鹿児島中央駅
KS-ATC時素式過走防止

  「新幹線鹿児島中央駅の過走余裕が約30mと不足で、それを補うために時素式速度照査5段による過走防止装置が設置されている」という情報がある。
鹿児島中央時素式過走防止装置配置
  しかし、九州新幹線のATCは停止位置照査とも言うべきパターン式を採り入れた東海方式KS-ATC=NS-ATCなので、信号制限パターンにATS-P同様の下限速度があったとしても、制限速度設定0km/hを設ければ足り、制約の大きい時素速照対がどんな場合に必要か、設置理由に大いに疑問がある。制限速度にも有効下限速度があり、その速度から直下地上子などで非常制動を掛けても過走余裕が不足するのだろうか?

  実態では写真を見る限り、在来線位置を行き止まりとして支障限界票までの過走余裕が少ないことと、03用の添線軌道回路は写っているが、地上子位置の写った写真は見つけられなかった。従前の新幹線の基準では、03コイル長が次閉塞手前に48m〜50m、停止目標が更に15m〜20m手前だから、都合65m〜70mの過走余裕があり、鹿児島中央の30mは確かに標準の半分以下である。

  そのうち詳細が明らかにされるとは思うが、時素速照過走防止装置設置位置について試算しておく
  仮に停止限界点に最も近い速照対の設定速度を1とすれば、2〜5地上子対は等間隔配置で
√1, √2,√3,√4,√5,√6=1.000, 1.414, 1.732, 2.000, 2.236, 2.449 の比になる。
1の位置は0速照、nの位置はn−1速照にすれば限界内停止が可能になる。これを過走防御パターンに当てはめてみると、
   制動定数を20/0.7=28.571(電車)、
   空走時間を秒、
   速度照査時素を0.5秒とすれば 高速側から順に
24km/h, 22km/h,20km/h,17km/h,14km/h,10km/h,0(非常停止)となり(速度1=10km/h)、
○ 制動距離Lは=速度^2/28.571+速度/3.6×空走時間
○ 地上子対内法=速度/3.6×速照時素                          <TBL>
照査
速度
停止距離[m]地上子対
内法[m]
(地上子進入速度)
10km/h 9.1m= 3.5m+10/3.6*21.38m 0非常停止地上子
14km/h14.8m= 7.0m+14/3.6*21.94m√1地上子対
17km/h19.9m=10.5m+17/3.6*22.36m√2地上子対
20km/h25.1m=14.0m+20/3.6*22.78m√3地上子対
22km/h29.7m=17.5m+22/3.6*23.06m√4地上子対
24km/h34.3m=21.0m+24/3.6*23.33m√5地上子対
(最大進入速度24km/hは制動パターンが保証)
この限界パターン内に制動パターンを置けば過走距離の不足を埋めて安全性を保障できる。

  省令のYY現示25km/hが基になっていそうな、この値なら、ATS-Pと同じ速度設定かも知れない。(=ATS-Pでも過走余裕次第で有り得るということ)

但し動作条件としては、
地上子対配置は等減速距離型、
地上タイマー方式で、先がタイマー起動コイル、後が検出コイルで設定時素内で検出すると
03ループコイルに電流を流して非常停止させる構造、

  −SNでは過速の場合車上発振が後側コイルの共振周波数123kHzに引込まれて非常停止になり
  −STでは前後とも共振周波数108.5kHzに引き込まれ、その内法(うちのり)のタイミングが
  設定時素以内だと非常制動となるが、前後とも同じ機能の地上子なので前後の対との間隔が設定幅より広くないとそちらを拾ってしまう。表の内法寸法ではタイマー起動コイルと列車検出コイルが違う−SNに似た方式でないと動作不能。

  地上子の形式名−SCの枝番としては前側が「−2」(=108.5/103kHz共振周波数切換)後側が「−0」(共振周波数108.5kHz固定)の模様だが(京葉西船橋など)、実際には「−0」だけで構成している過走防止装置がある。(京葉線の新習志野?通過列車はないということか)。(ATS-Sx地上子一覧参照)
 その極端な例が小田急連続地上子方式過走防止装置で地上子7個組〜最大12個組で動作していて、その時素は1秒の模様。

新幹線東京駅
ATC時素式過走防止装置
  <TYO>

新幹線東京駅時素式過走防止
信号・標識・保安設備について語るスレ6
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi
/train/1137513600/750n


750 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2006/05/15(月) 18:31:01 ID:PisVxbL0O
>>749
  03吹きっぱなしで終端防護してたのは東京駅14、15番線だった。 停止目標から車止めまで60mあった。
  東京駅16〜19番線とか鹿児島中央は停止目標から車止めまで30mしかないから速照03だけど、鹿児島中央の資料を見たら速照で面倒見るのって25→15km/hまでなんだね。
  停車は運転士の操作が基本で、停止目標を越えると03で非常。 停止限界でループが区切ってあるのは何だろ。
  行き止まり駅での過走余裕距離不足は新幹線東京駅開業当時からあった模様で,鹿児島中央駅に限ったことではなさそうだ.そこでは過走防止速照が設置されているものと思われる.

  03コイル長は50mだから,これに停止目標からの余裕距離を加えた過走余裕が採れれば特別の細工は要らない.停止目標から車止めまで60mあるという東京駅14〜15番線はこれ.

  停止目標から車止めまで30mが東京駅16〜19番線と鹿児島中央駅で,同じ方式で止めていれば,残る最小30m分は時素式速照で止めていることになる.
  すなわち,非常制動が掛かるのは停目手前30m03コイルに25km/h以上(30km/h以下)で突入など,目の子で19km/h以下(=30km/h×sqrt{(30-10)/(60-10)})まで,JR方式では5km/h単位に切り捨てで25km/h,20km/h,15km/hと順次照査して停止目標先の固定03コイルに引き継ぐものだろう.設置構造として03停止コイルの通電位置を位置検出地上子対で制御して3分割しているのか?03コイルを速照点毎に分割すると50m連続長を取れず停まりきれない穴区間を生ずる虞もあり,停止コマンドを伝えるだけの03ループだから各速照点の判定で停止コマンドを送れば良いから分割する意味はない。「速照5段」という情報とは違うので,東京駅まで出掛けてのぞいてくる価値はあるかもしれない.(06/05/21追記)

  と書いてから,更に下記AA図と追補を戴いたので書き直す.新情報としては
センサーが軸検出,センサーと03コイルの位置関係,加速防御,などで,設営の概要は理解できる様になった.(位置割/速度割は防御動作線上の微妙な違いで大勢は変わらない.5km/h単位に丸める国鉄JR方式は基本的に採らなかったことで5段速照となっており,速度均等割で30km/h→15km/h=27,24,21,18,15とするか,距離均等割で速度の平方根均等割がスマートで無理がない設定だが) (06/05/24追記)

新幹線時素式過走防止設定図
新幹線東京駅・鹿児島中央駅時素式過走防止装置追補
信号・標識・保安設備について語るスレ6
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/train/1137513600/797n

797 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2006/05/24(水) 01:09:27 ID:LxAZqsJY0
>>788
速照の方法がまったく書かれてないので何とも言えないけど。
速照03は基本的に2対の車軸検知子を使って速度を計測する。
東京や鹿児島中央の現方式は大雑把に描くと下記のような感じ。

列車進入方向 →                       (停止目標)
                    03ループA
         ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
  ▲ △     ▲ △    ・・・    ▲ △       ▲
   P1       P2            P5        P6

 03ループB
∧∧∧∧∧∧∧
×(停止限界)
    03ループC
  ∧∧∧∧∧∧∧

  • P1〜P51.25m間隔で設置された車軸検知子2個のペアで5mピッチで設置する。(20mの長さで照査)
  • 照査速度は任意に設定できるが、鹿児島中央の例では25km/h→15km/hの約2km/hピッチで照査。
  • P1からP5の間に照査速度を超えるとループ03を吹いて非常制動。
  • P5までくぐって15km/hまで落としてもP6を踏むとループ03を喰らって非常制動。
  • 停目で一旦止まって一定時間を経過すると5km/hで停止限界まで詰めることができる。(ループは常時出力)
  • 最悪パターンとしてはP515km/hでくぐって再力行した場合で、
    ループにかかるまで20km/hくらいまで加速できるが、ループB・Cで抑えきれる。

813 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2006/05/25(木) 06:52:58 ID:xJq0WKLVO
>>807
ちなみに03ループの長さは、詰めてるところでループA:22m、ループB・Cがそれぞれ14mずつくらいね。


816 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2006/05/25(木) 15:59:51 ID:xJq0WKLVO  <P2>
>>807(パターンATCでも時素式過走防止装置設置の理由)
ATCをリセットするとパターンが消える。

  • 想定されるのが場内進入時のグモでマグロを引っ張りだすのにパン下げ・マスコンキー抜きをすると、ATCの電源が落ちてパターンが消える。
  • 再立ち上げすると開通区間ゼロ・軌道内位置不明となって、30km/hまで出せるようになる。
  • 中央線東京駅も15km/hからの防護が出来るようになっていると思うが。
    (停目からかなり先の非常停止地上子2個?それはATS-P行き止まり線に共通設置:千葉駅#2番線,南船橋駅#2#3,東京駅#1#2,上野駅#13〜地上ホーム等.引用者注)
  • あと、新幹線の終端防護は他にもいくつか方式があるみたい。

  • 広島開業時の資料があったんで見てみたら、車軸検知子を使うのは同じだけど、照査点が20・10km/hの2箇所で先頭台車の1軸目と2軸目の通過タイミングで速度を計測して、超過でループA出力。
  • 10km/h点を越えてもループBの出力はしばらく継続してるので、停目を越えてループBにさしかかったところで非常制動。
  • 停目でしばらく停車するとループBの出力がなくなって、進入可能になるけど
  • ループの途中に7km/h速照がある。
  • ATC-NS・KS対応の方が厳重に見えるけど、6点のうち1点が機能しなくなることを許容している。
  • 一方、昔のタイプは検知子・受信器とも三重系になってた。
新幹線時素式過走防止設定表
  上図は,新幹線の停止目標から車止めまで30mという条件で過走防止装置を設置した例である.衝突余裕は車軸位置約2mを減じる.
  03ループが3分割されるのは,過走限界から先の絶対停止区間で固定的に03信号が必要な区間,過走領域だが停止位置修正を許容するため踏み込みにより無条件で03を発するが一旦停止後は03を解除する区間,進入区間だが過速度では03信号を出して防御する区間ということだろうが,2〜3番目を分ける理由は分からない.過速停止動作の場合と踏み込み無条件停止動作では解除の時素でも違うのだろうか?
追加情報CHK.:22+14+14=50!OK!

  この図からみると30km/h03信号に突入して非常制動,空走2秒,減速定数20/0.7の条件でコイル長48mで止まるのはなかなか厳しい条件であり,鳥飼事故後に50mに改めてもほとんど余裕がないことが判る.
  50m+余裕距離を取れない場合に03停止信号を使った時素速照装置で過走防止装置を構成することが必要だ.その場合でも,一旦停止後に加速したまま突入されると06/04/21の京王井の頭線吉祥寺駅過走事故のように防御しきれない虞はあるので,K=15(=2.08333km/h/s=0.5787m/s2≒新幹線低速時の最大加速度/常用減速度)での加速でP515km/hですり抜けた場合の非常停止曲線を描いてみたが,流石新幹線!ちゃんと停まれる!
  井の頭線吉祥寺事故もあの線路上の枕木3本は,転動対策に現場が設置してしまった可能性があり,防護設計が京王線の一般的加速度2.2km/h/sまで保障していたかどうかは怪しいが,前部スカートが曲がった程度の壊れ方からすると、あの枕木がなければ事故ではない単なる過走で済んでいた.現場の何気ない善意が軽微とはいえ逆に事故にしてしまった不運な例か?

  冒頭節でも触れたが釈然としないのが鹿児島中央は開業時からKS-ATC=NS-ATCで,停止パターン防御により過走が起こらないハズなのに,それとは別にこの時素速照を設置していること.パターンに下限速度がありそれ以下はすっぽ抜けがあるのだろうか?
  あるいは,速度制限パターンでは安全装置として認められない規則でもあって,03非常停止コイルを置いているものか,資料公表に待ちたい.
(事故時の安全装置まで完備だったとは!新幹線は在来線とはまるで格が違う!06/05/26追記)
(06/05/21追記/24修正)

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