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Geo日記
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[140]. レール破損原因は既に確定済み!
     JR東日本はなぜ対応しない?公表しない?

図2枚出所:新幹線保線ものがたりP213
レール支障
  千葉などで大きな問題になっているシェリング、軋み割れ、折損といったレール破損は実は'72年頃から東海道新幹線で多発し、その対策として「若返り工事」として半日運休を50回近く繰り返し全線に渡り53kgレール(50T)を60kgレールに交換する工事を行ったが、実際はそれでも収まらず、山梨大工学部と鉄道総研の共同研究により'92頃からレール表面を研削して劣化部を取り除く処理を施して発生を抑えており、それに合わせてレール形状も研削を前提に設計していることが分かった.
[学会発表、他論文要旨]

  新幹線のレール折損は現場でテルミット熔接した繋ぎ目からの折損と伝えられていたが、真相は降雨中にテルミット溶接作業を行って焼き均しが不適切になっての折損と、シェリング、軋み割れだったという.

  大規模な「若返り工事」後も軋み割れ、シェリングは多発し、鉄道総研で原因究明が続けられ、'92年から82kmの試験区間を設け1年に1回0.1mmほど劣化層を研削で除去することで従前200〜300件発生していた軋み割れ、シェリングが'95年以降はゼロに近くなっている!
  これだけ明確な実績データを示されたら疲労部研削という対応方法について否定のしようがないだろう.

レール支障発生件数   このように技術的には解決済みで新幹線で10年も実施され「平成11 年度日本材料学会技術賞」という斯界に著名な事項なのに、労使とも「新型軽量車に問題か?」などと見当外れの論議をしているとは、様々に信じがたい!!
  あれだけ騒がれ、「レールが危ない」などと本まで出されて追及されているのに、JR部局相互の原因連絡、指摘はないのか?東海、西からの部内(ではなくなった)連絡や、気づいた専門職からの提起はないのだろうか?その前に直接責任を持つ決定者は何処なのか?対応作業が進んでないとしたらこれは組織として酷すぎだし、具体的対応方針が広報されないとすれば広報機能の麻痺だ.当該保線労働者や組合さえ知らないなんて……….

「材料」(J. Soc. Mat. Sci., Japan), Vol. 49, No. 7, p. 834, July 2000
平成11 年度日本材料学会技術賞受賞
新幹線レールの疲労破壊の解明と寿命延伸
山梨大学工学部 井上 靖雄
鉄道総合技術研究所 柏谷 賢治 佐藤 幸雄

Link=↓
年度別shelling発生

……… この研究の結果,列車の通過によってレール頭頂面極く表層には集合組織が発達し,各結晶粒の結晶面が頭頂面に対しある角度に揃ってくると(約30°)パーライト組織内のセメンタイト板に挟まれたフェライト層に変形(ずれ)が起こり,それが繰り返されて初期き裂が発生することがわかった.また,レール頭頂面に蓄積する疲労層(集合組織の発達層)の発達分布,発達速度も明らかになった.そこでシェリングの発生を許さない作戦として,疲労層を取り除いて新品同様のレールにして寿命の延伸を図る「削正によるレールの寿命延伸大作戦」が1992 年頃より開始された.
 これは巨費を投じて購入した図1に示す自走式のレール削正車を1 年に1 回東京〜新大阪間を走らせることによって,レール頭頂面を0.1mm 程度削正し,疲労層を強制的に取り除いてレール頭頂面を常に新品の状態にするものである.

レール折損事故はもとより,あれほど多発していたシェリングも図2に示すように激減することとなった.



2006/11/16 06:00
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