[328]

BBS
BBS
mail to: adrs
旧
新
Diary INDEX
Geo日記
戻る
LIST
主目次

電池の改造だけで済むか?787発火問題

ボーイング社:
 787バッテリー改善策を公表
   東京で会見

毎日新聞 2013年03月15日 11時19分
(最終更新 03月15日 13時11分)
 最新鋭機ボーイング787がバッテリートラブルで運航停止になっている問題で、米ボーイング社のレイモンド・コナー民間航空機部門社長が15日、東京都内で記者会見した。コナー社長は米連邦航空局(FAA)や国土交通省に提示したバッテリーの改善策の詳細を公表し、数週間後に新しいバッテリーを搭載し、運航再開できるとの見通しを示した。1月のトラブル発生後、ボ社が記者会見したのは世界で初めて。

 ボ社によると、改善策は▽バッテリー内部の八つのリチウムイオン電池を絶縁シートで巻き、電池の間に耐電、耐熱に優れた仕切り板を設け熱暴走を防ぐ▽バッテリー充電時の上限電圧を引き下げるよう充電器を改良▽電気室内の他の機器に影響を与えないようバッテリー自体を新たな容器に格納し、発火を防ぎ煙も排出するダクトも設置する─など。コナー社長は「数千時間のテスト、分析を行ってきた。適切な改善策だと確信している」と語った。

 FAAは12日、改善策が有効か立証するための試験計画を承認。ボ社は今後、飛行試験などを実施し、安全確保に十分なデータが得られるかFAAの審査を受ける。審査に国交省も立ち会う。ボ社側は「既に試験も25%着手し、順調だ」としている。

 787機は世界に50機あり、うち全日空が世界で最も多い17機、日航が7機を保有。特に全日空は開発段階から協力し、787を世界で最も早く導入した。機体の35%に日本企業の部品が使われている。ボ社は日本側を重要な顧客と位置付け、トラブル後初の会見を日本で開くことにしたという。【桐野耕一、宇田川恵】
http://mainichi.jp/select/news/20130315k0000e020186000c.html

 リチウムイオン電池が万一発火・発煙しても耐えられる構造が求められているというのに、ニュースによるとボーイング社はその電池の改良だけで可とし、確認の試験飛行にはいると報じられました。
 そこには改良構造の報道が無かったのですが、電池を同じ場所に取り付けていたら、近隣配線を燃してしまう危険は無くならない訳で、一体どんな対策が採られたのでしょうか?→と思って記事を捜しますと、毎日新聞に有りましたが、いわば「2重ケース+排煙ダクト」案で、取付場所は変えない様です。最低限毎日報道レベルまで書かないと意味ある報道になりません。これで万一の可燃性漏液が配線など他に影響しない構造になっているでしょうか?

 どんなに発生率を低く改良しても、「発火する」リスクが存在することには変わりがないので、「発火前提で生き残れるかどうか」という判断基準を無くせないのです。エアバスがリチウムイオン蓄電池の採用を避けたというのは、その万一の発火リスク回避ですから、逆に、採用するには「発火しても助かる」対策、たとえば「丈夫なドレンで隔離排気して機体外でのみ発炎し延焼せず」とかが必要です。そこは会見で突っ込んで欲しかった。(東京夕刊webも改良構造を書いてました)
 なお、航空燃料ケロシン自体が非常に燃え易いもので、構造で発火・延焼を防いでいるものですから、バッテリーも発火性だけでは排除されるものにはなりません。消火できない・延焼を抑えられないリスクが残るかどうかでしょう。


効率15%では低すぎ 太陽光発電
電機産業救済主目的でないと良いが    <2>

 太陽光発電の強制買い取り価格が下げられるというニュースを聞きながら思うのは、平均的な変換効率15%前後という現状は、高価の割に低効率に過ぎないか?という疑問です。先端性能でも20%がやっとで、残り80%〜85%を逃してしまうことです。

 捨ててしまう80%〜85%の一部でも活かす発電と併用の可能性のあるものとして、かって屋根上に見られた太陽熱温水器で考えますと、夏なら何とかお湯になっても、他の季節では熱量計算としては有効でもガスなど他の熱源が主体となって加温の実感が乏しいのに設置規模だけ大きいことで、結局は廃れたのでしょう。単独の直熱利用にはエネルギー密度が小さすぎる:太陽熱は放射であり、温度差による接触熱伝導ではないので熱絶縁さえきちんとしていれば高温利用可なので、長時間掛けての熱放散を抑える技術を確立できるかが鍵ということです。

 試算として、
 太陽光エネルギー密度は地球軌道上宇宙空間で1.37[kW/m2](理科年表,天文,太陽の諸定数,太陽定数p天20)、大気を通して日中の晴の地表面で1.0[kW/m2]前後とされており、受光を10時〜15時、受光面積5.0[m2]と仮定すると、受光エネルギーEは、
  E=ρST=1.0×5×(5×3600)[kJ]=90,000.[kJ]となります。
 これが発電される効率を15.0%とすると、13,500.[kJ](=90,000.×0.15)が得られます。
 これが水に伝わる効率を25.0%とすると、22,500.[kJ](=90,000.×0.25)が得られますが、
  太陽光発電の残りエネルギーで水を加熱しますと、19,125.[kJ](=90,000.×(1−0.15)×0.25)です。

 従って、加温と発電の併用ですと、まず全部熱にした場合は、総合効率が (0.15+0.85×0.25)=36.25% で、32,625.[kJ](=13,500+19,125)です。

 一方、風呂に必要な湯量:300L、到達温度45℃、給水温度15℃春秋、5℃冬、25℃夏それぞれに必要な熱エネルギーQとしては、
  Q=M(T2−T1) [cal]
   =4.185×M[L](T2−T1) [kJ≡kW・s]
 ∴Q(15℃)=4.185×300×(45−15)=37,665.[kJ]春秋
  Q( 5℃)=4.185×300×(45− 5)=50,220.[kJ]冬
  Q(25℃)=4.185×300×(45−25)=25,110.[kJ]夏

 この値ですと、発電と蓄熱を併用すれば、冬以外は利用可能で、冬も井戸水を使えれば可。
 従前、太陽光から得られる熱量は、ガスなどの加熱熱量と同等程度となり、数値的には有効性はあっても、5m2、400kg余もの重量を屋根に載せる設置規模の割に実効感に乏しく、次第に廃れたのでしょう。太陽電池と併用できる可能性があるのですが、有効利用にはエネルギー密度が低すぎることで難しい!大気に接する面積が広く、時間も長いので、熱放散を止めて熱効率を上げるのは難しく、普及挽回にはかなり開発努力を要するでしょう。

 但し、併用の場合、電気代では太陽光発電分全量を売って、自家使用熱量分は安いガスや高効率のヒートポンプ加熱などで実使用に合わせて買った方が電力売買単価差や効率で安上がりで、さらに放熱損失が減る分有利です。


妥当な「自転車ナビライン」試行
自転車停止線の前方設置と道端の平坦整備が必要    <3>

ナビラインで事故防止  <C1>

 警視庁は12日、交差点内で自転車の進路を青色の点線矢印で明示する「自転車ナビライン」を「千石一丁目」(文京区)と「札の辻」(港区)の両交差点に試験導入した。事故減につながれば、横断歩道に併設された自転車横断帯との切り替えも検討する。

 同庁によると、車道を走行中の自転車が交差点を直進する際、進路左よりの横断歩道に向きを変えたうえ、自転車横断帯を通る必要がある。他の車両から左折か直進かがわかりづらく、接触事故が起きるケースが後を絶たないという。同庁交通規制課は「ナビラインによって自転車の車道走行も徹底されるはず」と期待している。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20130313-OYT8T00089.htm
(2013年3月13日 読売新聞)
 自転車の車道通行義務化を突然言い出して、もし強行実施したら事故多発が予測されてミソを付けた警視庁が、今度は交差点に自転車専用レーンの延長である「自転車ナビライン」を描いて、ドライバーに注意喚起する試行を始めたことが報じられました。これは妥当な案。

 「交通規則通り」ですと、車道通行が原則である軽車両の自転車は、交差点では脇の横断歩道や自転車横断帯を廻る建前ですが、車道を走ってきた自転車が、そんなに急な方向転換をして走ったら却って事故を誘発して命が幾つあっても足りない無茶な規則で、車道通行自転車では守る人の居ない無理なものでした。See→(カコミ読売新聞記事参照)
 ですから現実に車道通行させるとなったら、「現状では違反」の直線走行を認めて、交差点内も自転車専用レーンの延長線にガイド表示するしかなかったのでしょう。車道を走ると左折巻き込み事故が非常に恐く、いつも後方の右折車に気を付けて走っていましたから、ガイド表示ができてドライバーに注意喚起して貰えるのは有難い。それでも後方の走行音に注意しながら走ることになります。

 もう一つ、自転車の停止線を車より前方に、交差方向の自転車ナビライン直前にして、ドライバーから見えやすくして左折巻き込み事故防止を図って貰いたい。以前は都内の京葉道路に一部採用されていた方式ですが、自転車を車より前方に止まらせれば、その経路もアピールされて、巻き込みにくくなるでしょう。
 加えて見落としがちなのが、道路は端になるほど痛んで波打っていたり、排水溝の蓋の激しい凸凹が有ってハンドルを取られやすく、ここを平に整備してから車道通行を推奨・義務化すべきです。現在は凹凸部を車道中央寄りに避けて走っていますが、夜間は激しい凹凸を見落とすこともあり、逆順で不整地のまま自転車レーンを描かれて走れない道路端の走行を義務付けられては事故多発になります。

 状況を良く理解しないまま、強制だけが突出する「警察流」は、先の車道通行強要の失敗に懲りてヤメにしてもらいたいものです。


逆送事件に裁判員裁判で医療少年院送致判決    <4>

少女連続刺傷 家裁送致決定
「医療少年院が最良」
  東京新聞 2013年3月13日  <C2>

 少年に言い渡されたのは、刑事処分ではなく、家裁送致だった。三郷市や千葉県松戸市で少女二人を刺したとして、殺人未遂などの罪に問われた少年(18)のさいたま地裁での裁判員裁判。十二日の公判で、田村真裁判長は事件をさいたま家裁に移送する決定を言い渡し、医療少年院での治療が「最良の手段」と、その理由を説明した。少年は再び家庭裁判所の審判を受けることになる。

 「罰を受けずに済んだわけではありません。君は変わる必要があります。変わらなければなりません」  田村裁判長は決定理由を読み上げた後、分かりやすい言葉を選び、少年に語りかけた。「分かりましたか」。田村裁判長が声をかけると、少年は前かがみに座ったまま小さくうなずいた。裁判員たちは、じっと少年の表情に見入っていた。

 これまでの公判で、少年は少女二人を殺害しようとした動機について「興奮するから」と供述した。殺害後に首を切って持ち帰る計画だったなどと説明し、検察側は懲役五年以上十年以下の不定期刑を求めていた。  この日の決定理由で田村裁判長は、悪質な動機は、少年の広汎性発達障害や家庭環境と直結しているとして、刑事処分の根拠とすべきでないと指摘。「治療のためには少年刑務所より医療少年院が有効であることは明らかで、保護処分は再犯を防ぐ社会の要請にもかなう」と述べた。

 弁護側の柴野和善弁護士は決定を受け「少年には裁判長の言葉をしっかりと受け止めてほしい。裁判員の方は難しい決断だったと思うが、少年の将来を真剣に考えてくれたと思う」と評価した。  検察側は「障害がある少年という特異な審理に取り組み、熟慮を重ねた末の判断であると受け止めている」とコメントした。
   http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20130313/CK2013031302000150.html

少女刺傷:18歳少年、医療少年院送致
      毎日新聞 2013年03月22日 01時31分

 埼玉、千葉両県で2011年11〜12月、少女2人が刃物で切りつけられた連続少女刺傷事件で殺人未遂などの罪に問われ、さいたま地裁で家裁への移送決定を受けた埼玉県三郷市の少年(18)に対し、さいたま家裁は21日、医療少年院へ送る保護処分を決定した。山崎雄大裁判官は「少年の治療には相当長期間(5年程度)の収容が必要」との処遇勧告も添えた。

 少年は11年12月に逮捕され、さいたま地検が鑑定留置後、昨年5月に家裁送致。家裁は同7月に検察官送致(逆送)し、地検が殺人未遂罪などで起訴した。精神鑑定では、生まれつき対人関係が難しく行動や興味に極端な偏りがある広汎(こうはん)性発達障害と診断された。【狩野智彦】

[Ex.1] 社会復帰必要だが「再犯」は迷惑・・・・有効な防止策は?

 先年にも出所後一時滞留社会復帰促進施設住人にカモにされ、山口組直系の暴力団○○会名を使って「話を付けてきてやる」と脅迫する様になって手持ちの資金全額約300万円をたかられ遊興費に使わされて金が底を着くと勤務先に中傷嫌がらせ電話を繰り返して会社からは暗に辞職を迫られる事件に噛むことになりました。

 組の名前を直接出せば、『暴対法』で頂上までアウトですから間違いなく騙りです。無職・無資産の出所者たちからの損害の回収は不可能でそれは最初から放棄、先ずは犯人達の嫌がらせ電話を機の首切り合理化の動きを断念させることが第一の課題、それには金銭を強請るために会社を攻めて解雇の危険を生じさるのをやめさせることが必要で、当人・家族・工場の上司から所轄の警察に3ヶ月にも亘り何度も被害申告をしていたのですが、警察が事件の受理を渋り「どちらが加害者か分からない。相手は逆のことを言っている」などと動こうとしません。

 そこで「収入を調べれば、出所直後の者たちと一流会社サラリーマンと、どちらが300万円ものタカリ被害の余地があるか明白。当人への恐喝電話は必死になれば聞き流せるが、先ずは恐喝被害者の首切りを止めたい。今現在、当人に会社から処分されるような非行はない。警察がどうしても動かないのなら名前の出てる山口組○○会に直接話を付けるから、この地域の組の担当者を教えなさい!紛争に暴力団名を出したら『暴対法違反』で即座に上まで手入れのケースだろう。もし騙りなら山口組が始末を付けて解決できる」と迫って、ようやく警察が犯人達に手を打ったようで、嫌がらせ電話と金銭要求が止まりました。
 「先輩を告訴するには退職が必要」と指導して被害者を退職させながら、被害者まで送検してその後追及していない事件(日記#288Last)と同様に実に横着な警察!これでは後日、ストーカー被害を警察に訴えているのに聞き流して放置して殺されてしまったのは当然の体制でした。たまたま職員旅行だったから対応が後手に回ったのではなく日常的に被害を受け付けてないのです。

 当人に対しては「恐喝の一方的な被害者なんだから、絶対に自分から『会社を辞める』とは言わないで、ひたすら『私の不注意で犯罪者に付け込まれて、ご迷惑をお掛けして済みませんでした』で頭を下げ続けてやり過ごせ!まだ子供たちが学生なんだから、変に格好付けて尻まくったりするな!今は、代わりの職は無い!間が抜けて被害にあったのは会社の処分対象じゃない」ときつく助言。会社人事部から提出を求められた事件の事情説明の幾つかの弁明書を代筆してA4版延べ10数ページで提出(ワープロに押印・署名部だけ当人自筆)、工場では「実際に書いたのは誰だ!」と迫られた様ですが「兄貴の知り合いの遠い親戚」で何とか通してもらえて、(露骨な恐喝が始まって半年)ヒト月近く掛かって純粋被害者認定され首の皮一枚で身分が繋がりました。外形的には解雇を裁判に持ち込んで運動化すれば首を繋げるケースでしたが、現実に解雇通告されると当人が保たないことの方が多いので、当人や友人家族など総動員で首の手前で押し留めることが特に重要です。職場に真面目な労働組合があると助かるのですが、近年御用組合が増えてしまって頼りにならないのは残念です。
 警察にも一緒に出向いた兄弟から私に被害の相談があり、たまたまハッタリも日常業務のうちのヤクザ商売兼任(wだったから有効な手を打てましたが、当人一人で悩んで圧力にパニックになっていたら「会社に迷惑を掛けた」からと職を失っていたでしょう。
 できれば、当人だけで換金できる積立貯蓄や自社株積立(持株会)などに手を付ける前に廻りに相談していたら被害は局限されていたのでしょうが、当人が格好を付けて事件を伏せたことで資金が尽きて家族や会社に手が伸びるまで拡がりました。教師や公務員、警官など信用を重んじられる職種程被害が深刻だったサラ金被害と同じ構造です。サラ金被害者団体を当初は「民事不介入」と追い返していた警察が、サラ金に追われた警官が強盗を働くなどの事件が続発するようになり、サラ金被害者団体のパンフを取り寄せ、初めて話を聞き対策を採るようになりました。
 自宅への請求にはその都度110番でパトカーが出動して撃退しているのですが、被害申告に応対した本署の警察官は恐喝事件としては「どちらが加害者か分からない」と言い立件しませんでした。

 刑務所出所者の社会復帰支援施設は必要で出所者の個人情報は守らなければなりませんが、再犯率が異常に高く矯正教育効果がない=有効な矯正教育など行われていないことがあるとか、その再犯率の非常に高い層の迷惑施設がいつの間にか作られていて、警察がそこからの被害申告にまともに取り合わないとかされたら「迷惑施設お断り」の世論になっても無理ありません。

 交通事故など過失犯ですと社会復帰更生率は非常に高く復帰支援施設の必要性は低い様ですが、何度も刑務所に入る層があるそうで、復帰支援施設を経て自立するようですが、カモ!と思われると、他の復帰施設住人まで「お前のために動き回って事故を起こしたから修理費を出せ」とか「暴力団に話を付けてやるから金を!」などと割り込んできて被害者家族からもン10万円単位の金を巻き上げていきました。強請り恐喝慣れした連中の対応を一般市民個人対応に任せて放置する警察や法務省の姿勢は明らかに間違いです。矯正教育体制の見直しと、社会復帰策の両側と、特別に注意深い取り締まりで大胆な改善が求められます。

 家庭裁判所の審判で、「凶悪で『刑事処分相当』」として刑事法廷に逆送された少年事件を、刑罰の厳しくなりがちな裁判員裁判法廷が、医療少年院での処遇を求めて家庭裁判所に再送付する珍しい事例が起きました。裁判員裁判になって報復的傾向が強まり、処罰が厳しくなっている中で、「医療少年院」に措置して矯正教育・治療を行うという冷静な判断が注目されます。

 刑務所が処罰中心、少年院が矯正教育中心という建前は別として、実態はどちらも苦役要求・処罰中心で運営されて、収容期間が長いからと言って再犯防止の矯正教育が有効に行われていることはありません。
 刑期さえ終えれば「悪人」のまま娑婆に出てきて悪事を繰り返す手合いの比率は高く、半数近くは以後更生するのでそちら側は結構なのですが、残りの「悪人」たちが全く無警戒の地元に放流されて無警告のママ被害に遭い、しかも警察に取り合ってもらえないのではたまりません。See→Ex.1:実例

 少年院も、矯正教育の建前は別として、実態はマンガ「明日のジョー」の冒頭刊に描かれていたような地獄の懲罰施設の延長線で、退院後も続くワル同士の繋がりを作り、薬物指向を拡げたり、暴力団員スカウトの品定め場となって、表向きは厳禁の退院後居住地での連絡網が作られていたり、後日、更生して前歴が問題にされる様な定職に就いていると入院同窓生などからの恐喝の対象にされたりして、非常に生きにくくなるわけです。「明日のジョー」の少年院描写は良く取材されて描かれているということです。

 こうした実質が懲罰主体の少年事件運営実態に異を唱えて、少年法本来の精神を訴えたのがマンガ「家の人」(毛利甚八作、魚戸おさむ絵 ビックコミックオリジナル誌1988年〜1996年連載、小学館単行本全15巻、「家」ではありません「家の人」です)で、連載の1話1話で問題提起がされ、少年事件従業者がその日常を考え直すきっかけとなって、少年院や鑑別所、保護観察所など各所少年施設に全巻が揃えられたという伝説のマンガ全集になりました。古本BOOK Offなどでは未だに全巻セットで入手できます。しかしながらその問題提起は担当者個人レベルではかなりの影響を与えたものの、実態が諸施設全体で見直され具体化されることはなく、従前の地獄の懲罰施設の延長線のまま残りました。

 少年法の精神に基づく矯正・治療を具体的に追求していたのが、今回の裁判で特に指定された「医療少年院」です。東京新聞の解説記事では全国で東京(府中市)と京都(宇治市)に2院だけあるとなっていますが、他の情報では全国で4院存在となっていて、「医療少年院」で検索しますと「神奈川医療少年院」(相模原市)と「宮川医療少年院」(三重県伊勢市)が挙げられ、後2院を「知的障害(H1)や情緒未成熟(H2)の少年に対し、特殊教育課程を実施する施設」として、法務省のサイトにも掲載されていますので、新聞記事よりこちらの情報(4院存在)が正しいでしょう。
     See→少年院一覧:法務省(平成23年8月5日現在)
        少年鑑別所一覧:法務省(平成24年4月1日現在)

 懲罰としての自由拘束のほか、各種技能・資格取得は刑務所でも他の少年院でも共通して実施している様ですが、具体的な「矯正」教育となりますと、医療少年院が全くの別格らしいのです。少年、特に発達障害や知恵遅れなどの少年を一般の少年院に入院させますと、たちまちのうちに先輩-後輩の序列に組み込まれ、多くの場合暴走族や暴力団に繋がりが出来てしまい退院後も影響下に置かれがちですが、医療少年院ではそうした犯罪・非行集団と距離を置きやすく、様々人当たりの教育訓練も行われて社会復帰・更生しやすいそうです。

 先出、愛知弁護士会の見学記でこそ少年院が「明日のジョーの時代とは違う」かのように紹介されていますが、別ルートの体験情報では暴走族雑誌「月刊チャンプロード」誌で昔売った実名での「少年院体験記:俺の塀の中の物語」シリーズではまさに「明日のジョー」型が実像に近い様で、そうした一般少年院から教育訓練型の医療少年院に配転された法務職員は激しいカルチャーショックに襲われるといいます。刑務所職員が受刑者に高圧放水して腸を破裂させ殺してしまった事件などもあり矯正教育という建前と実態の乖離は著しいものがあるのでしょう。

 弁護士は少年院見学記で「客観事実」を元にレポートしているのでしょうから、この著しい違いは、弁護士が付添人として参加した審判では、収容される少年院が優れた処に限定されていて、弁護士なしの審判を受けた場合には「明日のジョー」型少年院に送られ、ヤクザ暴力団の供給源にされてないか?という疑問を当然に生じます。

 少年審判に私選で付添人(主に弁護士)を付けるのはほんの少数だそうですから、官側の最も安易で便宜的な対策として、医療少年院など少数のまともな施設を用意してるのかもしれません。それなら大規模な職員教育や、矯正教育専門職採用の必要はなく、「中等少年院兼医療少年院」という話も聞いたことがあります。(少年審判には国選弁護人制度が無く有償の私選だけですから費用を負担できないと付添人なしになります)。学校側に「スクールカウンセラー」を導入して教員側に意思疎通訓練したことで生徒や親たち、教師同士のトラブルを大幅に減らせた訳ですから、問題を起こした少年達の側にも同様の意思疎通訓練をすれば無用の対決とその拡大を防げるわけで、職業資格訓練の他は苦役と処罰だけより前向きの良い方策です。

 記事C2のさいたま地方裁判所はこの実情に気付いていて、裁判員に訴えかけて実質的な矯正教育・対人訓練のない刑務所や一般少年院ではなく、特に「医療少年院収容」指定の判決を出したのでしょう。現在は、収容期間が少年院の方が長い場合も有るそうで、措置が「軽い」というわけでは無いと云います。(関東連合での2件の殺人事件審判を繰り返してすぐ卒院釈放というのは、今後は無くなると・・・・・・・・。)

 風のうわさに拠れば神戸の「酒鬼薔薇聖斗」も東京府中の関東医療少年院での矯正治療から退院準備の数施設を経て別人として感情爆発を抑えて何とか娑婆で暮らしている実績有る措置ではありますが、「「猫や蛙を殺した快感が忘れられない」と打ち明けられて凍った!あいつ自分自身を抑えきれるだろうか?」と震える思いの心配を口にする入院同窓生も居るのだそうで、たとえそうであっても形式的には重い懲罰を課しただけで後は野放しにしてしまう刑事処分よりはずっと有効な措置決定です。その意味で、珍しいが理性的で良い判決なのでしょう。

 制度運営としての問題は、こうした実質的な矯正教育の実施できる施設をなぜ増やさないのか?成人施設である刑務所にも実効ある矯正教育を導入しないのか?現行の明日のジョー型施設総てを再教育・再訓練して触法者の矯正・更生に役立つ施設に改める具体的方針を、政治側と行政側トップが強力に出して医療少年院で長年追求され成果を挙げた試行錯誤の体制を全体に拡げるべきなのに、厳罰主張のパフォーマンス政治家ばかりが目立ってしまい、本来実施すべき内容をどうしてるのでしょうか?具体的な工夫抜きの、形態だけ拡げられますと折角の成果も効かなくなってしまうでしょうから、矯正の実質を追求する必要はあります。

:善意でみての可能性の問題としては、「従前から妥当な矯正教育を行っていて、批判されるような運営はない。明日のジョー型の少年院など元々存在しなかった。」という架空の建前から、現場発のその後の改善をアピールできないのかも知れないと。でも、それでは全体に問題点・欠陥が共有されませんから昔ながらの懲罰唯一感覚も根強く残ってしまうでしょう。
罠標識
左上赤逆三角一時停止標識を罠に駐禁標識先にパト
カーを止めて取締。優先道路は左手先60mで行止まり

 それなのに、警察の日常業務では、一般国民はカモ扱いで、優先道路指定が逆で一時停止違反をし易い交差点を罠にして非常に見難い標識で違反点数稼ぎをしているとか、歩道上に原付バイクを止めてレンタル屋店内にDVDを返しに入った僅か2分間を物陰で待ち構えていて駐車禁止違反を盗り青年ワーキングプア二日分の賃金を奪うとか、一般市民をカモにして敵対する警察・行政なのはまるで官営ヤクザで、両側からカモにされて大変困ります。多少迂闊なところがあっても普通に安心して暮らせる世の中でないといけません。

千葉市花見川区瑞穂の花見川に掛かる瑞穂橋を東進すると総武線切通脇歩道で行き止まりとなり、バックで戻るしかない住民道路ですが、この60m手前の交差点では優先方向に指定されていて、ここで直交する団地方面からの交通量の多い抜け道側に一旦停止が義務付けられて、非常に見えにくい高い位置に標識が設置されていて、交差点を渡った位置に時折パトカーが待ちかまえて10数年来、標識見落とし一時停止違反摘発の点数稼ぎをしていました。明らかに優先方向指定が逆方向に間違っていて、罠になっており、決して交通安全のための指導ではありません。

2013/03/15 23:00

[Page Top↑] 旧
新
雑談
Geo雑談
戻る