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ブルトレ「あさかぜ」試運転
関ヶ原降坂過速度事故とは

 日本初の専用固定編成寝台特急あさかぜ20系車両が就航前の試運転中に東海道線関ヶ原−垂井間の急な連続下り勾配でブレーキが効かなくなって脱線転覆事故懸念の速度超過状態となっている。運良く事故に到らず助かった。このトラブルの事実認識が2ちゃんねるで論議されていた。

【】

貨物列車総合 67
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/train/1614068718/87-111-319

87 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2021/03/04(木) 21:40:23.65 ID:LyR5sEU30
EF58牽引、20系客車の試運転で、曲線だらけで空気バネへの供給が追い付かずエアー不足に 陥り関ヶ原を無制動で駆け下り大垣駅を130km/h超で突っ走った事件は割と有名では?
おそらく日本における狭軌の普通鉄道線での機関車列車の最高速度記録保持者だろう。
意に沿わないスピードレコードではあるが。脱線しなかったのが不思議とすら云われている。

92 名前:名無しでGO![] 投稿日:2021/03/05(金) 09:10:43.71 ID:U4+vKZmB0 [1/2]
>87 は嘘だね
だって、関ケ原駅が20‰の後は緩やかな下り坂だが垂井駅の曲線が曲がれたらね

94 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2021/03/05(金) 14:21:17.11 ID:acLJHPaC0
?何処で込め不足を起こしたかってことじゃないの?>>92,87
下ってきてエア不足になり、勾配で加速して危険な速度になって、コンプレッサーの増力をした。
鉄道ピクトリアル通巻813号'09/01号より

地形図では大垣−関ヶ原間の標高差が約100m、垂井−関ヶ原間が急勾配。

新形式の運行試験は定格〜+10%程度で長期に行われるから、 坂上関ヶ原で初速90km/hで降下を始めて込め不足でブレーキが効かず加速を始めてどれくらい下ったか。

V22−V12=2GH → H=(V22−V12)/2G だから、90km/h→130km/hに到る標高差は最低でも
H=((130/3.6)2−(90/3.6)2))/(2×9.80)[m]=34.6 [m高]
→25/1000勾配で走行距離は×40倍=1386mで90km/h→130km/hに達する。

数値的に不自然さはないよ。ウソとは言えない。

108 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2021/03/06(土) 09:23:42.52 ID:F9fv1qWp0 [1/4]
>>92
> >>87 は嘘だね。 垂井駅の曲線が曲がれたらね

?曲線半径は?
尼崎事故での事故調の試算によると転覆速度は300Rで車種により105km/h〜114km/h。
この範囲なら通過可能。
また、追い込めが間に合ってブレーキが効いたとこは何処からか?

 試験運転は実力派運転士が担当することが多くて、その技倆を以てしても追い込めが出来ずに加速した異常事態にコンプレッサー増力改造した訳だから、空気バネのエアー多消費との判断だった訳だ。
 急勾配は関ヶ原−垂井間で、垂井駅から大垣が緩くなる。100m高を1/40で下るのだから4kmくらいは急勾配が続いてる。 結論を急ぎすぎのデマ発生源になってないか?

※大昔の修学旅行の帰路に、垂井線を1シリンダー方式の旧客で下ったことがあるが、あの1シリンダー構造はブレーキががかってる間中、ブレーキの摺動音が客車の床に響いて何分も続く長〜〜〜いブレーキ音に「大丈夫かい!?」と不安を感じるほどだった。 登坂用の別線が必要なくらいの難所だったことは留意しよう。

111 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2021/03/06(土) 13:04:33.07 ID:n80lWQIP0 [2/13]

元国鉄名古屋機関区機関士池村仁氏の回想
関ヶ原降坂ブレーキ異常過速度
鉄道ファン1994年4月号(通巻396号)43ページ

 やがて関ヶ原を減圧しつつ通過し、20‰の下り勾配にかかると、制限85km/hのため、さらに減圧をするのであるが、思うようにブレーキがきかない。(引用者注:減圧する=ブレーキを掛ける運転操作)
速度は90km/h以上出ている。
後部から客車がどんどん押している。
現車14両、600tである。(注:試運転時は13両固定編成。後日増車を失念の可能性あり)
とりあえず機関車のブレーキを最大に使い減速するが、すでに速度は95km/hを超えた。
下り勾配では、あまり機関車のブレーキを使用すると、タイヤが緩み下手をすればタイヤが外れ、脱線にもなりかねない。
運転席の下を見ると青白い煙。

しかしここでブレーキを緩めたら150km/hを超えることになるだろう。
アッという間に垂井を100km/h近い速度で通過、そして幸いなことに、ここでここで再び客車のブレーキがきくようになったのだった。

で、後日判明した原因は。
この新製客車は、台車に空気バネを採用していたが、カーブにさしかかると車体が傾き、その時台車の片側の空気が抜け、元に戻る時には空気を補充しなければならない。
この空気に制動用の空気を利用していた。
そのために、下り勾配でカーブが連続する区間では、各台車が復元のために制動用の空気を使ってしまい、あたかも込め不足と同じような状態を作ってしまったのだった

201 名前:名無しでGO![] 投稿日:2021/03/11(木) 21:41:12.10 ID:5FRqx6zy0 [2/2]
やりたい方へ

標高は
関ケ原駅 121.6m
垂井駅 29.1m
荒尾 10.3m-15.8m-10.3m (交差)
大垣駅 7.2m

ttp://senrohaisenzu.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2011/07/16/1r.jpg
ttp://senrohaisenzu.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2011/07/16/2r.jpg

222 名前:名無しでGO![] 投稿日:2021/03/13(土) 10:11:26.35 ID:cStSUJAJ0
そろそろ落ち着こう?
そもそも垂井に急曲線なんかなく、最大でR=700m(右カーブ)。 何人か主張してる左カーブはR=1100m。
ちなみに柏原→関ヶ原はR=400の連続
この真偽が気になるなら現地見てきてください?

数学好きの皆様。便所の落書き程度の情報から答えを導いても無駄な事だと思いませんか。


 動くホテルとの触れ込みの寝台特急あさかぜ固定編成も、デビュー試運転当初は蒸気機関車牽引対応で、一般旧型客車と同じく自動ブレーキ方式で、そのブレーキ管から空気バネのエアーを供給する方式で、高圧空気の引き通しは無かった模様だ。
 そのため九十九折りカーブでエアーを消費してしまい関ヶ原下の長く急な下り坂で「込め不足」のようなブレーキ力不足が起こって減速できなくなり、危険な過速度状態に到ったが、垂井駅を過ぎて勾配が緩やかになって事なきを得たのが概略である。下記記事からすると営業運転までに高圧引き通し化は行われていたように読めるが、一部区間牽引の蒸気機関車には元空気溜引き通しはないから正しくない。
   See→国鉄20系客車#ブレーキ@Wikipedia

 最高速度130km/hに達したとする#87のレスがきっかけとなって、スレの論議は大別して2系統あり、検討に必要な客観データ提示と、それに基づく有りうる範囲の算出、さらに知識自慢ヲタのマウンティング合戦が加わって非常に荒れたが、なんとかトラブルの実態が明確になったようだ。

 1系統は元記事#111の内容との適合性のみを云い、
 もう1系統は、元記事#111そのものの妥当性を含む物理的・客観的検討、その元となるデータ提示であることが判る。
 体験、目撃証言は重要だが、咄嗟の認識の誤り、記憶の変遷はプロと云えども良く有ることで、周辺の客観状況から検証して物理的に確実な範囲を固める必要はあるのだ。物理的に有り得ない出典記事は不採用だ。これはWikipedia型の出典文字列追究では収まらない。

 順を追うと、関ヶ原降下過速度事故の存在紹介がレス#87と、原記事#111
現場の勾配データが概略レス#94、拡大レス#237、詳細レス#215、平面図:航空写真レス#319、標高レス#201

まず、標高#201から、関ヶ原駅121.6m、垂井駅29.1mで、標高差が92.5m。勾配図#215よりtanθ=20/1000≒sinθ
坂上関ヶ原での初速V0は、「坂の制限85km/hで減圧(=ブレーキ操作)したが効かなかった」(#111)だから90km/h〜95km/h(当初の20系客車許容最高速度)と考えられる。
到達速度V1と、標高差Hと、降下加速度α、重力加速度g、勾配tanθ≒sinθ(微少角)、降下パワーPf、列車重量M、の関係は、

 公式導入部から示せば、
等加速度運動→ V=α・t、 L=∫V dt=∫α・t dt=(1/2)α・t2
力の定義  F=M α=M g sinθ
仕事Wの定義
  Wv=F L=M α L=M α(1/2)α・t2 =(1/2)MV2
  Wh=M g sinθ L=M g H=M α L
Wv=Wh より、
   (1/2)MV2=M g H=M α L
両辺÷M    V2=2 g H=2 α L
2状態 V1、V2の差は V12=2 α L1、  V22=2 α L2
   V22−V12=2α( L2−L1)=2 α L
   V22−V12=2 α L  となる。

すなわち、V0→V1 では、
  V12−V02=2αL  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
  α=g・sinθ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)勾配加速度
  H=L・sinθ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)勾配距離→標高 より
  Pf=FV=MgV・sinθ≒MgV・tanθ ・・・・・(4)微少角
 (3)より L=H/sinθ ・・・・・・・・・・・・・・・・・(3’)
(2)、(3')を(1)に代入
  V12−V02 =2g・sinθ・H/sinθ=2gH・・・・(1’)
    ∴勾配下降速度は(0抵抗では)落差に依り、勾配には依らない
(5).V1(H,V0)=sqrt(2gH+V02):標高、初速→降下速度
  無ブレーキ降下、初速95km/h、降下高度92.5mでは
   V1=sqrt{2×9.8×92.5+(95/3.6)2}×3.6=180.3 km/h:
    ・・・・・自由降下で達しうる最高速度(〜180km/hの範囲は有りうる)

(6).90km/h→100km/h増速、勾配20/1000、として実効制動力bを求めると
  (100/3.6)2−(90/3.6)2=2(g−b)92.5
   (g−b)=0.79246 m/s2
   →b=9.8−0.79246=9.0075408 m/s2(垂直減速度)
  ∴斜面制動力=9.0075408 m/s2×(20/1000)=0.1801508 m/s2
           =0.64854 km/h/s
 通常の客車の制動力は2.0〜3.5 km/h/s 程度であるから、制動力が極端に低下していたことが判る。

 降下速度100km/h、勾配sinθ=20/1000、列車重量M=600 ton、降下速度V=100 km/h、として、降下仕事率Pfは、
   Pf=600×9.8×(100/3.6)×20/1000=3,267 kW
 実際には走行抵抗なども有るが、電気機関車フルパワー分の位置エネルギー放出の発熱は有り、摩擦ブレーキや電制などで吸収すべき熱量

(7).90km/h→130km/h増速(=伝説値)、勾配20/1000、として実効制動力bを求めると
  (130/3.6)2−(90/3.6)2=2(g−b)92.5
   (g−b)=3.670337 m/s2
   →b=9.8−3.670337=6.129662996 m/s2(垂直減速度)
  ∴斜面制動力=6.12966 m/s2×(20/1000)=0.122593 m/s2
           =0.4413357 km/h/s
 最高到達速度130km/hも充分あり得る危機的状況であった!

ブレーキ管では不足、空気バネの空気源
対策は高圧空気管引き通し

 固定編成20系客車による寝台特急あさかぜデビューの1958年(s.33)当時は、山陽線も鹿児島本線も未電化区間が残っていて蒸気機関車牽引区間さえあった。 そのブレーキ装置は「自動空気ブレーキ」1本であった。ここから空気バネの高圧空気を得ていたことで、つづら折り通過で大量のエアを消費してブレーキのエア不足を起こしている。

<#215>

南荒尾−関ヶ原上下線勾配図@国鉄。東海道上り線(急な下り勾配)が現場>>201,215
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/train/1614068718/201,215
<#237>

近江長岡−関ヶ原−垂井−大垣降坂勾配図>>237(左右反転)
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/train/1614068718/237n
<#319>

米原−関ヶ原−垂井航空写真>>319
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/train/1614068718/319n

 「自動空気ブレーキ」は、列車分離に際して即座に非常ブレーキが掛かって暴走を防ぐフェイルセーフ機能のブレーキである。 動作構造は、ブレーキ管に高圧空気を送って、それをブレーキ動力である補助空気溜に蓄えておき、制動時はブレーキ管の圧力を減らすと、「三動弁:A動作弁」という制御弁付き逆止弁が働いて、補助空気溜の高圧空気をブレーキシリンダーに送り込んでブレーキを掛ける方式だった。 ブレーキ管の圧力を上げると一種逆止弁である「三動弁:A動作弁」を通じて補助空気溜に高圧空気が送られ、同時にブレーキ・シリンダーに送られた高圧空気を排出する。
 こうすることで、希に起こる列車分離に際して即座に非常ブレーキが掛かって暴走を防ぐ。これは国鉄の旧型車の主ブレーキであり、旧型国電では付帯装置として応答高速化のための電磁吸排気弁と高圧空気の元空気溜管引き通しを付加していて、さらにモハ90/101系からの新性能国電のバックアップ・ブレーキとしても長らく用いられた方式である。
 その重大な弱点が「込め不足」といって、補助空気溜の高圧空気を使い切ってしまい、ブレーキが効かなくなる条件があること。
蒸気機関車牽引の20系客車
蒸気機関車牽引の特急あさかぜ20系客車


 あさかぜ用20系客車は客車として初の空気バネを採用した車両だが、それを動作させる高圧空気をブレーキ管から得ているから、空気バネが急激にエアーを消費して減圧してはブレーキが掛かってしまう。 それを避けるには空気供給能力を増やして、空気バネ動作用の補助空気溜を設けて逆止弁とオリフィスを介して、ブレーキ管が減圧しない範囲でジワジワと使うしかない。 それが連続カーブでブレーキ管エアー使いすぎてブレーキ用の補助空気溜に高圧空気を充分に貯められなくなってブレーキが弱くなり過速度事故が起こった模様。 当初の20系客車に、空気圧の下限で非常制動が掛かる機能はまだ無かった様だ。 あれば先に停まっている。
 台湾プユマ号事故では車体傾斜機構でエアを使いすぎて非常停止が繰り返し働いているがATP故障(ATS故障)と誤解、過速度で惨事に到った。 この事故に絡んで車体傾斜機能によるエア不足改修の責任が台鉄、日車どちらに有ったかで台鉄側から裁判が起こされている模様。 事故前にエア不足に気付いていたのなら、改修までの間、先ずは車体傾斜機能を止めて圧力低下を回避することを運転士に徹底する必要があり、ATP故障と勘違いしなくて済んだはず。 営業運転前の試運転からずっとエア不足に気付けなかった結果の事故の様に思えるが。
 「中継弁」はブレーキ管減圧増強だけでなく増圧も加速できるのだろうか? 電車のようにブレーキ管とは別に高圧空気(元空気溜)管の引き通しが有って、そこから空気バネ用の高圧空気を供給し、各車両の電磁弁でブレーキ管の空気を制御していたら防げた事象であった。

 対応としては、列車にブレーキ管とは別に高圧空気引き通しを行い、高圧空気引き通し管(元空気溜管)を持つ専用機関車に依るか、固定編成全体の冷暖房電源を積んだ「電源車」にコンプレッサーを積むことで解消できる。
 空気バネの消費分だけエア供給量を増やさないと事故が再現してしまうからトラブルを承けて営業運転開始までに何らかの改造済みなのだろうが、デビュー当時は蒸気機関車牽引区間もあり、そこでは機関車からの高圧引き通しは得られない。 エアの供給能力増は図っている筈だが、その改造内容の解説資料が見当たらない。
 後の110km/h化改造で元空気溜管からの高圧空気引き通し管を設けて各車両に電磁給排弁を付加するなどで応答高速化を行っている。 「電源車」は寝台の無い新聞輸送の荷物車だったりサロンカーだったりした。急行用格下げ改造ではここにコンプレッサーを積んだ。

ブルトレ「あさかぜ」試運転、 関ヶ原降坂過速度事故で、資料が見当たらない不明点は、このトラブルを承けて、取り敢えず営業運転開始までに何処を改良したのか?だ。

(1).参宮線事故での恨みの「中継弁」は、減圧伝達強化だけでなく、増圧も強化するのか?であれば有効。
(2).空気圧の下限を定めて非常制動機能を付加したのは何時の改造か?
は調べてみる必要がある。

(3).一部蒸気機関車牽引でデビューしてるから、機関車からの高圧引き通し(元空気溜管引き通し)はない。
(4).110km/h化改造は、デビュー時ではない。高圧引き通し機関車+各車に電磁吸排気弁+・・・・・・
(5).「電源車」に空気圧縮機を積んで高圧引き通しをしたのは急行用への格下げ時。(4)とは別の改造


マイ・マイク for カラオケ用 memo  <2>

2021/03/02作成メモ
 新型コロナの感染抑止に「マイ・マイク」をという声もあり、既に入手した方も居られますが、無線方式では通信方法が合わずに使えないとか、有線の紐マイクでは感度が大過ぎ・小さすぎで合わないとか、音声を適切に拾わないなど、トラブルに見舞われて高価なマイクが使えないことも起こって居ます。そこでマイ・マイク選択の予備知識を綴っておきます。

[fig.1] Cardioid: A(θ)=G(1+cos θ) 指向特性は重要

[Pt.1] Cardioid 単一指向性表示:UNI-PEX MD-66型

[Pt.2] UNI-PEX MD-66型

[fig.2] 3極プラグの結線(平衡ケーブル)UNI-PEX
[fig.3] ワイヤレスマイクのチャンネル表
  :C ch=300MHz帯     & B ch=800MHz帯

 カラオケは元々コード付き手持ちマイクで始まって、そこに無線マイク受信機を挿す「コードレス・マイク」となった経過で、現行のカラオケ機種でも「単一指向性」の「手持ち型」で「出力規格と接続プラグ」が合えばほとんどが接続可能です。 だから店の接続可否の方針次第ですが「新型コロナ感染抑止」業界指針での推薦もあり接続拒否は例外的でしょう。 (受信機出力がLINEやAUXではMic端子での使用不可)

 紐式が廃れたのは店内の自由な場所で歌う需要が勝ったためと、コードを引っかけて落下させ破損させる事故が相次いだためで、延長ケーブルを使うなどして邪魔にならないケーブル回しが必須ですが、ワイヤーレス方式でも落下故障事故はかなり多くて、決定的な差違ではありません。

 カラオケ・マイクの絶対的条件は、前方向の音は拾うが、他方向は抑制して歌い手の声を中心に拾う「単一指向性」の手持ち型です。 ステージや屋外で使うには経験的に周波数特性より優先して選ぶべきで、「音楽用」より「スピーチ・ボーカル用」の方がずっと優れた音が拾えます。超高級の音楽用は指向特性の優れた音楽用と思われ、一般用高級品の2倍〜25倍以上の値段であり一般庶民にとっては選択対象外ですが、2倍程度でも声の通りは「さすが!」と思いました。 ほぼ同じ形の量産型単一指向性マイクの値段クラスが5段階も設定され(表1)、さらに高級品があったのは、音声発電部の前後感度比の選別・クラス分けが主たる要素で、外装を若干変えているのか?とも思えます。
 単一指向性の表記は写真1のCardioid(=数学図形 r(θ)=G(1+cos θ):先の丸いハートマーク)や UNIDIRECTIONAL などでUNI-PEX製、Primo製、松下通信製、SONY製などには見られましたが首都圏のDAMカラオケを席巻するAudio Technica製には表記が有りません。動作原理と実構造の相違への拘りでしょうか?

 マイクの感度は標準音界での1ボルトを0[dB=デシベル]とする対数比で定められていて、MD-58型(UNI-PEX)の定格表例では「−55 dB±3 dB」(≒1.778mV)としており、−60dB前後までなら使えます。MD-58型は一般用高級品で、前回選挙の各党党首第一声で4党ほど使っていた上位機種で定価\22,000.+税となっていますが、ネット販売での実勢価格で¥1.3万+税+送料程度です。(自民安倍、立民枝野、共産志位等。右翼の新型街宣車でも見掛けます。どうもUNI-PEXの選挙向け大出力拡声器標準セット?)

 高級マイクには高電圧の専用電源を要したり、専用プラグから動作電源を供給する形式があり、そのままではカラオケ・マシンに繋げませんから、仕様書をよく読んで、電源無用(ダイナミック型など)か、乾電池など電源内蔵(エレクトレット・コンデンサー型が主)か、専用電源必要(コンデンサー型、カラオケ不適)といった電源仕様に注意して選択してください。
 楽曲データ内蔵カラオケ・マイクの増設用ジャックに標準的な−55dBマイクを繋いでもレベルが低すぎて使えませんでしたから、 専用のデュエット・マイクはアンプ内蔵の模様で、出力レベルが大き過ぎて使えないでしょう。

 カラオケでは手許スイッチは必須です。スイッチ無しでは録音スタジオのような専任の音響係が必要で現実的ではありません。

 差し込みプラグは、「(6.3Φ)標準プラグ」です。モノラル接続のものが必要です。誤動作回避に平衡信号線の逆極性側を接地に繋いでいるプラグを使うことがお勧めです。ステレオの場合はL極に割り当てられる端子です(See→fig.2)。 「(3.5Φ)モノラル用ミニ・プラグ」を「3.5−6.3変換プラグ」を介して繋ぐことは出来ますが、変換プラグが行方不明になるリスク大で、粘着力の大きいテープでその都度固定するか、不使用がおすすめです。

ワイヤレス・マイク  <2.2>

 ワイヤレスマイクには赤外線式(¥3万弱)とUHF電波式(¥3.5万前後)、SHF電波を使うパソコンの無線LAN式/Blue Tooth式があり、さらに電波式も300MHz帯C ch と新800MHz帯B ch、新新1,900MHz帯(1.9GHz帯)、SHF無線LAN2.4GHzがあって、アナログFM変調だけでなくデジタル変調式が増えてきて、受信機の方式に合ったマイクで、チャンネル設定、動作モード設定など固有の接続作業をして使います。カラオケ機界を席巻するDAM機でいえばAW***はアナログFM変調機、DW****はデジタル変調機の模様で互換性はありません。 各店の受信機に合わせたマイク選択をするか、動作電源の必要な受信機ごと持ち込む必要があります。
 混信防止に必要な作業ですが、接続のインターフェースは積極公開されてはいませんので機種選択が実質、カラオケ機器業者&各種音声機器業者にOEM供給するワイヤレスマイク製造業者の囲い込みになっていて、高価なものを買うことになります。
 さらに受信機丸ごとを持ち込むには、その出力レベルが、マイクロフォン:Micレベルの他、AUX 100mV、LINE(dBm≒775mV=√(1mW×600Ω))、1Vと有り、外付きマイク様ボリュームが半固定でマイナス・ドライバーを突っ込んで回す方式が多く、店により微妙に設定が違ったりして、やむを得ず直接置換で使うにはマイクロフォン・レベル(−55dB前後:≒1.778mV〜−51dB前後:≒2.82mV)が適合条件の模様です。

 UHF電波は使用周波数帯が政府総務省に決められていて、マイク内蔵のロータリー・スイッチ(2個)でチャンネル番号(&グループ番号)を設定することで300MHz機器同士、800MHz機器同士、1.9GHz機器同士を繋ぐことが出来ます。 但し、店の備品は絶対に弄ってはいけません。サービスマンが設定する前提ですからチャンネル表示が無いものがあり、接続確立に時間遅れがあったりすると手に負えなくなりかねません。 カラオケ画面に使う地デジTVモニターにカラオケ画面を出せなくなった場に遭遇して、5分ばかり掛けて接続したこともあります。 確かに古い東芝系地デジTVは入力切換動作が遅い傾向はある様で、結局、リモコン・ボタンを押してからかなり時間が経たないと切り替わらない、その間に次の操作をして切換不能になっていたのですが・・・・・・。そんな弱点製品をTV放送を使わないカラオケ用モニター専用に安く卸していたのかもしれません?! 使用周波数帯と(アナログ/デジタルの)変調方式がマイクと同じ受信機なら取扱説明書をみて受信機のチャンネル番号表示に合わせれば接続出来るはずです。 [fig.3]周波数割当表参照。

【余談:マイクロフォン】  <2.3>

単一指向性=無指向性+双指向性
 Cardioid(θ)=G(1+cos θ)  <2.4>

 一般の単一指向性マイクは、無指向性と双指向性の組合せとして構成されます。(See→図1
すなわち無指向性の感度Gは方向θに依らずA(θ)=G一定、双指向性の感度は振動板を見込む角度θにより A(θ)=G cos θとなって、反対側にも感度のある8の字特性となりますが、反対側からの音は逆極性となります。
 この両者を等率で加算するとA(θ)=G(1+cos θ)となって、後方180度で利得ゼロとなる単一指向性となります。 この先の丸いハート型の数式曲線を Cardioid と呼んで、単一指向性マイクの表示に使われています。(写真1、2)
現実の製品では後方ゼロは無理で、業務用高級品で中音域が前方の1/10(=−20dB)程度となります。 (See→図3、測定グラフ右)。 また実構造は前後和差方式で、無指向性+双指向性ではありません。 by Audio Technica.co.jp マイク指向性解説記事
[T1] 【 マイクロフォン諸元 】
指向性
無指向性
双指向性
単一指向性
ガン・マイク:超指向性
円: 指向特性=G
8の字: 指向特性=G cosθ
Cardioid: 指向特性A(θ)=G(1+cosθ)
経路差干渉消去型
発電構造
ダイナミック
コンデンサー
エレクトレット・
  コンデンサー
リボン(ヴェロシティー)
コイル付振動膜を磁界中に置く
導電振動膜を静電界中に置く(高圧電源アンプ要)
静電分極した導電振動膜を
  固定電極に対置(アンプ電源要)
磁界中に振動リボンを置く:
感度: −55dB≒1.778mV(−35〜−70 dB)
出力レベル :

100mV
775mV
  1V
(−55dB≒1.778mV/Pa) 
家電音響機器:AUX
1mW @600 Ω:LINE:放送局・音響機器
  1V:(車載)拡声器入力、近年の物理標準
価格例 :要ネット調査
UNI-PEXダイナミック:安価には Audio Technica製コンデンサーとか在り
MD-53     \6,500.
MD-55     \9,000.
MD-56   \13,500.
MD-57   \17,000.
MD-58   \22,000.

呼び出し放送用5mコード
6mコード スピーチ用
6mコード スピーチ用
6mコード ボーカル&スピーチ用
5mコード ボーカル&スピーチ用
  Net実勢≒\13,000.+税+送料

[T2] UNI-PEX MD-58 単一指向性マイク 定格表

[T3] AT2020定格表
Audio Technica業務用
(高感度−37dB:≒14mV)

[fig.4] 歪み率特性:AT2020業務用マイク

[fig.5] Audio Technica AT2020業務用マイク特性

 これとは別の考え方の単一指向性マイクとしては、経路差で斜入力音を消去する超指向性「ガンマイク」や、もっと鋭い指向性を構成するパラボラ焦点にマイクを置く「パラボラ集音マイク」があります。
舞台の役者の声を拾うのに、やや上空でガンマイクが役者の動きを追いかけていることがあります。かって使ってみましたが指向特性が鋭すぎて一般のスピーチには不向きです。逆に野鳥の声を遠くから捉える場合にパラボラ集音マイクが使われました。

屋外マイクはハウリング限界=指向性が特に重要  <2.5>

 屋外でのマイク利用では、スピーカーの音が回り込んでハウリングを起こし、大出力アンプも無意味になるので、アンプの利得を上げ出力を大きくするには、マイクがスピーカーの音を拾わない工夫が必要で、マイクもスピーカーも強い指向性が求められ、単一指向性マイクの使用が絶対的な条件になります。 スピーカーも指向性が必要で、宣伝カー前後の干渉でできる弱音域にマイクを置くと利得を上げられます。宣伝カーなら窓を閉めてスピーカー音を遮断するのが有効ですが、手振りや顔見せが求められては採用できません。
 指向性マイクの前後感度比の相違で、(安物の)普及型の音楽用マイクが宣伝カーには使い物にならなかった大声強要運航トラブル経験が以下の通り。

 宣伝カーで肉声での遊説をしている経験豊かな長老市会議員から「喉が疲れてしまい、長時間丸一日の遊説は無理。マイクがおかしい。何とかして欲しい」という連絡が入りました。 取り敢えずはバックヤードが高速道路を走って40km先で運行中の宣伝カー丸ごとを交換して引き取ってきたものの、「故障」宣伝カーの対応が出来なかったことから、常にヒマをしていた私に声が掛かりました。
 簡単な発声テストでは問題ありません。 もしかして「音楽用」と称する単一指向性マイクに問題があるかもしれないと思い立ち、実運用試験を提案。 事務所にあった単一指向性マイク全部と、「断線不良」とされ預かって点検していた超高級単一指向性マイクと、放送原稿数種類を宣伝カーに積み込んで、聴感点検の助手を付けて貰って人家から遙か離れた汚水最終処理場先の海岸通りに出掛けて、車外に立ち、持ち出したマイクごとにハウリング寸前、フルパワーでの「政策宣伝」をしてみました。
 すると、案の定「音楽用」がすぐにハウリング限界に達して、大声を張り上げないと声が通りません。「ボーカル・スピーチ用」のハウリング限界がずっと高く明らかに優れています。「断線」懸念で点検していた高級マイクが最もスッキリと音声が通って、喉が疲れる原因を突き止めることができました。

 最良だった「断線懸念」高級マイクを付けて現場に送り返しましたが、他の良品マイクを送って、暫時「マイマイク」で試験を続ければ良かった、残念!(w)。断線を疑われた原因は、宣伝カーの「バッテリー浮動充電の不適」で、大音量=大電流で電源電圧が下がって500W出力アンプの電源リレーが一瞬落ちてしまうためで、大音量まで使えた優れたマイクの断線仕掛かり故障ではなかったというのが私の診断でした。 AT車のギヤを通常運転のDRIVEではなくLOWに落としてエンジン回転数を上げ充電を充分にして運行して、大音量時に瞬時落下を感じたら心もち音量を下げることを徹底すると瞬時落下は起きないで済みました。10kmを越える長距離のデモ行進(平和行進)を先導していてバッテリーを消耗、エンジン停止を繰り返すのを、ギヤLOWで運転して貰って切り抜けたこともあります。車載パワーアンプと車自体のどちらが先に充電不足に影響されたかということです。 耳の音量分解能3dBは電圧・電流が√2倍ですから、心もち音量を下げればパワーアンプ電流が70%以下となって落ちなくなります。

 「音楽用」は周波数特性がフラットに作られていて、計測的には良い音の筈で、善意で選ばれたものすが、スピーカーの音が回り込む場所:ステージや街頭宣伝ではハウリング限界が大きく下がって感度を落とさなければならず、特別の大声を要求して激疲労に陥ったというのがトラブルの原因でした。マイクの不具合を言ってきた議員は伊達に長老ではなかった!と感じ入りました。
 以降、「音楽用」とする数本のマイクの使用を封印・廃棄、経時劣化の置き換えとして「ボーカル・スピーチ用」マイクを順次導入して肉声宣伝を楽にすることになりました。未交換車両はICレコーダー音源での運行なので当分問題ありません。

 「音楽用」が原因では?と閃いた理由は、45年ほど昔に、初入手のマイ・マイク:SONYの普及型「音楽用」単一指向性エレクトレット・コンデンサーマイク3本が声の通りが悪く労働組合活動でのスピーチ用には不向きで、従前の松下通信やPrimo、UNI-PEXのスピーチ用単一指向性ダイナミックマイク(可動コイル型)使用に戻っていた経験からです。 スピーカー・システムでも周波数特性の平坦と聴感の音の良さは直結しなかったことから、電気−機械変換素子(=マイクロフォン、カートリッジ、スピーカー)には一般には注目される計測特性である周波数利得平坦より重要な音響特性がある!周波数特性の平坦だけで「音楽用」とするのは不適切とは感じていました。 マイクロフォンの場合は音を拾う方向がある「指向性」が重要です。そこがほぼ同じ外形のスピーチ・マイクなのに定価がクラス分けされて\7千、\1万、\2万、\4万、などとされていた理由なのかも知れません。一般向け単一指向性マイク\5千とは声の通りが大きく違いました。 月給が\5万そこそこの時代のマイク:代金\1・5万の無効は結構高い授業料で痛い記憶です.

さすが音のプロたちの選択!

 日活・大映撮影所の地元(調布、狛江、府中等)では、その音響関係のプロたちが各種運動に参加していて、宣伝カーの設営をしていましたが、取りそろえるマイクはUNI-PEXの単一指向性マイクで、「ボーカル・スピーチ用」とされ、定価が¥4万〜¥7千、とあったうち主に¥1万の機種が使われ、時に候補者カー用として¥4万が選ばれて、宣伝カーごとに3本配置されていまして、経時劣化を考慮してか4年毎の統一地方選挙に新品1本を配ることで1/3程度が新品に置き換えられていました。 時に舞台関係者がステージ用の超高級ゴールド・マイクを華やかな雰囲気の候補者用に持ち込んだこともあり奇蹟の当選を果たしましたが、それは舞台関係者の私物であり例外です。
 テープはあまり使わず肉声宣伝が主の地域で、町内のビラ配布を我が後援会として引き受けている中から女性全員が臨時のウグイス嬢に引き抜かれてしまい、残ったビラ2400枚を私一人で配るトホホの事態も(w)。早朝と夕方配布で3日掛かり!日常作業の保障をせずに引き抜いてはイカンでしょ!但し、たどたどしい喋りの方が総合的説得力がある模様。支持者の手弁当が強い!
 手弁当の支持者ウグイス嬢は得られず、そのプロに公職選挙法の報酬制限\15,000.の2倍の「裏相場」を支払って、攻撃・冷遇した党内地元反対勢力にバラされて有罪とか、当選無効とか、金満政党も大変であります。 通常は業務従事期間を選挙公示前の政治活動からとして2倍扱いにして裏相場=対プロの一般市場水準を埋めるようですが、そのトリックを中からバラされてはお手上げ。 松山千春が支持する母校の先輩鈴木宗男の選挙カー上で歌うと有権者買収扱いになるというのですから、プロ・ウグイス嬢が相場の半分で働いてはヤミ献金になりそうなものですが?言論弾圧べからず公職選挙法の矛盾ではあります。 さらに党内対抗勢力潰しに党公認を拒否し、選挙区を他党公明党に譲るとか、スガーリンは実に陰湿ですなぁ。 判官贔屓の日本人は安倍スガ党中央からの1億5千万にたたき落とされ、更に公認拒否で無所属出馬となった悲劇の義経氏を鉄板公明党に勝たせてしまうかもしれない(ww。次回広島選挙は野次馬的興味を大いに増しています。手弁当支持者の居ない「政党」は本来存在価値が無く自然消滅すべきであります。

 当時、マイクは「音楽録音用」として¥5千程度からあり、当初1万円以上のマイクは「えらく豪勢!」という印象を持ちましたが、それは誤りで、「音の通り」を決めてしまう指向特性:前後感度比の良否に加え、慣れないマイク宣伝に緊張してマイクコードを強く引っ張って断線に到るとか、接触不良になるとか、風防スポンジの経年劣化=ボロボロ崩壊、4年間の倉庫放置での劣化とかのおもわぬトラブルで消耗品になっていて、定期更新は必須だったし、屋外用の、ハウリングを起こしにくい鋭い指向性は尚更重要だったと言う訳です。 実質で概ね12年寿命扱いの更新となっていて上位機種選択を含めて妥当だと納得できました。
 そういう「音響のプロ」が噛まなかったところで、善意の「音楽用」が入り込んで運用に難儀したということのようです。

マイクロフォンの扱いを詳しく述べたメーカー:Audio Technicaの解説

   See→マイクロフォン解説記事@Audio Technica co.jp: 内部構造指向性外部構造アクセサリー編

日本のコンデンサーマイクの黎明  <2.6>

 原理的に音質が自然で美しいとされるコンデンサー・マイクが日本初の量産製品として発売されたのは1958年(s.33年)頃で、NHK技研(中島平太郎氏)が製品化を東京通信工業=同年改称SONYに依頼して定価¥50万(高卒初任給\3k〜\4k前後の時代)で売り出したC37型が最初でした。

[Pt.3] コンデンサーマイクロフォン
SONY C-37A(1958年発売:社史より)
原理的には良特性が期待されてラジオ雑誌にも大きく紹介されました。父の購読する「ラジオ技術」誌(ラジオ技術社)か「無線と実験」誌(誠文堂新光社)だったと思います。 しかしながら、実際に年末紅白など大オーケストラ収録に使われると、当時のAM放送で聞いていても、車で峠道を降りた時の耳詰まりのような酷い違和感があって、従前のヴェロシティー・マイク(りぼんマイク)の方が自然な良い音がしていました。 超高級品の目安:\50万ではありますが、民放が採用しなかったのは同様の性能評価だったからでしょう。
 それがSONY主導の開発となって「電源関係の改良」などと称してC37A型となって音質が評価されて超ロングセラー製品となりました。

 ところが、コンデンサーマイクの当初の開発者であるNHK技研幹部:中島平太郎氏がその著書「次世代オーディオに挑む」(1998/10/26風雲舎刊\1,800.)で当初のコンデンサー・マイクC37否定のNHK放送現場技術者たちを「舶来品信奉に凝り固まっていた」(同書p40L3)などと激しく糾弾しています。 比較対照として挙げているのが、新開発の放送用モニタースピーカー2S305(三菱電機製)を1955年のNHK技研一般公開で舶来品を含む他2製品と比較するブラインドテストに掛けて過半数が新開発品に投票していたことを挙げています。(p43−L2)
 中島平太郎氏はNHK技研幹部からSONY開発者にスカウトされて様々の開発に携わり、DAT(デジタル・オーディオ・テープ)、CD/CD-RAM方式なども完成させた電気音響技術界のBig Nameで、SONYの技術開発役員に就任、井深大SONY会長が引き受けていた日本オーディオ協会会長を、井深氏没により襲っています。
 コンデンサーマイクの製造販売元となったSONYでも、 公開社史に「外国製品一辺倒の打破」としてコンデンサーマイクについて触れていてSONY中津留(なかつる)氏が開発を担当、NHK技研中島氏からの製品化依頼や技術的助言を受けてC37A型として製品化して“日本の生んだ世界の銘機”C37A型とあります。
 中島氏の言うC37型の「改良型」C37A型ですが、当時は、C37型新発売後の「電源部の改良で−A型を出した」という触れ込みでした。 しかし、コンデンサーマイク電極膜の直流バイアスに使う100〜250Vそこそこの極小負荷直流電源や5極管6AU6ヒーター電源6.3Vを直流で供給したところで製品型名を変えるほどの設計上の弱点が存在するとは考えがたくて、中学生の頭にも「そこは大人の事情がありそうだ」と感じていました。 (製品写真[Pt.3]を見ても、マイクに直流動作電圧を供給し音声出力を分離する電源BOXからコンデンサー・マイクへのコネクターはXMLの最小3極(〜6極、CANONプラグ)の模様だから、1本は共通接地極で動作電源と真空管ヒーターの接地側、2本目はヒーターのホット側、3本目は高圧直流供給線兼重畳音声出力線と推定され、最初からノイズレベルは規定内に収められていたはずで、一旦製品化された電源部の何処を改良して型名に「A」を付加したというのでしょう?)。 おそらくはマイクそのものの改良新型化だったのでしょう。現に改良されたC37A型で音に違和感はなくなりました。

 そんな訳でNHK放送現場と中島平太郎氏それぞれの主張は、中島氏に非難されている放送現場技術者側に分が有るように思います。 その判断の基本は前述、中学生時代のNHKの音楽放送、年末紅白などC37型デビュー番組を聞いての違和感・低音質評価の記憶、C37Aへの改良の記憶が第一に有りますが、
 1955年、NHK技術研究所一般公開でのゲリラ的なブラインドテスト結果はスピーカーについての結果であり、コンデンサーマイクのものではないのでC37型の良さは主張できません。 1958年開発のコンデンサーマイクでは、なぜブラインド比較テストを実施しなかったか?という疑問が一つ。 医学界、新薬承認には2重盲検が絶対条件ではないですか。
 加えて、音響系の一般人対象の音質評価テストは、環境条件次第で非常にブレやすく、住居、イヴェント会場、ホール等でまるきり評価が変わることは良くあって、NHK技研一般公開という賑やかなイヴェント会場で見学目的で集まってきた人達にじっくり音質評価ができるかどうか甚だ疑問があるからです。
 音質評価の再現性があやふやな例を挙げてみますと、オーディオ誌に各種スピーカーの聞き比べ記事が有って、圧倒的最高点を獲得した機種を手に入れる前提で試聴室を訪ねたけれど、チャラチャラと異音を感じて何故最高評価を得たのか判らず、自分の耳に良く合った若干高価めの他機種を購入した経験もあります。 その時代から、簡易の放送用モニタースピーカーとして三菱電機ダイヤトーンP-610/P-610A型があり、大きな箱次第の要素はありましたが自然な良い音がしていました。 ダイヤトーンP-610型(4[Ω]、主に真空管アンプで利用のA型は16Ω:)は60年後の今も売られている、電気製品としては桁違いの超長寿命製品です。これは良い方の例です。 川崎の東芝技研見学で、後にAulexとして製品化されて行く試作システムの試聴が有りましたが、大型のバスレフ式(=背気道共振式?)スピーカーボックスがブースカ空気が抜けている感じで、その低水準の試作品を技研で一般公開する様では製品化は遠いと思いました。
 感性にはそうした曖昧さが常に付きまとい、感性評価の混じるものほど実施条件を厳密に規定した盲検:ブラインドテストが必要になります。

 選択理由を他人に説明するのに「○○の最高得点機」は説得力があり普通は他人への説明として足りて機種選択への批判を抑えられますが、良い音楽を美しい音で聴きたいのは自分自身であり、見ず知らずの他人様の感性ではありませんから、独自判断に意味があります。万一誤判断をしても当人が被ってカラカワれればいいのですから。 試聴記事には常にこうした異論が付きもので、たまたま一般公開見学にきた観客を、予期しない音質の評価者に仕立てては非常に不確実な結果になり易いと感じています。
 そして改良前のC37型を採用したのはNHK技研の御威光の効くNHKだけで、民放各社は放送に採用していません。
 民放も舶来高級品オルトフォン製レコード・カートリッジ\50万とかSUREマイクなどは普通に採用していますが、SONYコンデンサーマイク当初型C37型\50万は不採用でした。

 先出のSONYのWeb公開社史でも中島氏の手によるC37型については「直接のきっかけは、NHK技術研究所の中島平太郎・・・・・・・・中島もこの頃、NHKでコンデンサーマイクの試作に取り組んでいた。・・・・・・・・日本最初のコンデンサーマイクであったが、残念なことに完成までには至らなかった。」とされていて、SONYブランドで公開・使用されていながら未完成品扱いです。 私の実体験としても、それ(未完成扱い)には同感! 当時、激しい舶来品偏重傾向は確かにあって、実際はオルトフォンなど華やかでかなりの癖のある音質に却ってファンが付いて大変な高評価でしたが、その中で初の国産コンデンサーマイクC37型には開発経過としての歴史的意義はありますが、音そのものの善し悪しについては放送現場技術者たちやSONY公開社史の否定的評価が正しそうで、中島氏著書の主張は失当だと思います。
 中島氏の耳はC37型マイクの大音量歪みより高くない音圧で歪み始めてしまってC37型の歪みを聞き分けられなかったのかも知れませんが、そういう個人差は客観比較のない主観では原理的に判定出来ないものです。 客観化の努力が不足のママ、部下をパワハラ的に組織内の地位で無理矢理従わせてはいけません。 See→[fig.4]音圧−歪み特性

天覧開会式の玉音に逆位相はまかりならん!  <2.7>

 中島氏は1964年東京オリンピックの国立競技場音響装置(天覧開会式)等をも手掛けています。 会場の主マイクがメインスタンド左右のスピーカーの音をなるべく拾わないよう、指向性のあるスピーカー群「準トーンゾイレ方式」を採用したり、当時はごく少なかった指向性のあるマイクを用いたり、片側のスピーカー群の励振極性を逆にして、中央部でハウリングを起こりにくくしてスピーチ・マイクを置きやすい場所を作ったのですが、それを聞きつけた宮内庁が「陛下のお声を放送するのに『逆位相』とは何事か!不敬である」とかの強い愚クレームを付けてきました。(『逆位相』は真空管回路時代の慣用表現で、物理的正確表現なら『逆極性』)。 それを「判りました!」と軽くスルーで開会式本番では片側を元通り逆極性運用したのだとか(w)。 物理現象の理解能力の無い相手が強大な権力を嵩に無茶を迫ってきたら、シラッとスルーは無駄な労力を避ける適切な対処でしょう。まして、お役人様には正逆極性を自分で確かめる能力は無いのですから。
 そうした宮内庁役人の固定観念を基に、前皇太子のカミさんの一挙一動をあげつらって病気(適応障害)に追い込み、病状回復に卓効有った海外訪問をあれこれ因縁を付けて潰し続け、さらには酷い睡眠障害などママならぬ体調での体調調整:夜間散歩などを宮内庁長官を先頭に暴露マスコミリークして叩かせて健康回復を妨害した陰湿な宮内庁役人の馬鹿体質はs.39:1964年東京オリンピック当時から顕著だった訳です。 適応障害はストレス源環境を離れると劇的に改善されるのは明確な経験則で、患者が自信と体力を回復して治癒可能を確信させていくものですが、発症ストレス源が回復・治癒の機会を奪っていました。 かっての「粉屋の娘」攻撃に続く「穀潰し」非難は旧体制側からの天皇制崩壊工作になっています。 悪意で理不尽な干渉に皇太子妃が極めて得にくい状況=皇室崩壊過程を作っているのですから。 十分な基金でも財産管理会社に抱かせてやって、さっさと自由な身分に解放すればいいものを!
 同位相(同極性)ではハウリングを起こしやすくて発言の大きさも了解度も悪くなって余程『不敬』だというのに、何も判らない宮内庁役人が技術的必要性の説明も求めず無茶なクレームを付けてきたと、新聞連載時には明らかにしていたのに、先出、自著では、それを「SONY故井深会長のクレーム」に改竄して、宮内庁あほ役人に忖度、技術者故井深大会長を辱めています。 音と耳の構造を良く知っている技術者井深会長が逆極性駆動に文句を言う訳はなく、音波の逆極性を問題にするような発想は文系無知役人しか居ないでしょうに!
 現在、宣伝カーの前後のスピーカーを相互に逆極性にして、弁士が車の横中央方向に立ちやすくする設定が多くなりました。 これは東京オリンピック国立競技場音響設営、中島平太郎氏の功績でしょう。 折り返しホーン・スピーカーの強い指向性下で同極性励振のセットも標準品として有りますが、小型自動車の屋根キャリアーに看板とスピーカーを置いて宣伝カーに組み上げた場合には前後逆極性は有効でした。 そうしたにわか宣伝カーの最終調整では10cm程の逆極性転換中継コードを準備しておいて、比較試験を行い、具合の良い接続を選ぶこともありました。

世界に冠たるソナー技術でカラオケ・マイク席巻か?
音質は原理だけでなく、作り込むもの  <2.8>

 カラオケマイクは当初は各社製を見掛けていて、UNI-PEX単一指向性などをよく見掛けていましたが、コードレス化してからは次第にAudio Technica製コンデンサー・マイクが増えてきて、カラオケ配信網で圧倒的首位の第一興商(DAM機)ではほぼ席巻しています。Audio Technicaはかってのレコード再生用MM型カートリッジATシリーズのトップメーカーでした。

[Pt.4] We Are The World型収録マイク装置:風防+ショック・マウント
+サイド・エントリーマイク@ サーカス、Mr.サマータイム2017年収録U-tube画面

[fig.6] 3極プラグ/ジャック平衡ケーブル&平衡入力接続図: fig.2参照

 同社のマイクロフォン設計者、秋野裕氏は、かって防衛庁で潜水艦探査のソナー開発に従事した技術者で、陸上自衛隊を退官後、アイワなどを経て現職Audio Technicaの開発者となった変わり種の方ですが、「トランシスタ技術」誌2015年8月号別冊付録マイク解説記事「大解剖/マイクロフォンの音技術」で「音質は原理が優れているだけでは足らず、作り込むもの」と解説していて、原理に拘り放送現場の否定評価に全く耳を貸さなかったC37型の故事を念頭に見解を述べているようにみえます。 ([fig.5]に引例のAT2020型コンデンサー・マイクは単一指向性としては軸横方向に最大感度のあるかっての双指向性ヴェロシティー・マイク様の珍しい指向特性(=サイド・エントリー型)で、マイク・スタンドに固定して使うステージ演奏タイプ、実勢価格\12.000.弱程度で、マイク単体ではUNI-PEX MD-58ダイナミック・マイク(実勢\13,000.+税)とほぼ同クラスのものですが、乾電池電源内蔵のSONY製エレクトレット・コンデンサー型などとは違い、動作電源48V-2mA兼音声分離入力トランス:\????を必要とする模様で、通称「We Are The World型」とか「金魚すくい」などと呼ばれる息風を防ぐシールド\6,600.や振動遮断のショック・マウント\4,400.などが別売で準備されていてカラオケ用には適さず、実は録音スタジオなど業務用高級音楽場面用の模様)。 ソナー開発を担っていた音響関係の開発技術者を、本庁から現場:陸上自衛隊に移してしまったら、技術者としては尻をまくるのも無理からぬ処。実際はどうだったのか?とは野次馬的余計なお世話には違いありません。

 Cardioid単一指向性マイクでは、マイク頭に口が非常に接近した場合に低音が強調されるのが共通した特性で、UNI-PEX無線マイク取扱説明書にも明記されており、入手したマイマイクUNI-PEX MD-58型でも男声低音域がかなり強く入感して「豊かな低音」感があり、気に入って曲目次第で歌唱表現に取り入れる人もいましたが、店のAudio Technica製無線カラオケマイク(DAM DWM-1000)では低音強調は感じられません。 マイク・コードや本体の擦れる超低音域のガサゴソ音がしないのは超低域遮断しているのかも知れず、歌い方の癖や好みもあり、低域共振を起こしやすい狭い場に合わせて周波数特性を調整しているのかも知れません。

平衡型ケーブル/3極ジャック  <2.9>

 現状の3極プラグ/ジャックは圧倒的にステレオ用で、外形が共通接地、先端がR:右チャンネル、2段目がL:左チャンネルですが、これはあくまで流用でして、元々はノイズの中、長距離を引き回す通信線の正負を繋ぐ平衡方式の正側を先端に、負側を2段目につなぎ、シールドが接地として使っていました。[fig.6]マイクケーブル結線図の通りです &[fig.2]。
 長尺を引き回すスタジオ・マイクもノイズ対策として平衡型が標準で、マイクアンプは冒頭を入力トランスで受けて同相成分ノイズを遮断していました。車載拡声器もこの入力トランス式/平衡ケーブルが本格派・高級品の定番でした。
 それが家電音響製品の普及で不平衡型が多数になって、そこに平衡型を挿すと電気的に接続出来ないトラブルが多発して、[fig.2] マイクケーブル結線図で「出荷時プラグ内ジャンパー線で短絡(不平衡)」と記しているようにアンプとの接続部で不平衡接続にして出荷するようになりました。 ノイズを拾いやすいケーブル部は平衡、マイク・アンプ入力部で片線接地という訳で、特に必要な場合にジャンパー線を切断して使います。

ステレオ→モノラル変換ケーブルは必須

 3極ジャックがステレオにも平衡式にも両方に使われていることから、ステレオICレコーダーを平衡入力式(モノラル)アンプに繋ぐと不具合を生ずることがあります。 すなわち左右信号の差で動作して不安定になってしまいます。(ステレオ・マイクでも同様です)。
 今どきモノラルのICレコーダーの方が珍しい訳で、トラブルを防ぐには「ステレオ→モノラル変換ケーブル」で繋ぐのですが、撤収時に変換ケーブルは散逸してしまい、次の運用ではテキトーに繋いで多くがトラブルに! 今どきステレオ→モノラル変換ケーブルなどという時代物を扱っている店はほとんど無い入手困難品なので、数市にまたがって調達に走ることになります。個人運用では何とか管理できても、集団では如何ともしがたい感じです。

SONY社史より抜粋
第1話 外国製品一辺倒の打破  <SONY>

SONY公開社史:https://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/SonyHistory/1-08.html

< ! --    (原文が見当たらなくなったので、そのコピーを「引用」としてアプロードします)

 ソニーの製品で人気があったのは、何もトランジスタラジオに限らない。ソニーの本領とも言える“音”の分野でも人気商品はいろいろある。“日本の生んだ世界の銘機”としてその名も高い、国産初のコンデンサーマイク「C-37A型」もそのひとつである。

 ステレオの録音機用のマイクロホンを手がけてからというもの、中津留(なかつる)は密かに「いつかは、自分の手でコンデンサーマイクを作ってやろう」と思っていた。 というのも、当時コンデンサーマイクも外国製品一辺倒で、特に音響を扱う人たちは、外国のマイクが一番良いと言って、日本製のマイクには見向きもしなかった。 それには、それなりのわけがあった。日本は高温多湿の国であり、そんな所でコンデンサーマイクを作っても、ろくなものはできない。年中雑音を出して、使いものにはならない、というのが通説だったのだ。
「そんなことはない、国産でもきっといいものができるはずだ。誰もやらないのなら、それこそソニーの頑張りどころだ」。中津留は苦労を承知の上で、コンデンサーマイクの開発に取り組む決心をした。

C-37Aコンデンサーマイクロフォン(1958年発売)


 直接のきっかけは、NHK技術研究所の中島平太郎(なかじま へいたろう 後にソニー常務)が与えてくれた。中島もこの頃、NHKでコンデンサーマイクの試作に取り組んでいた。これは、マイクの振動板がセルロイドでできており、日本最初のコンデンサーマイクであったが、残念なことに完成までには至らなかった。中津留は中島から学び、ドイツのマイクを参考にして仕事を始めた。アメリカメーカーのマイクは派手だが、ドイツのメーカーのものはオーソドックスなものが多く、理論的に築き上げた製品であるという感じであった。

 最初に、一番苦労したのが振動板である。いろいろな材質のものを探してきてやってみたものの、どれもうまくいかない。そんな折、米国からポリエステルフィルムが日本へ入ってきた。「これは使えそうだ」と思ったものの、そのフィルムに極板をどのように付けたらよいか見当がつかない。そんな時、知恵を貸してくれたのは社長の井深だ。金(きん)を、真空中で蒸気のようなものにしてパッと飛ばしてくっ付けるというというもので、実験を繰り返しているうちに、これならいけるという感触を得た。問題が一つ解決し、振動板(膜)ができた。

 次は、量産の問題である。コンデンサーマイクのプリアンプ用真空管にはノイズの少ないものが使われ、ドイツ製のマイクはAC701という3極管を使っている。これが高価で、1本7千円もする。こんなものを使えば目が飛び出すような価格のマイクになってしまう。これでは、普通の真空管の中から探すほかない。そこで選ばれたのが6AU6という5極管で、これを3極管として使うためにグリッド(電子の流れを制御する電極)をプレート(陽極)とつないで試してみたところ、うまく動作することが分かった。これで、何とか「C-37A」の原型ができた。

 それでもまだ、最後の苦労が残っていた。構造的にデザインをどうするかだ。プレスして型押しするということは、考えもつかない時代である。外観の構造も、手作りに近い。前面の網もハンダ付けで、二つ合わせにして仕上げ、何とか形になった。でき上がりを井深に見せると、満足した様子で「とにかく、ソニーの宣伝をしなくちゃいかん。真ん中に、横一文字にSONYと入れよう」という意見だ。このマイクは、NHKでも民放でもその後大いに活躍し、しかもテレビ放送の開始もあって、井深の言葉どおりに宣伝に一役買ったのだ。
(2021/03/16 Get)


2021/03/28 23:55

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