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Geo日記
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[100].鹿児島線宗像海老津追突事故4周年

   軽視されてきた安全対策

  今日で鹿児島線宗像海老津事故から4周年、あの事故を機に東海、西日本、九州が実施を渋っていた無閉塞運転廃止を、世論と国会審議で国交省の強い指導を出させてほぼJR東日本並に実施させたが、停止信号での速照を定めた私鉄ATS通達の復活や、分岐器・曲線過速度速照通達は放置され、昨2005年には土佐くろしお鉄道宿毛駅突入福知山線尼崎転覆と惨事が続き、暮れの大トリのように突風対策の弱点を突かれた第2北上川鉄橋南詰惨事となってしまった.

  宗像海老津事故では死者はなかったが重い後遺症で日常生活が満足に送れない被害者を出している模様.1997/08/12東海道線沼津片浜事故対応で全面的に無閉塞運転をやめて閉塞指示運転に切り替えたJR東日本や、山間地以外それに倣ったJR北海道、四国とはあべこべに、事故後も無閉塞運転存続を図ったJR九州、西日本、東海とそれを擁護した国交省事務当局の安全感覚はどうなっているのだろう?事故直後の瀬古由起子衆院議員(その後落選)からの質問通告を受けた扇千景国交相(現参議院議長)の一喝=「今時無線が通じないなんて理由は認めない!」による強力な指導が無かったら未だに運転士単独判断の無閉塞運転が行われていた.

  05/04/25尼崎事故後の菅直人議員質問(05/05/16衆院)で、私鉄ATS通達廃止問題が取り上げられたが「赤信号手前で停止命令を伝えるから安全性に変わりはない」という国交省事務当局の虚偽答弁で押し切られ、更に続けて北側国交相がそのコピペ答弁をやって、事故直後にマスコミに打ち上げた大臣方針「ATS-P換装義務付け」を自ら吹き飛ばしてしまった.指導通達は勢いに流れ、安全限界よりかなり厳しい乗り心地限界での曲線速照設置を義務付けたが、リスク均等・最大効果を考えると(08/08訂正→転覆限界速度の90%通達。多くの事業者が公称制限速度で設置)曲線速照義務付けは安全限界を目途に緩めて、その分を冒進速照にした方が有効だろう.JR北海道と東日本のATS-SN/-Snに-ST速照ボードを加え、少なくとも取りあえずの措置として絶対信号手前にY現示速照を置き、完全目覚まし時計仕様の閉塞信号直下にも即時停止地上子を置いて貰いたいものだ.宿毛駅突入事故後の通達ではJR東日本と北海道に対しては過走防止装置設置を義務付けなかった(尼崎事故後JR北海道が自主的に曲線速照設置を決めた).

 事故発生時の破損度にほぼ直結する冒進速度の運動エネルギー比(≒制動距離比)で表せば、直下地上子がある絶対信号の場合でもATS-Sx=120〜130km/h:私鉄ATS通達=20km/h:ATS-P=0km/h=36〜42:1:0、(停止信号の)冒進距離でいえば同比率の500〜587m:14m:0m(減速度4km/h/sと仮定) という決定的大差だ.更に、一般の閉塞信号には直下地上子はなく全く無防備.これを「安全性では変わらない」という国交省・北側国交相の言い分は国民と国会を愚弄する虚偽答弁というほかない.

2006/02/22 00:30
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