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バス転覆事故反復はブレーキ過熱フェードか?
山降り大型車にシフト・ダウン実地訓練&
超急勾配上端で一時停止勧奨必要か!

 富士山須走口5合目からの下山ルートで、10月13日正午前、観光バスの横転死亡事故がまたも繰り返されてしまった。 報道では運転手から「ブレーキが効かない!」と連絡しながら、減速できず、急勾配で逆に加速されて高速でカーブに掛かり横転事故に到った模様である。 加えて現場直前の勾配は、登坂中に一旦停まると再発車困難で、時に緩勾配までバックして再発車する様な超急坂だったとか!
 近年も2016年(平成28年1月15日)にスキーバスが軽井沢の碓氷峠先の下り急勾配でブレーキが効かずに過速度となり転落死傷事故となっている。 高速走行時の下り勾配でギヤが投入できなくなってエンジン・ブレーキを使えず、ブレーキ過熱による「フェード現象」でフット・ブレーキが効かなくなって過速度転覆に到ったもので、今回の須走口下山コースでの転覆事故と非常に似通った状況で発生している。
 両事故とも、事故のきっかけとなるエラーは、連続する急な下り坂の減速・抑速に低速段でのエンジン・ブレーキを使わず(使えず)フット・ブレーキに頼ったことでブレーキが過熱して、ブレーキが効かないフェード現象に到ったこと。

【ダブル・クラッチ操作】

 「ダブル・クラッチ操作」とは、手動ギヤ・シフト車で変速ギヤのシフト・ダウン(低速段切替)に当たり、変速機内の継動軸の速度を上げてエンジン軸の速度に合わせてギヤ投入させるための、クラッチ&アクセル&チェンジ・レバーの組み合わせ操作を言う。

 加速時の「シフト・アップ操作」(高速段切替=総減速ギヤ比を下げていく操作)では一旦クラッチを切って、シフト・レバーを上位段に切り替えてからクラッチを繋ぐ、クラッチ踏み1回の操作である。
 逆に、変速ギヤを低速段側に切り替えるシフト・ダウン操作では、一旦クラッチを切ったら、変速レバーを中立にしてからクラッチを繋ぎ、アクセルを踏み込んで変速機内の継動軸の速度をエンジン軸よりやや高速にして、もう一度クラッチを切って変速レバーを下位段に投入、そして2度目のクラッチ接続を行う。
 クラッチを2回踏み込む間に、変速機中立化→継動軸増速(アクセル踏み込み)→変速機下段投入を行って再びクラッチを繋ぐことでシフト・ダウン完了。クラッチを2回踏むので「ダブル・クラッチ」と呼んでいる。
 かってはシフト・ダウンに当たり必須の操作だったが、シンクロ・メッシュ機能(強制同期)の採用や、オートマ(自動)変速機構車が主流になったことで、マイカー・ドライバーは知らなくても運転出来るようになった。

【シンクロ・メッシュ機能】

 「シンクロ・メッシュ機能」は、エンジンに接続する変速機各軸の速度差を自動的に吸収してゼロにして噛み合わせ出来るようにする機能を言い、軽量である乗用車ではシフトダウン時にダブル・クラッチ操作をほぼ無用にする高性能品になっている。 現状、さらにトルク・コンバータを介した遊星ギヤ自動変速を使ったオートマ車が主流となって、この画期的技術進歩がダブル・クラッチ操作を知らないドライバーを多数にし、大型車運転でもダブル・クラッチ操作に慣れたドライバーを減らした。

【フェード現象/ベーパーロック】

 ブレーキのフェード現象とは、ブレーキ動作の摩擦による温度上昇で制動力が小さくなり停まりきれなくなる現象。長い降阪では大暴走となる。 制動力はゼロでは無いし、速度が下がると摩擦力が増える傾向があるので、道路上のタイヤの滑走痕はフェード現象発生を否定しない。急坂降坂で過速度になりドリフト走行になった結果かも知れない。
 フット・ブレーキを掛けた場合、平地であれば運動エネルギー分の熱発生で停止し、熱発生は停まるが、長い下り坂では、標高差の位置エネルギー分の大量の熱が発生して温度が上がり制動力が無くなる「フェード現象」に到り、さらにはブレーキの油圧ピストン内の動作油を沸騰させて制動力を全く失う「ベーパーロック現象」を起こして大事故に到る。 戦後しばらく(=シンクロ・メッシュ機構の卓越普及前)の自動車免許教習テキスト(構造編)ではフェードとベーパー・ロックは強調して丁寧に記述されていた。
 回避策としては、標高の位置エネルギー放出をエンジン・ブレーキに頼り、巡航速度を乗用車より落とすなどして、フット・ブレーキの負担を減らす。 バスなど大型車に残るドラム・ブレーキは熱が籠もりやすくフェード現象を起こしやすいから特に注意が必要だ。現在、乗用車は放熱の良いディスク・ブレーキ主流となりドラム式よりフェードを起こしにくくなった。
さらに軽井沢スキーバス事故では、下り勾配に差し掛かりシフト・ダウンを試みたものの、中立から下段ギヤへ投入できなくなって(=エンジン・ブレーキが使えず)、フェード現象によるブレーキ力減退で勾配加速が卓越してフット・ブレーキでは対処できなくなって過速度となり転落事故に到っている様だ。

 制動停止の場合、車の持つ物理的エネルギーを最終的に熱エネルギーとして空中に放出させるが、平地なら運動エネルギーだけが対象だが、下り勾配では非常に大きい位置エネルギーの放出が加わり、摩擦ブレーキであるフット・ブレーキのみでは空中への放熱が間に合わず過熱してフェード現象に到り、勾配加速卓越で過速度となる。
 運動エネルギーは、質量×速度^2乗×(1/2)。位置エネルギーは重量×高さであって、仮に、大型バスの重量14トン、乗用車1.4トンとし、減速初速72km/h(=20m/s)、下り坂標高差100mとすると、平地制動で吸収すべき運動エネルギーは、大型バスで2,800kJ=(1/2)14×20^2、乗用車で280kJ=(1/2)1.4×20^2であるが、下り標高差が100mあると吸収すべき位置エネルギーは、バスで13,720kJ=14×9.8×100、乗用車で1,372kJ=1.4×9.8×100、と、平地72km/h(20m/s)走行運動エネルギーの約5倍に達する。 富士あざみライン須走口駐車場の標高は約2,000m、つづら折り登坂の始まる須走で約1,100mから、中程の転覆事故現場の標高を1,500mと仮定しても、500m下降と、桁違いの位置エネルギーを熱として空中に放出して下った訳である。加えて事故現場直前は登坂時に一旦停まると再発車困難で、緩勾配までバックして発車し直す様な超急坂! この降坂制動をフット・ブレーキで負担すれば焼けてフェード現象を起こすのは必然と言えて、許容発熱量に抑えるために低速段でのエンジン・ブレーキ活用、低速運行、フット・ブレーキ使用抑制が必須になる。 ここでシフト・ダウン不能に陥ると停める手段が無くなってしまい、道脇の石垣に車体をこすりつけて減速するなどの危険な軽業に逃れる他なくなるのだ。土手に真っ直ぐ突っ込んだのは咄嗟の緊急停止策の可能性がある。 富士山北側斜面の富士すばるライン富士吉田口5合目駐車場は標高約2,300mで、河口湖畔近くの入口標高870mからの標高差はもっと大きいが、最大勾配などルートとしては富士紅葉ラインより余裕はある造りの様だ。
 なお、大型ディーゼル車に装備している「排気ブレーキ(=補助ブレーキ)」は、エンジン・ブレーキ力の倍加機構で、スイッチ・オンで排気部を閉塞することでエンジンの制動力を増す機構で、エンジン・ブレーキを使わなければ機能できない付加機構である。 ディーゼル・エンジンは、ガソリン・エンジンに較べてエンジン・ブレーキの効きが良くないと感じられていて、エンジン・ブレーキ制動力増強機構として大型ディーゼル・エンジンに付加されている。 積載物と併せれば、2トンには達しない乗用車とは桁違いで、自重がバスで14トン、トラックで30トンといった重量物を急坂で降ろしてくるのだから、ブレーキの効きは弱くなり、大きな制動力が必要とされるのだろう。 大型車の非常制動停止距離が長いのは、元々、乗用車よりブレーキが効かないことを示している。

 軽井沢の峠でギヤのシフト・ダウンが出来なかった原因としては、従動軸側(FR車ではプロペラ・シャフト側)に繋がるギヤが高速すぎて(変速機内の継動ギヤをエンジン側より高速回転にする操作:ダブル・クラッチ操作が上手く出来なくて)ギヤ保護装置が働き投入できなかったことが考えられる。

 現在の乗用車では「シンクロ・メッシュ機構」といって、噛み合わせるギヤ機構同士の相対速度をゼロにしてギヤを投入する機構があるので特にシフト・ダウンを意識しなくても差し支え有なく運転できる様(現在の変速機ギヤは「常時噛合」方式で、各ギヤ軸間の噛み合いクラッチの入切で変速比を変える構造がフツー)だが、 バスやトラックなどの大型車では、シンクロ・メッシュの能力が無かったり非常に低く、自動車レースF1車や大昔の自動車並みの「ダブル・クラッチ操作」で変速機内の継動ギヤを増速して一旦はエンジン側より高速にし、ギヤ同士の速度差を無くしてギヤ投入する必要がある。
 フォーミラーカーF1車レースで観客スタンド前の直線コースから、カーブに突入するタイミングで、F1車ブレーキ・ランプ点灯中に一瞬アクセルが踏まれて爆音的に大きなエンジン音がするのは概ね、制動減速中にこの「ダブルクラッチ操作」に依る変速機内継動ギヤの増速操作であり、変速機継動軸の加速操作をしてる。高速からのシフトダウンにはダブルクラッチ操作中にアクセルを思い切り踏み込むことが必要で、踏み込み不足だと下段ギヤに投入出来ないことが起こり得る。 いわゆる「ヒール&トゥ」と呼ばれるレース用の高度運転技術である(ブレーキ中にダブル・クラッチ操作でシフトダウンする操作:右足の爪先(トゥ)でブレーキ・ペダルを踏みながら、そのカカト(ヒール)でアクセル・ペダルを操作。高速度・高減速運転での危険のある技術)。
 ちなみにシフト・アップ操作では、クラッチを踏んで動力伝達を切っている間に難なく変速レバーを上段に切り替えられる感覚だ。 低速から加速してトップ回転数になれば、クラッチを踏みアクセルを放せばエンジン回転数は下がり、上位段継動軸の回転速度となり、上位段投入可能速度になるから、クラッチの踏み込みは1回である。

 バス・トラックなどの高速大型車ではその大パワーに耐えられるシンクロ・メッシュ機構は中々開発できず、大型車運転での確実なシフト・ダウンに「ダブル・クラッチ操作」が必須の技術なのだが、現在はトルコン・オートマ車中心、高性能シンクロ・メッシュの普及で、そんなテクニックを自由に使いこなせるドライバーは少数化して、乗用車ドライバーでは、そんなややこしい操作があることを全く知らない向きも多い様だ。しかし乗用車でもダブルクラッチ操作をすれば変速機系の損耗は減るはずだ。
 仕事の都合で、マニュアル変速車運転のため免許のオートマ限定解除教習を受けた愚息など、「ダブル・クラッチ操作など老人の与太話の法螺」と誤認している様に思える。 「普通車運転教習でも(貨物車の)限定解除教習でもダブルクラッチ操作なんて教わっていない!」というのである。 愚息は重荷重時の貨物用車で山を下ってはいけないっ!「高速道路でのキープ・レフト原則」も教わらなかったとか!何と好い加減な教習所なのだ!「エンジン・ブレーキはセカンド以下じゃないと効かない」とは実体験なのだろうが心許ない。「現役教官が教えるMT車減速チェンジ」(16:22)というユーチューブ番組にも「ダブルクラッチ操作」は一切触れられて居らず、減速してからの減速チェンジとクラッチの緩やかな接続、誤投入回避のゆっくりしたチェンジレバー操作しか述べられて居らず、高速時の減速チェンジ(シフトダウン)方法:ダブルクラッチ操作が述べられていない! その運転感覚のまま重量大型車での急坂下りは危ない! 「ブリッピング・シフトダウン」としてギヤ段毎の適切なエンジン回転数でショック無しに繋ぐ番組はあって、ローギヤへのシフトダウンには特別の操作が必要なことは述べられていたが、通常は無用として詳細は割愛されていた。「(ローギヤを除き)継動軸の速度合わせまでは無用」の意かもしれない。
 「急坂はセカンド以下の低速ギヤで降りろ!」が小型貨物車への現実的指示か? 平地を走る限りは熟練の必要なダブル・クラッチ操作がスムーズにできなく(=下位段のエンジン・ブレーキを上手く使えなく)てもフット・ブレーキだけでも概ね足りてしまうので、突然に山道運転の長い下り坂に出会うと弱点を露呈してシフト・ダウンが出来なくなり大惨事に到ってしまう。

 バスなど大型車の山降りコースでは、要所にギヤ・ダウン指示=エンジン・ブレーキ使用勧告&速度抑制勧告や、下り超急勾配手前に一旦停止勧告を掲出する(=停止状態からなら必ずロー・ギヤ投入可能)と共に、山降りコースでの、ダブルクラッチ操作など山降り運転訓練を大型車初心者ほど義務付ける必要があるだろう。 北アルプスは上高地路線など山岳地路線が主のアルピコ交通(旧松本電鉄)では急勾配の連続を念頭に特に念入りの訓練・講習を行っている模様だし、大型バス運転手を技能レベルで分けて山岳コース許容者を決めている観光バス会社もある様だ。 ダブル・クラッチがほぼ無用の操作となった乗用車では、全く知らない運転手も多くなった今、一般大型観光バスでは、山岳地運転資格認定を導入して無資格者を急坂領域入山禁止にする必要があるのかもしれない。

 事故現場急勾配道路下り側に設置された注意喚起看板には「注意!急坂、ブレーキの過熱に注意!」などとある様だが、有りうる切迫した危険と、採るべき対応について訴求力と具体性に乏しい。 「ブレーキが効かないっ!」と過熱に気付いたが時すでに遅かったのが今回の事故だろう。 際だった下り急坂毎に「急坂!大型バスはロー・ギヤ/排気ブレーキも使え」「・・・・セカンド・ギヤ以下」などの方が、具体的に何をなすべきかが直截に伝わるのではないか?

 落差1,000m弱、平均勾配7%という連続大勾配の箱根ターンパイク全線をライトバンで降りる合宿作業先が昔あって、何度も下ったことがあるが、そこにはスキー・ジャンプ台を逆向きにした様な暴走止め阻止路が要所に設置されていて、ブレーキ故障車の暴走に備えていて、アクセル・ペダルを全く踏んでないのにどんどん加速していき、みるみる100km/hを越えて130km/hに達して、そのままでは危ないと感じて、運転する相棒にギヤ・ダウンを強く要求。 幸いシンクロ・メッシュは装備している車でシフト・ダウン出来たのだが、シフト・ダウンしクラッチを繋ぐと、後輪がギャ〜〜と長く音を立ててスリップ、かなりギリギリの状態で100km/h以下に減速できて、若干抑え気味には降りてこられた経験がある。 エンジンの発熱がほとんど無くなり冬だったのにヒーターは働かず震える寒さとなって小田原側に降りてきた。ターンパイクはたしか60km/h制限だった気がする。誰も守ってなかったが。
 もしシンクロ・メッシュの良く効かない大型車で下って、降坂途中でフェードに気付いてシフト・ダウンを試みて、慣れないダブル・クラッチ操作が上手くできず、ギヤ投入できなかったら・・・・・・・・大事故になっていたかも知れない。(2022/10/15記)

追伸:やはりシフトダウンに失敗か

 「観光バス横転事故 手動で制御試みか・・・・・」という表題でSBSnews6(静岡放送?)のニュース動画がユーチューブに上げられていたが、教習所教官の正しい解説を記者が良く理解出来ないまま、冒頭「補助ブレーキを使い手動でバスを制御しようと試みていた」と解説していた。 その実質は事故車運転士が「補助ブレーキ=排気ブレーキ作動のレバーを何度も操作していた」こと。
 取材に応じた大型バス教習所教官が長い下り坂運転法として実地に運転しながら述べているのは「シフトダウンしてエンジン・ブレーキを使い、排気ブレーキ(補助ブレーキ)を加えて、急カーブなど要所でフット・ブレーキを加える」とあって、発言を切り取らずに正しい解説を報じている。 排気ブレーキとはエンジン・ブレーキの増力機構で、単独での動作はない。エンジンブレーキが働かなければ動作できないから「手動のバス制御」という説明はそぐわない。 事故直前のエンジン音と車体振動について、再現実験を交えて乗客に聞いてみたら良い。 60km/hで坂を下りながらのエンジン・ブレーキならエンジンの凄い音と振動があるはず。 静かならエンジン・ブレーキも排気ブレーキも有効に働いていない。 比較実験付きなら素人でも充分判断できる。それにより事故状況を思い出せる乗客がきっといる。
 事故運転士が「(フット)ブレーキが効かないから排気ブレーキを投入した」と述べたのが事実なら操作順が逆で、大変な急坂だから、エンジン・ブレーキ時に排気ブレーキを投入するのが普通だ。シフトダウン必須の長い下り坂の基本的運転法を知らなかったことになる! 軽井沢スキーバス転落事故はシフトダウン失敗=下段ギヤに投入出来なくなりエンジンブレーキを掛けられずフェードになったから基本、同じ原因である。ダブルクラッチ操作のギヤ中立時に一旦クラッチを繋いでアクセルをもっと強く蹴って再度クラッチを切る必要があった様だ。 急坂でシフト・ダウンしなければエンジン・ブレーキ力は大幅に不足し、番組冒頭解説のように排気ブレーキ投入で制動力を倍加(1.8倍程度)しても足らない。確実に摩擦ブレーキが過熱しフェード現象を起こす。(2022/10/17追記)

フットブレーキ不使用指導

 事故現場の富士もみじラインを運行路線とするバス会社が運転士に「降坂はフットブレーキを使わないで降りろ」と指導していることが分かった。 すなわち「急坂で増速しない低速ギヤにまで落として落として運転せよ。速度制御は排気ブレーキの入切で行え」というエッジの立った指導で、フットブレーキの使用を極力回避、過熱、フェードを避けていた。
 そんな極端な急坂を平地感覚の運転で降りたら忽ちにフェード現象を起こしてブレーキが効かなくなる。事故車は案の定ドラム・ブレーキ構造で放熱が悪く、ディスク全体が外気に晒されているディスク・ブレーキ構造より過熱・フェードしやすいものだった。(2022/10/20追記)

ビートルズ武道館公演記録動画部分開示
公演未成年観客68名身柄拘束の愚行!  <2>

 1966年に日本で唯一開催されたビートルズ公演関係の映像資料が情報公開裁判の結果、一部が公表されたとの東京新聞記事(右枠Click!)。 この記事に欠けているのは、未成年者の武道館コンサート参加を教育委員会と警視庁が犯罪視し、青少年68名に対し事実上の逮捕である身柄拘束を行って、非行として保護者を呼びつけて身柄を渡した、重大な人権侵害に全く触れていないことである。
 当時の教育界には「歌謡曲やジャズは不良の歌!」「ロックは犯罪者の歌」という妄想的レッテルで恣意的な規制が行われ、ビートルズ・コンサート参加禁止とされて、警察が直接取り締まってコンサート参加者を不当逮捕したものである。
 それは以前にも当日記#389-5(ビートルズ66年武道館公演で未成年ファン68名身柄拘束)でも触れた。ところが、そのときの引用記事が現在「要旨記事」な差し替えられていて、「未成年観客68名身柄拘束」の件は削除されてしまっている。

教育委員会と警察の著しい人権否定感覚を端的に示す事件で、違法性が全くない観客を事実上逮捕している重大事象だから、報道&記録としては決して省略されるべきでは無い。

 そもそも民主主義を標榜する国家では、罪刑法定主義が貫かれなければならず、具体的な行為が処罰対象とされなければならない。武道館でのビートルズ公演は、少々喧しく感じたとしても大音楽会:コンサートだから、そこへの参加は絶対に処罰対象には取り締まり対象にはならないはずのものである。
 ビートルズの武道館公演が、実質、大麻・違法薬物パーティーというのなら、現物の差し押さえや、現行犯として取り締まるのが警察の役割だが、純粋な大コンサートを根拠のない妄想で犯罪視して取り締まってはならない。そうした不当取締りの反省が未だに教育委員会にも警察にも全くないのはかなり危険だ。中国・朝鮮・ロシア並みの独裁弾圧体制に通じている。
   【伝説のビートルズ66年武道館公演】(スポニチ記事の同URL要約記事)

2022/10/15 23:55

やはり自民悪政の応援団!「連合」中央
個々人、単組、単産を野党共闘側にして・・・・  <3>

 連合会長芳野友子(ゆうこ)女史らは、野党連合の政権奪取よりも、共産党との絶縁を重要視する反共分裂至上で自民党補完勢力化して重大な害悪を流している。 2015年の戦争法制反対の闘い以来強化されてきて、選挙毎に支持を増してきた野党共闘を何が何でも破壊しようと、民主党政権が崩壊した低支持率選挙だけは除いて、その後の2選挙の比較で、立憲民主の大後退を「共産との共闘が原因」と叫び、「共産党との共闘の候補者は連合は推薦しない」と宣言。 野党連合による政権奪取よりも反共産を上に置く、実に強力な自民党政権応援団ぶりである。
 謀略的な小池百合子希望の党選別で民主党と野党共闘を崩壊・消滅させた前原代表も、暫くは無所属で居たものの、今や国民民主党に陣取って、そこを足場に、野党共闘を進めさせず、決定的な破壊のタイミングを窺っていて、これも多層の強力自民政権応援団となっている。 さらに、国民民主党自体がれー和4年度本予算に賛成票を投じて与党化宣言・反野党共闘の立ち位置を明確にした。

 そもそもを云えば、諸要求実現で結集すべき労働組合など諸団体や、信仰・教義で結集して現世の政治に投票権は持たないはずの宗教団体が、思想信条で結集する政党支持を機関決定して組合員・信者など構成員に押し付けて活動や投票先を指示、経費を負担、カンパ強要したりが基本的に問題であって、政党自身が支持者を組織化すべきもの。

JUKI労組&JMITUの連合吉野会長への抗議・釈明要求
団体側が無批判従順な構成員に選挙運動や投票先など政治的行動を指示することは、民主主義に保障されるべき個人個人の「自由権」ではない。団体側がその存在目的とは異なる政治的活動を構成員に指示・命令することは「組合活動の自由」「信教の自由」とは違う、不当行為である。
2022/03/31 23:55


連合、参院選支援政党も明記せず 立民幹部に困惑

共同通信社  2022/01/22 20:48

 連合がまとめた夏の参院選基本方針の素案で、共産党と協力する候補を推薦しない意向を示していたことに加え、支援する政党名を明記していないことが22日、関係者の話で分かった。立憲民主党幹部からは同日「連合の言い分をそのまま聞いていては選挙に勝てない」と困惑の声が出た。一方、連合幹部は、立民に共産との共闘関係を見直すようけん制した。

 関係者によると、素案では参院選について「比例代表、選挙区ともに個人名の徹底」を基本とし「政治動向は依然不透明であり、人物本位・候補者本位で臨む」と記した。

 立民議員は22日、「自民党など保守勢力の思うつぼだ」と語った。


松井一郎・大阪市長が猛抗議「誹謗中傷を超えて侮辱」と
菅直人元首相の 「ヒットラーを思い起こす」ツイート巡り

中日スポーツ2022/01/22 18:57 提供菅直人元首相のツイッター

 日本維新の会代表の松井一郎大阪市長が22日、自身のツイッターを更新。 立憲民主党最高顧問で菅直人元首相に「誹謗中傷を超えて侮辱」と猛抗議した。

 菅元首相は21日に自身のツイッターで、元大阪府知事の橋下徹さんらの「弁舌」について「話を聞くと非常に魅力的」としつつ、「『維新』という政党が新自由主義的政党なのか、それとも福祉国家的政党なのか、基本的政治スタンスは曖昧」と主張。「主張は別として弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす」と持論を展開していた。

 これに対して松井市長は「元総理であり現在も立憲の最高顧問の菅さん、貴方何を言ってるか?解ってるんですか!」と怒りのツイート。「民間人と我々をヒットラー呼ばわりとは、誹謗中傷を超えて侮辱ですよね」と続け、「立憲は敵と思えばなんでもありという事ですか? 正式に抗議致します」とツイッター上で公開抗議した。


サンケイ記事  https://www.sankei.com/article/20220124-LDQO6YTS3VPW5AQ7QWRWINBAYA/
日本維新の会の吉村洋文副代表(大阪府知事)は24日、立憲民主党の菅直人元首相が自身のツイッターで維新創設者の橋下徹氏に言及した上で、維新についてナチス・ドイツの「ヒットラーを思い起こす」と投稿したことを「とんでもない発言だ」と非難した。菅氏の投稿をめぐっては、維新代表の松井一郎大阪市長がすでにツイッターを通じて抗議している。

吉村氏は府庁で記者団に「ヒトラーに例えるのはあり得ない。どういう人権感覚を持っているのか。これが許されるなら、何でもありになる」と強く批判。首相経験者であり、立民の最高顧問を務める菅氏について「責任ある立場で、発言は重い」として、立民に正式な謝罪を求めた。

菅氏は21日、ツイッターで「橋下氏をはじめ弁舌は極めて歯切れが良く、直接話を聞くと非常に魅力的」と評した上で、維新について「弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす」とつづった。

維新≒ナチス台頭想起妥当
∵世論が無内容な煽りに乗り
  拡大し続けている!  <4>

 菅直人元首相が自身のツイッターで「主張は別として弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす」と述べているそうだ。 実像とは違う高評価が多数世論になってさらに増殖しているのをみれば、当時、世界中で最も民主的だったワイマール憲法下でヒットラーの煽りに乗せられた衆愚が勝ってナチスの独裁支配に到った苦い歴史を想起するのは大変妥当だと思う。 まして麻生前首相が憲法改正について「ナチスがいつの間にか憲法を変えていた手法に倣え」と公言していて、維新はその9条骨抜き改憲志向を全面推進する極右勢力。 菅氏も維新側からの根拠の薄い抗議に怯まず維新≒ヒットラー評価を断固貫いて貰いたいものだ。 批評・批判は自由で反論も自由。批評禁止こそナチスだ!

 新型コロナ感染パンデミックをみても、維新知事大阪の人口当たり死亡率でみればダントツの一位で、医療の容量も大きい巨大都市でありながら人口当たり死者数では全国平均の2倍以上となっている。 それも吉村知事の世論受け狙いのパフォーマンスの連続で、感染終息の前に大阪での感染防止自粛解除を打ち上げる「エッジの鋭さ」演出で、大向こうの支持を固めるが、実は急拡大の引き金を引くとか、根拠のないイソジン有効説流布などでテレビに出ずっぱりで、無策や重大な失政を重ねて居ながら、マスコミ露出の多さからアベコベに維新への支持を増やしてしまった。 維新の政策としては安倍晋三など戦争をする国を取り返す自民党極右派の純粋培養の様なもの。 これは衆愚独裁政治、ホロコーストと侵略戦争の大量犠牲を生んだナチス・ドイツ、ヒットラー&ゲッベルスの手法をなぞっている。 振り返れば日本でも軍の侵略主義を圧倒的多数世論が支持して、反戦の異論をテロと、その脅迫で封じて、世界中を敵にする亡国の太平洋戦争に突き進んだ衆愚の過去に重なる。 相澤中尉によるテロ事件に始まり、5・15、2・26クーデターで政府要人が殺害されて軍拡反対・不戦の意見表明が極めて困難にされる中で好戦世論蔓延となり、隣組や国防婦人会などの相互監視体制で戦争体制を徹底してきた訳で、一部の軍人だけが侵略戦争推進だったのではなかった。 そうした維新の支持の昨今の伸びは、かってのそうした痛恨の衆愚の再来を想起させる。 菅元首相のナチス:ヒットラー想起は、外れの多かった同氏にしては大変まともな感覚である。
 吉村氏の強い批判:「ヒトラーに例えるのはあり得ない。どういう人権感覚を持っているのか。」は争点回避の詭弁。 ナチス・ドイツ・ヒットラー台頭の歴史を繰り返してはならないというのが第2次大戦後世界の共通認識。 再びナチスの台頭を許さないために何が必要か、執拗なデマ宣伝や謀略による不当な世論誘導を許さない集団的知性が必要なのだから、ヒットラー流の口先で世論が流されていく事態には即座の警鐘が必要で有り、それこそヒットラーに例えて批判されるべきものである。
 内容の薄いパフォーマンスばかり繰り返して、大阪でのコロナ死激増の政策的主犯となったのに、逆に大きな支持を得て改憲に繋げている維新に対する批判としては、実に適切なものだろう。 ナチスの再来を許さない世界の共通認識から、ヒットラーになぞらえる批判を禁止することなど有り得ない! 維新側の巧妙なすり替えである。
 また、議員個人のweb上の見解表明に対して、直接には責任の無い所属政党に撤回・謝罪を強要する喧嘩を売って、まるでヤクザの威嚇のような台詞を吐くのも非常識というか、関西など西日本のガン:部落解放同盟の常套恐喝手段をなぞるものだ。 集団的恐喝の被害者を放置すると、行政まで動員した部落解放同盟の集団リンチ傷害事件として有名な、八鹿高校事件や矢田事件となってしまう極めて危険な事態である。 異論・抗議は先ずは当人宛がスジだし、執行権のある行政府にはせいぜいパフォーマンスとして見解を求める範囲であり、「抗議」は筋違いも良いとこ。 こんな乱暴な維新の連中に、権力を持たしては絶対にいけない。 歪曲・強弁など力尽くで異論を許さないヒットラー的独裁体制そのものではないか。

2022/01/30 23:55

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