スペイン列車事故、制限速度大幅超で走行
(共同)
[2013年7月26日2時11分]
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スペイン北西部ガリシア州サンティアゴ・デ・コンポステラで起きた高速鉄道脱線事故は25日、列車が制限速度を大幅に超えて急カーブに進入したことが判明した。捜査当局は運転士による速度違反が脱線の原因との見方を強めているもようで、ロイター通信によると、運転士を正式に取り調べている。
同国メディアによると、死者は80人に達した。複数の同国メディアは捜査関係者の話として、運転士の1人が、制限速度の2倍以上の時速約190キロで走行していたことを認めたと伝えた。多くの車両は横転して大破した。
ムンド紙電子版などは25日、運転士が昨年、交流サイトで、時速200キロで走行した経験を誇示する書き込みをしていたと伝えた。
捜査当局は、飛行機と同様に運行状況などを記録するブラックボックスを列車から回収し、事故当時の状況の解析を急いでいる。
スペイン国鉄のロドリゲス社長はラジオの取材に「事故を起こした車両は当日の朝に点検を受けたばかりで異常はなかった」と述べ、技術的な問題の可能性を否定した。
ラホイ首相は25日、現場を視察し、「全国民が3日間喪に服す」と発表した。
マドリードの日本大使館には邦人が被害に遭ったとの情報は入っていない。
現場はスペインの高速鉄道路線の中でも運転が難しい急カーブで、制限速度は80キロ。パイス紙は、列車がスピードを出したままカーブを曲がりきれずに壁面に激突、横転する様子を写した監視カメラの映像をウェブサイトで公開した。
脱線した「アルビア」と呼ばれる列車は高速路線と在来線を乗り入れるタイプ。高速路線での最高速度は250キロ、在来線では220キロとされる。脱線現場は高速区間だった。
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スペイン脱線は「運転士に責任」 内相が指摘
2013年 7月 28日 【パリ=共同】
=日本経済新聞35面
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スペイン北西部ガリシア州サンティアゴ・デ・コンポステラで起きた高速鉄道脱線事故で、同国フェルナンデス内相は27日、警察の拘束下にある運転士(52)について「過失致死」の疑いで捜査していると述べ、人為的ミスが主原因との見方を強めていることを明らかにした。
内相は「運転士の責任によるものと考えるに足る証拠がある」と語った。運転士は同日、身柄を病院から警察署に移された。
一方、鉄道関係者らの間では新旧両型の安全確保システムが混在していたことが事故につながったとの見方もある。スペイン運転士組合のフライレ事務局長は「事故発生区間は線路や速度制御に関し、新旧両システムが入り交じり、潜在的な事故のリスクを高めていた」と指摘した。
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スペイン高速鉄道脱線
「運転士は電話中」 司法当局
2013年 7月 31日 【パリ=野村悦芳】
=東京新聞夕刊2面
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スペイン北西部サンティアゴ・デ・コンポステラで起きた高速鉄道脱線事故で、現地司法当局は30日、過失致死の疑いで訴追された列車運転士フランシスコ・ホセ・ガルソン容疑者(52)が事故当時、電話で国鉄職員と会話中だったと発表した。
脱線時の速度が制限時速80km/hを大幅に上回る153km/hだったことも分かった。スペイン主要紙が報じた。
走行時のデータを記録した「ブラックボックス」を分析した結果、ガルソン容疑者は事故の数分前に、国鉄の管制担当者とみられる人物から業務用電話に呼び出しがあったことが分かった。事故当時、地図か書類を見ながら話していたとみられる。
また、80km/h制限の区間で列車の速度は時速192km/hまで上がっており、事故現場のカーブでブレーキを掛けたものの153km/hで脱線したという。
【パリ=共同】日本経済新聞夕刊16面社会面にも同主旨記事
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