[380]

BBS
鉄道解析ごっこ
mailto:
旧
新
Diary INDEX
Geo日記
戻る
LIST
主目次

またやった!エアー・セクション停車で架線熔断!
不合理な標識設置除外&運転士に教育せずが原因!

原因は停車位置ミス=過大電流の火花で断線
 ―京浜東北線事故 時事通信 8月5日(水)18時48分

 JR京浜東北線の横浜―桜木町間で架線が切れて停電し列車が立ち往生した事故で、JR東日本は5日、運転士が停車禁止区間に電車を止めたため、×再発進時に過大な電気が流れ、火花が発生して断線した可能性が高いと発表した。

 同社によると、運転士が停車させたのは、二つの変電所から送られる電流を区分する「エアセクション」という区間。この区間×から発進○に停止すると過大な電流が流れるため、停車が禁止されている。
 列車自動制御装置(ATC)に従えばエアセクション内で止まることはないが、前の電車が桜木町駅に停止しているのを目視で確認した運転士が、ATC作動前にブレーキをかけた。運転士はこの区間にエアセクションがあることを知らず、停車禁止を示す標識などもなかったという。

 同社は再発防止のため、停車禁止を再徹底するとともに、エアセクションの位置を音声で乗務員に知らせるシステムを京浜東北・根岸線に導入する。このシステムはJR東の各線で導入されているが、京浜東北線など3路線は対象外だった。
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150805-00000124-jij-soci

架線切断は×発進時[○変電所間]のショートか
 08月05日 18時07分 NHK首都圏NEWS WEB

 横浜市内のJR京浜東北線で架線が切れ、首都圏の各線で運転見合わせが相次いだトラブルで、JRが原因を調べたところ、本来は停止できない架線のつなぎ目の区間に電車が止まり、×再び発車した際に[○変電所間の]ショートが起きて架線が切れた可能性が高いことがわかりました。

 4日夜、JR京浜東北線の桜木町駅付近で架線が切れて停電し、京浜東北線や東海道線など首都圏のJR各線で運転の見合わせが相次ぎ、35万人あまりに影響が出ました。

 JR東日本が調べたところ架線が切れた現場は「エアセクション」と呼ばれる架線のつなぎ目の区間で、電圧が異なる2本の架線があるためショート×を起こす(○で熔断する)危険性があるとして本来は停止できない区間だったことがわかりました。
しかし、4日夜は電車がエアセクションの中で停止したため、×再び発車した際に架線と車両のパンタグラフの間でショートが起き、その熱で架線が溶けて切れた可能性が高いとみられています。
 4日夜は花火大会による混雑で電車に遅れが出ていたということで、運転士は「前の電車が見えたためブレーキをかけて止まりやすいところで停止させた。運転の制御システムがあるためエアセクションの中で止まる可能性があるとは認識していなかった」と話しているということです。
 JR東日本はエアセクションの中に電車が低速で進入した際に自動的に警告音が流れ注意を促すシステムをこの路線に導入するほか、運転士の教育を徹底するとしています。
    http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20150805/3928331.html

 8月4日夕、京浜東北線で架線熔断事故が発生して復旧に終電車過ぎまで掛かり大混乱となりましたが、その原因が架線のエア・セクションに掛かって停車したためのパンタグラフ・シューでの変電所間短絡による過電流熔断。
 長年、何度も同じトラブルを繰り返してきて、信号停止位置に重畳したエア・セクション設置の禁止、乗務員教育の徹底と表示看板設置、運転支援装置からの音声警告など必要な対策を取ってきたはずですが、今回の事故は、「ATC区間ではエア・セクション内停車は起こらない」という誤った前提から、ATC路線である京浜東北線、山手線、根岸線には、運転士教育も、運転支援警告も、表示看板設置も無かったことで、運転士がセクションとは知らずに停まって熔断事故となったことが分かりました。
 事故発生や防護無線発報での緊急停車はATC、ATSに関わりなく、何処にでも起こるもので、それがたまたまエア・セクションになることは当然考えられるのに、なぜ「ATC区間では起こらない」としたのか?その決定に誰も疑問を持たなかったのか?決定の点検機関はないのか?運転士教育で必ず教わるはずの回避操作がされなかった理由は?そのへんの疑問をJR東日本は詳細調査の上、明確に報告すべきでしょう。ATC区間を理由として対策を除外していなければ起こらないで済んだ管理側の大チョンボ、弛み事故であります。

【 ※右枠記事の補正:2変電所の負荷分担均衡の大電流で熔断 】

 エア・セクションに停止したパンタグラフのシューで2つの変電所が短絡されて、それぞれの負荷に差があると両者の均衡を求めて大電流が流れて発熱し架線が焼き切れるため、そこでの停止が禁止されているもので、右発表記事にある様な当該車両の再発車はほとんど関係ありません。むしろ他の列車の走行電流で熔断するものです。
 片側給電区間で加速する列車が多いとパンタグラフのシューを介して隣の変電所からの分担電流が増えて、限界を超すと過熱して発火・熔断する。今回は、動き出したので切れた架線がパンタグラフに絡んで大変激しく壊れ架線の被害が拡大しました。
 こうした微妙な間違いは、広報周辺に技術に造詣の深い担当者が居ないのかもしれません。

 若干の疑問は、現在の給電システムが「並列き電」といって、エアセクションで区切られた架線の両側から電力を供給していて、変電所には独立に過電流遮断器が置かれているはずですが、その遮断器手前に均圧線があれば、エアセクションをパンタグラフが短絡してもそれほどの大電流は流れないのではないのか?変電所内部側になぜ均圧線を設けないのか?均圧線があっても熔断する大電流なのか?というのが引っかかるのですが、どうなっているのでしょう? 「並列き電方式」はたしか桜木町惨事1951/04/24(昭和26年106名焼死92名重軽傷)を承けて変化率遮断方式と共に導入したはずで、桜木町事故当時とは違い、地絡すれば確実に過電流遮断させて被害の拡大を防ぐもの。大型電気機関車EF200対策で負荷電流の変化率遮断をエアーセクションの両側の給電線の電流の和で動作させるように改めても、基本的な動作は変わらないはず?公開資料は多くないようで、ま、気長に調べてみます。

「対策」の発想間違い!
本質を逃すATS-Sモグラ叩き対策同様!

エアセクション接続図
桜木町架線熔断事故発生箇所は饋電区分所のエアセクションと思われる.
エアセクション表示
エアセクション表示
エアーセクション表示@JR総武線32.53km付近快速下り
閉塞信号32.51kmの直後に設置している
(これとは別にセクション停止禁止看板15連対応設置済み
エアセクション&信号
信号機より後ろ側にエアーセクション設置@幕張駅先快速下り線32.5km標識付近
 前回の架線熔断事故は、さいたま新都心駅で2007/06、エアー・セクション停止になって発生しましたが、その原因は、信号停止の場所にほぼ重なってセクションが設置されていて停止信号で短絡熔断事故になりました。 停止信号で止まったとたんにパンタグラフを降ろして、セクション短絡しないユニットを確かめて引出操作をして残りのパンタグラフを上げて復旧する行程に約10数分を要しますからこの位置設定に信号停止があればまともに運行できません。

 そこで、設備側は信号停止場所に重なってはセクションを設けない改善を行いました。これはATC路線、ATS路線は全く無関係で当該箇所を点検抽出して改善され、車両の運転補助として停車禁止区間であることを警告する機能が追加されましたし、更に、セクション看板が設置され、運転支援としてTIMSがセクション停止禁止を警告するようになり、運転士に対してはエアー・セクション不停止徹底、パン下げで回復操作の周知徹底を行い訓練も実施しました。
 ところが、ATC路線では、×「ATCに従って運転すればセクションには停まらない」×など、まるで根拠にならないシロート並の理由付けで、対応措置が省かれてしまい、セクション看板設置も、運転士への教育訓練もなしに放置されて、今回のセクション短絡架線熔断事故を招いています。表示も教育も無く「知らずにセクションに停車して、」パンタグラフで短絡した架線に大電流が流れて熔断事故となった!という、しごく当然の話なのです。
 フツーに見れば、エアー・セクションについてはATS路線もATC路線も同じ条件で双方に差はありません。「ATC通りに運転すればエアー・セクションには停まらない」という説明は信号停止だけに限られる実に不正確な間違いで、防護無線や突発事故で突然列車を止めるのにATC区間も、ATS区間も全く差はありません。ATS区間だって信号の指示通り目一杯に運転すればセクションには停車しないよう同じに対策しています。ところが根拠の無いATC神話の誤謬:勘違いに乗って、ATC区間でエアー・セクション看板も、乗務員教育も止めてしまった結果の事故でした。

 勘違いの経過として、先のさいたま新都心架線熔断事故が信号停止に重なってエア・セクションを設けたことで必然的に熔断事故を起こしたことから、セクションの信号との重なりが無いか緊急に調べてATC区間には無かったという事実を、勘違いで「ATC区間ではセクション停車は起こらない」と歪曲してしまったのでしょうか?

 大変不思議に思うのですが、こんな基本的な判断間違いに、ホントに関係現場の上司も部下もだれも気づかなかったのでしょうか? エライ人の判断には間違っていてもどんなに下らなくても下々は異を唱えない国鉄・束労流が職場を席巻しているのでしょうか? そして、今回の事故の記者会見場で状況説明しながら、そのおかしさに気付かないのでしょうか? ま、これは記者側が気付いて突っ込んでも良い内容ですが、言葉尻の揚げ足探しに集中して、科学技術的物理的内容にはそれほど集中しては聴いてなかった?
 なぜこんな誤判断が生じて長きに続いてきたのかはきちんと検証して原因究明と対策を行うべきでしょう。根拠無く「過速度転覆は生じない」という誤謬が蔓延って、無対策できて大惨事に到った尼崎事故と同じ誤信のパターンではないですか!
 北陸トンネル火災に際し、「トンネル内では危険だ!」と判断して走り抜けて消火をして火元車両1両全焼の物損被害に留めた1969/12上り特急寝台日本海の殊勲の乗務員達を、理由の正当性を全く検討すること無く運転規則違反で不当処分。
 その処分により無理矢理トンネル内に止めた急行きたぐに火災事故1972/11では30名死亡714名重軽傷の大惨事化となった訳で、まともな検討なしの誤判断の結果が酷すぎませんか?上層のはずの判断担当者の頭がそろって死んでいます。

※ なお、エアーセクションには設置できる条件があり、自由な位置には付けられないかの主張を見受けましたが、絶対にそんなことはありません。 加速区間を避けたくてか、変電所から1km近くも引っ張ってエアーセクションを設けているのが、総武快速線下り幕張駅先。
饋電線
遠隔エアセクションへの饋電線(一本多い)
ここは緩行線駅ホームに並んで快速線の幕張電車区入出庫線と直流変電所があって、本線合流後、花見川を渡って加速が済んだ1km近く先の閉塞信号機の直後、検見川神社の丘付近にエアーセクションを設けて(右写真→)、加速時の大電流のままセクションを通ることの無いよう、また信号停止でエアーセクションに掛からない様にしています。エアーセクションの地点まで給電線が1本多く張られているのが良く見えます。セクションの設置位置はかなり自由度の大きいものです。

2007/06/22 08:前  東北線さいたま新都心駅先  [164].位置不適か?架線熔断事故、エアー・セクションと信号相互位置
2010/05/03 17:15 中央快速線下り信濃町駅駅先  [247].セクション短絡停車から移動・運転再開を経験

情報伝達のマルコフ過程!
曖昧さを残す情報伝達で無に帰す

 曖昧さを含む情報を伝言ゲーム式に次々伝えていくウチに元の情報が失われてどっちだか分からなくなる現象を情報伝達の「マルコフ過程」とか云ったはずですが、今回のATC路線除外指示エラーもこの一環だったのでは?予め情報毀損を念頭に置いた情報伝達法が追求されるべきで、簡単には軍隊式の「復唱」確認ですが、分量の多い技術情報の場合はオリジナルのコピーを添付すべきではないでしょうか?マルコフ過程とは「ある確率法則に従って事象が進行する場合,現時点の状態のみに依存し,過去の履歴には無関係に展開する過程。」を言い、履歴・経過に関係ありませんから伝わる毎に崩れていって無限の遠方では無情報に帰してしまうものです。どこかで「誤り訂正」がされるよう仕掛けるのは必須ではないでしょうか?
ガードレール通達図
脱線防止ガード設置要領図 2000/03/17
運輸省鉄道局事務連絡添付図

 情報が伝わるにつれ酷く歪められた例では、日比谷線中目黒駅衝突事故2000/03/08を承けた事故調査検討会が緊急措置として「半径200R以下の曲線の出口、緩和曲線部に脱線防止ガードを設置すべし」という結論を出しましたが、翌日17日、運輸省鉄道局が全国の鉄道事業者に対して通達した中味では少しニュアンスが変わり、絵付き(右図→)で分かりやすくなったものの「線路に捻れのある緩和曲線部」という強調がなくなってしまい、さらにマスコミ報道では「緩和曲線」が無くなって、「200R以下の曲線全体に脱線防止ガードを付ける」と誤報されてしまい、鉄道事業者は世論の沸騰に押されて誤報訂正すること無く曲線そのものにも脱線防止ガードを付けました。一畑電車ではその運輸省通達を一旦「社内規則」に落としまして、このときに脱線防止ガードを設置する側の指定を落としてしまったことで、脱線防止ガードが9箇所も逆側に付けられ、社内からの誤設置指摘も無視されて、結果として整備ミスによる線路の過剰な狂いから起きた脱線を引き戻せませんでした。通達のコピーを添付すれば説明の絵(右図)があって間違えようがなかったのに、なぜ社内規則制定だけで対応したのでしょうか?See→日記#253-4

 今回のエア・セクション停止禁止問題では、発端が2007/06のさいたま新都心駅閉塞信号に重なってエア・セクションが設置されていて架線熔断事故を起こしたことから、同様条件箇所の抽出調査が指示されて、該当するエア・セクションの移設と注意看板設置などが行われました。 ところがたまたまATC区間には該当箇所が無かったので移設対象にはならなかった。 それが「ATC区間ではセクション内停止は起こらない」と誤って理解されてしまい?必要な運転士教育も注意喚起看板設置も運転支援警告も一切やらないことになって今回の熔断事故に到った!? 書類は起案後、複数の検図、承認を経て制定されて関係機関に回るはずのものなのに、「ATC区間ではセクション停車対策が要らない」という重大な間違いをどの段階でも発見できずに事故に到ったというのが何とも釈然としません。 少なくとも機械系、電気系2先輩の検図を経て、時にベテラン・トレーサーのお姉さんまで参戦して上長(係長、課長=部長)承認で動いていた量産工場の体験とは様相が異なり点検・検図はみなメクラ判だったのか?「合理化」で検図が省略されているのか?と! それでも希に検図漏れは起こるのですが、それは細々の部分で、「当たって組みにくい」と言ったレベルのものが主で、基本事項のエラーは中々起こらないものでした。 工程能力を誤って40億円×2回をドブに棄てた設備投資とか有りましたが、設計開発技術者の多かった戦闘的労働組合は「量産はまだ無理」として断固反対してビラを配り、社長が「企業秘密の暴露でクビだ〜っ!」と喚けば「組合結成弾圧解雇の首無し専従者の首をどうやって切るんだ!一旦首を繋いでから言え!ば〜か!」などと激しく応酬してました。結果は戦闘的労働組合の指摘通り収率を上げられず莫大な累積赤字を残して撤退。 こんな基本的な間違いが各ステージを無風で通ってしまうってとこが中々信じがたいところです。

2015/08/07 01:55

[Page Top↑] 旧
新
雑談
Geo雑談
戻る