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京成「赤電」復刻版3300型引退
(改軌工事デビューは3050型)

「赤電」塗色3300引退記事
千葉工業高校/京成第2工場 by「新京成電鉄」p59白土貞夫編著彩流社'12/3/5刊補足
 京成電鉄で「赤電」の復刻3300型1編成が引退したと報じられました。 歴史的な懐かしい塗色です。

 通称「赤電」というのは、オレンジと窓回りがクリームのツートーンカラーの車体にメタルの縁取りをした心持ち藤色がかったライトグレーの帯を両色の境に巻いた華やかな車両で、1959年晩秋に開始した改軌工事が完了した区間から新製の赤電3050型が走り出して改軌を印象付けました。旧塗色である濃淡の緑色ツートーン(青電)で1958年にデビューした旧3000型も出場時から元々改軌準備工事がされていて、追って新塗色に塗り直されて、暫くは3000型以降の新形式車両の標準塗色になりました。後日、どぎつい赤一色の「新赤電」にされて赤電もなくなってしまいましたが、近年無塗装ステンレス車が席巻するようになり、赤電と青電と新赤電の復刻塗装の3300型が1編成づつ走っていました。

 改軌工事というのは、かって都電と同じ軌間1,372mmで開業した京成電鉄が、都営地下鉄1号線と京浜急行に相互乗り入れするに際して京浜急行と同じ標準軌1,435mmに統一したもので、改軌工事区間の境の駅で乗客全員が乗り換える方式で工事をすすめました。

 その最初の工事区間が千葉線の京成千葉−京成幕張間で、改軌と共に新製車3050型=華やかな「赤電」だけが走り始めました。数日後には旧型車両2200/750なども改軌工事をして復帰しましたがそれまでは「赤電」だけが走り強い印象を与えることになりました。
 赤電の主な搬入経路は甲種輸送で国鉄津田沼駅から大栄車両、新京成新津田沼駅(3代目)を経て、千葉工業高校北側の京成第2工場(現4代目新津田沼駅付近)で艤装して新京成藤崎台駅(=2代目新津田沼駅)を経て京成津田沼の車庫・第1工場に送られていました。最初に走った京成千葉への搬入はどうやったのでしょうか?(旧本千葉駅=京成千葉駅からか、千葉線回送か?大栄車両も千葉工業高校も現新津田沼駅設置再開発で移転済みです)
 ただし、翌年末1960年12月の都営地下鉄1号線相互乗り入れ後は運用をそちらに取られて東中山折返しや成田方面の本線を主に走り、ローカル化した千葉線にはあまり廻ってこない車両になりました。相互乗り入れ用に地下鉄難燃規格車として新設計・投入した3000系以降の赤電だったからです。

 この路線には「1号型ATS」と呼ぶ、衝突防止に優れた日本初の速度照査機能付きATSが導入されてやがて全線に拡げられ、私鉄ATS仕様通達(S42鉄運第11号1967年)による速度照査段を増やす小改造を経て、京成系各社と都営1号浅草線、京急線で使われ、物理構造は速度照査のない国鉄ATS-B型酷似ながら、15km/h照査で冒進防御されて事故はなく、つい最近まで現役で使われていました。一方、警報のみのATS-B型は東中野事故1988/12を機に数年内に総て冒進のないATS-Pに換装され廃止されています。

※ 復刻赤電の塗色はクリーム色がオリジナルよりかなり濃いめで若干違和感があったのですが、ラスト「赤電」を報じた赤旗新聞のカラー写真の色がオリジナルに近かったので引用します。印刷職人さんがリアルで見ている人なのかもしれません。記事は「京成改軌でデビューした」車両塗色であることは他紙同様に抜けていまして、これはどうやら京成の発表もの記事で、その配付資料に改軌塗色だったことが抜けていたのでは?改軌工事は1959年後半のことですから発表側もとっくに代替わりして最も印象的な由来を聞いてないのかも知れません。
 記事を貼るときは一応「傾き補正」をして水平を出しているのですが、この記事は本文と罫線の水平が微妙に違いまして、それぞれ別々に水平出しして貼り合わせました。赤旗もコンピュータ版組をしていると思ってたのですが、まだ手作業の貼り込みページが有るのでしょうか?スキャナーの歪みでしょうか?(補足:2013/04/14)
3050公式パンフ
3050公式パンフ(1959年京成電鉄刊)より
See→ 京成3050型、3100型、3000型パンフ(抜粋)


「接写レンズ」利用には合焦点距離表必要か?
度数の逆数が合焦距離!  <2>

【接写レンズ度数と
合焦距離[cm]】

カメラ焦点m備考


0゚
1
1゚
0.5
2゚
11005033
2 503325
3 332520
4 252017
5 201714
 例年より2週間近くも早いサクラ満開に、うちの支配者がD800習作撮影ということで撮りまくって、「花を大きく撮りたい」というので77φCU-4接写レンズの使用を勧めますと、「ピントが合わな〜い!どうなってるのこれ?」というので様子を見に行きますと、被写体が遠すぎます。CU-4というのは合焦点距離25cm〜17cmで、その範囲に被写体を置きませんとピントが合うはずがありません。人間の眼で言えば「4度のド近眼」状態ですから思い切って被写体に寄らなければピントは合いません。樹に咲く花はどう見てもカメラの1m先ですからピンぼけで当たり前です。そこで「ピント調整は固定で良いから、カメラを前後させてピントの合う位置を捜して。」「ズームを伸ばすと大きく撮れる。」として、ようやく撮影できました。

 もしマクロレンズを使っていれば、無限遠∞から最接近点まで連続的にピントを合わせられるので特別の撮影操作が無くて楽なのでしょう。「マクロレンズ」というのは「実体の大きさ近くの像が得られるレンズ(1/2.5以上程度)」ということで最短合焦距離が1/3m程度以下になるものを言います。デジカメ解説本が接写レンズの使用法を具体的には説明しなかった理由も執筆者が撮影表現派と考えれば分かります。マクロかどうかには関係なく、最短合焦距離より近付いて撮影したいときの補助機材が「接写レンズ」です。See→日記#0320\2,620.。こちとら資料写真派は撮りたい接近位置データがあって、そこを合焦範囲にする接写レンズを取り付けるのですから無限遠∞を含む広範な位置調整の必要が無く、非常に安価な接写レンズで足りるということです。
 自分の持つ接写レンズの諸定数くらいは、度数の和の逆数が合焦距離(CU-4→0.25m)として表でも書いてみれば覚えていられるのではないでしょうか?
 [使用例]最短合焦距離1/3[m]にCU-2レンズを装着した場合、主レンズの度数は0〜3ですから、合成度数が2〜5になって、合焦距離は0.5m〜0.2m。この範囲で焦点が合わせられます。数値としては「2度の近眼」です。
【参照】 光学定義:接写レンズ


積極導入部分も有るはず!
 糖質制限療法批判報道
  報道が悪いのか?発表が悪いのか?    <3>

 日本糖尿病学会が、簡易で話題の「糖質制限療法」について「安全性などの科学的な根拠が不足しているとして極端な糖質制限は「現時点では勧められない」」と否定的見解を公表したと一斉に報じられました。

糖質制限は「勧められない」
 日本糖尿病学会が提言 2013/03/19 12:38 日本経済新聞   <C1>

     http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1901V_Z10C13A3CR0000/

 ご飯やパンなどの炭水化物を控えて糖質を制限する糖尿病の食事療法について、日本糖尿病学会は19日までに、「安全性などを担保するエビデンス(科学的な根拠)が不足しており、現時点では勧められない」とする提言をまとめた。

 生活習慣が主な原因となる2型糖尿病では肥満の改善が重要。そのためには「総エネルギー摂取量の制限を最優先とする」としたが、欧米での研究で注目された炭水化物の摂取制限の有効性については賛否が分かれ、今後の調査が必要とした。

 炭水化物の制限で短期的には体重が減っても、その後、血中の悪玉コレステロールが増加したなどとする報告がある。また腎機能障害や、代わりに摂取するたんぱく質や脂質の増加による影響が検証されていないという。

 同学会は「欧米の研究で対象となる肥満度(BMI)は30〜35以上が多く、肥満度の異なる日本人の糖尿病に合った炭水化物の摂取量については、十分な科学的根拠がそろっていない」とした。

 BMIは体格指数とも呼ばれ、体重(キログラム)を身長(メートル)で2回割った数値で、日本では25以上を肥満としている。〔共同〕

糖質制限食、現時点で勧めず…糖尿病学会が提言
(2013/03/19 09:26 読売新聞)   <C2>

     http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130318-OYT1T01575.htm?from=ylist

 主食を控える「糖質制限食(低炭水化物食)」について、日本糖尿病学会(理事長=門脇孝・東大病院長)が初の提言をまとめた。

 安全性などの科学的な根拠が不足しているとして極端な糖質制限は「現時点では勧められない」としたうえで、適正な摂取量については「今後、積極的に調査・研究の対象とすべき課題である」との見解を示した。

 提言は昨年8月に設置した「食事療法に関する委員会」(委員長=宇都宮一典・慈恵医大教授)が、国内外の論文を検証し作成した。

 提言では、糖尿病の食事療法は「総エネルギーの摂取量の制限を最優先とする」と従来の立場を改めて強調。そのうえで、欧米での研究は対象が、極端な肥満を示すBMI(体格指数)30〜35以上のことが多く、肥満度が異なる日本人に合った炭水化物摂取量については科学的根拠がそろっているとは言えないとした。

糖質制限ダイエット、長期は危険?
 死亡率高まる恐れ  2013/01/27 11:59 朝日新聞   <C3>

     http://digital.asahi.com/articles/OSK201301260043.html?ref=reca

【桜井林太郎】ご飯やパンなどの糖質を控える「糖質制限食(ダイエット)」を5年以上続けると、死亡率が高くなるかもしれないとする解析結果を、国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋医長らが26日、米科学誌プロスワンで発表した。死亡率が高まる理由はよく分かっていない。

 糖質制限食は「低炭水化物ダイエット」などとも呼ばれ、短期的には減量や血糖値の改善につながるという報告が出ているが、長く続けても安全かははっきりしていない。能登さんらは昨年9月12日までに発表された糖質制限食に関する492の医学論文から動物実験などを除き、人間での経過を5年以上追跡して死亡率などを調べた海外9論文を分析した。

 対象は、とくに病気がない地域住民や医療スタッフら計約27万人。摂取した総カロリーに占める糖質の割合に応じて10のグループに分けた。

 5〜26年の追跡期間中、計約1万6千人が死亡していたが、糖質摂取量の割合が最も少ないグループの死亡率は最も多いグループの1・31倍で、統計上の明確な差が出た。

 糖質制限食は「肉食中心になりがちで、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中などのリスクが高まる可能性がある」との指摘がある。そこで、心筋梗塞などによる死亡率や発症率との関係を調べたが、はっきりした差はなかった。

 能登さんは「なぜ死亡率が高まるのか、原因の究明が課題だが、糖質制限食の長期的な利点は少ないのではないか。日本人も含めたさらなる検証の必要性がある」と話す。

糖質制限、糖尿病患者には勧めず
 学会、安全性に疑問  2013/03/19 11:02 朝日新聞   <C4>

     http://digital.asahi.com/articles/TKY201303190022.html?ref=comkiji_txt_end

 【森本未紀】ご飯やパンなどの炭水化物のみを極端に制限して減量する「糖質制限食」について、現時点では糖尿病患者に勧められないとする提言を日本糖尿病学会がまとめた。同学会が制限食についての見解を示したのは初めて。

 19日午前の厚生労働省の食事摂取基準に関する検討会で説明された。

 糖質制限食を巡っては、短期的には減量や血糖値の改善につながると考えられている。しかし、長く続けることによる安全性や効果ははっきりせず、国立国際医療研究センター病院などは1月、5年以上続けると死亡率が高まる可能性があるとする論文を発表した。

 このため、日本糖尿病学会は、生活習慣が主な原因となる2型糖尿病の患者の食事療法について検討。全体のエネルギー摂取量を制限しないで、糖質のみ極端に制限することについて「安全性などを担保する証拠が不足」と結論づけた。

 その上で、1日に取るカロリーのうち、炭水化物で全体の50〜60%(1日150グラム以上)を取るのが妥当とした。運動量が多い場合などは、炭水化物の量を増やすことも検討できるという。


 長期的には何等かのリスクが考えられるとしても、緊急に血糖値を下げる必要のある場合には採りうる措置ではないのか?「炭水化物さえ取らなければカロリー制限全くフリー」という極端な伝説は否定して、採用可能範囲を示すのであれば理解できますが、報道のニュアンスではなぜかどれも全面否定に近いもの (右枠内→日経C1読売C2朝日C4)。いくら何でもおかしいと、少し検索しますと、朝日の2013/01/27記事「長期は危険?死亡率高まる恐れ」(→C3)は短期的効果を認めながら5年後の逆転データを示している訳で、それなら納得できます。

 何等かの事情で血糖値が急上昇したら即効性のある「炭水化物制限療法」採用と、それとは矛盾しない総カロリー制限で安全範囲に下げて、長期的には一定量の炭水化物を採り続けることで死亡率の5年後の逆転を防げる可能性が強いでしょう。

 現在、血糖値抑制の経口薬が非常に進歩してインシュリン注射なしでも過ごせる範囲を拡げ、過血糖値累積指標であるHbA1C(ヘモグロビンA1C)値を安全範囲に抑えやすくなっていますが、簡単な基準で管理できる食餌で急性値を抑えられるのなら患者にとっては命を延ばす尚結構な話で、これを全面否定する科学的理由がどこにあるのでしょうか?

 そもそも糖尿病の脅威として語られているのは、高血糖で血管、特に毛細血管が破壊されて、網膜症による失明や、腎症・腎機能低下による透析生活とか、血流不良での壊疽や梗塞が起こることとされていますから、先ずは血糖値そのものを危険のない値に管理することが第一で、次いで体の自律能力回復にインシュリン分泌能力の回復措置とか、分泌されたインシュリンが無効な体質を改めるとか、服薬と食餌制限で足らなければインシュリン注射、症状悪化防止に必要熱量範囲での栄養バランスとかが問題にされるのでしょう。
 そういう「まず血糖値低下」を図り次の手という位置付けであれば、カロリー制限方針中でも、血糖値に直ちに大きく影響する炭水化物を重点的にカットするというのは、真っ先に採られるべき当然の措置でしょう。

 長期に油分と蛋白だけ摂取という極端な「糖質制限療法」を長期に続けたら栄養バランスが油過多に崩れているわけで不健康極まりないでしょう。糖尿病患者は例外で不健康ではないということはまず有り得ませんから長期に炭水化物ゼロなどというのは補償措置なしには療法たり得ません。従って、初期治療、急性治療に限れとか、もっとも打撃の少ない=副作用の生じない「糖質制限」適用法の追求で、「血糖値が下がり過ぎたら炭水化物を摂取せよ!」とか、長期には栄養バランス下のカロリー制限を基本とする、「過カロリーは避けて、栄養バランスに気を付け、炭水化物遮断は急性期に血糖値を正常域に下げる短期措置として可だが、効果や副作用が確認されるまでは、正常値低下後は必要量○○(150g)を守れ」といった整理、などなら判りますが、まるで全面否定の「糖質制限は『勧められない』」という極端な結論は、学会発表がそうなっているのでしょうか?報道で歪められてそうなったのでしょうか?

 「急変は避けよ」というのも、高血糖の危険度との緊急性比較・危険度比較の問題で、血糖値降下と急変とのトレードオフでその程度を医師が管理・助言して欲しいもの。俗に「20歳時体重の+10kg以内に管理」と云われるわけで、これを目指して減量するのなら、まだ10kg分の栄養プールをゆとりとして持ちながらの減量でしょう。
 我が身に当てはめて振り返りますと、20歳時体重が「標準体重−2kg」で、技術資料10頁前後一本を実験込み1週間前後で上げて3kg〜4kg痩せては元に戻してしていて、生涯最大の過負荷状態で最大7kg痩せてフラフラとなったのが下限値でした(アリバイ工作的な技術資料は作って登録しても痩せない代わり誰もコピーを持っててくれないです)。最も酷いメタボ状態で+22.5kg〜+14.5kg、従って+16.5kgはゆとり重量のうちと解され、数日〜1週間単位で均して摂取栄養素を穴埋めすれば辻褄が合うのではないのか?とか考えてしまいます。
 「野菜を先に食べると血糖値が上がらない」という新伝説は、ダメモトで実害のないものですが、事実なら闘病管理を楽にするものですし、副次作用で食べるものが変わっての好結果というならそれも可です。
 療養管理生活の自由度を増して闘病プレッシャーを減らし心理面から健康に資するあの手この手も重要でしょう。
 自転車に「蓄圧タンク付き空気入れ」というのがあって、タンクの蓄圧で空気が入り、シリンダー面積が小さめなことで楽にタイヤに空気を入れられますが、体にバランス良く栄養を採り入れたい場合も、体自体が「蓄圧タンク」式に栄養素を一定量プールしていて必要量消費するわけですから、過剰なものが体細胞に貯めきれずに高血糖として現れている間は供給遮断して体内蓄積の活用を図るのは当然の話でしょう。メタボ蓄積中の即応性要素の効くうちは炭水化物摂取を断てるけれど、長期に続ければ、体内変換で辻褄合わせしても必要量に足らなくなり、油や蛋白偏重の栄養バランス不良で寿命を縮めるのは元々良く知られた結果ではないですか!

 今後の可能性の話としては、食べ方や食べ物によって代謝が異なるとか、そうするとカロリー単純加算管理ではなく、炭水化物制限を強化すると総カロリーの許容値を増やせて管理が楽になるとかの展開が考えられる状況なのに、日本で最も権威有るはずの臨床の学会:糖尿病学会が治療有効例の客観事実に関係なく可能性を摘む形で全面否定と取られる見解発表をしてはいけません。

 大昔に癌の原因をめぐって「刺激説」と「ウイルス説」が医学界の勢力争いとして科学論争ではなく見苦しく足の引っ張り合いを演じて、日本の医学界への信頼を大きく損なったことがありました。どちらの条件で発ガンしても排他的内容ではないと医学素人目にも明白の相互否定合戦でしたが、結果的にはどちらでもない「DNA遺伝子情報損傷説」が後に提唱されてそこに落ち着きました。
 分野違いですが基本的に100年余前に制定された民法の時代に合わせた改正については法曹界から絶対反対の声が根強いそうですが、その根底には「既得の知識で商売が出来なくなるのは困る」という本音があるのだそうで、優秀な司法試験合格者たちにそぐわない職人ギルド的な生活の臭いに笑ってしまいましたが、卓効の治療法開発・普及で急に医療負荷が軽くなっては業界が成り立たないとかの経営的理由なら「治療体制を維持できるコストの保障策」の話になりますが、近年の高齢化と生活習慣病患者の急増でそんなはずはないでしょう。

 患者救済・治療優先と、科学としての真実の追究を軸にすれば、こういう心配な揺らぎは乗り越えられると思うのですが。

【補足】「カロリー制限は外せない」主旨
高血糖時に炭水化物回避の是非は論ぜず
2013/08/05追記 <4>

 糖質(炭水化物)制限療法の是非が各所で論じられていますが、日本糖尿病協会03-3514-1721編集発行の月刊誌「月刊糖尿病ライフ『さかえ』」2013年7月号(先月号)に「巻頭特別企画」として「−日本糖尿病学会の提言から−−炭水化物制限食については、まだいろいろな問題が残されています=宇都宮一典」(p11〜16)という解説記事が載せられています。
 ざっと読みますと、「糖質制限をしても、カロリー量は、自由にはならない」という点では予想通りで、糖質制限療法の臨床データ解釈として「炭水化物制限によるカロリー減少が病状改善に効いている例」とされて、「糖質制限療法の有効性は認められない=カロリー制限で病状改善された」、「炭水化物のとり方に気をつけると、総エネルギーが低下することはよく経験します。したがって、総エネルギーを適正化するための選択肢として、軽度〜中等度の炭水化物制限を実施することは考慮してもよいでしょう。」(p16中段L11〜)となっており、「提言」が実質的に否定しているのは「総エネルギーを制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは勧められない」ということですが、減量を言う限りは炭水化物以外も摂取限界を設けて制限しないと実現不可能ですから、「極端に過ぎるのは逆効果」は確かでも、全面否定としては、あまり噛み合った反論になっていません。(朝日の記事は、本文は妥当な要約で、見出しの否定的ニュアンスとは微妙に違います)

 では、カロリー制限を遵守した上で、何を減らすのが最も有効か?には直接触れずに「三大栄養素の中で、血糖値を上げるのは炭水化物のみです。確かに炭水化物をとらないと、食後の血糖値が上がらないことは、よく経験します」(p14下段L13〜)と述べていて、毛細血管を破壊するような高血糖を一刻も早く回避する緊急措置としては、全く否定して居らず、長期に亘って脂質、蛋白食に偏った場合の弊害・短命化を述べているに過ぎません。どうも2年〜最大5年未満の短期なら採りうる療法だけれど、それ以上は栄養の偏りで逆効果になり、食習慣そのものを変える元々のカロリー制限療法≒体重管理法に落ち着く他はないということのようです。

 ということは、先の報道のような全面否定にはなるハズが無く、現状の試薬を作るかのような、厳密な食餌管理ではなくても、若干は長スパンで栄養バランスが取れているという、ずっと大ざっぱな献立管理でも、病状の深刻ではない糖尿病患者の闘病が可能かも知れない、患者にとっては非常に有難い方向を示しているのかも知れません。「野菜を先に食べると血糖値上昇が少なく収まる」とかのノーハウと同様で、その辺は患者が楽になる方向で検討を深めたら良いと思います。
 (機関誌は診療所で病会員配布を立ち読みcopy。
  執筆:宇都宮一典=東京慈恵会医科大学、糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授

分かりにくい文書の読み誤り報道!
明解に肯定できない大人の事情があるのかも? 2013/08/06追記 <5>

   ◎http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=40
   ◎日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言PDF報道用文書
p5: 糖尿病腎症などの合併症の有無や他の栄養素の摂取比率・総エネルギー摂取量との関係の中で、炭水化物の摂取比率を増減させることを考慮しても良い。
・・・・・・・・、食後高血糖や単純糖質の過剰摂取などには十分な注意が必要である。
 一方、腎障害や脂質異常症の有無に留意して、たんぱく質、脂質の摂取量を勘案し、大きな齟齬がなければ、患者の嗜好性や病態に応じて炭水化物の摂取比率が 50%エネルギーを下回ることもありうる。 )

 「総エネルギーを規制した糖質制限療法」で、標準型の「食品交換表」による厳密な栄養管理と同等の死亡率に抑えられるというのは、大変な省力化治療で、従前は、あまりの厳密さに到底付いていけなかった患者層を取り込んで食餌療法参加者を拡げ病状維持・快復を実現させる画期的方法ではないですか!糖尿病専門外来の医師が1月末の定例診察をして「病状改善した患者はたった一人!」とボヤいていたそうで、従前の食餌療法は効果を上げるのがかなり難しいのです。
 方式の売り込みで「カロリー制限無用!」と派手に吹いたのは、学問的な態度ではなく胡散臭いものにしましたが、現実生活では無制限に食える訳はなく、また「減量」を云う以上、総エネルギーも均せば減らさなければ実現できないわけで、患者の家庭が三度三度の食事で職業栄養士に準ずる手数の掛かる栄養計算をすることを求める現行「食品交換表」方式よりも、誰でも簡単に採用できる点でずっと優れており、従前栄養管理しきれなかった患者層に拡げることで病状管理範囲を拡げられる将来性ある方式ということです。

2013/03/23 23:00

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