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Geo日記
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[161].福知山線脱線
 「日勤教育」事故要因に
 事故調が最終報告へ:運転士に重圧

 福知山線尼崎事故最終報告書の予想される内容について読売が6/10朝刊トップで報道している(下記カコミ)。事故原因について「直前の停車駅でオーバーランした運転士が、車掌と運転指令との無線交信に気を取られてブレーキ操作が遅れたため」、「日勤教育」が異常運転の心理的な要因になったと盛り込まれる見通しだとしている。

 転覆時の運転パターンと交信記録などから判断すれば、無線交信内容に気を取られて減速タイミングを逃したというのは最も説得力あるストーリー(=リンク先項10行目)であったし、中間報告書と今年2月1日意見聴取会での丸尾JR西日本副社長発言と事故調委員長のやり取りからも事実認定の焦点が懲罰的日勤教育の悪影響に絞られていたから流れとしては予想通りの内容といえる。だから、各マスコミはそれをいつどんな切っ掛けで報道するのか選択という状況だったが、読売は「事故調査委員会は………最終報告書を今月下旬にも公表する方針を固めた」ことをトリガーにして新聞休刊日前日の日曜日を選んだ様だ。(他紙報道が追い掛けても休刊日分余分に差がつくから。上九一色村(かみくいっしきむら)土壌にサリン散布生成物が検出されたのを抜いたのもたしか読売だったがその1月1日朝の次の発行日は3日朝刊だった!同じ手だ(w)。

 最終報告がこの内容で出た場合、JR西日本が意見聴取会で強調した「懲罰的日勤教育有用論」と真っ向から対立するものとなるので、同社にどう実行させるのか、最終報告発表だけでは済まない問題が残っている。今もなお事故要因推進擁護の丸尾副社長ら経営陣を入れ替えない限り誤った方針は変わらない。これをどうするのだ?

 また、既に内部では始まっているかもしれないが、民間極左と云われた全金労組JMIUが長期に追求してきたように「業務に必要な技術教育の就業時間内に有給で実施」をJRでももっと強力に追求すべきで、懲罰ではない乗務員のための教育に転換するには教育時の乗務手当などの収入保障は絶対条件だろう。特に、口先では仕事否定のセクトがいくつかあって悪影響を与えていた職場だから、仕事の勉強は隠れてやらざるを得ない職場の常識をひっくり返す大きな取組が求められる。
 一部「左」セクトが「仕事は資本のためのもの」とか云って一般労働者の学習に水を掛け真面目な労働者を馬鹿にしていたから学びたい労働者は彼らから追及されるのがイヤでまるで隠れキリシタンの様な学習を余儀なくされたのだが、実はそれを言って煽る中心リーダーは仕事上そこそこ以上の実力があって、上から4の5の言わせないだけの力を持っていたわけで、乗せられた下っ端の駒ほどイイ面の皮で分割民営時の「新規採用」への不安から雪崩を打って御用組合に走り、自分たちが率先して貶めた古巣国労とその組合員を攻撃して自分の首を守ったのだった。
 対外的には極左暴力殺人集団:中核派として交流を頭から拒否されることの多い千葉動労を見ても、労働組合内部としては軽軌条に木製枕木の波打つ線路で突然の高速運転を図った無理なダイヤ改正に抗して、組合執行部が独自に地点毎の最高運転速度を制定して新ダイヤの10分遅れを定常化し、それを次の改正で正規ダイヤとさせ、木製枕木の軽量軌条もあった房総波打線路の高規格化改良を決定させ、更には全国の高速化改正ダイヤの見直しをさせたことでその組合員のみか今でも一般鉄道労働者に一定の信頼を得ている。当時の動労千葉執行部が仕事を熟知していたということだ。(千葉動労の記録文書では沿線各地点毎の速度指示を出したのが「中野書記長」(=中核派、委員長で退任し顧問)となっているし、国労の保線分会が機関として千葉動労の安全確保闘争支持カンパを寄せたなどとあるが詳細の真偽は確かめるのが難しい。波乗り線路についてはかぶりついて200mm望遠付きOM-1を構えていたら運転士から中央通路に招き入れられて撮影を許されたが「線路が波打ってるのを撮ってくれ。こんな線路で当局の言うようなスピードアップをしたら脱線してしまう!」と実地に見せて貰ったことがある。たしかに線路はネジクリ返って乗り心地も酷いものだった。今ならキャブに呼び入れただけですぐ処分だが当時までは運転士の動労千葉組織率94%とかの威力か、かなりおおらかだった。RP誌記事でも父親機関士に上越線国境電気機関車のキャブに乗せて貰った経験談が載っていてキャブ添乗は普通のことだった)。実績では仕事内容が大いに効いていて少数組合国労組合員への信頼と尊敬の基となって助けているのだが、極左セクトが跳ねた結果の仕事軽視を装わねばならない雰囲気は未だに抜け切れていない様だ。
 千葉動労の争議支援要請オルグが要請先で強調したのが浅草橋駅焼き討ち事件やケーブル切断事件など様々な中核派の暴挙を「組合名ではやってないし、今後も支持しない。我々は労働組合だ」ということだったが、中核派との絶縁宣言、各種暴挙非難にはかたくなに口をつぐんでいた。それでは争議支援を組合機関には掛けられないので「個人的」に支持セクトに繋いでお断りした。千葉動労内で組合運動指向と極左暴力集団中核派指向との軋轢が有るのかもしれないし、千葉動労の労働組合としてのまともな実績を知る全動労が一部共闘容認の立場になるのは理解できるのだが、その実施に当たって極左暴力集団千葉動労とは同席せずの急先鋒:千葉地元組合と千葉動労双方への根回しが足らないのか、千葉動労自身が対中核派で動きが取れないのか?どちらなのだろうか?千葉動労が身から出た錆を始末する声明を出して全動労の協力を求めてオルグに入るのが最強なのだが、やはり国鉄1047名争議の解決より中核セクト拡大の利益を優先して考えるのだろうか?

 加えてもう1点は、自分の職掌以外は知ろうともしない弱点はあの齋藤雅男氏が繰り返し指摘し、そのセクショナリズムを乗り越えて相互協力を図り新幹線立ち上げを成功させてきたことを強調しているが、これは在来線にも適用されるべきことだろう。「レールが危ない」に指摘された損傷回避法に順次取り掛かっているのに、関係箇所にその情報が行かないで内部告発処分などのトラブルを起こすなど、JR東日本でも全社共通情報を流すチャンネルが無いということらしい。[See→日記#140-141]

懲罰的な日勤教育が要因
  事故調が最終報告へ
重圧改善求める   無線交信は制限

 107人が死亡した2005年4月のJR福知山線脱線事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は、JR西日本がミスをした運転士に課す「日勤教育」が異常運転の心理的な要因になったと判断、教育内容の改善などを求める最終報告書を今月下旬にも公表する方針を固めた。直接の事故原因は、直前の停車駅でオーバーランした運転士が、車掌と運転指令との無線交信に気を取られてブレーキ操作が遅れたためと断定。緊急性の低い無線交信の制限や、人的被害を軽減する車両の必要性なども報告書に盛り込まれる見通しだ。

 事故調では、05年9月の中間報告で自動列車停止装置(ATS)の機能向上などを建議したのに続き、今回も鉄道事業者に対する建議を行う方針。同一事故での2度目の建議は異例。

 これまでの調べによると、快速電車の高見隆二郎運転士(死亡)は、伊丹駅で約72メートルオーバーランし、車掌に「まけてくれへんか」と依頼。その後、ミスを報告する車掌と運転指令との無線交信の内容に気を取られてブレーキ操作が大幅に遅れ、事故現場の急カーブに制限速度を約46キロ上回る時速約116キロで進入して脱線した。

 日勤教育は、乗務中にミスをした運転士を対象にした再教育制度。一定期間乗務から外して反省文やリポート作成などを課す内容で、高見運転士は04年のオーバーランで13日間の日勤教育を受けていた。

 事故後、日勤教育の恣意(しい)的な運用は見直されたが、JR西は今年2月、事故調の意見聴取会で、「日勤教育は安全確保のため必要不可欠」などと主張。先月末の最終報告書案に対する意見聴取でも、同様の見解を述べたとされる。

 しかし、事故調は、日勤教育には運転技術の向上よりも精神論的な内容が多く、上司がしっ責したり、ホームに立って別の運転士にあいさつをさせたりするなど懲罰的内容が含まれていた点を重視。高見運転士が、日勤教育について「嫌だ」「(運転士を)降ろされたらどうしよう」などと友人にこぼしていたという証言もあり、今回のミスで再び日勤教育を課されたりするのではないかという、心理的な圧迫が運転中に強く作用したとの見方を強めている。

 一方、事故の引き金になった運行中の無線交信については、運転士が聞き入ると運転の注意力が減退する恐れが高く、運行に直接関係ない無線連絡をやめるなど、何らかの制限を求める方向で調整している。

 また、事故車両は、先頭車両と2両目で多くの犠牲者を出した一方で、生死を分けたケースもあることから、つぶれにくい車両や、とっさの時につかまれる手すりの増設など、被害を軽減できる車両の構造が必要としている。

[[JR福知山線脱線事故]]
 2005年4月25日午前9時18分ごろ、塚口―尼崎間(兵庫県尼崎市)を走行中の宝塚発同志社前行き快速電車(7両編成)がカーブで脱線し、先頭車両と2両目が線路脇のマンションに激突。乗客106人と運転士が死亡、乗客562人(兵庫県警調べ)が重軽傷を負った。

(2007年06月10日 読売新聞オンライン)


2007/06/11 22:00
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P.S.
東京など他紙も6/12朝刊で同内容を追っている。実質はスクープというより報道タイミングの問題で、センセーショナリズムの読売がその選択がうまいのだろう。(読売の報道解禁フライングの可能性もある)