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却って山崎社長苦境を顕わにしたJR北海道弁護側証人

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JR脱線事故公判、弁護側証人の尋問開始    <C1>

 JR宝塚線(福知山線)脱線事故で、業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本前社長の山崎正夫被告(67)の第15回公判が8日、神戸地裁であった。この日から弁護側が申請した証人への尋問が始まり、JR北海道で自動列車停止装置(ATS)の整備を担当した社員が出廷した。

 JR北海道管内では1996年12月、函館線のカーブでJR貨物の列車が脱線する事故が発生。この直後、宝塚線の事故現場カーブが急曲線に付け替えられた。山崎前社長の弁護人から函館線事故後の安全対策について問われた社員は「カーブにATSを整備しなかった」と説明。山崎前社長がこの事故でカーブの危険性を認識できたとする検察側の主張に反する証言をした。

 弁護側が申請した証人は計11人。尋問は5月中旬まで続く。その後に山崎前社長への質問があり、結審は9月ごろになる見通し。(沢木香織、佐藤卓史)

asahi.com関西 2011年4月8日

【JR福知山線脱線】
JR北海道ATS担当
「カーブに整備、国鉄時から無し」    <C2>

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、事故防止のための自動列車停止装置(ATS)設置を怠ったとして、業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本前社長、山崎正夫被告(67)の第15回公判が8日、神戸地裁(岡田信裁判長)で開かれた。

 JR北海道でATS整備を担当した社員が出廷し、昭和62年の同社発足から平成17年の福知山線脱線事故まで、同社管内のカーブについて「ATSは整備していなかった」と証言した。

 弁護側が証人申請。社員は、信号機での誤通過防止のため、主に信号機のATS整備を進めていたと説明。弁護側が、カーブにATSを整備しなかった理由を確認すると、社員は「国鉄時代から、カーブへのATS整備は聞いたことがなく、自社では(カーブで)旅客列車の事故を起こしていなかった」と述べた。

sankei NEWS 2011.4.8 12:54

【再掲:日記#268】JR西事故裁判、 2011/03/05赤旗B版15面第2トップ
ATS 最優先すべきだった 、安全部会長が証言    <C3>

 107人が犠牲となったJR福知山線脱線事故で業務上過失致死傷罪に問われているJR西日本前社長、 山崎正夫被告の第11回公判(神戸地裁)が4日、ありました。
 証人として国土交通省運輸安全委員会鉄道部会長の松本陽氏(62)が出廷。 事故現場について「速度超過する危険性が高い例外的な曲線で、速度をチェックできるタイプの ATS(自動列車停止装置)を最優先で設置するのが適当だった」と証言しました。

 松本氏は
(1).国交省令の解釈基準では、列車が安全かつ高速に運行できるために、カーブ半径は その路線全体の最高速度の80%で通過できるものにすべきだと定められ、 福知山線では半径450bであるところ、事故現場カーブは半径304bと大幅に下回っていた

(2).しかも、直前の直線区間の制限速度が路線最高の時速120`bに対し事故現場カーブは制限速度が時速70`bで 制限速度差が時速50`bに上る「相当に例外的な曲線」である――と指摘。 「速度超過する危険性が増え、特に注意が必要」であり、「ATSを最優先で設置するのが適当だった」とのべました。

 さらに松本氏は、弁護人が「福知山線事故以前は、列車の運転は運転士の主体的な操作に委ねればよいというのが業界の常識ではなかったか」との質問に、
「(ATSは)運転士が制限速度を超えてしまった場合にそれをバックアップするもので、運転士に委ねればよいというものではな」く、その考え方は事故以前から変わらないと指摘。
「弁護人のヒューマンエラーに対する認識が違っている」とのべました。

 JR西日本尼崎事故で起訴された山崎前社長の裁判が4月8日から弁護側証人の証人尋問に入り、JR北海道でATS整備を担当した社員が出廷し、昭和62年の同社発足から平成17年の福知山線脱線事故まで、JR北海道管内のカーブについて「ATSは整備していなかった」と証言したと報道されています。
 要するに、尼崎事故現場に曲線過速度ATSを設置しなかったことは、JR他社並みであり、刑事処罰の対象にはならないという立証ですが、それはいくつかの点で無理があります。

 結局、国鉄からの検討不足を引き継いで、他のJR各社並みに安全条件の検討をしなかったのだから無罪だというのが弁護側の主張の本質ですが、福知山線に比べて最高速度が20km/hも低い函館線で、旅客会社による過速度ATSの設置ではなく貨物会社の設置だったことを以て、福知山線も同様で無罪だという弁護側主張にはかなり無理があるでしょう。JR全社に過失があったとしても、現実の事故になったところが責任を問われます。それは交通事故処理での業務上過失事故の扱いと同じでしょう。

2011/04/20 19:55

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