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Geo日記
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位置不適か?架線熔断事故
       エアー・セクションと信号相互位置

首都圏JR4線不通:運転士、停止位置ミス
    架線並行区間、切断を招く

 さいたま市のJR宇都宮線大宮−さいたま新都心駅間で22日朝起きた架線切断事故は、運転士の停止位置ミスが原因で起きたことがJR東日本の調べで分かった。架線切断は、2本の架線が並行している「エアーセクション」と呼ばれる所で起きていた。本来の停止位置でないところに電車が止まったため、最後尾のパンタグラフがエアーセクション内にかかり架線との間で火花が出て、架線を焼き溶かしたとみられる。【斎藤正利】

 架線は、線路横にある変電設備から延びるが、電車の進行に合わせ、一つの変電設備から次の変電設備に電源が移る際、一定区間では二つの架線が重なるため、エアーセクション区間が生じる。同区間では事故が起きる可能性があるため、同区間内に電車が止まらないよう標識で示している。

 事故車は大宮変電設備付近を走行中、600メートル前方に電車があったため赤信号になっており、運転士(48)は減速しながら停止した。本来は信号の手前19メートルに立てられている「セクション外停止位置標識」の直前で停止しなければならないのに、本来の停止位置より71メートル手前だったため最後尾のパンタグラフがエアーセクションの区間に入ってしまった。

 エアーセクションの区間は長さ90メートルで、2本の架線はそれぞれの架線によって運行している電車の本数で電圧が異なっている。一定時間停車したため、1本の架線と同じ電圧になったパンタグラフと、もう一本の架線とのわずかなすき間に電圧差による火花が起き、瞬間的に約500度の高熱が発生、架線(銅線で太さ15・3ミリ)を焼き溶かしたらしい。

 運転士は16年10カ月の運転歴を持つベテラン。「停止位置標識があることは知っていたが、通常は赤から黄色に信号がすぐ変わるのに今回は変わらなかった。赤信号に気を取られ、つい手前に停止してしまった」と説明している。

 エアーセクション内に停止し架線を熔断した事故は過去10年で12件起きている。首都圏ではエアーセクションが506カ所あり、表示板は129カ所に設置されている。

◇体調不良47人に

 事故では22日午後1時過ぎまでに全線で運転を再開したが、計162本が運休、通勤、通学客ら18万5000人に影響した。また、体調不良を訴え搬送されるなどした乗客は47人に上った。

毎日新聞 2007年6月23日 東京朝刊


言い間違いでドア開

 エアコンも切れて車内が蒸し暑くなってくると車掌が「喚起換気のためドアを開けてください」と車内放送を流した。知らない客どうしが顔を見合わせて「ドアを開けろ」というアナウスを疑った。どうやら「ドア」と「窓」を間違えたようだ。案の定、混みあった車両では非常用コックを操作してドアが開けられてしまった。
 翌日の新聞を見ると「乗客が勝手に非常用コックを操作してドアを開け線路に下りたために京浜東北線まで止まった」と報道されているが、これは車掌の誤ったアナウスが原因である。
[原資料]=右下注(「2回目訪問」)

 6月22日午前8時前、東北線さいたま新都心駅先で架線切断事故が発生して3複線全部を止め、10時半には復旧工事が完了したが運転再開が13時10分過ぎになった。架線切断の原因は15両編成の電車が停止信号でその90m手前に停車してパンタグラフがエアーセクション中央付近を短絡、過電流が流れて熔断。現場には「セクション外停車票」が信号手前19mに設置されていて、電車はここまで進んで停車すべき処を、運転士が停止信号にのみ気を取られて若干早めの位置に停止して即停電に到った。エアーセクションの長さは約90m。という主旨の報道で、昨年末のスカイライナー事故など従前から各社で繰り返された事故だった。

 ここで問題は「セクション外停車票」が通常は踏んではならない直下地上子位置より近い停止信号手前19mに設置されていることだ。ATS-P区間だから標準で閉塞信号手前30m〜場内信号手前25mに直下地上子が設置され、場内信号では停止信号時に絶対停止コマンドを発しており、電車はそれより手前に停車しなければならない。注意現示・進行現示になると直下地上子の発する情報は次の停止信号までの距離と勾配に変わり上を通過する車上装置情報を更新する。だから19m手前位置のセクション外停車票までは進めないのだ。袴踏み対応処理をしたところで冒進させないためには10m手前の設置が限界だ。

 通常の運転なら信号変化を確認しやすい様、停止信号手前50m付近に停車する。これは運転規則であり運転士の操作を縛るし、ATS-Pのパターン接近警報のベルとランプで即制動操作を行うから適切な距離が残されて停まるのだが、それより前に進むには10km/h以下に減速してからブレーキを緩めて進入する。駅で出発信号が近い場合にはそうした配置が起こり得るが、その場合はホームの停止目標があり停止位置を間違えることはない。駅ではない場所の停止で低速進入操作を求められるような配置は不適当なのだ。それでも直下地上子位置まで進むと場内信号なら25m手前位置で強制の非常制動だし、閉塞信号なら30m手前以後パターン消去不能で50m冒進後フリーパスになるから、その手前に停まるしかない。
 事故現場のエアーセクション位置をもう2径間以上手前にするか、余裕のある区間に移設する必要があるということだ。ATS-P直下地上子設置位置次第では運転士に全く責任がない可能性が強い。饋電−信号−運転相互に各種基準や禁止事項の日常連絡、設計の相互点検はないのだろうか?
 実はエアーセクション熔断事故は大昔の中央快速線でラッシュ時に発生して大規模な輸送障害になっている。それ以降、セクションの位置を見直して熔断発生を抑えたはずなのだが、今回の様な無理なセクションはどうして残ったのだろう?15両編成に増結したときに点検漏れでも起こしたのだろうか?そこは疑問だ。

 この事故の実体験情報では、事故時の車掌の案内が言い間違いをしており「を開けて換気して………」というべきところを「ドアを開けて換気して………」とやってしまい、早いうちから乗客がドアコックを操作してドアを開けたとある。報道の「一部乗客が勝手にドアを開けて線路に降りた」とは違う事態である。
 そのため運転室のドア閉ランプが消灯、乗客の安全確保のため防護無線を発報してまだ動ける隣接線全部を止めることとなり、線路を歩行する乗客数を3倍以上に増やし、ドアを開けたのが乗務員の指示に拠らない行動扱いになって安全確認で運転再開も大幅にずれ込むこととなった。事故線だけ停止なら他線は駅までは走れて、乗客も乗務員の指示下なので若干は混乱も少なかったろう。とっさの言い間違いは仕方なく責められないが、故障はたまに有ることで、案内の雛形は準備しておいて貰いたいものだ。
 (JR西日本とは違い東日本には馬鹿な懲罰的日勤教育はない(大昔にやめた)そうだからこの項を記す)

2007/06/24 06:00
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