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安全綱領>システム構成基準!
本末転倒の論議!減速度雪中モード設定の否定

 東急東横線元住吉駅での豪雪中追突事故発生(2014/02/14深夜)を受けて、ATC/ATS(保安装置=安全装置)の想定減速パターンに降雪モードを設けて必要な制動距離、車間距離を確保する提案を繰り返してきましたが、鉄道運航関係を中心に強い反対意見があるようで、ここで論点整理したいと思います。
 典型的な反論が、
●降雪パターンの採用によってダイヤが保てなくなって、通勤客が溢れて危険な事態になりかねない、
●本来の制動力維持が本筋で、不安定な降雪時減速度設定を採用すべきではない、
ですが、これは原因と結果の取り違えと、安全基準と設計性能目標の取り違えで、
降雪により加速度も減速度も低下して、時に極端な減速度低下が発生する条件下で
★激しい降雪により既にダイヤが維持できない状況で、衝突防止を図る列車間隔をどう強制するのか
★設計減速度が1/3〜1/4に低下する客観事実を前提に、必要な車間距離を保安装置(ATS/ATC)で強制するのか、人のカンでの運転か、
という選択判断です。降雪モードへの切換が早すぎると車間距離制限の拡大で輸送力を落としてしまう、遅すぎると追突・衝突事故になりかねない関係から、経験を重ねて最適条件を求めていくのでしょう。
 そして、雪中での減速度設定切換提案は制御自由度の少ない「地上演算式一段制動ATC」に対する緩慢な死刑宣告になるので明記に慎重になっているのかもしれません。

元住吉事故解析 Click↑

元住吉事故解析 Click↑& Click=原図事故調TIS

降雪パターン&通常パターン
(降雪時には赤線が停止限界パターン、
通常パターン:緑線では追突・衝突して走れない)

現行の降雪時対応は  <2>

 現在の降雪の際の対応としては、積雪が一定値を越えたら「耐雪ブレーキ」を投入して、ブレーキシューと車輪踏面間に氷雪が噛まないようにして突然の制動摩擦力低下を防ぐようにして、最高速度を抑えたり、さらに間引き運転して、駅間停止を避けるために駅同士で連絡し合って先の駅が空いてから発車させる、追い抜きのある急行運転は中止するといった対応が通常採られます。

元住吉駅追突事故の状況は    <3>

 東横線元住吉駅追突事故では、耐雪ブレーキは投入されており、0時過ぎの深夜帯で実質間引き状態で、すでに各所で止めきれず過走が多発して居ましたが、最高速度規制は掛けて居らず80km/h制限のママで運行していました。
 先行する各駅停車が追い抜き駅である元住吉駅で30mほど過走してホーム先の過走検知に掛かり、おそらくそれにより進路がホーム側に固定され(=鎖錠が解けず)、後続の急行列車の通過方向の進路が取れなくなった模様で、停止位置修正後退のため輸送司令に連絡。
 輸送指令からの全線一斉(2017/05/12訂正削除)非常停止指示で80km/hで急行運転の後続列車が約600m手前で非常制動を掛けたところ、その減速度が通常の1/3〜1/4に落ちていて止まりきれずに40km/hの速度でホーム停車中の先行各駅停車に追突、全車破損という事故でした。(末尾のTIS記録&減速度参照。)

元住吉事故状況解析    <3.2>

 以上の数値から平均減速度を試算しますと、
  減速定数K=8{=(80^2−40^2)/600}、 ∴減速度=1.11111・・・・・{=8/7.2}[km/h/s]=0.3086[m/s^2]
  正常動作時の標準的値はK=20/0.7=28.57、減速度=3.968[km/h/s]=1.1023[m/s^2] なので、約1/3.6に低下しています。(=ATS-Sx計算の前提式)
 後続急行列車が非常ブレーキを掛けた位置は、過走した先行各駅停車が降雪対応として「早めブレーキ」を掛けた位置より30mほど手前でしたから、ほぼ同じ位置。先行列車は制動力は酷く落ちていたもののポイント制限65km/hクリアで7秒間ほどブレーキ緩解(≒126m進行)後に再度ブレーキ投入したモノの止まりきれずに30m過走し、過走検知(=進路ロック?)。
  この減速度を比較から試算しますと、過走分30m、制動開始位置が30m先でツーペイ、途中の無制動距離が126m、80km/hからの制動距離が674m(=800−126+30−30)ですから、
  減速定数K=80^2/674=9.5、∴減速度=9.5/7.2=1.32[km/h/s]=0.366[m/s^2] となって、
先行列車も追突列車とあまり変わらない大変鈍い減速度だったことが判ります。(右表「加速減速状況」を左クリック2回→)
30km/h以下の低速で利きが良くなっている傾向が見られ、先行各駅停車は常用制動で回生制動有効モードで停止していますから、電制の有無では減速度は変わらなかった!=制動力低下がレールと車輪間の緩やかなスリップ(=クリープ)主因が疑われて、ブレーキシューと車輪踏面間の摩擦力低下だけではなさそう!
 両列車の加速状態をみますと、加速度が平常の半分近くに落ちているのは雪による緩やかな空転、いわゆる「クリープ」が大きく起こっていたのでしょう。この加速度低下の度合いで、降雪パターン切換の判断が出来る可能性があります。 「滑走」であれば線路に痕跡が残るようですが「クリープ」では残らないのかもしれません。 降雪中の減速時に滑走していなくても「クリープ」であれば痕跡は残らないわけで、滑走の痕跡が無いことを以て、制動距離が伸びた原因の総てが「ブレーキ・シューの摩擦力低下」とは言い切れない状況が考えられます。

安全余裕を削いだ「一段制動ATC」に特に影響    <3.3>

 減速度低下が特に問題になるシステムは「一段制動ATC」で、最高速度から想定の減速度に反比例した制動停止距離が必要なので、通常状態なら300m以下で停まれるモノが制動力1/3.5化で1,050mもの停止距離になって、パターン減速度設定が固定のママでは先行列車に追突するリスクが大幅に増えてしまいます。 「一段制動方式」は安全度増加のためではなく、路線の輸送力増強のために、正常動作での無駄部分を徹底して削ぐものですから、前提条件である減速度が保てない条件ではリカバーのしようがなく、トラブルに到ります。実態に沿ったパラメター設定=降雪モード減速度採用は必須です。(右図、降雪中減速パターン図参照→)
 「車上演算方式」であれば、減速度設定を降雪モードに切り替え、その際のハンドリングも緩解自由に改めれば済むことです。「地上演算方式」では、区間が固定でさじ加減の余地がほとんどなく無演算同様で、区間の連結が必要になってくるでしょうが、大変な手間になります。地下鉄は別として、地上線にこの「地上演算一段制動ATC」を採用すべきでは無かったと思います。
 なお、車上演算式の国鉄JRでの元祖たるATS-Pのパターンでも同じことが起こりますが、運用で中間現示速度制限遵守を定めていて、1閉塞区間手前で現示を受けて手動制動を掛けますのでブレーキの効きの悪さは予め運転士に体感されて注意喚起となっており、45km/h〜55km/hで停止パターンに当たるため、降雪で制動距離が105mから増えて380mになって最大280m食い込んでも低速のため「一段制動式」ほどの高リスクにはならず、また30km/h以下の低速時の方がブレーキが効く様(右減速度計算表参照→)なので、なかなか事故にはなりにくい様ですが、不注意な運転士などリスクは確実に残ります。

車上装置の仕様:「ブレーキ緩解自由」化と「見える表示」化が必要    <4>

 運行現場で減速パターン当たりが強く嫌われる理由は、信号の安全=衝突防止重視で、一旦パターンに当たると停止寸前の10km/hに低下するまでブレーキ緩解できない仕様に有ると思います。 JR東海のように速度照査ATSに当たると司令に報告を求めて追及されるとか、明らかにハンドリングに難があり、自動緩解方式か、少なくとも緩解自由の方式に改めることと、ATS-Ps車上装置のような制限速度パターン表示を導入して速度限界が見えるようにして運転支援させれば済むことです。 「緩解自由」はATS-P車上装置の「速度制限」の仕様ですから、それに倣えば良い=エキストラ速度制限で読み込めば良いわけです。  ATS/ATCを現状の運転士不信「運転監視装置」から、安全操作を助ける頼りがい有る味方「運転支援装置」に変える発想の転換が必要でしょう。

得られた降雪追突詳細データを生かすべし    <5>

 これまで、降雪による減速度低下で追突・過走事故が繰り返されていましたが、減速度が1km/h/sになったという「推定」だけで、実測値がありませんでしたが、 元住吉事故の2014/02/14〜/15では、京王など過走を起こした各社にも運行記録計が設置されており、東急も当該列車を含む全列車の詳細な走行記録が得られていて、その整理次第で今後のアクションに大いに参考に出来るはずです。このデータは処理次第で大変な宝の山になるでしょう。

保安装置メーカーのスタンスは発注待ち    <6>

 降雪モードについてのATS機器メーカーの対応は、発注仕様に即応できる体制でいながら、設定パラメターと切換タイミングをどう採るべきかのノーハウは無く、発注者(=鉄道事業者)待ちということのようで、どこが引き金になって実施されるのかという段階にある様です。 保安装置設計側が強くそう思うのは良く分かります。それを使う事業者側にどんな働きかけをすれば良いのでしょう? それが従前のような不幸な事故発生で無いことを強く望みます。

安全綱領の位置付け    <7>

 なお、安全原則と、設計目標、システム構成・分類は別扱いすべきもので、設計特性を満たせない条件が具体的に考えられてトラブルが予想される場合は、回避・軽減措置を採るべしと云うのは労働災害防止の基本方針で、それに勝る基準というのは一般産業界では認められません。
 ところが、鉄道運行業界にはその適用が弱い様で、最高速度で冒進可能のATS-Sxが現役で多数残っていて、国鉄分割民営化(1987/04)と同時に私鉄ATS仕様通達(S42年鉄運第11号)のJR不適用・無効化がされて、西明石ブルトレ大破事故(1984/10)、東中野事故(1988/12)、姫川事故(1988/12)、北殿事故(1989/04)、大沼事故(1994/12)、片浜事故(1997/08)、大月スーパーあずさ事故(1997/10)、宗像海老津事故(2002/02/22)、宿毛事故(2005/03)、尼ヶ崎事故(2005/04) などを経てようやく安全装置である過速度防止・過走防止・冒進抑止ATSの詳細の設置基準が省令として出てきたところで有り、様々の不足は残ったままです。

 工務には一般と同じ労災防止基準が適用されるようになり、慎重な作業に変わり始めていますが、列車運行にはまだまだ過剰品質論が横行し、ほとんど金の掛からない改良でさえ実施拒否のための当たらない「理屈」が横行するのは大変困ります。乗用車は乗員乗客が1〜2名ですが、10連通勤列車なら定員1400人、実乗車3000人で、重要性と負担力が桁違いなので、悲惨な犠牲が出てからでないと改良されない歴史は繰り返さないでほしいものです。

連立不等方程式の解がATS/ATCの制御動作目標    <7.2>

 衝突・過速度転覆を防ぐ保安装置(ATS/ATC)は、限界線以下に抑え込む片効きの自動制御で有り、位置対速度の函数不等式、あるいは連立の不等方程式で、 その境界に達して外に出ようとするのを制動を掛けて防ぐものです。 その限界が物理的安全限界に非常に近いものが「パターン方式」と呼ばれるもので、何らかの原因で諸定数がズレた場合の余裕がほとんど無く、正常動作時には輸送力を最大にしますが、異常時にはトラブルに直結する、両刃の剣の方式です。 通常時に停止距離が300mだったものが、激しい降雪で伸びて3.5倍の1,050mになっているとき、ATS/ATCの制動パターンが仮に400mで固定されていると、その想定限界より先に最大650mも突っ込んで事故になるのは明らかで、「無駄」を奪った余裕の無い方式ほど、現実の特性値:実減速度で物理限界を演算する必要が出てきます。 安全のための無駄=余裕が徹底してそぎ落とされている「最高速度からの一段制動方式」では、安全確保に雪中パターンの採用が必須と言うことです。

降雪モード切替条件は?   <7.3>

 問題は、どういう条件で切り替えれば良いかの知見がまだ無いことで、早すぎると列車間隔を広げすぎて無駄に輸送力低下をきたしてしまう!しかし放置しては雪中過走追突事故を繰り返す、人のカンでは制御しきれない状況を、大幅緩和できる方策が、制動パターン演算での減速度を降雪モード値に切り替えることです。 制御の自由度の非常に少ない「地上演算一段制動方式」は特に問題で、対応策に乏しいことから、元住吉事故後に、降雪時に運転士が減速度低下を感じたら40km/h制限という極端に厳しい値になって、輸送容量を酷く落としてしまいました。 他社は60km/h〜制限でしたから東急が際立って低いのですが、それは地上演算方式一段制動という地下鉄向きのハードを地上線で使ったことに起因するものと思います。 試行錯誤があって収束するのでしょうが、加速度を観測していてたとえば「運転士が減速度低下を感じたら」とか「3割減なら」ATCを降雪パターンに切り替える、といった運用基準が考えられます。現行のカンだけで雪中40km/h制限で運転するよりは根拠有る演算で車間距離確保の速度制限が行われるので、ずっと実用的で安心です。 今後の対応として制御区間を演算で変えられる改造を行うのか、あるいは車上演算パターン方式の新システムに換装するのかの判断を強く求められています。 車上演算方式の新システムへの全面換装がスッキリするので、資金力のある東急ならそうすると思うのですが・・・・・・。

運輸安全委員会の守備範囲は?欠陥改良論議は何処で行われるべきか?    <8>

 そして最後の疑問!運輸安全委員会の事故調査報告書に、なぜ安全余裕を根こそぎ削り取る「一段制動ATC方式」の問題点、特に制御自由度に乏しい「地上演算方式」の問題点が触れられてないのか?機器が正常に動作していて降雪という自然条件で安全範囲を逸脱したものは検討・勧告の対象外なのか?といった疑問を生じます。 一般的には運輸安全委員会鉄道部会が総て引き受けているように思われて期待されている訳で、そこに死角があるのは困ります。 強風転覆も自然条件に依る事故であり調査・勧告対象なのですから雪による特性変化にも触れて貰いたいもの。 どう改良すべきかが審査対象外というのでしたら、利害に捕らわれずそれを検討できるところ:技術委員会などは無いのでしょうか?

橋梁等の共振抑制策は?    <8.2>

 東日本大震災で新幹線では唯一脱線した仙台駅構内の事故調査報告書で「橋梁の共振周波数で地震動が50倍に増幅されて『上芯振動状態』となり踏面が線路から離れて脱線」とあって、共振の問題が指摘されました。
これは超高層ビル当初の制振問題と共通です。 超高層ビルの夜明け、霞が関ビルなど、「柔構造」で共振周波数を下げて関東大震災の地震波形で耐震性の確認をしました。 当時の地震計は長周期振動を記録できませんでしたから、長周期地震動が発見されて対応不足が判りました。 現に大阪WTCビル咲洲庁舎はこの対応が無く東日本大震災の長周期振動を受けて大変な被害となりました。 これら超高層ビルの長周期地震共振問題は、早急な解決を求められていて、油圧ダンパーなどによる制震装置を付加した高層ビルもありますが、まだ決定打がなく、多くは放置されています。

共振の立ち上がり図
脱線個所@仙台
新幹線仙台駅構内脱線個所橋梁:運輸安全委員会
事故調査報告書RA2013-1-1.pdf p47写真3

またもミーハー振り発揮で著者サインをねだる!@鉄道講座聴講
「検証 信楽列車事故」京都新聞 鈴木哲法記者。今度は新刊本
(文系本では著者サインなど貰ったことはないのだが・・・・・w)

 共振というのは、1波1波が次々と積み重ねられて共振の鋭さ次第で振幅が50倍100倍と拡大していくもので、振動の減衰量と供給量が平衡する振幅まで拡大します(右略図→)。電子回路ではLC共振(=コイルとコンデンサーによる共振)で増倍度Q=100倍〜200倍余が中波放送ラジオなど放送・通信系では普通の値で、大型のATS-S地上子の規格ではQ≧170倍、150倍、140倍、小型で≧180、としています(「ATS・ATC」p12表2-1&p26表3-1日本鉄道電気技術協会刊)。新幹線仙台鉄製高架上での脱線でMK共振(=質量とバネ定数による共振)により振幅が50倍というのは、約2秒周期で百数十秒間の振動が加えられて到達したということです。
 その振幅が、途中、構造物の耐力を越えたところで不可逆変形が始まり、さらに損壊に到ります。不可逆変形で振動のエネルギーが熱として吸収されて制震作用になります。地震の継続時間が短いと最大振幅以前に波数が足りずに過ぎて破損前に助かるのですが、東日本大震災は連動地震だったようで強い振動が3分近く続いて共振振幅が大きくなりました。 津波被害の激しさに隠れていますが地震そのものによる倒壊も大変な量で起きているのは強震時間が長かったからでしょう。 一般家屋でのひび割れ破損などは反面、振動吸収の結果でもあり振動増大を押さえた結果でもあります。
 霞が関ビルには「スリット壁」といって、そこが破損することにより振動吸収する構造が組み込まれていて、全損するまでは制震作用があります。これは長周期振動にも制震構造として働きます。
 構造材の一部に「低降伏点鋼」を使って、そこの不可逆変形で振動吸収させて強い共振を防ぐ耐震構造が建物では普及し始めています。
 では、問題の橋梁など構造物の共振問題についてはどうでしょうか? 新幹線脱線現場の仙台駅高架は下を在来線が走っていて(右写真→)振動吸収部を置くべきトラス構造が困難で特に制震が難しそうです。そうかといって剛性を増す耐震構造化も難しい厄介な配線です。
事故調査報告書にはたしかに共振抑制については対応が一切触れられていませんが、(1).希なことで仕方ないと考えて放置、(2).対応策の検討を促したい、のどちらが事故調見解でしょうか? それが事故調査委員会の審査対象外とすると、どこで対応策を検討したら良いのでしょう?

分岐器の逆方向固定は総て必要なのか?    <8.3>

 参宮線六軒事故(1956/10/15)での単線交換ミスの教訓から、橙橙信号設置などの過走防止対応設備の無い交換場への同時進入が禁止されて、後着列車は先着列車が駅に停止するまで場内信号が停止現示となって信号手前で待つことになりましたが、このときなぜか分岐器まで対向の先着列車側進路にされました。この場合、信号機は停止現示でも、分岐器は進行方向のママで良いのではないでしょうか。 先日(2015/05/22)の長崎線肥前竜王駅構内特急お見合い事故でも待機側の分岐を逆側に切り替えていたのでお見合い事故になったわけで、分岐方向がそのままなら対向列車の正面に出ずに同時進入禁止前と同様に交換線には入れました。
 東急東横線元住吉駅追突事故では、先行各駅停車が過走検知に掛かって進路固定されなければ、駅入口の分岐器が通過線に切り替えられて、続行急行電車は通過線に進入で少なくとも出発側合流点までの過走余裕距離が出来るはずです。追突せずに停まれたか、通過できていました。各駅停車が入口通過・ホーム到着後は分岐器の固定(鎖錠)を解いて良かったのでは?
 これらの場合、逆側固定という必然性の無い操作で、却ってトラブルを拡げています。信号だけ止めたら、分岐の向きは元々の同時進入許容と同じで差し支えないはず。どちらが安全かは再検討が必要でしょう。

労災管理官庁:労働省の介入必要    <9>

 私はかって1980年代〜2000年頃まで工場の労働者側安全衛生委員のサポートをしていましたが、労働災害抑止に必要な安全措置を、労災被災者になるかもしれない労働者側が全然受け容れてくれないことが間々あり、たとえば安全を担保するプレスの操作ボタン2個のうち1個をガムテープで留めて、片手が作業補助に使える様にするなど作業能率に追われた不安全作業をしてしまうのを、安全確保の職場世論化して自発的に守るように変える説得作業を続けましたが、それは少数派の横車を監督署の行政指導基準で押し通すかの一見対立関係が意識されて苦労しました。 煙たがられ嫌われかけても継続するのは大変なエネルギーを要する「思想闘争」です。特に労働者側委員は敵対にまでは到らないギリギリに留める必要が有って味方としての手加減が難しいものでした。 法に基づく公的立場である「委員」には発言に説得力のある人物を選び、冴えない私めは裏方サポート役で実態調査・整理・情報宣伝資料作成作業に徹するという適材適所の適用であります(w。
 一般の製造業では高度成長の時期からこの安全対策思想が否応無く継続的に持ち込まれているのですが、鉄道運行業界は(旅客一人当たり輸送距離当たりの)事故発生率の低さもあってか、それが立ち後れていまして、尼ヶ崎事故調報告に不満たらたらのJR西日本は「事故調委員はひよこ」等とうそぶいて世論の厳しい糾弾を受けて、「第三者委員会」を介して対応を改めて、安全綱領「安全基本計画」をさだめ「有りうることは起こること!」という産業界では当然の認識をようやく導入して、表向きには実践が始まったところ(See→日記#185)ですが、肝心の現場にきちんと降りているのでしょうか?列車毎事故率に換算すれば二桁前後は上がる訳で、厳しい世論の風よけ対策の「発表」だけに終わって欲しくないものですし、労災事故並みの安全原則は採用して貰いたいものです。 懲罰的日勤教育での明らかなパワハラ自殺事件である尼ヶ崎電車区H運転士自殺事件に何ら反省・謝罪を表明しないJR西日本が、本気で反省しているようには到底見えないのですが、。
 労災防止に厳しい厚生労働省の労災防止対策部署が、鉄道の運転・運行関係にも噛むべきだと東中野事故(1988/12)辺りからズ〜〜〜っと思ってるのですが、どうも鐵道省時代の縄張り意識による感覚が、国鉄・JR時代になっても未だに抜け切れてないのでしょうか?

2017/03/13 02:55

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TIS記録
事故車両TIS記録@事故調報告書より。  減速度(追記)、両列車ほとんど変わらず!