社では勤続の永い女子を昇格させないために、昇格試験を設定して、文部省の大検(大学入学資格検定試験)準拠の問題の足切りフィルターで中卒と中高齢者を篩い落とす昇格制度構造を採用しましたが、男子などについては裏で上長特別推薦などで足駄を履かせながら、差別対象者には得点そのままで篩い落とす陰湿な差別が行われました。その結果、中高齢者は規則・法規、国語などを含む総得点では満点近い得点で文句なく上位ランクながら、数学得点の足切りで落とされる様になりました。

 少数第一組合系には学生時代は試験慣れして成績上位の組合員が多く、数学は商売道具で一夜漬けも得意(自分の実力や立場に不安があると怖くて少数第1組合には残っていられないのは分民化攻撃下の国労の場合と同じ)。それを講師にして被差別女子対象の昇格試験突破数学特訓講座を組織して難関突破を続出させ、女子差別に固執する会社側の鼻を明かそう!と頑張った結果、若手の一般技術者にも特訓協力者が現れて受験者の1/3ほどが半年〜1年半で合格。支援した側の2/3合格の目算は外れて「敗者復活戦挑戦2回まで」の制限で排除されて、会社側とは痛み分けの雰囲気にはなりましたが、会社が裏で若年層には足駄を履かせて差別扱いしたのに短大新卒標準受験者がバタバタ落ちる中で、中卒就職でずっと組立工として働き高校数学など無縁だった定年近い中高年女子たちの好成績と、数学足切り突破での昇格試験合格は職場の人達から改めて一目も二目も置かれることになりました。上長までが「こんなもの俺にももう解けないよ!」って公言するほどで、ちゃんとした女性差別撤廃争議が起こせたらと大変残念な思いをしました。

 地方工場組合の交渉委員に加わって戴くなど交流の深かった国労某地域本部某地本某地域担当執行委員からは「お宅のような『アカ組合』でも詳しい経営分析をやって会社を攻め闘ってる。民間組合はスゴイ!ウチ(国労)はまだまだ親方日の丸感覚だなぁ!」と「アカ組合」のお墨付きを戴いた我が左派組合の技術系職場の活動家たちは「会社は高卒若年層を昇格させる必要があるから、試験結果公開が保障されれば、それより採用レベルがかなり上の中高年組合員は数学特訓実施で高率で昇格させられる。補習授業は俺たちが手分けして引き受けよう」と思っていて会社提案をシメタ!と感じて承けて来ましたが、肝心の対象者からは逆に烈しい反対の声が上がって吊し上げられる状態で頓挫。
 特訓の裏の取り組みがもう五年早ければ二倍以上の合格者を出せたと思いますが、導入当初はペーパー試験導入につき強烈な反対意見が席巻して全く取り組めず、かなり時季を逸して定年近くなっての受験となりました。それでも昇格すれば基本給で数万円上がり、企業年金支給率も上のランクに変わります。(若くして落とされた層を昇格させるのは正攻法しかなくて大変ですが、ゲリラ戦術でも突破実績も作っておかないと完全に固められ、非正規・派遣で埋められてしまいます)。かなりの冷却期間を経て、分断差別の毒素を承知で実益追及で容認されたものです。
 5.3憲法集会参加のその人(右上写真左、右下写真右)は、組合員グループの数学特訓に参加して女性差別の昇格試験を成績上位で突破した一人でした。
 ―――('10/05/05追記。
     かの「アカ組合の権化:国労」から『アカ組合』と言われる筋合いは無いワイ!プンプン!と爆笑したものでした(ww)
     BGMは国鉄闘争の応援歌→「おれたちのシルクロード」歌詞とコード

2010/05/04 21:30

[補足の補足]目に見える表現を!経営状況説明    <2>

 企業「合理化」と言うのは働く側からみれば多くの場合労働条件切り下げや解雇など大変な不合理を押し付けられるものでありまして、実施に際しての経営状況の説明は、普通の社員にとっては葬式の念仏のようで、会社側からモニョモニョ訳ワカランの経営悪化の説明をされて、時には組合執行部からも似たような説明がされて三途の川を渡る「引導を渡される」不合理宣告儀式を経て強行されるものです。
経営数値
損益分岐点と原価・売上直線
仕切率
本社売上ベースでの収支
    <3>
 いわく「今般の受注減で売り上げがAA円に減って、収支が悪化して月間○○円の赤字となり急激には回復の見込みが立たない。収支分析をすると固定費率CC%、変動費率YY%で○○円の赤字となっている。材料費など変動費は外注さんの協力で下げたが、人件費など固定費がネックになっている。しかし固定費を下げない限り収支の改善はない。そこで〜〜〜〜〜の合理化をしたい。耐えがたきを耐えてどうか呑んでくれ」
 というのが定型パターンでして、会社側が苦渋に満ちた真剣な態度で申し出たとか、全体朝礼で同趣旨の訴えをしたとかで「不況宣伝」として浸透し、労働組合が職場討議として持ち帰っても「合理化」条件緩和闘争として程度の差こそあれ容認されていくのが普通です。
 しかし、会社説明内容の実態を丁寧に書き表して隠された本質を暴露し理解されれば、怒りの世論で粉砕することもあります。
 抽象的な言葉では煙に巻かれやすいので、先の「状況説明」を中学数学力を駆使して理工系式にグラフにしてみましょう。
  1. @縦軸が売り上げや原価などの金額、
  2. A横軸が生産量で、
  3. B縦横軸の交点が原点O(0,0)、
  4. C現生産量XXを縦軸と平行の適切な位置の直線として表記(個数がダメなら売上高換算生産量が扱いやすい)、この直線上にプロットするのは、
    1. a)D.売上高AA、
    2. b)E.原価=(売上高AA+赤字額○○)、
    3. c)F.固定費=(原価×固定比率CC)の値で
  5. G固定費F一定で縦軸まで横線を引きます。(だって生産量に依存しない「固定費」ですから。)
  6. H横線と縦軸の交点から、先のE原価点を通る直線を引きます。
      生産量が上下した場合の総原価はこの直線上にあることになります。
  7. Iさて売り上げ特性としては、原点Oから先のD売上げ高点AAを通る直線を引きます。
      この直線上に生産量−売上げ特性があることになります。
  8. J収支が均衡する位置は売上高と原価が等しくなる生産量の点、すなわち直線Hと直線Iの交点で、  これを「損益分岐点」と呼び、「生産量で月産○×台」とか、生産数量では表しにくい場合には売上高で「損益分岐点月産1億円」などと表します。
 各値の相互関係をみますと、損益分岐点Pを仮原点と考え、そこを原価線Hと売上線Iが通りますからI−Hが損益になる訳で、その比率:「利益変化/売上変化(=限界利益率)」を求めると、直角ΔPRQと直角ΔPROに於いて、その斜辺の高さ比は丁度変動費率、高さの差の比率=利益変動/売上変動は固定費率になることが分かります。変形すれば、
 利益の増減=売上の増減×(1−変動費率)=売上の増減×固定比率
です。たとえば変動費率70%で売上額げが1000万円上下すると損益は300万円上下(=1000万×(1−0.7))することになります。
 ここまでが会社からの説明で、理工系の人でもグラフに現して眺めれば収益構造がかなり良く判ります。固定費率の高い会社は売上げがちょっと増えるか、人件費など固定費を切り詰めれば(≒首切りをすれば)すぐ収益に結びつき黒字転換できると考えます。これに対し変動費率(材料費率)の高い会社は、売上げの増減では収支が改善しにくく、材料費のコストダウンを図るか、売買単価を上げる(下げない)ことが重要になるわけです。

 赤字には様々な要因があり、製品が市場に適合しているかどうかに加えて、無理な投資で高金利:工場など設備投資を長期の借金でとか、当座の運転資金・繋ぎ資金を高利の手形割引などで調達しているとか、力関係で無理な値引き価格を押しつけられていたり、販売網の商社や本社のピンハネが厳しかったり原材料費を吊り上げられていたり、陰では「人的利子」などと揶揄される銀行天下り幹部、親会社からの天下りなどがあり、労働組合破壊・御用化に際しては突然、流通在庫整理とか時価換算とかの莫大な評価損を一括計上するなどして「会社存続の掛かる未曾有のピンチ、非協力な組合は不当!」などと襲ってくる訳です。

 さて、こういう分析を必要とした「合理化」提案について、左派組合執行部は、「本社の仕切値によるピンハネが特に目立った赤字要因であり、分工場の地方進出に当たり、本社よりも低賃金の作業者を得る目的で賃金体系の低い子会社形式にして本社製品を作らせており、また子会社に対しても長期の手形支払いによる手形割引費用(=利息支払い)を生じさせていることから、収支悪化とは云っても本社売上ベースなら収支トントンであり、併存する本社工場に比べて特に悪い経営ではなく、本社のピンハネ赤字で分工場子会社にだけ過酷な「合理化」を強いることは許せない」という見解にまとまりました。本社子会社間の仕切値は当初の60%から、市況により90%まで上げていましたが、本社での100円の売上が子会社売上では90円という本社への利潤吸い上げ構造であることは変わりません。(See→
下側グラフ

絶大だった真相暴露

 以上の見解を組合員に諮ると「異議なし!」と衆議一決、翌朝出勤時に組合員全員参加のビラとして全社員に向け配布したところ、「合理化」案の受け容れ寸前だった多数派御用組合の職場世論が一転、「仕切が60%で本社がボロ儲けしてた金で新製品を開発するんじゃ無かったのか!」などと、それまでは「『合理化』やむを得ず」で意見集約を図っていた職場委員までが、断固反対に転換して纏められなくなってしまいました。左派少数組合事務所には他組合なのに「このビラに書いてある通りだ!本社より格段の安月給の上に『合理化』だなんて」とわざわざ言ってきたり「経営分析のやり方を教えて欲しい」と尋ねてきたりしました。全国総合開発計画、N全総が地方の低賃金狙いであることが本社子会社格差として具体的に判ってきて、工業団地造営で土建屋など利権関係者が潤っただけだという基本的不満に「子会社ピンハネ赤字合理化」という指摘ですから怒りに火が着くのは当然でした。

 松下政経塾を作って政界に新右派の潮流を輩出している松下電器は、実は会社組合の幹部も供給している様で、会社がスカウトして組合幹部4役に就任していた御仁は左派組合の事務所に押しかけて「何も知らない社員に、余所から来て余計な知恵を付けられては甚だ迷惑だ!」と強烈なクレームを付けて行ったんだとか。本社に自主的な労働組合が結成されたことで、会社はあわてて第2組合を作り、子会社には会社主導の労働組合を結成して人材をスカウトして「穏健な組合」に労働者管理をさせていたのですが、組合加入を認めなかった非正社員の首切り合理化容認では抑えられず当事者による解雇撤回組合の結成に至ったものです。本社の組合役員は身内であり、松下電器からスカウトしてきた労務屋組合幹部こそ余所様じゃありませんかて〜の(w。この4役幹部の発言は、会社組合の本質を端的に現すものとして、アンダーグラウンドの社内情報網であっという間に全社に拡がってゆきました。この手のスキャンダル情報は、公式な形で全部オープンにするよりも、口コミのアングラ情報の方が強烈・広範・迅速に拡がることが多いのも面白いところです。充分拡がって共通認識化したところで詳細情報を公開すればより強く印象付けできる訳です。

 組合員の討議に同席していた国労派遣交渉委員氏は、子会社合理化提案で急遽本社組合執行部から応援派遣された役員に「そういう話なら、今夜すぐ帰京して良いですよ。団体交渉で会社が「経営が苦しい」というもんで、仕方ないかなぁと思って組合本部を呼んだんだけど、そんなふざけた話だとは思わなかった。民間組合はお宅のような『アカ組合』でも詳しい経営分析をやって会社を攻め闘ってる。民間はスゴイ!ウチ(国労)はまだまだ親方日の丸感覚だなぁ!」との御託宣だったそうです。「国労の、しかも協会派から『アカ組合』だなんて止めてよね〜」と爆笑だったのですが、その国労分会役員氏は職場の後輩達に「仕事はきちんとやれ!鉄労に移った○○氏の様な真面目な仕事ぶりを見習え!」と指導していて「協会さんで『仕事〜』?」といぶかると「いくら何でも限度がある。好い加減では汽車が走らなくなってしまい、付け込まれて大弾圧を受ける危険が迫っている様に感じる」とのこと。それから数年で国労派遣交渉委員氏の危惧通り国鉄分割民営化に名を借りた国鉄労働運動粉砕攻撃が始まり大打撃を受けることになりました。20万人の大国労に急旋回が間に合わず深刻な結果を招いてしまったのでしょう。遠く離れた今は闘争団として頑張って居られるのか、様々な事情で意に染まぬ転進を余儀なくされたのか、消息は全く判りませんが少なくとも国鉄赤字国労犯人説のデマに乗って真面目な運動を烈しく攻撃したり分裂を煽ったり、自派セクトの温存のみを図って「闘争団の職場復帰を認めるようならストで対決する」とか宣言したコペ転動労のような恥ずべき立場は取らなかったと信じたい。
 写真右上には地域集会に参加した国労本社支部鉄道技研分会の旗が見られますが、現業の多い職場で全労働者から一目も二目も置かれるような特別な職場から中央幹部などを選出するとそれだけで組合への信頼と結集が強まる訳で、なぜ研究職組合員を組合中央に引き抜かなかったのか、運動的にはもったいないことをしていると思いました。常時でなくても時々参加する特別顧問とか、仕事や安全問題に意見を述べる専門委員だって良いじゃないですか。

扱い次第で労組を殺す危険な「経営分析」    <5>

'10/01/29 鳩山由紀夫首相施政方針演説抜粋

・・・・・による連立内閣として初めての予算を提出するこの国会であるからこそ、あえて、私の政治理念を、国会議員の皆さんと、国民の皆さまに提起することから、この演説を始めたいと、ガンジー廟(びょう)を前に私は決意いたしました。

(人間のための経済、再び)

 経済のグローバル化や情報通信の高度化とともに、私たちの生活は日々便利になり、物質的には驚くほど豊かになりました。一方、一昨年の金融危機で直面したように、私たちが自らつくり出した経済システムを制御できない事態が発生しています。
 経済のしもべとして人間が存在するのではなく、人間の幸福を実現するための経済をつくり上げるのがこの内閣の使命です。
 かつて、日本の企業風土には、社会への貢献を重視する伝統が色濃くありました。働く人々、得意先や取引先、地域との長期的な信頼関係に支えられ、百年以上の歴史を誇る「長寿企業」が約二万社を数えるのは、日本の企業が社会の中の「共同体」として確固たる地位を占めてきたことの証しです。
 今こそ、国際競争を生き抜きつつも、社会的存在として地域社会にも貢献する日本型企業モデルを提案
していかなければなりません。
 ガンジー師の言葉を借りれば、「商業の道徳」を育み、「労働をともなう富」を取り戻すための挑戦です。

2010/01/30土 東京新聞4面

 森、小泉、安倍、福田、麻生と毎年の総理大臣施政方針演説内容が報じられていますが、どれも愚にも付かない下らない演説でいつも読み捨てなんですが、今年年頭の鳩山演説だけは米国流企業利益優先に異を唱えて本来追求すべき価値の存在を指摘し実現を求めると宣言した画期のものであり、その具体的展開としてはメロメロでどうしようもないけれど、総論としては世の中に確定させるべき原則を含んでいて、その立場から各論の誤りを追及是正できる足掛かりとして極めて珍しくスクラップしていました。
 かっては「生業」として、会社も社員も下請け、納入先も客先もそこそこ生きていける経営が行われていたのですが、国際標準の名の下に強行される、大企業の利潤追求唯一主義、弱者切り捨て主義は目に余るものがあり、特に日本でワーキングプアの急激な増殖・解雇即ホームレス化となって現れており、資本側の劣化が著しい中、保守系の鳩山首相が米国型の利潤追求優先主義を総論とはいえ施政方針演説で批判したことは注目すべきだと思います。
 労働組合など運動側が「労働者からみた経営分析」に手を染めるときに、絶対に忘れてはならない基本は、一般の経営分析が安定した資本蓄積を目指すもので、国民・労働者の暮らしと権利を切り捨てようが、徹底した利潤追求を図る強烈な思想性を持った危険な情報分析処理手段だということです。単独企業の最大利潤だけを追求し、社会全体としての経済バランスなど全く顧みない偏った指標である各種経営数値を挙げるだけで首切り合理化を迫ったりする生のままの「経営分析」が、労働組合の方針の軸になることなど有り得ないのですが、大方の御用組合幹部にはそういう頭が全く働きません。
 その上、不確定要素のあるものは悪条件の側を採用して収益を少なく計上する「企業会計原則」が適用されて資本蓄積を保障してきました。決算上は赤字企業なのに実質は資本蓄積されていることも多々あります。今、3大メガバンクが10年以上税金ゼロというのも優遇税制と決算法のなせる現象です。
 また、製造業・装置産業の資産は簿価で計上するという日本方式の決算は生産を継続する限りの生産財価値評価として合理性があり、国際標準との触れ込みの時価会計などハゲタカ博徒向けの鉄火場評価なのですがこれは短期中間決算公表とともにアメリカ金融資本の圧力に簡単に譲歩してしまいました。これは、実業企業の正常な発展よりも目先の利を追う国際的博徒を優遇する愚挙ではあり、資本蓄積を促進して企業を強固にする立場とは違います。竹中・小泉らが推進した博徒が世界を仕切るような「国際標準」の異常事態は糺されるべきです。
 自動車の大量生産方式確立に成功したヘンリーフォードはその工場で、「やがてはここで働いている人達が自動車を買えるようにしなければならない」と言い、本当に実現させました。消費者が存在しなければ大量生産は成り立たないので消費購買力を拡げる実に妥当な方針でした。ところが単純な「経営分析」では給料を安くして利潤を増やすという誤った結論を導き出して、消費購買力を殺いで経済発展を阻害し不況を深刻にします。大企業優遇ばかりで、国民は若年者の過半数を非正規労働者にしてワーキングプアだらけにした自民公明政権竹中・小泉・安倍等の新自由主義政策などは近視眼的な「経営分析」の単純適用で愚の愚というほかありません。
 今年1月の鳩山由紀夫首相所信表明演説の総論部に単純な利潤追求主義に異を唱える問題提起があり「社会的存在として地域社会にも貢献する日本型企業モデルを提案」などとしていて、念仏としてはかなりマトモで、その具体化を迫る水戸黄門の印籠として右カコミ記事の通りスクラップしました。しかしながら民主政権も具体策では財界要求に押されてメロメロでこの大企業優先・国民犠牲政策から抜け出せないのは大変困ったモノです。

 その辺をきちんと意識せず平板に経営分析を学ぶと、売上利益率が×%ないと倒産寸前だから様々な要求を我慢しろ!という形で様々の経営指標遵守を優先させて労働組合自殺の落とし穴に嵌って会社の手先として取り込まれてゆきます。個々の利潤のみを追求して後は野となれ山となれという新自由主義のツールなのです。その利潤追求第1主義を排除して労働者に資する情報を抽出する経営分析というのはなかなか難しく、それを手掛けた活動家はかなりの割合で矛盾を起こして職場から去ったり、会社側に取り込まれていたりと、大変厄介なものです。特に「みんなで揃って活動」型の人ですと、分析の結論は皆の「常識」という思い込みに反することが多々あり、企業側からの経営分析とも違う、いわば「独自研究」を説明しきることが求められて乗り越えられず、「常識」に埋没して調和を保つか、苦心して学んだ高邁な理論を受け付けない無学無知の輩と決別するかに追い込まれて耐えられず崩壊するのではないかと感じています。幼少から常に「常識」の先を行って常に孤立しているタイプだとその程度の見解の相違で崩れることは無いようですが、長期スパンで構えて、そのうち真実が理解されると自説に自信を持って構えることが必要なのでしょう。他からは少々浮いて孤独に慣れた若干イヤなヤツ型の組合員じゃないと経営分析の強烈な思想性の罠に嵌って転向してしまうのでしょうか?「学習運動」も同様の傾向がみられ、個人的取り組みでは崩れやすく、集団では逆にカルト化して一般組合員を低くみて暴走とか、集団で吊し上げて退職に追い込むなどはこの類の附和随行集団心理の愚挙なのかも知れません。

 前出「ピンハネ赤字『合理化』」の粉砕で「過激派組合」の経営分析に出し抜かれた形の本社御用第2組合は、経営分析の本家はこちらとばかりにそのビラに毎度生のままの経営分析数値の解説を並べて「詳しく知っている」ことをアピール。若手活動家で定期的な経営分析の学習会まで組織して分析の本家を強調しました。我が左派系組合は学習会なんて必要なワンポイントでしか出来ませんから、ま、御用組合側の組織力は大したモンです。しかしながらその標準目安値や限界値を自社に適用すると、企業形態の違いから要求を出す余地のないアブナイ会社となってしまい、あまりに極端すぎて要求を決めたりの組合運動には全く役立ちませんでした。(でも、そこそこの値になる経営で適用されると要求を不当に抑制するツールになりえます)。それでも「活動家が組合のために真剣に学んだ努力は認めろ!活動に参加しない者に批判の権利はない!」と職場世論の押さえ込みに使いました。どこかの国鉄JRでも聞こえていた科白の様な気もします。頼んだわけでもないのに、見当外れではた迷惑な「努力」はしないで欲しいもの。

山口孝明大教授「国鉄経営分析」は優れた学習教材

 労働者の立場からの国鉄JRの経営分析は明治大学商学部山口孝教授が国鉄分割民営化法成立前からずっと公表しています。 法のタテマエに反して国が資金を手当てせず、高利の借金で設備投資させ、赤字線を建設しては背負わせたことにより生じた支払利息累計と国鉄の累積赤字額27兆円がほぼ一致することを示して、銀行資本と土建屋と利権を貪る政治家たちが国鉄を食い物にし、また天下り企業への高価格発注の結果であり、労働者側にはほとんど責任が無いことを繰り返し示していました。
 しかしなぜかこの起死回生の重要情報が国鉄労働者悪者赤字原因論に対する反論キャンペーンの軸には据えられず、大変不思議に思っていました。世論を反転させるには小泉純一郎首相が行ったナチス・ゲッペルス宣伝相型大衆宣伝のように間違いでもワンフレーズに集約してあらゆる場所で総力を挙げて繰り返して攻撃を1項1項潰すことが必要で、20万組合員が総力を上げて反撃行動する場面なのに、実に切れ味の悪い内部向け記事に埋められて法廷闘争結果待ちで熱を冷まされていた印象があります。それが教宣部長を1047解雇争議否定派に握られて居たなんて、その組合分裂の動きで初めて知らされることになり、そうだったのか!と納得。党首だけは「人活センター反対」などと勝手に踊らせておいて実務派は国労解体分割民営促進で2段ロケット3段ロケットで分裂を仕掛け、実質内容は争議破壊攻撃だけの4党合意で揺さぶり1047争議を止めさせる、鉄砲の弾が後からも飛んでくる大変な争議ではあります。

 前出エピソードで左派組合が仕事でお手のものの函数形解析とともに駆使した「労働者側から考えた経営分析」の源はこの山口孝明大商学部教授でして、組合役員たちが大規模首切り合理化の反対闘争に際して経営分析の相談に伺ったところ、地元に門下生の石田先生を紹介戴き、経営側が何を意図しているかの分析と、その方法の手解きをを受けて運動と裁判闘争に大きく反映させ、短時日で原職復帰解決を実現させたものです。 解雇争議支援で復職優先、解決金も僅少と云うことで謝礼も無しの菓子折程度で済ましているのではないかと思います。
 分析の主なポイントは、決算書の勘定科目の変化を時系列で捉えて、それが急変する個所での各種政策と突き合わせて考えることでした。 組合弾圧を仕掛けるに際して、メインバンクの承認の下に在庫や子会社の整理などあらゆる評価損を最大限に膨らまして一括計上して空前の赤字決算として、「合理化」に非協力な組合退治、御用第2組合育成の号令を発していました。その分析結果は裁判の準備書面と陳述書に反映させるだけでなく、徹底した宣伝で職場世論を形成する運動に反映させて職場復帰解決により裁判は取り下げで判決無しに解決。 裁判関係の膨大な書類は形式的には只の紙屑化しての理想に近い職場復帰勝利解決でした。 裁判に勝っても職場復帰できない解雇争議が多い中で「裁判書類である紙屑」は会社側を追い込む運動強化、勝利解決に珠玉の働きをして散ったことになります。

成果になるかも?おまけ
微妙な端数処理、労働時間ベースは適切か?   <6>

 労働基準法上の残業・休日出勤・深夜勤には+25%等最低割増率が罰則付きで定められています。それがきちんと支払われていないケースが少なくなくて白木屋・モンテローザの様に全く不払いで処罰までされ30億円以上と云われる遡及支払いを命じられる違法企業も珍しくなかったのですが、支払っていても時間ベースが実稼働時間より長く取られていて「違法」になっている場合があります。例えば月間労働時間が170時間なのに、計算上は200時間を採用していると欠勤控除では賃金カット額が減って有利にしていますが、残業・深夜勤では法定割り増し25%等を割って違法なものになります。

 組合本部は、解雇反対組合結成で組合員となって初めて春闘協定を結んだ人達の賃金明細書の束を整理して賃金支払い計算式を確定させていて、どうも微妙に少なく、深夜勤要員として非正社員採用以来の累積で2万円〜8万円の不払いに気付きました。 請求時効の関係もあり顧問弁護士の先生に相談すると「請求権に気付いたときが時効の起算点。公知の賃金請求権の2年とは扱いが違う。 未払い分全部を請求してあとは運動だ。公害裁判なんか時効成立を認めない判決もあるだろ」って勇ましい助言で、満額要求するのは良いとして組合結成して最初の春闘を闘って集約したばかりなのにまた運動だなんて、こちらから仕掛ける馬力は到底なさそうで、組合員の多くは農作業の空き時間に交替勤務募集に応じた農政連(=自民党支持組織)加盟者ですから無茶を言ったら「永久闘争」に引きずり込もうとする極左過激派扱いされかねません。 始業の1時間前に組合員が出揃ってビラ配布するような燃えに燃えてる時期ならまだ可能性がありますが、気付いたのが闘争集約後では時期を失しています。 取り敢えず公開のビラは避けて事務折衝を通じて不足分を会社に指摘すると、「今後はチャンとする。過去分は時効の2年分を調査するが支払いは勘弁して」との回答。 直近2年間は不況で深夜勤はありませんから支払われても3千円〜8千円に値切られてしまいますが「少額だから裁判ではペイ出来ず、裁判で求められる個人単位での提訴は難しく、現実に支払われることの方が重要」という現地支部執行部の判断で、労働省の行政解釈を盾に追及して、全員運動を経ない『ボス交渉』ではありますが「賃金請求時効を適用し2年間遡及支払い、会社が深夜・残業割り増し賃金の不足分に気が付いて未払い分を支払う」計算訂正扱いで処理し「ビラには出さない」ことになりました。 それなら子会社労務の判断で本社に黙って実施できますから。会社が実施した省略算の関係で不足分の時間単価が意図せず5割近く増えて、時効損失を心持ち穴埋め。

 子会社労務課はよせばいいのに会社組合幹部を呼んで不足分の支払いを通告。 会社組合幹部は不足分支払いの説明する会社側に真相暴露を迫り「アカ組合に舐めた真似をされた。うちの会社は気が付いたからって自分から払うようなヤワな会社じゃないっ!ふざけるなっ!」と会社に文句を言い、左派少数組合事務所にエライ勢いで青筋を立てて抗議に現れたのだとか。 そこで「どうしてもと言うのなら経緯を書いた訂正ビラを出すのはやっても良いけど、賃金交渉妥結時に各組合員にいくら払われるか1円単位で確認計算をするモンでしょ。 こちらはそこで試算数字が合わなくて原因解明したんで、お宅さんじゃ毎年賃上げやボーナスで妥結しても調査部や書記長4役が確認計算もしないで放っといたんですか?そちらに謝る筋合いは全くないけど、「今までは個人毎の妥結額の試算もせず妥結のハンコを押してた」って朝の全体ビラで説明しても良いですよ」と応じたところ急に大人しくなって黙って帰って行ったとか。 居合わせた組合員たちは笑い転げたのなんのって。 組合員には内部資料を作って渡して直接詳細に説明しますし不足分の現金が支給されますから、こういう面白い話は全体ビラなど出さなくてもあっという間に全社1000人弱に拡がり「御用組合じゃダメだねぇ」という話になります。内部資料には謄写版で2色印刷にして表紙に赤色で「□秘」とか印刷してるとアベコベに益々拡がるものです。組合員にしたって本心では自分たちの交渉成果を知らせたいのですから「これは絶対ナイショだよ」とか言って会社組合員にも見せて□秘内部文書の管理も甘くなろうというモノ。 正社員だけだった会社組合にも説明したということは、正社員にも残業・深夜割り増し不足分が支払われたのでしょう。 資料を皆に読んで貰うために、朱刷りを入れるとか、顧問法律事務所とそこの弁護士全員12名連名の「鑑定書」にするとか、これはという「内部文書」には朱書きで□秘と印刷するとか、気を利かせた組合員が全員集会で「質問」してビラには出せない真相を説明させるとか、全労働者での情報共有に工夫を重ねたものでした。 けしてサクラじゃありません。重大関心事の未報告事項の報告を求めるのは当然ですから質問対応は会社側も事前に認めてのことであります。
 この残業・深夜割り増し不足の件は本部組合では組合結成前の「親睦団体(=法定の社員代表に仕立て、労基法32条で禁止されている残業を36条協定で合法化するなど会社を助ける御用団体)」時代に某設計技術職場が発見して親睦団体として是正要求したものの、過去分を丸々踏み倒された忌々しい経験があって、解雇反対新組合員の賃金計算式点検整理時に注目していてすぐ発見したものだったとか。

 それらが漏れ伝わるにつれて会社組合の組合員からの相談も寄せられるようになり「交替勤務者の年間の労働時間分布が前半に偏って余分に働いているのに日勤に切換られて只取りされた」と会社組合に訴えると、全く交渉もせず「制度上の問題だから我慢しろ」と抑え込んでいたのを、「年間労働時間の比例配分方式で交替勤務と日勤を比較すると切換時点で30時間余だけ余分に働いているから、その分の賃金を払え」とまとめて会社の事務レベルで支払わせて解決。 割り増し分の請求は法内残業かどうかとややこしくなって全体を取りはぐれる危険も増えるので最初から放棄です。左派少数組合によるその問題の解決は、交渉もせず妨害していた会社組合への不信感となって拡がって行きました。 当人が「うちの組合に言ってもダメだったけど、左派組合に相談したら解決した」と触れ歩くのを誰も止めようがない訳です。

 賃金明細書で桁数仕切の青細線枠が老眼のため読めず休暇や欠勤が10倍に読み取れる、半日休暇なのに「5」は何故だ!というクレームも上がってきて、本社電算室の組合員システムエンジニアに相談。 すぐ担当部長と打ち合わせてくれて「それまでは電算処理を旗印に現場の抵抗を抑え事務合理化を進めてきたが、今後分散処理では各現場職場、各人が操作する方向が追求されて、ハンドリングと見易さは考慮しなければならなくなる」という見通しの下に受け入れを決めて、子会社総務から変更申請が出れば全社の書式で小数点を加えることになり、子会社総務に表記の改善を申し入れると即答でOKしました。 ところが、子会社電算室の担当が会社組合の重鎮で左派組合の改善要請であることにへそを曲げたらしく「全員に説明すれば足りる」と断固変更申請拒否。 「電算室は本来サポート役で、会社に指示命令する役じゃない。労使交渉の決定だから拒否せず尊重して欲しい。一部の人に読みにくいのを変えるのも電算室の仕事」とか、子会社総務に幾つかの論拠を提供(どっちが御用組合だかw)、本社電算室を通じても説得して貰って10日前後も掛かって申請して貰いました。本社電算室の実務はすぐに走っていましたが、申請書がないと余計な作業扱いになってしまうので困るのだそうです。

 賃金計算は大型コンピュータで行われていて、そこでは有効数字桁数は固定ではなくパラメター毎に総てユーザーが設定するシステムを採用していたため、欠勤率、スト率などの切り捨て誤差が、支払額で最大10円程度は出てきました。 電卓計算とは一致しない誤差原因はそうして見当が付きましたから労務課の事務局に計算途中の中間数値とその有効数字を尋ねると、支給額の有効桁数が6桁に対し、1−欠勤・スト控除率:稼働率の有効桁数が4〜5桁で、無遅刻無欠勤無ストの人だと誤差が発生しないことが判り、その通りに中間切り捨て計算しますと1円単位で計算が合います。
 その式から逆算すれば、欠勤日数、スト時間、考課査定が推定できることから、組合員個々には支給推定値を知らせ、会社全体向けには共点図表をビラにして配り組合事務所にプログラム電卓を置いて組合員・第2組合員を問わず欠勤スト時分と考課査定を算出できるようにしていました。 また、有効桁数nを指定するユーザー定義函数 INT(X,n) を書いた賃金計算マニュアルを職場組合員に配って、そこがまた賃金計算の核になります。 計算結果を基に上司に査定理由をきちんと情報開示・説明させて、違法査定が確定すると裏で不足分を穴埋めさせたり、中には役職左遷のきっかけになった例もごく少数ですが出てきて恣意的査定に一定の縛りを掛けていましたが、会社組合の方はずっと放置です。
 ある個人のボーナス支給額を分析すると、査定による減額には合致せず、欠勤日数が10倍と出てきました。その推定計算書を労務課に持ち込むと、事務手続きのミスで、欠勤が10倍にカウントされる「欠勤届不提出届け」が上司からではなく当の本人から出たことになっていて、制度上有り得ないミスを見落としたとして欠勤届に訂正されて控除しすぎた9日分が追加支給されたこともありました。 第2組合も世情と職場世論に煽られてストをしていましたからスト参加者には当然切り捨て誤差が発生していました。 そうすると毎度組合員各自当ての予想額通知を見続けていた会社組合員たちは「ウチの幹部は威張ってばかりでホントは馬鹿ばっかりだからねぇ」などと言い合い御用批判が拡がってゆきました。

 最近の派遣切り多発に際して、全労連系地域組合が当該工場門前でビラ・マイク宣伝だけではなく解雇反対要求の闘い方の要点を述べたDVDを配布していますが、DVD大量焼き増し装置を作って大幅コストダウンを図り門前配布可能にしたのは、会社べったりで派遣廃止に抵抗する連合傘下組合の技術系執行委員で、個人として闘う全労連系に加担して実現させたとのアングラ情報。 そのDVD大量書き込み装置数セットが買い上げられ、DVDコピー業者の請負単価を引き下げさせて以後部内向けVTR資料がDVDに切り替わったのだとか。 特殊な機材を重用していると公安警察が不法侵入だのの無法な因縁を付けて言論機器である機材を差し押さえる危険があり、安価なら業者ルートを残す方が安全なのだとか。 既に公安警察はサウンドデモの逮捕・機材差し押さえなどの弾圧も強行していますし、小林多喜二作「蟹工船」でのストを弾圧する帝国海軍の役回りが今も公安警察です。 労働組合というのは会社のためのものではなく、本来労働者のためのものだからまともな側に加担するのは当然で、派遣法の労働者保護法化を妨害する御用組合というのはホントに困ったものです。

 こうした組合活動レベルでの末端の会社・御用組合員との友好的な接点というのは組合弾圧・差別の打撃を無効化する上でも大変有難いものです。 支給金額はごくわずかでも、自主的な組合への信頼と結集が高まる良い課題でした。会社組合も他人の金だからと横着せずに点検していたら発見できたでしょう。
 理工系など実験に関係する学科や仕事なら計測値の有効桁数と誤差の処理はごく基礎的な常識で、まずは大学入学直後に、実験を始める前に最低限詰め込まれ「誤差を抑えて値を確定させるには最低10回〜20回の独立した実験が必要だ」とか「有効数字は何桁だ!」などと叩き込まれるものですから技術系なら本来良く知っているハズのものですが、新人の赴任前合宿教育とユニオンショップ協定の威圧で養殖第2組合に加入させられた人達は御用組合の活動下支えなど誰もしませんでした。 給料天引きで多額の組合費を払っていながら認識としては「俺は御用組合には関係してない」というので、組合費を年間いくら払って活動を支えてるか給料の明細書を見て計算してみたらどう〜?などと突っ込んでいました。 「御用組合」の場合「組合」というのは一部幹部集団だと認識していて、それへの帰属意識は全くないようです。

 しかしながら、会社組合の組合員との垣根を活動でそれだけ低くしていても、残念ながら自然減を越えての移籍加入はなかなか得られませんでした。 「政党ルートで組織しないからだ」という強烈な説も出ますが、相互に補完はできても若年層の運動離れという全体の流れの解決策には足らないでしょう。 花見とか忘年会新年会ピクニックなど当組合の飲み会には参加する会社組合員は多数生まれたのですが、所詮『人工衛星』に留まりほとんど落ちてはきません。 しかし仕事納めでは毎年会社組合役員も帰宅の役職者も組合事務所に引きずり込んで会費を取った上で出来上がるまで蒸留アルコール漬けにしていたもので「他組合のレクに参加したのは組織破壊行為」などという実に下らない口実で統制処分やリンチなどを強行される余地はありませんでした。 そんな中で当ページ第2節の憲法集会で出会った同僚は、会社組合とのユニオンショップ協定の縛りを乗り越えて移籍を果たした数少ない勇気ある組合員でした。

2010/05/21 21:30

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