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日記
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単管オペアンプ式
  アナログ・コンピュータ試作実験
    1964/01/08 電発部部室@津田沼校舎

 アナログ・コンピュータ=アナログ・シミュレータである。かっては微分方程式を解いて様々な定数での振動状況を調べたりしたのだが、デジタル・コンピュータの急速な発達で、商業製品としては駆逐されてしまった。
See→アナログ計算機とは
 だが、半導体ICのオペアンプでも演算増幅器として使え、簡易に積分器、インバータを構成できて、非線形を含む微分方程式の学習、座標変換の演習には大変適切な教材と言える。(ガラクタを寄せ集めて職場の新人研修に使ったこともある)
 かってはアメリカのヒース社が製作キットとして販売していて、5極3極管6U8単管オペアンプ×9  ×3 で2階の減衰振動解×2までは解ける構成だったが、最低限の試作としては減衰振動解の得られる3アンプで可。6BL8は、日本で多く流通して安価で入手しやすい5極3極管で、松下系(フィリップス系)だったので採用した(推奨品種6BL8=\580. vs 6U8=\900.@1962)。NEC系(GE系)はヒータ電力が大きいのとHKリーク故障が特に多く避けていた。
 待機時に積分コンデンサーを短絡するスイッチとしては「リード・リレー」は知られて居らず、通信リレーは応答が遅く高速型=繰り返し型には採用困難で、「真空管」をスイッチに使うのが手軽だった。リードスイッチの大量流通は後日1970年代に普及の電卓のキーボードに使われてからである。アナコンの実用製品としてはオペアンプの増幅度が高級品で90dB〜110dB程度の性能だったが、単管オペアンプでも66dB前後の増幅度は得られて「繰り返し型=オシロスコープ表示型」とすれば下の写真、右端列のように減衰振動解くらいは表示できた。

 原資料をみるとオシロスコープ撮影アダプターもなく手持ち撮影で、撮影者が映り込んでいる。また、目盛り照明もない目視観測用オシロスコープが使われているが、この頃の製品から全反射式のアクリル板に目盛と照明の付いたオシロ撮影アダプター取付枠を装備するようになった。

[ アナコン解写真 '64/01/08 ]

24
1階(1)
23
1階(5)
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2階(0) 定常振動解
27
1階(2)
29
1階(6)
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2階(1) 減衰振動解(1)
25
1階(3)
ミラー積分器
ミラー積分器
時定数がμ+1倍,最大利得がμ倍になり、積分近似す
入力i出力o、定係数1/CR(下記)
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2階(2) 減衰振動解(2)
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1階(4)
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2階(負性抵抗:発散)
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2階(3) 減衰振動解(3)
anacon1
原資料:(35mmベタ焼き)
op_amp2
6BL8単管式オペアンプ(積分器)回路図
  千葉工高卒業研究発表、設計製作:中村稔(プレゼン、電子音響製造P開発技術。元太田区議&元都議候補&共産党常任委員)、 三田幸一(鉄工業電機技術職)、
   主(電子部品製造開発技術、機器開発)。製作協力:須藤欣一(電子大手P)、川崎博愛(電子大手S)、他同校電発部員各氏



【減衰振動解】
2階の線形微分方程式の解

単振動
[写真0]単振動
減衰振動解1
[写真1]減衰振動解1
減衰振動解2
[写真2]減衰振動解2
減衰振動解3
[写真3]減衰振動解3
負性抵抗
[写真4]発散(負性抵抗)
過制動
[写真5](過制動)
 今にして思えば、数学フリークの中村氏の力が大きく、背景として工高指導要領を無視して「君たち、こっちを知ってた方が良いよ」と手書きプリントを持ち込んでのラプラス変換+帰還制御・自動制御理論の安定判定までの、大学専門課程並の講義・演習が4ヶ月ほど行われて実現できた課題。 工業教科の内容追加に文部省の縛りはなかった様だ。千葉大工学部助手在籍のママ工高に転じた先生だった。 大学では3年次に履修の必修専門内容で、理数系が得意のはずの受講学生のうち約60%が追試験に廻り追試料で学校を潤す超鬼門教科となっていた。地方幹部としての党務も微分方程式を解いて方針を決めていたりして(w。

 学校に残す機器の回路としてはヒース・キットのアナログ・コンピュータに準じた電位クランプ初期化方式は採らず、独自の積分コンデンサー短絡方式で電源周波数マルチバイブレータ駆動の電子スイッチ方式にまとめるなど、卒業研究と県内工高交流発表会=工業教育研究会での公式発表後も改良したことで安定動作となり、一般操作者に使える水準になった。

 数年間は工高文化祭で、製作応援の須藤氏ら電発部の後輩達により動作展示されていたらしいが、その後の学校移転の引っ越しで処分されたのか行方不明となった。 「微分方程式」については、高校のテキストでは応用数学で3ページ、数Uの微分・積分章には記載がなく、専門教科でも手抜きされてしまいがちだが、運動方程式の一般的基本形など実用上大変有用な内容を、CRT画面上に一応の解を出せるまでゴリゴリ詰め込める良い教材なのだが・・・・・・。

6BL8 6U8 spec.

[リンク先]

 2階の線形微分方程式の解である減衰振動解、過制動解、臨界制動解の解説に当たり、その解を図示した方が判りやすいが、函数を直接図示では説得力が薄れるので、アナログコンピュータでの解画面を示そうと、古いアルバムをひっくり返して1枚のべた写真を発見!スキャンしてアプロードした。解写真の引用記事は以下など。レポート本体は何処にあるのだろうか?
減衰振動


Last UpDate=2012/06/24、/10/28追記  原記事:1964/01/08写真

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