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今日10/22朝刊は検察審査会が尼崎事故にJR西日本の歴代3社長の刑事責任有りとする不起訴不当の決定を下したと報じている。それは一般市民感覚に沿った妥当な決定だ。また夕刊では懲罰的日勤教育を進めて不起訴処分となった幹部2名を検察審査会に提訴したとも報じられている。JR西日本は「稼ぐ」を最優先させて、問答無用のトップダウンで下からの異論を力尽くで潰して、懲罰的日勤教育で強要、社員相互の協力体制や自発性を潰してきたのが井手天皇体制で、技術系幹部はその基本方針をなぞる他無い体制だった。それなのに、事故当時は子会社勤務で在籍せず、現在は安全推進改良に取り組んでいた技術系幹部山崎前社長だけ処罰したのでは、主犯・真犯人を免罪して危険な経済優先主義を煽る有害な刑事処分になってしまう。
山崎前社長自身も、その能力により状況に応じた技術的検討をきちんとしていれば、曲線過速度防止装置設置基準を物理的な危険度に応じる合理的な形で制定できたから、エリート技術幹部としての過失責任はある。かなり手荒い基準とはいえ全危険個所に速度照査を設置していたJR東海との対比で見てもそれは明らかだろう。今提起されている裁判では罰金、あるいは執行猶予の付く微罪であり、会社を挙げてあれだけの裏工作をする程予見可能性の争点であることを理解しているのだから、主犯3悪人も起訴する条件で受け入れて貰いたいものだ。
事故調最終報告書公表後、「事故調はひよっこ」などの暴言を吐いて顰蹙を買った悪人キャラではあるが、懲罰的日勤教育死守の強硬派丸尾副社長(鉄道本部長)を更迭し、その後の第3者委員会の答申を受けて文面上は妥当な「安全基本計画」を発表してからは改善の先頭であったことは一部遺族被害者も認めている。問題多い人物だが、世論の監視下で安全施策に実行力有る人物ということだろう。
長文の文書の公表は、実際は主要部を読み込まないと記事が書けないし、まして適切なコメントは困難だから、本文とは別に「要旨」を添付したり、数日先の報道解禁日時を指定して非公式に原文を配布したりしている。これは厳密さを要求される裁判でも、タイミング的に裏ルートを思わせる記事が時折見かけられることからも明らかだ。尼崎事故最終報告書の報道でも、懲罰的日勤教育の悪影響は報道ではかなりストレートに表現していたが、報告書原文では詳細具体的な事実認定をしているが、その評価部では報道内容程は明確には書いてない。どうも非公式の「マスコミ用非公式要旨」の存在が推測される。記事にするまでに専門家の見解を求めておく必要もあり、解禁時刻指定方式のマスコミ事前公表は有り得ると思う。
物理的には完成していて変更しようのない文書を、そういう形で「非公式公表」すれば、問い合わせなどで当事者に漏れるが、正確な報道を保障する上では許容範囲ではないだろうか。残る問題は、遺族・被害者には事前公表が無かったと思われる不公平運用である。素人である遺族・被害者があの分量をそこそこ読み取るには速読派でも数日は必要だろう。
マスコミへの解禁日付き事前配布に見合って当事者にも配布するのであれば、それも許容範囲だろう。情報公開が積極的流れの中で、マスコミ裏公表を越える不合理な漏洩が有ったのかどうか、一般解説を越える情報提供が行われたかどうかが問題だろう。マスコミが自分たちへの裏提供に触れることなく、事故調を責めるのは妥当じゃない。国鉄JRは比較的情報がオープンの会社だったが今や社員個人の趣味的サイトを次々閉鎖に追い込んでいる。こういう情報遮断に与する叩き方は良くない。
日本での鉄道技術はやはり国鉄・JRに集約されており、全面排除は難しい。アドバイサーなど決定権は持たない形で調査団に取り込むとか、発表論文を整理して、事故解析で不公平にはならない人をリストアップしておき、指導監督を依頼するとか、公平性を担保する措置で国鉄出身者も活用する道は残していた方が良いと思う。今回の事故調からの漏洩事件では国交省は直ちに第三者検証委員としてノンフィクション作家の柳田邦男氏と、TASK事務局長の佐藤健宗弁護士に依頼している。そういうリストアップは常々行っている訳だ。
また、被害者・遺族団体への結集が強力だと、その力で、まるで牛に鼻輪を付けて農作業をさせるように、個々の専門技術を発揮して貰うことは可能だが、「4.25ネットワーク」など遺族・被害者団体にアカだの守銭奴だの激越な攻撃を加えて個々バラバラにしていては、不信感のみ募って、手の汚れの見える人達は、善意であっても使えなくなってしまう。大した成果も上がらなかった裏工作があれだけ不信を呼ぶ状態では、山崎前社長の取締役辞任は必須だが、管理体制整備、遺族・患者団体強化とともに、実権有る大物嘱託として復帰する余地は有り得ると思う。裏は動かないが表も絶対動けない小者が就任したのでは話にならないという実務上の問題もあるのだから。
リンクファイル一覧 | 公述人一覧 |
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●平成19年2月1日開催の意見聴取会議事録はこちらです↓
(意見聴取会用、) |
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Google{運輸安全委員会}→
運輸安全委員会
鉄道事故(公式サイト)→
意見聴取会(左メニュー)→
鉄道関係(主メニュー)→
という操作で意見聴取会公述速記録メニュー(右枠内)が現れて、'07/02/01意見聴取会の公述速記録リストが現れ、公述人が会場で使ったパワーポイント画面も添えられているが、公述書そのものは見つからない。
改めて永瀬和彦教授公述書と事故調最終報告書への見解(鉄道を斬る#26)を対比してみようと永瀬研究室のサイトを捜したが、そちらは永瀬教授が今年2009年に「客員教授」となり、研究室が無くなったことに続いて、永瀬研サイト丸ごとが無くなっていて残念ながら直接比較はできない。コピーを保存して置くべきだった。間接だが永瀬氏の最終事故報告書批判の反批判を日記#188に述べている。
永瀬公述速記録で新たに出てきた「事実主張」は、氏が東中野追突事故の刑事鑑定人を委嘱され、東中野事故はノーブレーキで衝突したと鑑定したとある。鑑定書自体は関係者にのみ配布され、公表されていないそうである。報道されている「事実」は7m手前から滑走痕があり、非常制動痕と思われることと、衝突後の移動距離である。衝突以降は全20両に非常制動が掛かってないと発表の位置には停まれない。
衝突後に直通ブレーキ管が壊れてエアーが抜けて自動ブレーキ系の非常制動が掛かるのだと、その動作時間分は減速が遅れて突入速度は低かったことになるが、報道されている衝突手前側7mの制動痕も結果的に大きな差にはならず、どちらにせよ決定的な結論の違いにはならない。
東中野事故の事故調報告が有るのならナマデータを含めて調査結果を公表して貰いたいものだ。
JR西日本の事故調委員と公述人裏工作で、何が行われたかを公述速記録と公述書で確認しようと、JR西日本から「運転曲線削除工作」の行われた金沢工大永瀬和彦教授の公述記録を読んだのだが、当初は「曲線過速度転覆予見可能性隠しの裏工作」かと勢い込んで読んだのだが、どうも雰囲気が違う。永瀬氏が設定経過を誤解している運転曲線設定定数で作られた図表を無意味なので削除するよう勧告したとも思われるのだ。漏洩など全く意に介さない国鉄一家ズブズブの天然交流では有っても、露骨なJR庇いを除いては特別の悪意は拾えなかったのだ。
公述速記録と添付パワーポイントを読むと、永瀬氏は運転曲線作成システムの停止減速度設定 2.5 km/h/sを「旧型国電(クハ79、モハ72、クモハ73、クモハ41など、パワーポイントp12写真)」の定数と理解していて、事故車207系のものではなく、関西私鉄で標準的な 3.0 km/h/sが妥当だと思っている。この差で事故調試算を批判していることが分かる。
これには2つの誤解があると思う。標準の制動減速度 2.5 km/h/sという定数は、自動ブレーキ方式の旧型国電(PPp12)のものではなく、電磁直通ブレーキを採用したモハ90/101系103系以降の「新形式国電」のものである。(車両性能としては常用最大制動 3.0〜3.5 km/h/s程度。実運行の話)
通勤輸送急増対策として1958年s.33年、全電動車編成を目指して電動車6両付随車2両の6M2Tで中央線から投入運行していた101系の更なる輸送力増強に、資金と変電所の増強が追いつかず付随車2Tを追加した6M4Tの10両として切り抜けた時に、運転側としては加速度増は諦めたが、標準的な停止時減速度が旧型国電の 2.0 km/h/sから、 2.4 km/h/sに増やせることで列車間隔を詰められるとして歓迎していたと当時報じられている。停止減速度 2.5 km/hというのは、その「新性能国電」の値であり、自動ブレーキ式の旧型国電のものではない。旧型国電2.0km/h/s余と新性能国電2.4km/hが混じって運行していたら低い減速度で時間計画するほかないから、高性能を発揮させるために中央、山手から集中的に車種交換するようになった。。
さらに、207系にはVVVFインバータ制御ながらアンチスキッド制御(滑走再粘着制御)が組み込まれていないから、基本的な制動減速度は「新性能国電」に準拠することになり、2.5 km/h/sという設定は妥当である。
一方、関西私鉄は、早くからVVVFインバータ制御を取り入れて、前後台車別に滑走再粘着制御を取り入れているから、雨天などでの滑走回復が可能で、その分大きな減速度を取れ 3.0 km/h/s近い値を標準値にできる。JR東の車種では209系以降、E217、E231、E233などがVVVFインバータ制御に前後台車別滑走再粘着制御を加えているので高減速度設定が可能ということだ。
永瀬氏に事前に公述書を見せられたJR西日本氏はそういう誤認に気づいて、その部分の削除を勧めたのではないだろうか。永瀬氏がそのエラー指摘の真意に気付けずにそのまま公述してしまったのであり、予見可能性の新たな隠蔽とは関係なかった。
同様の運転曲線絡みの指摘は事故調最終報告書にも有り、章立てはされず本文に埋め込まれて目立たない形で反論指摘がされているが、永瀬氏はこれを事故調から庇われたとは思わず、逆に反論コメントのヘッダーなどで「福知山線事故報告書の問題点」「意図的な調査と調査委員会主旨にもとる判断とを含むレポート」「航空事故調査委員会は国家資格を持った委員が就任しているが鉄道事故調査委員はそうではなく、「鉄道に深い造詣を持つ者が調査を担わないと今回と同じような問題が起きかねない」(末節、おわりに)」と口を極めて尼崎事故調委員を罵っている。法的権限を持つ新事故調査委員会に当時の委員たちを採用するなという実に露骨な言い分である。国鉄・同技研出身で蒸気機関車運転経験もある大学教授で、学識経験者として一目置かれる方が、こんな雑な見境ない主張をしないで欲しい。
事故調査機関として役割を果たすには、事実関係や、専門解析で当事者やその会社と接触して公式・非公式に情報・資料を集めるのは妥当な行動ではないか?佐藤泰生鉄道部会長が日勤教育の名で行われたパワーハラスメントの実態を知りたくて接触したと言う弁明は、意見聴取会で丸尾副社長が運転士自殺事件の高裁判決を引いて懲罰的日勤教育が公認されたかの公述を行った際に、直ちに取り消し撤回を求めていて、「日勤教育の名のもとに行われた個々の行為の中に何があるかが訴訟の対象になっており、総て正当であるという主張には承服しかねる」(速記録P13L17)という佐藤淳造航空鉄道事故調査委員長(注:鉄道部会長とは別人)発言に直結している。
事故調査担当者として公式・非公式に接触するのは必要なことである。警察・検察の捜査官が公式・非公式に当事者に接触しても問題ないのと同じである。
また、報告書内容が世論に正しく伝わるための工夫として、ブリーフィングをしたり、要旨を配ったり、報告書そのものを報道解禁日時指定で了解したところに配布することは許容範囲だと思う。あんな分厚いしかも専門的記述の多い報告書の内容を記事にするにはかなりの時間が必要だ。それがコメントを求められるJR西日本に廻ったとしても不思議はない。起訴時の被告側コメントが「訴状を見ていないのでコメントできない」とワンパターンだが、膨大な報告書公表時のコメントが紋切り型ではなくその内容の予測の付かない部分に良く噛み合って承認、不承認を述べたものだった場合は非公式に予め読んでいると解すべきだろう。
その点で、先ずは行動指針が定められ、公表されることが必要であるが、接触自体は糾弾の対象ではないはずだし、報告書が印刷工程に回されてからの報道関係配布は許容範囲だと思う。
しかしながら、裁判に準じた役割を期待すると、公正さを担保するために、公的記録に残らない裏接触は避けなければならない。少なくとも内部記録にも残すか、委員会で相談してからではなかった点で事故調委員の行動は不用意だったと思う。先の解禁日指定事前公表もその目的からして公表手続きとして制定すれば差し支えないのではないか?
また面会時の外食夕飯代くらいは許容範囲として委員の判断に委ねて良いとも考えられる。それとも調査費実費を認めて委員会持ちにするのか?余談であるが某社の御用組合幹部たちが福岡県某大歓楽街の高級料亭で値段が社員食堂定食の63倍という豪華な昼食を取って、その公給領収書が闘う組合宛に送られてしまい、そこから御用組合事務局に「うちじゃ心当たりがない。お前んとこのだろう」と持ち込まれたが、御用組合側が「心当たりはない」と否定したため、闘う組合の壁新聞としてその事務所内に拡大コピーされて張り出され「心当たりありませんか?」と晒された。この内容を伝え聞いた御用組合員たちが怒り出し、その壁新聞を大挙見に来て半年も揉め返り組合定期大会で厳しく糾弾して陳謝させたそうだが、これは違法合法の問題ではなく組合幹部としての姿勢の問題だ。赤提灯程度しか知らない貧乏人とは若干は違ったエリート層としての常識的な範囲があるだろう。弁明によると中華料理店が貧民の「赤提灯程度」に相当する様だが(w
結局真の問題は、JR西日本を挙げての合法の限界を超えてのなりふり構わぬ情報収集工作と、報告内容への介入だろう。JR西日本が相手側の事故調委を引き合いに出すことでダメージコントロールを図っている。事故の予見可能性に絡む速度照査ATS設置の必要性削除という重大介入内容は事故調査委員会自身が捨て去っている。
不用意な行動でミソを付けてしまったが、私が尼崎事故調報告を大筋で信頼できると思うのは、その内容を読み込んで大筋で妥当だと判断した(日記#165)ことは当然だが、遺族・被害者に心を寄せて、規則・制度には義務がなく、骨折り損のくたびれもうけになる可能性も大きいのに、敢えて遺族・被害者むけ説明会を開いて癒しの一助になるようにして誠実な行動をとり、JR西日本の言い分に厳しく反論対立してきた人が(注:委員長と鉄道部会長が同姓で、この項で私はそれを混同していた!削除が必要'09/10/28)、JR西日本からの利害絡みの工作に裏で乗っているとは、報告書の記述にも矛盾していて、考えられないからである。このときJR西日本は、遺族被害者への説明を実質拒否する「遺族被害者個々にのみ説明=専門家第3者の同席拒否」で、遺族被害者と敵対していた。
多くの人や報道は、自分でソースを当たって判断するよりも、「権威有る専門家」「有名人」「マスコミ主張」などの金看板、レッテル、を借りて自説とする。それはマスコミの場合は反論追及をソースに廻せる利点があるからだが、本質は自分自身では内容を判断していない借り物の主張になりがちである。悪名高いCM「朝日新聞の受け売りだ〜い!」が実態ということだ。
その点で事故調報告書第3者検討委員会のノンフィクション作家柳田邦男氏と、TASK事務局長の佐藤健宗弁護士のビッグネームお二人が、たとえ内容判断に異論は出たにせよ「報告内容にJR西日本の調査委員会工作の影響は見られなかった」と検査レッテルを貼ればあとは規定のない手続きの明確化で世論的には一件落着となるだろう。
やはり、自力解析をする「解析ヲタ」(解析ヲタ入門)を増やして懲罰的日勤教育を裁判所が認めたかのトリッキーな丸尾副社長公述のような作為を早い者勝ちで直ちに撃墜するような状況にすることが望ましい。
逆の見方をすると、主張が通るには絶対的に正しいだけでは足らず、誰でも分かる逃れようのない単純な具体的事実や、金看板主義のマスコミ世論が食いつくだけの派手な金字塔を添えて情報提供をする必要がある。主張に対立が有る場合はさらに訴求力の質と数に勝ることが必要だ。それがヒットして初めて真実が世論に採り入れられることになる。(「郵政民営化」「労働法制規制緩和」のように本当に正しいかどうかは別問題、ナチス宣伝相ゲッペルス型宣伝という危なっかしい要素も絡むから真相解析力が共に重要なのだが。)
振り返ればJR西日本は信楽事故でも尼崎事故でもかなり悪辣で、信楽事故直後にすぐに気付いた方向優先梃子の無断設置無断使用とその設計ミスと絶対的タブーのCTC領域外制御のミスを隠蔽するためにその日のうちから方向優先梃子不具合回避マニュアルを改竄して会社ぐるみの責任回避を図ったし、尼崎事故でも、白い乗用車だの置き石だの根拠のない「可能性」で非難追及の風除けを図り、「転覆脱線速度は、鉄道総研にお願いして計算して貰ったところ、純理論上は133km/h以上で脱線と分かった」として「133km/h以下での脱線は過速度以外の原因が有るはず」という方向に誘導して風当たりを和らげ、一部マスコミが「ATS-Pだったら事故にならなかった」と誤報すると、それを修正するのでなく「6月からはATS-Pに切換予定だった」と不運を強調。ところが「だったら全部ATS-Pに切り換えろ!」と世論が沸騰すると、あわてて「実はATS-SWでも速度制限は可能で、現に17個所には設置済み」(4/30会見)と説明を改め、危険な尼崎事故現場にもATS-SW速度制限ATSを設置していれば転覆事故が防げたことを明らかにした。この経過で「嘘つきJR西日本」の印象は世に定着したのだが、一旦拡がった「ATS-P換装が必要防御要件」と「133km/hまでは転覆しない」という誤解・誤報をなかなか消せなかった。
制限60km/hとは300Rでの普通車本則速度制限、'88年12月の姫川事故が100km/hで機関車と2両を残し18両が転覆脱線、'76年10月の初回姫川事故が110km/h、'96年12月の仁山事故が120km/h近くで全車脱線転覆し、これは福知山線尼崎進入線を600Rから問題の300Rに付け替える直前の同月の事故。事故発生条件が一番低速で似ているのが'88年12月の姫川事故で、新聞社から各事故現場の曲線半径を確認取材して貰って300Rで100km/hを越えて走れば脱線転覆する事実を突き付ければ、JR西日本が醸し出した「133km/h以下では転覆しない。過速度以外に何等かの原因あり」というデマを粉砕できるかも知れない。鶴見事故での「競合脱線論」で事実上原因不明に閉じこめて、走行試験省略で欠陥見逃しという重大エラー隠しを図った二の舞にしてはいけない!
これに毎日(28日7面「記者の目」)と読売(翌29日Top「120km/hで脱線」)が乗り、どちらも「100km/h程度でも脱線転覆しているではないか!」という記事になって133km/h説を撃破、信楽遺族被害者の真相究明の闘いや、日比谷線事故調査検討会設置などの環境改善も重なって事故原因隠蔽の方向を粉砕することになった。そういう流れの目で見て、佐藤委員長等がまとめた尼崎事故調報告書の内容は(細々の技術的評価的異論部を除き)骨子としては大変まともである。
「チャンスの女神には後ろ髪がない!」とは良く言われるが、このサイトでもそういう不十分な記述をしてしまって、真相を十分には拡げられてない。
一つは、信号ATSと、速度制限ATSの違いを一般の人が読んで明確に意識できる書き方をしていなかったので、事故直後に後追いで書き足した。(See→「青信号でのATS! ATS-Pによる速度制限」)
もう一つは、国鉄型ATS(=ATS-Sx)が、私鉄ATS通達仕様に比べ、どの程度危険なのかを「衝突エネルギーは速度の2乗に比例」と述べるだけで、数値などで具体的に表現していなかったこともあり、国交省の'05/05/16虚偽答弁「国鉄型も私鉄型も停止信号手前でATSを動作させるので安全性に差がない」に対して、質問者(民主党菅直人議員等)が有効な追撃ができずに撃退されてしまった。前日5/15、毎日新聞と赤旗新聞が、国鉄分割民営化に際して運輸省が私鉄ATS通達を適用させなかった記事からの質問だったが、東京工業大学理学部応用物理学科出身者である菅氏がその程度のことで言いくるめられるな!と思いながらも応用物理学科「政治運動学専攻」傾向だった同氏が咄嗟の切り返しに失敗するのは仕方ないのかもしれないと思い直し、国鉄型ATS-Sxと私鉄型ATSとATS-Pの危険度を衝突エネルギー比≒停止制動距離比、停止信号内への冒進距離比で表して、(120km/h/20km/h)2〜(130km/h/20km/h)2=36倍〜42倍、すなわち、国鉄:私鉄:ATS-P=36〜42:1:0 となることを該当する解説項(日記#69、日記#98、日記#112他)に埋め込むことにしたが、再度審議されることは無く、後の祭りとなった。今後いつの日かの論議では、駅間信号(=閉塞信号)では強制停止すら無いATS-Sx型を、「私鉄並みの安全性」とは言わさない状況にしなければならない。その機会が再びの惨事では無いことを切望するものである。
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