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ビルの揺れ エアロビで?
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韓国・ソウル高層ビル振動問題
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揺れの原因はエアロビ
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高層ビルの不可解な揺れの原因がビル自体の固有振動数にエアロビクスの集団的動きの周波数が一致して振動が累積される共振現象であったことが暫定的結論として解明されました。
しかし「建物の構造自体に問題はない」という判断の根拠は報道にはなく、そちらが解明されなければ安全宣言はできません。日本の超高層ビルのかなりの部分がこの共振の問題を未解決のまま抱えていて、試算により危険度の特に大きい地帯とビルも特定されており、大震災前の早急な対策が待たれている状況ですから、斯界の権威の安全レッテルに留まらないもっと突っ込んだ記事が求められるということです。
See→長周期地震動/分布定数共振/波動伝播共振
「共振」というのは、振幅が突然大きくなるのではなく、元となる振動が1波1波積み重なって大きくなり、無限に積み重なって究極は(共振の鋭さを示す)Q倍の振幅になるものです。振動の包絡線で見ると、
A(t)=A0・(1−exp(−t/T))
・・・・・・・T:時定数、t時間、
A0:最終振幅、A(t):瞬時振幅
という形になり、振動体の強度限界を超えたところで損壊が始まり、その分振動のエネルギーが吸収されます。
弁慶の釣り鐘、義経の釣り鐘の説話は物理的には共振現象による振動増倍の話です。どうもストーリーが二通りあるようで、巨大な釣り鐘を弁慶が指一本で押し続けて大きく揺らして人々を驚かせたという話と、弁慶が釣り鐘を揺らそうと力一杯に押してもビクともしなかった釣り鐘を華奢な義経が指一本で押し続けて大きく揺らして弁慶を凹ました話が有るようで、いずれにせよ指一本で動かしたわずかなストロークが累積され振動のQ倍されて大きく揺れたという話です。地震の場合、この最大振幅まで建物が耐えられるかどうかの話ですから、地震の振幅が0.5mでも、それがQ倍されて耐えられるのかどうか、たとえQ=10でも5mに増倍されることが考えられて損壊強度を越えてしまわないか?という懸念です。
電気回路や共鳴装置ではQは100倍を優に超えますが、一般建造物の場合は内部損失が大きく、また振動回数も大きくないためか、損壊してもそれ自体が振動を吸収して累積させず倒壊に至らずに終息する様です。「スリット壁」というのは、その部分が地震の変位で壊れることで、振動エネルギーを吸収して振動の累積を防ぐものです。弾性範囲ですと戻る方向に押したのと同じ力が働きますが、壊れると元に戻る方向には力が働かず一方通行になるからです。
See→※
弁慶の釣り鐘揺らし
See→※
義経・弁慶の釣り鐘揺らし Ctrl-F "釣り鐘"
![]() ステップ1回の振動。 これが自由振動周期に合って繰り返されると振動が大きく増大する |
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1階が地上なので、「原点0フロアー」として位置計算し、仮に2.4捨2.5入で共振階と判断する。 太字は共振の節にほぼ一致するフロアー。 階の中間でも共振することは有り得るが、、。 振幅ではなく応力で考えると共振の節と腹が入れ替わる。 |
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同一事件のソウル発共同通信、日経記事とFNN記事をカコミに並べましたが、どちらが意味ある内容豊富な報道か!とみると、前節の状況推定で引用した情報はほとんどが共同通信ソウル発であり、有用な記事だったことが分かります。それに対しFNN記事からは状況理解を深めるための料理できる情報がないのです。「エアロビクス」と「共振」だけでは状況を推定しようがありません。リンク動画が現場の雰囲気を良く伝えていますが、センセーショナルに煽るだけというサンケイ型記事の酷さがこれほど明確になるとは、・・・・・・・・。『予混合爆発』に『拡散爆発』とか、つい最近も玉落とし発電の疑似永久機関特許(=低効率水力動力特許)に乗ってしまうとか、科学的思考は酷く苦手で縁遠い新聞のようです。
同一ソースの時事通信電を5日遅れで報じたのはあかはた新聞。他に遅れても重要な情報は報じる姿勢は可。新情報は「縦方向振動」。
縦方向駆動力としては総重量1,000kgが同期して飛び上がるとすると、静かに置くだけで静止荷重の2倍以上ですから、ピーク・ピークで3,000kg〜4,000kgの垂直方向駆動力で揺すられたことになりますが、垂直方向振動というのはそのフロアーは激しく揺らせても、上方階にそんなに伝わるのか?各階の床の固有共振周期が揃っていて各床毎に共振しているのではないか、主柱はその各床一斉共振に耐える強度が有るのか?という疑問を生じます。5日遅い報道なのだから、具体的な共振周期は是非報じて欲しかった。
他は共同電と同じ情報で、情報出所を共同電は韓国メディア、時事電は聯合ニュースとしていて発端はどうも同一ソースの模様。FNNは出所表示が無いので独自取材と思われますが、真に必要な情報をほとんど落としてしまう様では、通信社を排した自主取材も意味がありません。(7/26追記)
【参考】
◎長周期地震動/分布定数共振/波動伝播共振
◎定在波の生成
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