[99].JR西日本の酷さと改善の兆し示す
本ブレーキ故障時、予備ブレーキのATS-SW無効1200両
JR西、11年間営業運転
(原見出=1200両でブレーキ不良 JR西、11年間営業運転)
共同−yahoo:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060220-00000236-kyodo-soci
JR西日本は20日、国鉄時代に造られた車両で通常のブレーキが故障して手動の予備ブレーキに切り替えた場合、速度超過しても列車自動停止装置(ATS)が作動しない不具合が見つかったと発表した。
不具合がある車両は、運転台のある約2700両のうち約1200両に上る。1994年末にブレーキの電気回路を変更した際の設計ミスが原因だが、同社は約11年間も気付かないまま営業運転に使っていた。
車両点検の担当社員が2年前、回路図をチェックしていて設計ミスに気付き上司に報告したが、情報が滞り、対策は取られなかった。
社員は昨年末、尼崎脱線事故を受けて始まった職場の安全ミーティングであらためて報告、会社側は不具合を把握したという。
11年前の改造設計ミスが基本原因で、設計部門の検図は大抵複数でやってるんだろうに何をしていた?!とか、1品生産施工の段階で気付かないのか?!という問題はあるのだが、一生懸命設計してもエラーは残るもので、ブレーキ故障により直通予備ブレーキを使用してATS-SWの支配を受けるという機会はほとんどないが、検図の関門をすり抜けて2年前(=設計ミスから9年後)ミスに気付いて上司に報告したのに放置されたことがJR西日本体質の問題だ.尼崎事故の再点検がされなければ永久に闇か、希な事故で発覚することになる.
しかし反面、今回の尼崎事故で始まった職場からの声を聞く点検体制で再度提起されて採り上げられた訳だから、先の速度制限設定ミス問題(日記90)と同様、点検機能としては正常に働きだしたということだ.JR西日本(&東海)での従前の上意下達型命令管理ではこんな重要なことも見過ごされる体制だったのだ.暫くは叩かれるだけで報われない辛い点検作業の皆さんに、旧弊を処理してまともにしている大事な作業としてエールを送りたい.
マスコミも単純に結果だけでなく、物言わせぬ「日勤教育体制」の落とし子として、発見されたミスが隠蔽放置されてしまう従前のJR西日本の専制支配体制に照準を合わせて報道して貰いたい。ミスが発見されて対策されるのは良いことだろう.
国交省による再点検指示で各社の速度照査地上子にも設定ミスが見つかっているが、JR西日本の94/129エラーというのが2桁違いの断トツだ.他社は個々の設定エラーだが、JR西日本は大多数が高速車の曲線制限速度設定値そのものの解釈エラーの模様だから誤った値に正しく設定したため高率のエラーになったものだろう.
[補足]:尼崎事故調査報告書を読み込むと、設定ミスの原因は、ATS-P地上子設定定数算出者がJR西日本独自の「車種別許容不足カント対応加算項」の存在を知らずにJR東日本と同じ全JR共通設定にして加算分を総て0にしたため、高速車両の制限が低くなったエラーが主で、これは安全側のエラーでしかもJR東日本の設定と同じで危険は無かったが、適用を間違えて高く設定したものも有ったのは問題。
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