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技術的に詳しい情報の見当たらない
台湾特急過速度転覆事故

 台湾特急プユマ号の転覆脱線事故は、半径約300R(制限速度80km/h?)の曲線に140km/hで突入して起きた過速度転覆事故であり、曲線手前に過速度ATP/ATSを設置しなかったか、ATPを切って運行したため防げなかった事故であることが、台湾の事故調査委員会の発表でも明らかにされたのであるが、事故発生誘因については、日本では非常に曖昧な風評クラスの報道しか見つからず、台湾国鉄が車両メーカーと輸出商社に損害賠償訴訟を起こしたことしか判らない。
 そもそも、過速度転覆事故の責任は、過速度転覆防止対策を採ってない台鉄自身にあり、車両メーカーや商社は無関係なのに、どういう根拠の損害賠償請求なのかの報道が無い。曖昧に伝えられた内容は以下の通り。
  1. ATP/ATSを断にした信号を列車が発して地上の指令室に伝える仕様だったが、納入全編成に渉ってATP/ATS断情報を載せていないまま運行していた。 製造元の日本車輌はミスを認めて、直ちに(ATP入切状態の)信号線を接続した。報道では「設計ミスを認めた」とされているが、正しい表現は、列車から司令所へのデータ送信の「設定ミス」「接続ミス」「受け入れ検査ミス」であり、「設計ミス」はそぐわない表現。齟齬発生はメーカー自身か?翻訳か?報道&翻訳か?疑問のあるところ。全列車でATP入切告知信号の非接続とは!受け入れ検査も日常運行点検もして居なかった訳で、就航試運転に当たっての発注側の指示の疑いさえ有る。本来であれば受信側で捨てて試験すべき内容を、逆端の送信側に求めてしまい戻し忘れたか?と疑うばかりである。
  2. ATP異常は日常、頻発していて、ATP断で運行することも多かった。
  3. ATPが欧州製に換装されていた。そこから日本製ATP車上装置と齟齬が生じた。
  4. 走行中ブレーキが掛かり加速できず停車、空気圧が低下して、(空気圧縮機)コンプレッサー故障を表示。 これをATP故障と判断して、ATPを断にして車両交換予定駅に向けて運行再開。 300R曲線に140km/hで突入し過速度転覆事故に到る。
  5. 空気バネ式車体傾斜装置採用。

これを見ての感想は、
  1. 日本の福知山線尼崎事故2005/04/25をほぼそのままなぞった「曲線過速度転覆事故」。ネットに英文でも公開された尼崎事故調査報告は活用されていない!列車にATPが搭載されていても、個々の現場に機能素子が設定・設置されてなければ保護動作はしないのは福知山線尼崎事故と同じだ。 事故現場に過速度ATPは設置されていたかどうかという重要点の報道が無い。

  2. ATP/ATS故障では運行しない規則を台鉄は一旦は定めていた。 その運転規則を、どんな経緯で反故にして、故障頻発のATPを放置したまま、運転を強行してプユマ号事故に到ったのだろうか?
     台鉄はかって欧州製のATSの故障、動作不安定に悩まされていて、コンサルタントを依頼した元日本国鉄技術幹部斉藤雅男氏の助言で、故障したATSでの列車営業運行禁止規則を定め、動作の安定している日本製ATSに換装して一旦は問題解決している。
     それが、再び欧州製のATPに換装されていて故障頻発となり、その動作の安定性を求めるのではなく、ATPを断にして列車運行継続するのが頻繁となり、プユマ号過速度転覆事故に到った。
     なぜ、簡単には故障しないATPに整備or換装しないで、タブーのATP断運転に走ったのか?再び安定した日本製ATPに換装して解決を図らなかったのか、日本での報道からは全く判らない。 台鉄技術現場の判断と、経営陣の決定に齟齬があり、台湾新幹線建設でも、現場の日本方式推薦を、経営・政治側が無視して一旦は欧州連合と仮契約、しかし台湾中部大震災被害で、車両だけは日本製に戻り、採用してしまった欧州型諸規格・方式との整合、欧州方式保安システム残存に大変な苦労と余分な出費を重ねることとなった。

  3. ATPが欧州製に換装されたとしても、その制御コマンド体系が先に制定されていて、地上装置、車上装置共に制御コマンド体系に従っている大前提の下で、日欧の機器の違いは問題になる余地はない。

    Click here↑

    Click here↑  鉄道ピクトリアル通巻813号'09/01号より
    【日記#456】  ブルトレ「あさかぜ」試運転 関ヶ原降坂過速度事故
    日本製ATP車上装置に欧州製のソフトをロードして発生した不具合であるかの解説も見掛けるが、MPU付属のファーム・ウエアー廻りはハードと一体のもので、もしそこのROMに欧州製ファーム・ウエアーを焼き込んだというのなら、誤扱いの機器破壊行為であり全くの論外で、「動作構造を理解しない門外漢の有り得ない作文」と推測するほか無い。 台鉄のATPが欧州規格のレベル3と言われても、機能定義だとするとハード方式は様々で一義的には決まらない。 それは日本の「私鉄ATS機能通達」1本で、私鉄各社それぞれ別のATSを設置したのと同じである。ATP機能レベルとしては台鉄と同等とされる日本国鉄JRのATS-Pのコマンド表を示しておく。台鉄ATPにもこうしたコマンド表が絶対にある。それに基づいてATP車上装置&地上装置を作るのだから。 Webを覗くとATP機器の日欧の相違をATP誤動作の原因だとする記事ばかりだが、それでは具体的な根拠が無く何の説明にもなっておらず、全く説得力のないものとなっている。

  4. コンプレッサー故障表示で列車が停止したり、加速できないというのは、日本製の車両の場合、車両の主空気溜圧力の低下の症状である。 空気圧低下でブレーキが効かなくなるリスク回避に、下限空気圧以下で強制停止する構造を採用しているはず。それはATPとは独立に動作させている。 空気圧は許容範囲内で運転すべきものであり、圧力不足で停止させたら、圧力回復を待って再発車させるもので、曲線での車体傾斜機構がエア不足の原因なら、車体傾斜機能を停めて再発車すべきもの。
     圧力低下で強制停止する機能は国鉄の初代ブルートレインあさかぜ20系客車の試運転時(1958年s33年)に起きた下り急勾配での過速インシデントの対策として、主空気溜圧力低下で強制停止させる機能が採用される様になった。 曲線連続区間を通っての空気バネ採用に伴うエアー不足によりブレーキ力が低下して関ヶ原の下り急勾配25/1000に掛かる85km/h制限でブレーキを掛けるも、全く減速ができず逆に増速して100km/hを超えて垂井駅を通過、勾配が10/1000に緩んで減速できて事故には到らないで済んだ事象である。
     空気圧不足を生ずる原因は、空気圧縮機(エアー・コンプレッサー)の能力を超えるエアーの過剰消費で、主空気溜のエアーを使い果たして生ずる。 通常は、営業開始前の試運転時期に動作状況を把握して、不足なら空気圧縮機の増設などで調整するものだ。
     プユマ号でエアー不足を生ずる最大の要因は、急カーブ連続区間で空気バネ式車体傾斜装置を採用して高速化を図ったこと。 急曲線の出入口で、車体を傾斜させるたびに大量のエアーを消費するが、エアー供給が不足すると主空気溜圧力が次第に低下、下限圧力に達して直接に強制制動が掛かる。 これ(空気圧低下停止)はATP/ATSとは独立、別系統の安全措置だが、それを「ATP誤動作」と勘違いしていた可能性があるが、報道にはその点の釈明が全くない。

     日本のJR四国でも最近、土讃線・土佐黒潮鉄道用に空気バネ式車体傾斜装置採用の2600型ディーゼルカーを開発、試運転を始めたが、急曲線の多い土讃線運行ではエアー消費が激し過ぎて供給が追い付かずに圧力低下、短編成のため空気圧縮機追加・増強も困難だったため、土讃線より曲線の少ない高徳線に回して、2000型時代と同じ空気消費量の少ない振り子式車体傾斜方式に戻した2700型を開発し直している。
     編成両数の多いプユマ号ならエアー不足を生じても、空気圧縮機増設で切り抜けられる可能性は大きい。最悪、客室を潰しての空気圧縮機設置は日本国鉄で幾つも前例がある。

     急曲線が連続する区間の手前で主空気溜のエアー圧を上限一杯の満タン状態にする制御を加えれば、圧力低下の前に曲線区間を抜けてしまい、解決できるのかもしれない。 =空気圧下限付近で急曲線連続区間に突入すると、エアー不足強制停止が発生するのか?
     エアー・コンプレッサーは通常、間歇動作で、主空気溜管(高圧空気管)圧力が下限値(たとえば7気圧or 700kPa(キロ・パスカル))まで下がると圧縮動作を開始し、上限圧力(たとえば9気圧)に達すると動作を停止する。エアー消費が圧縮機能力より多いと下限値より下がり続けて、そのままではブレーキ管圧力(たとえば5気圧or 490kPa)を維持できなくなってブレーキの効きが悪くなって事故に到ることがあるから、現代の日本製車両では強制停止させて危険回避する。 (鉄道車両での圧力単位表記は[気圧:Atm]→[kg/m2]→[100kPa]と遷移。圧力管理の目安指標で単位自体に意味は無い。メートル法普及に、行政指導で単位違いの圧力計に交換させるのはやりすぎ越権の愚)。
     車体傾斜方式車両の乗り心地から考えれば「振り遅れ」を生ずる自然振り子ではなく、制御式車体傾斜方式だろうから、その車体傾斜制御システムにより曲線区間手前でコンプレッサーを起動して一旦最高圧力にしておくことは容易い。圧力の下限に低下するまでに急カーブ連続区間を抜けてしまえれば実運行に支障は生じない。

  5. 直接の事故原因は曲線過速度転覆で、現場に曲線過速度ATPを設置しなかったこと、あるいはATPを切って運行していたことで、過速度転覆を防げなかったもの。 いずれにせよ事故発生責任は台鉄にあることは明白で、台湾の事故調査委員会の結論も同様である。

     ところが、台鉄は車両の製造会社と輸出を担当した商社を相手にして事故発生の損害賠償請求の裁判を起こして現在、係争中である。台鉄がどんなロジックで、自分の怠慢を阻却し、他に責任を求めているのか、具体的内容の報道が無い。
     製造・技術側としては、理不尽な難癖を付けられて困難で面倒な外国での裁判に巻き込まれることは御免被りたいだろう。あまりに無茶苦茶に過ぎて、相手になりたくない。 原価ギリギリの競争入札など応札をパスしたくなるのは無理からぬ処である。
     台湾新幹線車両の更新で、「見積もりが高価にすぎる」と発注が決まらないが、「電子系部品の製品寿命が大変短く昔のものは製造中止で入手できないから、パワー半導体メーカーに廃止製品の復活生産を特別に頼めるか、改良設計された現系列の製品になり高額化するのと、欧州仏系装置併載の個別新開発でコストアップする」という公式説明に加えて、台鉄経営側≒中国大陸型の理不尽な扱いから距離を置きたい逃げ腰が混じっているようにも見える。 そうであれば欧州系の余裕の無い設計や、韓国製の粗悪品での故障頻発に悩まされて訴訟沙汰を繰り返す方が台鉄には相応しいのでは無かろうか?
     車両老朽化更新を機に、余分なコストと実質盲腸的機能になっている欧州連合式の保安装置(ATP/ATC)併設を排して日本型のデジタルATC方式(ATC-NS)で諸機能統一しコストダウンを図るとか、日本での車両更新サイクルを見ながら、同レベルの新車の量産効果が発揮できる発注にするとか、工夫の仕様は有るように思う。 工場の工程を開けて発注を待っているのではないから、そこそこの受注の有るメーカーに、稼働状況を見ない割込生産発注を掛けたら値段が上がるのはやむを得ないところ。

  6. 鉄道車両は1品生産に近い作り込み調整が必要になる製品で、正式運行前の試運転で長距離を走り込んで不具合を出し切って必要な対策をしてから営業運転に供するもの。 国鉄JRで車両番号が900番台は性能試験用の試作車で、この試運転結果でえられた情報で量産型を作って1から番号を付すのが恒例となっている。 試作兼用車両でも試運転結果による修正を行ってから営業運転に入るもので、空気圧縮機の増設は結構高頻度の微調整として行われている。 台鉄は受け入れ検査の試運転や、営業運転前の慣熟運転で、圧縮空気使用量も、指令室との通信仕様も全く見ていなかったのか!? 細々の検査の外注は有り得ても、走行性能そのものの確認は運行当事者が行うもの。 受け入れ検査全部の外注など運行主体としてそんな無責任な話は無い。 台鉄から試運転結果として圧縮空気不足やATP入切ステータス不在が指摘されていたら直ちに対応が採られていたはずの初期調整事項である。 しかもATP入切ステータス不送信、ATP断運転は事故発生前のトラブルとして指令も理解していたから、事故発生の直接の誘因ではない。

     台湾占領外省人たち(中国国民党=大陸側)の握る台鉄経営側が中国大陸型の厚顔無恥で不当な請求を吹っかけてきているのだろうか?それとも、英国国鉄線の車両保守まで一括で請け負った日立製作所のように、丸ごとの請負でないと台鉄技術水準では危なくて商売が出来ないのだろうか??
     元々台鉄は日本国内という建前で鉄道省規格で敷設・運営された準日本国鉄で、日本国内として技術定着を図っており、日本から独立後も基本規格はそのまま引き継がれているところだ。
     インフラ建設に技術移転込みで現地メンテを目指すのが日本型、末端作業者まで本国から供給して投資を丸ごと回収、現地に技術は何も残さないのが中共型インフラ輸出。 台鉄は日本とは抜群に相性の良い鉄道で、新幹線運営技術幹部だった斉藤雅男氏に技術指導を依頼、ATS故障時の運行禁止・ATS装置換装などを決める大変深い間柄だったのだが、いつの間にか大陸政治絡みなどで発注先が選ばれ、付属の技術移転は放置で技術的な主要部まで揺らいでいるのだろうか?


    合理的な目標&手順の無視頻発!
    衆愚の煽りは見破ろう  <2>

     「アイドリング・ストップ機能」を搭載しない乗用車が売られ始めたとのニュース。 冷静にアイドリング・ストップの効果を考えれば、エンジン始動時の総損失と、過剰な燃料消費が、エンジン休止の燃料節約・排気削減を上回る場合が多いことも最初から見えていたのだから、技術的には不合理な世論傾向におもねったコストを上げるだけの無駄機能である可能性が強い。
     アイドリングが嫌われるのは、寒い朝に「暖気運転」と称して、チョークを引いてエンジンを起動して、結構な長時間、濃い排気と騒音を撒き散らす不快な印象が主だった様で、特にディーゼル車の暖気運転の騒音と滞留する排ガスは酷いものだった。 信号待ちなどでの短時間のアイドリング・ストップなど効果が疑わしく、機能廃止は科学技術的には妥当な判断だろう。
     一般市民からアイドリングが嫌われる本質をきちんと突き詰めていたら、走り出し時のエンジン出力制限を行うことで停止したままの暖気運転の時間制限を行って、近隣への騒音被害と排ガス被害を抑えた方が有効なのだろう。 敷地一杯の車庫で冬期にディーゼル車で5分間も暖気運転され濃厚な排ガスを直接吹き掛けられる隣人は堪ったものではないが、御当人は「暖気運転は定められた操作」として他への迷惑に全く痛痒を感じていなかった。 アマチュア無線で大電力運用して近隣電気機器に障害を与えているのに「局免許を受けていて合法運用」と強弁して大電力無線局運用を強行し、加害者が被害者に「仕返し」する御仁には打つ手がなかった。 ここを改める運転方法の普及がスジだったのはないだろうか。

     森林資源保護を大義名分とした割り箸使用禁止運動が、森林育成に必要な「間伐」で発生する間伐材の需要≒割り箸を抑えてしまい、触れ込みとは逆に森林育成妨害になったという迷惑なものもある。 主に効いたのは建築工事の安全確保に鉄パイプ足場になって、間伐材を使った足場丸太の需要がほとんど無くなったことで、木材加工の端材が主原料である割り箸への使用禁止も効いている。 実際は無関係の端材・間伐材利用は標的にせず、森林再生を無視した乱獲が明らかだった南洋材・ラワン材などの、世界規模での乱伐を防ぎ森林資源が枯渇してゆかない、再生産量に見合った需要・供給に管理するのが本筋だろう。 物理的な計測や理論解析無しに、肌感覚だけで煽り世論を蔓延させて無用の規制をしてはいけないものも多いと言うことだ。

     3.11東日本大震災と福島原発爆発事故を契機として、大地震災害国日本での脱原発志向は総論としては妥当な政策だが、どういう手順で他エネルギーに切り替えて行くかの経過措置を含めた具体的方針と実践がないと、掛け声倒れで、老朽化原発建て直し勢力に押し切られてしまう。 放射線による素材変質が起こり、それに依る脆性破壊を怖れて使用年限40年を定めて原子炉内にテストピースを置いて強度を確認実験しながら運転してきたのに、エネルギー危機に乗じて科学的な根拠無しに60年に延長、さらに休止期間分を加算する、新型炉を建設する、と福島第1原発事故の収束がおぼつかないのに脱原発を反故にする勢いである。 代替手段の準備の無いまま残り燃料を含めて即時廃炉では通らない。
     福島原発事故で脱原発方針を出したドイツは、現行原発は使い切る方針の様で、少なくとも核燃料は使い切って廃炉が具体策だった様だ。実務的に進めやすい方針だったが、ロシアのウクライナ侵略でロシアからのLNG輸入を停められて当面の対策が必要になり、大きく揺らいではいる。

     脱炭素を旗印の自動車の全EV化=石油系エンジン車全面禁止法も、石炭火力全面禁止運動も同様の観念的行き過ぎで最適解ではない無茶な方針である。 CO2を出すLNG火力発電は認めるのだから、LNGを基準に石炭火力も単位出力当たりのCO2放出量で規制する様にして、CO2回収技術・発生抑制技術の開発・育成を図る必要はある。LNG火力の発する膨大なCO2に全く言及しない石炭火力攻撃には科学的妥当性がない。本来はLNG火力利用も一時的な経過措置である。 石炭火力発電で開発されるCO2回収技術はLNG火力にも、ガス・タービン火力にも適用させるのは当然だ。 石炭火力発電といっても、熱効率30%そこそこの旧型と、熱効率55%に達する複合型とでは、同一出力でCO2発生量が倍近く違って、吸収・固定も楽になりLNG火力と併用できる。 (10万kW出力発電所では効率30%なら33.3万kW分の石炭を消費るが、効率55%では18.2万kW分の石炭消費で済む。CO2発生量は44%減って、固定化処理も実現の可能性が出てくる)
     現状、EV(蓄電池自動車)のエネルギーの多くを、CO2発生のLNGや石油による発電に求めていて、多量の送電損失もあって総合効率を下げているし、電池による環境破壊も大きいのが長く続くことが予想されているのに、画期的な高効率エンジンと発電機、インバータ駆動のモーターによる高効率ハイブリッド車を禁止するというのは、却ってCO2を増やす逆効果になる。
     発電所と送配電網を含めたEV車の総合効率は、現状、ハイブリッド車にかなり劣っている。 それなのにハイブリッド車禁止法制定とは、欧州勢が脱炭素に託けて日本勢に仕掛ける産業戦争の疑いが濃厚だが、電力不足、充電インフラ不足、充電時間と電池の低温性能悪化、走行可能距離とで全面EV化政策は実現前にパンクする可能性が強い。けして純粋に脱炭素を追った法規制ではない。
     オリンピックに勝つために、都合の良いルールづくりを強行してライバルを潰し、自国のメダルを増やしてきた欧州勢の陰湿なやり方が、産業政策にも出て来た様に見える。 潜水泳法にポイント柔道、ジャンプのスキー板の身長リンク規制、高梨沙羅をジャンプ・スーツ規制を口実に飛翔後異様な計測で引っかけて失格・優勝剥奪、古くは映画スター・スキーヤー:トニー・ザイラーのアマチュア資格剥奪競技者追放・・・・・・。 鉄道での欧州基準にも「詳細工程全部の登録認証規程」など、新参他者排除のギルド的独占目的が疑える規定方法が少なくない。 彼らの制定する「国際規格」を包含している日本独自規格を押し出す手もあるのだが、日本側は後手後手に回り純情に過ぎる様だ。 たとえば新幹線架線電圧規格25kVは欧州で許容差±10%以内(22.5kV〜27.5kV)だが、日本の新幹線規格は±20%以内(20kV〜30kV)許容となっていて、変電所から離れて使い、思わぬ重負荷が発生して饋電停止となりかねない列車の実運行に自由度が大きく有利である。 毎時2〜3本が走る欧州とは違い、毎時13本の列車ダイヤを捌いている日本の規格で電圧許容幅を大きくするのは当然である。 欧州規格を他者排除の道具にさせず、技術的合理性で押せば良い訳で、台湾新幹線の設計仕様で「3分間隔運行許容」を言われたのだから、「毎時3本走行程度の欧州規格±10%許容では実運行に余裕が足らず無理があり、±20%の台湾新幹線規格(=毎時13〜15本を運行している日本新幹線規格)を制定せよ」と噛むべきであった。 他者排除・抑制規格にはさせず、変電所間隔やその変圧器の設計に微妙に影響していたはず。 中国新幹線での日欧の故障発生率の大差からは、欧州型の厳格規格は効果が薄く、日本の方が構成部品の性能の余裕を大きく取って安定している様に見える。
     昔からの成り行きでトヨタや労働組合弾圧・不当労働行為・プリンス自工政治力収奪のニッサンは好みでは無いが、「EVだけに絞らない、全方位の開発を維持」というトヨタの方針は妥当だろう。 それを貫く体力があるかどうかだが、EV化しきれない需要を高効率エンジンとHV車(ハイブリッド車)が皆さらって、遠くない将来に結論が出そうである。
     大都市部で充電待ちを生じない必要な量の充電インフラ整備は困難だし、AALA開発途上国に充電インフラなんか整備できる訳が無い。 第一、日本では現在でも発電能力・送配電能力が不足している。今後増えるEV車需要に応える発電所の増設は、水力も原子力も無理があり、太陽光や風力も増設速度に問題がある。


      震源までの距離推定

    L=8.0〜9.33×t
       横揺れS≒4km/s、粗密波P=7〜8km/s
    ∵L/S−L/P=t → L=t/(1/S−1/P)
      → L=8.0t〜9.33t
    初期微動から横揺れまでの時間が10秒なら、
    震源距離Lは、    L=8.0×10〜9.3×10
       =80〜93km

    建設の立ち上がりが速いのは各種(複合)火力発電=LNG火力、ガスタービン、石炭、等になってしまう。 かって新鋭石炭火力発電所として建設された千葉火力発電所は、老朽化廃止されていたが東日本大震災後の電力不足で、跡地にガスタービン式発電所が建設された。 それなら暫くの間は高効率エンジンや、それを使ったハイブリッド車の方が優れている。 AALAなどや末端地域からEUへの入域禁止など強行できるだろうか?東京23区への未対策ディーゼル車入域禁止とは規模が違いすぎるし、浄化装置で解決できたディーゼル車規制や、エンジン構造の大改良設計と浄化装置でクリアできたマスキー法とはことなり、EV限定(=HV排除)では改良型が全く許されていない。
     充電電池式のアシスト・バイク利用者は多いが、フル充電での走行距離は短く、しかも冬など低温下では1/3程度の走行距離に落ちてしまい、充電管理に難儀すること、電池の蓄電能力低下・損耗も速いことは知られてきた。 スペア電池を準備して、本体と充電器に差し替えて使って充電待ち時間をなくすが、スペア電池が数万円!アシストバイク全体価格の4割前後になる。 自動車では非常に重い蓄電池の日常的な載せ替えは無理だし、高価な蓄電池の短命!買い換えは堪らない。 HVでも蓄電池経年劣化は酷いのだが、交換する容量はEVより少なく安価に交換しやすいのと、自動車の場合はパラレルHV構造で、エンジン力を走行力にも使う構造なので、電池劣化で生ずる最大加速力の低下はエンジンが負担してEVより目立たないから電池寿命一杯に使いやすいだろう。 鉄道車両のようなシリーズHVでも、走行電流以上の発電が可能で電池に頼らず走れるのなら問題ない。 逆に考えると、エンジンだけでは走れない出力不足の場合に不都合を生じてHV車で蓄電池交換が求められる。 マツダ開発の高効率エンジンと、トヨタのハイブリッドを組み合わせるとか、協力できないモノか?


    フェード現象で確定
    富士山バス転覆事故  <3>

     昨年10月、富士山観光道路で観光バスが横転、乗客が亡くなった事故(日記#469)の原因は、フットブレーキの過熱によるフェード現象に依るものと県警が結論づけた(右枠上2023/02/16東京夕刊6面)。 バスの機構部には異常は無く、長い降り急勾配の制動をフットブレーキにのみ頼って運転したためブレーキが過熱してフェード現象を起こし、ブレーキが効かないまま2kmも運転、過速度転覆事故に到ったもの。
     山岳路線で、Lowギヤのエンジン・ブレーキを使わない知識・経験不足運転者を使う会社側に重大な問題があるが、道路脇にもギヤ・ダウン、エンジン・ブレーキ使用を促す勧告標識は設置すべきではないだろうか。 乗用車ではシンクロメッシュ機構の高性能化、AT車全盛と、放熱の良いディスク・ブレーキの採用で、シフトダウンなどほとんど意識せずに降坂してもあまり問題なくなり、その感覚のママ大重量車を運転すると急坂降坂でエンジンブレーキを充分使わずフェード現象に陥り易いから、長い下り急坂上にはシフトダウンを促す特別の指導勧告看板は有った方がよさそうだ。 今や「ダブル・クラッチ操作」とか「トゥ&ヒール」など、特殊なカー・マニアか、山岳路線専門の大型車運転手しか知らない古典的運転技術になってしまったから、長い降坂運転箇所に特別の注意喚起が必要になった。 (シンクロ・メッシュ機能の無かった時代のシフトダウンでは「ダブル・クラッチ操作」は必須だったのだが・・・・・。シフト・ダウンのダブル・クラッチ操作は、シャドー操作で繰り返し練習してから実車での練習走行を行ったものだ。 高校時代に畔道で乗った軽トラ、スバル・サンバーはダブル・クラッチ必須だった気がする。 まだシンクロ・メッシュがなかったのではないか?)。

    幸運新幹線!事故調委中間報告
    地震停止後に脱線か!  <4>

     日本の新幹線は1964/10開業当時から変電所を地震計連動として停電させて一斉停車を図っており、さらに東海沖地震発生懸念から沖合設置の地震計を含めた震度予測で、初期微動のうちに停止コマンドを発して全線停電で停めるようになり、一般向けを含めた「緊急地震速報」に引き継がれたから、地震に対する減速開始時期が早まり、地震波の伝播時間だけ列車速度が落ちたところで揺れに遇う。 鉄道事故調査委員会の中間報告報道に依れば、今般2022/03の東北新幹線脱線事故では主振動到達前に停止していて、停止状態で脱線したというのである。(右枠中2023/02/16東京夕刊6面) (事故調中間報告:http://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-acci/keika20230216-1.pdf)

     地震動の伝播速度は、振幅の大きい横波S波で4km/s前後、速度の速い粗密波P波で7〜8km/sだから、現行のP波最大震度予測方式では海溝型地震に有効で沖合の地震計による観測が速い予測に寄与している。 直下型地震である中越地震では震源付近を走行中の新幹線が初めて脱線している。
     2022/03地震では、最大震度6で、橋脚が崩れて橋桁が大きく陥没した箇所が多く有り、大変大きな地震振動だったことが判るが、今回も人的被害は出さないで済んだ非常な幸運が続いている。 「320km/h走行から白石蔵王駅停車のため減速中、約150km/hで緊急地震速報(震度5)の即時停止が掛かって非常制動、停止後、約2分間隔でさらに大きい揺れ(震度6)に見舞われて脱線」という事故調の推定だから、 最大減速力で考えると37.5秒〜40秒で停止、海底地震計データ推定からの停止コマンドは、本震到達より10秒(震源80km:震源距離計算式は右枠内)早く届いたとして、2発目の大きな地震前に停止できたのは非常な幸運ではあったが、多くの車軸は脱線が逸脱防止金具では収まらずレールを乗り越えていた。 停まってからの脱線でなければ大被害になっていた可能性がある。逸脱防止金具の有効性については事故調査委員会の「中間報告」として評価を保留している

     「幸運」を辿れば、かっての北伊豆地震では断層が動いて掘進中の東海道線丹那トンネルが斜め横方向に2.5mもズレて坑道が塞がれたから、直下型地震は避けようが無く、高速の営業運転中だと大惨事になっていたケースであるが、幸運にも丹那トンネル開通前だったし、東海道新幹線開業1964/10前の新潟地震1964/06の大被害で、開業までに地震計連動の変電所停電機能を導入した。 交流電化である新幹線のATCの通信に電源同期SSB変調を採用していたから、停電で搬送波の基準60Hzが無くなってSSB復調が出来なくなり自動的に非常停止現示扱いとなって停まる。 デジタルATCに換装された現在もこの停電停止機能は高速動作化して残している。 震源直上で直下型地震に見舞われた中越地震では脱線新幹線車両の台車車輪間にレールが挟まって誘導して線路からの転落を抑えていた。 対向側を支障して停まった脱線車両に衝突する対向列車も無かった。幸運そのものだった! 以降、JR東日本の新幹線車両には、脱線してもレールをトレースする金具が附されている。
    (JR東海の新幹線=東海道新幹線は脱線車両を線路内に誘導するガードレール設置を選択した)。


    硬化肥厚角質除去に
    「ダイヤモンド・ヤスリ」卓効!!  <5>

     かかとなどで肥厚した角質が硬化してひび割れして炎症を起こし激痛となることがある。 若いウチはひび割れ用の軟膏塗布で劇的に改善され、入浴時に軽石で削り取って以降予防できるが、高齢化に伴い硬化した角質を削れなくなってひび割れ激痛を繰り返してしまう。時に炎症回復まで化膿防止に抗生物質を処方されながら根本解決できないでいた。 硬くなった角質はサンドペーパーや金属用ヤスリ程度では歯が立たず、お湯に漬けたりクリーム塗布柔らかくしても半日保たずに硬化して痛みが出て、テープ貼付で凌いで困っていたのだ。

     だが、瀬戸物やガラス、超硬ビットを削るヤスリを持っていたことを思い出し、それで足裏のひび割れた角質を削ってみると切れ味良く削れて、多量の白い削りカスが出て、削り過ぎて痛みが出るほどだ。 硬化した角質部だけを良く見極めて注意深く角質だけ削るようにしてシツコかった足裏のひび割れ問題を解決。
     角質の研削後、1週間ほどすると、研削面が再び乾燥してひび割れしやすくなるが、再度、乾燥部分を削ってしまえばヒビ割れすることはない。硬化した角質の研削が永久に続くことはなさそうだ。

     元々は錆びさせてしまったプラグとコネクターを研磨・復活させる小道具として、真鍮丸ブラシ、サンドペーパーなどと共に入手していたものだが、思わぬ処で卓効に気付いた(右下包装&取説→↑)。

    2023/02/18 23:55

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