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感染力1.4倍には接触機会1/1.4倍化 86%減が必要!
同水準抑止では感染爆発も有りうる:台湾&日本

 新型コロナ・ウイルス感染第1波の時には行動が皆非常に慎重で、接触80%減少おじさんの強い勧告なども影響して3度ピークを乗り越えてきたのだが、感染力の非常に強い変異株が流行しだした第4波が収まらなくなりつつある。特に象徴的なのが台湾で、感染防止初動の成功で累計百数十名の罹患できたものが、一瞬にして1000名に迫りつつあり、ワクチン接種を進めて来なかったことでピンチになっている。防疫の穴となったのが待機期間の特に短い航空便乗務員だったとか。

 イギリス型やインド型の変異株で感染力が強まって、1.4倍〜1.8倍になったと云うのだから、感染抑止には感染の機会を従前株対策時の1/1.4〜1/1.8≒0.7倍〜0.56倍以下に落とさないと、対策しても無効になってしまう可能性がある。80%教授流に云うなら、接触20%の0.7〜0.56倍の14%〜11.2%に抑えよ!86%〜89%抑止が必要ということだ。 抑止効果を生ずる境界が、感染力の強さによって段階的に変わることが予想され、接触機会を思い切って落とさないと増える一方になってしまう。

 そうした状況で、単に緊急事態宣言、蔓延防止策の掛け声だけでは対応として全く不足して、効果が得られないことで不服従に傾く世論に押し切られた大爆発感染に到りかねないのだ。 政府も自治体もその認識がかなり弱いのではないか?感染力が強まった今、飲食関係だけでは感染を押さえ込めない可能性が強まっている。
 そうした全ての感染確率積の集合が1.0を境に感染蔓延か、感染終息かが別れる。ウイルス自体の感染力倍加を接触確率低下だけで抑え切れなければ、感染力の強い患者周辺を徹底追跡して全体平均としての感染率を下げることは不可欠なのだ。
 感染しにくい方策、強感染スーパー・スプレッダーを徹底的に追って罹患率最低水準の「鳥取方式」や、広く患者周辺を追う「世田谷方式」などの優れた経験を早急に全国に広めて、効率的な検査と隔離を徹底して、感染大爆発前に収束させることが必要である。

 もう一点、「感染研の誤謬」としては、「入国者に変異株感染者が増えるなどのエビデンスがないと入国禁止・制限は採らない」というのがある。 これは学術研究での真理追究法:731部隊型人体実験研究と、安全確保目的の公衆衛生、防疫措置の混同がある。 感染力が強いものは、上陸してから抑えても遅いから、疑わしいモノは先ず止めなければならない。 現地での大流行など危険の蓋然性のあるモノは先ずは止めて、安全、或いは管理可能と判断できてから緩めるべきモノなのに、国内感染させてしまってから止めたのでは遅いのだ。
 当初は春節休暇客狙いで閉鎖が10日も遅れ、コロナ帰国邦人家族のフリーパス入国でヨーロッパ株を蔓延させ、第2波収束前にGoToキャンペーンで接触機会を増やし、国民の警戒を緩めて桁違いの3波とし、中途半端な解除で、更に大きな第4波を招いて惰性的な非常事態宣言のまっただ中で、尚も必要な検査態勢さえ作ろうとしない、無茶なオリンピック・パラリンピック開催固執でさらに警戒感を緩めている、安倍・スガ政権は何を考えているのか!?

賠償金支払いは委任できるが
謝罪すべき立場は転嫁できない  <2>

【 台湾産パイナップル 】

台湾産ラベル
 「台湾パイナップル」がスーパーにあったので早速買ってきて試食。美味い!一瞬、砂糖漬けか?と思うくらい従前のパイナップルより甘かった。血糖値制限のロートルは食べ過ぎに特に注意だ。
 従前はフィリピン産のシロップ煮缶詰が流通していて、その酸味で肉を軟らかく煮ることにも使われているものだが、そのシロップ煮穴あきパイナップル並みに甘く感じられた。

 台湾パイナップルは、これまで90%余が中国向けに輸出されていたもの。 それが、中国政府の突然の輸入禁止措置で栽培農家が大ピンチに陥った! 輸入禁止措置が、中国政府の口実は別として、「一つの台湾」「民主化後の中国との統一」を主張する祭英文政権への揺さぶり、武力侵攻統一への不当な干渉というのは大変見えやすい処。 中共独裁支配は当分止まないから、「民主化後」と冠を付けることで、大陸反攻統一がタテマエの外省人の抵抗は避けながら、実質は、当面の吸収統一断固拒否を言っている民主化李登輝総統路線の継承である。 「自国民」を中共政府に従わせるために力尽くの弾圧を仕掛けている香港をなぞって、「国内」の自治的国民組織:台湾へ武力侵攻をちらつかせる社会帝国主義者習近平の暴挙に強く異議を申し立てたい!。
フィリピン産ラベル
フィリピン産パイナップルのラベル
台湾産高級品
台湾産高級パイナップル \800.

 20世紀末の中共には「理解と納得の台湾統一」「中華大国主義的傾向の自戒」といった理性があった。 それが習近平独裁で軍事進出を強めて社会帝国主義の野蛮な水準に転落してしまったのだ。 「圧政の下、解放闘争は起こる」と革命運動を励ましたのは中共幹部、たしか毛沢東だった気がする。 習近平独裁も、いずれ解放闘争が起こり崩壊する時が来るだろう。

 東日本大震災被害への台湾からの熱烈支援のお返しもあって、中国の輸入拒否に遭った台湾パイナップルの輸入が東北被災地から拡がっていって、安物追求傾向の強いスーパー西友が通路の台に山積みにして売っているのを発見!フィリピン産の約2倍の値段だったが、習近平独裁政権香港弾圧の再現を許さず民主的な住民自治に連帯する気持ちを託するのに僅か500円前後で気軽に参加できる機会である。

 そういう政治的周辺事情を抜きにしても、台湾パイナップルは美味い!損はないから試食お勧めだ。
 「同条件での比較」というのは評価の客観性担保には不可欠だから、フィリピン産@300.も試食に買ってきたのだが、フィリピン産でも高級品は芯まで食べられて結構甘い!若干酸味が強めで、長く口に残る刺激的な味がするのと、芯に一部硬いところがあるのが台湾産と違う。 ということは缶詰は芯抜きでないと食べられないものも製品流通している。台湾産は畑で完熟だから美味しいということなのだろうか?

※【無題】
 東日本大震災で発電所が代替不能の大きな被害を受けて東日本が計画停電になって、不急製品の製造が停まったが、自家発電設備を持っている工場はすぐに生産再開できた。 この地震後生産再開製品は、コンビニなど売価の高いところは1週間後頃から出回ったが、最低価格だった西友は1ヶ月近く欠品が続いてから供給されてきた。 ビール500cc缶が従前\285〜\235だったものが、売価順に出回ったのである。「切れてるバター」はもっと酷くて\250〜\235だったのが、長期に品切れの後に\249で復活した。バターはHACCP(ハサップ)雑菌牛乳の雪印勝利、西友全面敗北!徐々に出回ってはきたのだが、露骨な経済現象で苦笑。 食品無菌の最低限の手順を定めたHACCPは、一種合理的合法的手抜きであるが、雪印は必要な洗浄まで省いて雑菌を繁殖させてしまった。同社200ccパック牛乳は事故前から非常に不味かったから回避していた。一瞬のミスではない長期に渉る系統的な手抜きの結果と考えられ、ヒ素ミルクの森永ミルクと共に敬遠対象である。

  P.S.
 パイナップルの売れ行きを見ていると、台湾産\500.は概ね即日完売!フィリピン産\300.は一週間近くかかって捌けているが、台湾産の単独補充はない。同じ輸入業者が、フィリピン産の売れ残り発生回避に出荷を制御してないか?と思ってしまった。来年は台湾産が席巻するかも知れない。中共習近平独裁の余波である。

  P.S.2
 他店で、カバーを掛けられた高級パイナップル \800.を発見!上写真↑。そこにフィリピン産は置いてない。高価だが、そこそこには売れている!普段はカバー付きの高級品果物など買ったことはないのだが、中共暴虐!社会帝国主義者習近平に抗議、将来民主化された中国との統一国家形成の故李登輝路線=祭英文路線に連帯して衝動買いしてきてしまった。当面、断固統一拒否の独立台湾路線支持である。
 但し、味についてはカバー付き高級品@800.より、西友@500.の方が甘みが濃かった。カバーは飾りに過ぎなかった。

 西友はフィリピン産だけになっていて、経時で熟れてきてしまい、1/3程が別の棚に移され 、その分は\160.に値下げされて売られていた。どうやら \500.の台湾産に完敗のようである。 来年はどういう線に落ち着くのだろうか?激しさを増す尖閣・南シナ海軍事侵略抗議で、高価でも、もっと売れているような気がする。独裁者習近平に往年の中国指導部の理性が全く感じられないのだ。

  P.S.3
 別のスーパーに、台湾産カバー付き高級品\480.、西友と同一ラベルのフィリピン産\129.を発見!フィリピン産はもう投げ売り状態になりつつある。台湾連帯だけではパイナップルの需要は増えず、フィリピンがワリを食ってしまったか?フィリピン産では中国の高級志向需要には代替できないのだろう。
 台湾産を派手に売って需要喚起してしまうと、独裁習近平の嫌がらせで中国からの輸入に支障が出かねないと怖れているためか?だが経済を無視した制裁は、石炭不足の電力不足を生み、大変な目に遭ったのは中国自身だった。習近平に総合的な損得など、まともな理性は戻るのだろうか?!
 韓国旧慰安婦問題と徴用工問題についての自民党安倍内閣の対応を見ていて違和感を感じるのは、どんな条約を結ぼうと、不当な行為に対する謝罪は、事態に責任を持つ当事者国家が行うほかなく、韓国政府に代行させられない基本事実が常に欠けていることだ。

 財産問題については日韓基本条約で残留資産との相殺に加えて経済援助を含む形で解決させたが、被害者への謝罪は韓国政府に役割を代行させることは出来ない。 それなのに金銭補償が韓国政府の義務だけを云い、問題解決の日本政府の謝罪に相当する河野・村山談話を否定・廃止を策して謝罪すべき立場を否定したから被害者の気持ちを逆撫でし、世の批判を爆発させてしまった。 大枠の重大エラーは大日本帝国無謬論者:安倍晋三の河野・村山談話撤回策動に始まっている。

 慰安婦問題の国としての根本は、軍=国家として軍人向けに公娼:慰安婦を利用したことだ。 募集に欺瞞や強制があったことは直接には業者の問題だが、慰安婦供出割り当てに官憲が動員された場合にはこれも国の責任は明らかだ。橋下徹元大阪府知事・元大阪市長が沖縄米軍司令官に「風俗の活用」を提言して激怒されたのは、日本の慰安婦と同じ売春の国家管理提供提案だから当然なのだが、橋本徹氏や安倍晋三氏らには全く理解出来ないようだ。だから纏まりようがない。
 一方、安倍晋三など大日本帝国無謬論の極右派の主張や「反日種族主義」に述べられている慰安婦が高給であった例、自由に廃業できた例を挙げて、公娼制度だったから問題がないという論議も、総てが自由だったのではない事実を無視するものだし、募集に欺瞞や強制のあった不当を免罪できない。 自由営業と強制の間に様々なグラディエーションがあっただろうものを、片側に固定して他端を否定する論議は有り得ない。 比較的少数でも被害者が居れば謝罪回復措置は当然の義務である。 また婦女子保護に、醜業従事制限年齢を定めていたが、日本本土より朝鮮で低年齢としたことで大量の慰安婦が朝鮮から戦地に送り込まれることとなった。 世論の非難回避に日本本土からは送りきれず、植民地朝鮮から大量に送り込んだのである。 被害指摘・糾弾側の事実主張が全員一律一様被害とも取れる表現をしていることを逆用して、平均値などそれと異なる切り口を示して全面否定するトリック主張に気付けば、不誠意・悪意だけが見えてくる。
 また、結論を前提にした「事実認定」が安倍晋三ら帝国無謬論派、慰安婦義援金横領事件の正義連双方にあって問題解決に困難を持ち込んでいる。 慰安婦が私娼ではない軍管理の公娼:植民地での公娼制度から軍専用に設置したものだったことは明らかだが、正義連幹部の発言として「公娼では補償金が得られなくなってしまう」というのが伝えられた。「公娼」だと補償金が得られなくなる理屈は全く判らないが、欲しい結論のために事実認定を変える思考で真実追究とは違っている。 慰安婦への義援金を勝手に流用・横領して渡さない「正義」など有り得ないのだが、旧慰安婦は韓国側からも食い物にされているらしい。

 「徴用工」については彼我に言葉の理解の相違が見られる。 韓国側は自発応募を含む動員一般を「徴用」としているのに対して、日本側の云う「徴用」は「徴兵」同様の法的な強制を以ての動員を指している。 実際は植民地に対しての徴用は国内法の直接適用ではなく朝鮮総督府を介して行われて、内地:日本本国より大幅に遅くて、韓国では敗戦前の数ヶ月であった。 それ以前は官の募集・斡旋の時期と、純粋に民間の募集の時期とがあって、形の上では自発的応募であって、日本人としての徴用(=法的な強制連行)ではない。 韓国併合以降の人口2倍化に就労先がなくて産業の勃興した北部や内地に流れるのだが、この「自発的応募」組(=植民地型農業強要で干魃飢饉を生じた貧困による強制)に対する扱いで謝罪と補償が求められているのが日韓政府間の問題となった「徴用工訴訟」だから、制度上の徴用(=強制連行)ではなかったことを証明したところで、酷い扱いとして問題とされている内容は解消しない。 韓国政府が日本に替わって謝罪する訳にはいかないのだ。 台湾の場合、干魃と氾濫に悩まされていた広大な南部平野を烏山頭ダム建設など大規模潅漑事業で肥沃な農地に転換させたことで、飛躍的に生産性が上がり、植民地型の米作偏重:内地移送でも矛盾にならなかった幸運がある。 コウリャンなど雑穀を作って食べていた土地を「天水田」などと潅漑のない米作に切り替えさせて干魃飢饉を深刻化させたのは日本の植民地農業政策である。 しかし形式が応募で実質が社会的強制になっていたものを単純化して「強制連行」とのみ呼ぶのも、挑発にはなって対立強化させるだけで、問題解決を難しくしてしまう。 日韓問題の概形を知る上で大変参考になった「日韓の歴史をたどる」(新日本出版2021/04/20刊)にも執筆者20名の一部にそうした「評価型の強制連行」記事があって、記事を読み込めば外形としては応募であって環境強制という評価であることは概ね判り、執筆者としての気持ちと推察されるが、客観事実摘示と、その評価を混線させていては本全体の信用性を落としてしまうのは残念だ。 台湾割譲は、朝鮮の支配権を巡って争われた日清戦争の結果としての割譲なのと、戦後進駐した蒋介石軍の著しい腐敗収奪・40年もの長期戒厳令を伴う激しい国民弾圧に日本施政の清潔・合理的な点が評価されたが、朝鮮は日清、日露両戦争とも侵略者達の戦場にされた上での独立運動を武力弾圧しての一方的併合と長期に続いた朝鮮人侮蔑で強い恨みを買ったままという違いがあるようだ。
 また現代の一般常識から過去の普通を批判・攻撃している様な例として「まるで荷物のようにトラックの荷台に載せられて移動した」とかあるが、当時はそれが普通で、内地の芸能人で編成された戦地慰問団の輸送もトラックは使われているし、国政選挙での宣伝カーに無蓋トラックを使用していたが、それが禁じられたのが1950年前後、軍用(兵員輸送)はいまも幌付きベンチ付きトラックが用いられている。 外地の慰問団では大人気の主演女優クラスが特別・例外的に助手席乗車だろう。 福知山線事故2005/04では救急車では運びきれない多数の負傷者を事故現場脇の工場がトラックの荷台に載せてパトカー先導で病院に何度も送っていて、トラックによる人員輸送が「朝鮮人に対する悪意の荷物扱い〜朝鮮人差別」とは言えない場面ではないか?
 言葉は是正した上で、具体的内容の検討が必要だし、そこに問題があれば謝罪は当事者:日本だ。 戦後の混乱で「社内預金」や給与が支払われていないというのは、雇用した企業の責任だろう。軍の威圧で賃金未払いが生じていた場合には国の責任も大きくなる。

 日本の採った「植民地政策」は、基本「国内」だとする同化政策で、近代化により生産性を上げることが試みられ、法律制度上の植民地差別は少なくて(=帝国憲法・国内法適用外で総督府の布令、代表権がない、平等でないなど)、公衆衛生向上で蔓延する風土病抑止、社会インフラや義務教育・高等教育の整備で本土並みを指向していて、収奪構造であることには違いないが、それは資本主義一般の構造であり、産業を育てて経済的には内外両者を利する方針ではあった。 それを韓国は欺瞞的な酷い扱いに加えて朝鮮文化破壊として捉えて、特別立法を作って「日帝残滓摘発」として現在も財産接収を続けている。
 しかしその近代化政策は朝鮮王朝、清国が共に放置してきたところで、西欧型植民地政策の遣らずボッタクリ:上がりを吸い取るだけの寄生虫型植民地主義とは大きく違うところだった。 そこは日本施政反面の近代化、農業生産力の飛躍的向上などを評価している台湾との大きな違いだ。
 植民地に教育を普及したらその知性は独立運動の核にも育つから西欧による植民地では有り得ない政策で、宗主国本国の言葉を学ぶのを禁じたりしていて、ベルギー領コンゴが独立したときに国民に大学卒はゼロだったとか、実に酷いモノだった。 それに対して、ソウルの京城帝国大学&台北帝国大学は国内7帝大とほぼ同時期に、大阪・名古屋帝大より先の6〜7番目の帝国大学として設置されている。 国民党蒋介石長期独裁体制の台湾を民主化した李登輝総統は旧制京都帝国大学(京大)が母校のひとつ、日韓国交条約締結の用日派(=日本を利用する派)韓国朴正煕大統領は満州陸軍士官学校を経て日本の陸軍士官学校を「恩賜の銀時計組」(=成績優秀表彰者)として卒業、日韓条約締結時に福田首相を追及する閣僚に「自分は日本が朝鮮に施行した義務教育で学ぶことが出来た。 日本人に混じって卒業し答辞を読んだ(=卒業生代表:筆頭優秀者)。日本の教育は割りと公平だったと思うし、日本のやった政治も私は感情的に非難するつもりもない、むしろ私は評価している。」などと説得している。 戦後、台北帝国大学は台湾大学に引き継がれたが、京城帝国大学は存続せず、建物のみソウル大学に引き継がれたのは日本施政に対する評価の違いだろうか? 日本への同化が目的の一つで、どちらも現地植民地住民入学拒否はないが、教育の場で学生・生徒に、いくら統合必要論を押し付けたところで自ら学べば民族独立の方向は生まれる。 植民地行政に深く関わって近代化の成果を残した総督府民政長官後藤新平は「植民地の教育は両刃の剣」とまで言って消極的であったとされる。
 しかしながら、日清・日露両戦役とも朝鮮の地を蹂躙しての帝国主義同士の植民地獲得戦争で、日本が勝って朝鮮を支配して、完全日本人化を求めて公用語も日本語として共通言語朝鮮語を廃し、朝鮮の慣習にない、家族名である「氏」を強要したことで、朝鮮では固有文化破壊として怨まれたし、何より、朝鮮人に対して激しい社会的差別が加えられて、関東大震災時には自警団などに依る大量虐殺事件まで起こしていることが大きな恨みとなっている。 関東大震災直後、我が千葉郡検見川町地域には「船橋沖に不逞鮮人が結集して陸上を伺っている」等の流言飛語の中、狂気の自警団・官憲などの襲撃に怯えて丘上の畑の農業小屋などに逃げ隠れする朝鮮人家族を気付かない振りで見逃した話は言い伝えられている。 避難朝鮮人達を警察署に匿って署長が自警団への引き渡しを拒否した当然の話がわざわざ残されているほど大都会は狂気に覆われていた。 小池百合子都知事の朝鮮人虐殺がなかったかの言い分は事実に反する。
 人口2倍化と本土移出用の米作奨励で飢饉が深化し南部で食えなくなった小作貧農が斡旋・紹介で北に行くと募集要件とはかけ離れた酷い待遇だったとかは確かにあって「カリフォルニア『怒りの葡萄』型不当」はある。 ところが、記録を辿ると、内地に応募した募集工の金銭的待遇は訴えとは逆に、他よりも良くて、「日本人との格差」と思われている内容は朝鮮人だからの賃金差ではなく、熟練度合いによる非熟練者の賃金差であり、戦争突入前後の厳しい労働力不足で募集されてきて、日本語の不自由な非熟練者は採炭現場などに送られて高能率の作業を求められていて、熟練した日本人が一緒に作業して実地指導して必死に生産高を上げていて、朝鮮人にだけ過酷な労働を強いていたのではない、大変逼迫した生産要求が有った様だ。 朝鮮人徴用工像のモデルとなった写真が、実は日本人炭鉱夫のもので、一時、韓国の教科書が誤って掲載して普及したモノだったというのも、日本人と共に渾然一体で働いていた結果ではないのか。朝鮮人差別ではなく日本人にとっても大変な労働だったのだ。 森村誠一著「悪魔の飽食」2巻で、「731部隊、細菌散布実験」の写真として旧当事者から持ち込まれた「伝染病防疫消毒作業」の写真20枚を採用してしまい、第2巻出版直後に真相が明かされて第1巻共々絶版、第3巻出版中止となった謀略的事件と、画像の取り違えでは共通している。 だがそこに一部未払い賃金を生じていた。 そういう客観事実を吹き飛ばしてしまうほどの酷い社会的差別・侮蔑があって悪い記憶しか残らなかったのだろうか。言葉が通じないのは特に痛かったのではないか?

 もう一点は、朝鮮に極端な現場作業蔑視感覚があって、炭坑労働、土木工事従事など実務作業を「虐待」と捉えている臭いがする。 これは西欧も共通で工学、農学など実用学をアカデミズムより低く見ている。 ところが日本では明治維新以降の近代化で工学、農学などの実用学問を大学に取り入れていて、さらに実用を重視した「東大第2工学部」(=現在の東大生産技術研究所)まであって、各県にも1校以上の工業学校と農業学校を置いて地域の英才を集め優れた中堅技術者(&農業技術者)を大量に育てたことが特徴になって国としての強みを発揮している。 戦後の新学制では工業高校、農業高校とされたが、古くは札幌農学校のように帝国大学に編入された例もある。 日本施政下台湾の嘉義農業学校の甲子園大会出場も、そういう位置付けの日本型の実業学校である。

@戦艦大和ミュージアム
かっては製造関係中堅企業の幹部は工業学校出身が多かったのも、各県の工業学校に英才を集めた名残であり、日本の産業を支えたのだが、帝国大学までは進学できない就職希望の優秀者が集まったので、やや揶揄的に「貧乏人の東大」などと位置づけられていた。 西欧植民者とは違い日本では日本人熟練者が一緒に作業していて、高能率の原因となっているのは自衛隊(工兵隊)サマワ派遣など現在の海外派遣で現場OJTでの技術移転を図って好評な経験と同じである。 自分でやって見せて教えろという連合艦隊長官山本五十六長官の指導そのものである。 西欧は一緒の作業には入らないようだ。 朝鮮には戦後の「農地改革」もなく、小作農ばかり増えていって、日本への出稼ぎ労働供給源となっていた。

 この実労働蔑視の歪んだ朝鮮流価値観は近年の日本の教育ママにも浸透してきた様で、2例ほど挙げると、 大昔に私がトンネル掘進の計測システム開発に加わり、掘進機の先端-後端座標&掘進位置誤差と姿勢についてリアルタイムの精密3次元計測・表示ソフトを引き受けて、計算アルゴリズムの原開発者である土木測量士の指導監督の下、電気での三角函数2次元計算より高度の自動3次元精密測量演算ソフト開発に興味津々で取り組んで、従前の数表時代(「7桁対数表」)からの標準的な測量計算用処理法よりスマートな コンピュータ演算向けの計算手順 を確立させた。 測量界の手計算では基本T象限90度までの三角比で算出=T〜W象限を分けて計算するが、ソフトウェアーによる計算では全方向T〜W象限全部(±360度)を連続函数1本で扱う方が処理を単純化できて、せいぜい tan 90度の回避に基準軸を縦/横切り替える程度。連続波を扱う電気屋型である。人の頭では混乱しやすいが、計算機は迷わない。
 ところが、その発注元元請けが著名大手土木ゼネコンだったことでウチの支配者に「土建屋に落ちぶれた!」と号泣されてしまった! 「えっ!そういう差別的感覚があるのか!?」と呆気に取られ大変驚いたのだが、幼時に山奥の土木工事現場宿舎を一家で転々とする中での何かしらのトラウマもある様で、理屈ではない不合理な感性で、当方失当なレッテル評価には動揺しないので充分に時間を掛けて興奮と偏見が醒めるのを待つほか無かった。 我が家電業界など消費者を上手く乗せる新商品を次々開発して大規模PRで欲しがらせることで長らく食いつないできたヤクザな業界だというのに、誇るべき「地図に残る仕事」(w)の土木計測・自動精密測量を「落ちぶれた」とは、どういう価値観をしているのか?!と思ってしまった。 まして新結成労組攻撃として労務課指示で仕事を干されている中、誰も引き受けない高リスク課題で、曽孫請けで廻ってきた電気屋の開発ジョブではないか。 失敗で追い詰められ追い出されるような高リスク課題ほど完成が面白いものだ。 自分の仕事をカミさんから絶え間なく侮蔑され続けたら、フツーの耐性では逃げ出したくもなろう。 そんな理不尽不当攻撃から「向上心」など生まれない。
 また「東京工大土木工学科修士の技術者が作業服姿でマンホールから首を出したら、子連れ教育ママに指さされ『一生懸命勉強しないとこうなるのよ!』といわれた」といった自嘲話がその土木系ゼネコンなどで広く伝わっている(w。ウチの支配者の感覚もそれだった!
 顔が悪いとかあっても、それはカンベンして欲しいが、朝鮮では現場作業就業を「虐待」として非難の世論の伝わりやすい地盤にはなっているのだろう。 日本でも時折手抜き工事は見られるが、韓国では、極端な手抜き工事での「落橋・建物崩落が頻発する」など、仕事への誇りを忘れた蔑視感覚で手抜きに踏み込みやすいのだろうし、些細なことで飛行機の出発を止めた「ナッツ姫の横暴」なども背景にこの現場蔑視感覚が感じられて、太古の平安貴族の感覚であって、偏見は解消してほしいもの。 「地図に残る仕事」などと言って現場のモチベーションを高めている日本型の方がずっと妥当である。トンネルでは外からは見えず、地図には残りにくいが。

 互いの偏見同士の衝突が対立を先鋭化させて問題解決を阻んでいるように見えてならない。 嘗て貨幣鋳造・建築,文字、文化を伝えた従の国が、誇り高き韓国をアベコベに侵略支配した忌ま忌ましさを厳しくぶつける偏見と、国を売った王朝支配だった、近代化も大幅に遅れた朝鮮への蔑視が真正面からぶつかっていないか? 被害者個々の請求権が残っていることは両国政府が認めていることなのだから、日韓国交交渉に乗っていなかった事項の整理に当たり再検討は当然だろう。

 台湾割譲や日韓併合時代の国際法としては植民地支配自体は不当であっても合法だった。 韓国の提訴で行われた国際機関の審判でも韓国併合は違法とはされなかった。大航海時代以来の西欧侵略体制・植民地支配を全面否定する国際的審判が現段階で下ることはない。 加えて、日清戦争戦後処理:下関条約で割譲された遼東半島を三国干渉で放棄するなどに見られるように植民地分割で利害対立する列強各国の了解を得て軍事対決を避けての措置は採られていた。 それが破られて暴走するのが5・15(1932AD)−2・26テロ(1936AD)の政府要人殺害で反対派封じをして強行した日中戦争(1937AD)〜第2次大戦:太平洋戦争の開戦=1941/12/08無通告真珠湾奇襲・宣戦布告で、連合国側から「(軍事)侵略国」と名指しされることとなった。 双方からの植民地争奪戦だったが、直接軍事侵攻して侵略戦争を起こしたのが日本側という訳だ。

 戦闘を細かに見れば,ペリリュー島のように米軍攻撃に備えて一般島民を避難させて生命被害をなくして闘ったのが日本軍。 マニラなどの市街の無差別爆撃で保護すべき市民の大量の犠牲を出すのが常套の米軍というのもある。 沖縄地上戦でもヴェトナムやアフガンでも平気で市民殺戮を行っていて配慮がない。 アメリカ南北戦争(1861〜1865AD)での北軍の、南部住民居住地攻撃で南部側の戦意を挫いて勝利して以来の野蛮さを引き継いでいる。 戦場からの避難の時間を与えて救命すれば数10万単位の市民の死者は出ないで済んでいる。 ファルージャでのIS掃討攻撃での一般市民6,000人殺戮も同様の米軍の横暴であるが、日本軍も同様の南京大虐殺事件などは起こしていて「戦時ではない」のに裁判無しに4万人(右派主張)〜20万人(公称)を処刑にしていて追い込まれた究極での残虐さには大差が無い。
 西欧からの東洋野蛮国非難回避に大変紳士的で、開戦の詔勅にも「国際法遵守」が明記されていて、降伏したロシア軍捕虜を「客人」と称して扱い司令官との会見に着剣を許した(日露戦争旅順要塞攻防戦)とか、 第1次大戦での日本各地の捕虜収容所では外出も許され、周辺住民は捕虜から各種技術を学んだ相互交流があったとか、 撃沈した敵英国戦艦の乗組員達を戦闘海域内で救助して甲板一杯の4百数十名〜スラバヤ沖海戦としては900余名余を、拘束中の敵国オランダの病院船に引き渡した(太平洋戦争緒戦駆逐艦いかづち) とかのエピソードが在り、武士道精神などと言われたのは第二次大戦初期までの白人に対してだけで、黄色人種は対象外で戦局にまだ余裕のあった場合だけらしい。太平洋戦争開戦の詔勅では、原案にあった「国際法遵守」は削除されたとか。

 大東亜戦争・太平洋戦争(第2次大戦)では闘う日米双方が「民族自決の原則」「植民地解放」を唱えて闘い、領土不拡大原則を掲げた連合国が側が勝って、欧米の植民地に民族自決の原則が適用されて、戦後に再侵略を試みたフランス、オランダ、アメリカ等が現地の独立戦争に晒されて、世界中の植民地が遅速はあっても形の上では独立を果たした。
 アジアの旧宗主国が、日本敗戦後に再びアジア諸国へ侵攻したのは、彼らの掲げた「植民地解放」が本気ではなく、戦勝のための宣伝スローガンに過ぎなかったことを示したが、 アジアを3〜4百年余にわたって植民地支配していた欧米列強が一旦は小さな島国日本軍に敗走した事実は、独立運動を大いに励まして、インドネシアやヴェトナムなど敗戦後に加わった日本軍将兵の義勇軍・軍事顧問も力となって西欧侵略者を撃退し植民地再進駐を不可能にした。


組合加入は個人の権利!アマゾンでは何を否決?
労働組合は自由設立主義@日本
代表組合交渉権方式@フィリピン  <3>

 アメリカはアマゾンで従業員による労組結成投票が行われて大差で否決されたという4/10〜/11のニュースに非常な違和感を持った。報道に、何か重要な要件が欠けている。 労働組合加入は基本的に個々労働者の権利であるから、団結阻害などの非行がない限りは、加入の可否を他人が決める多数決投票など有り得ない。
 多数決は拘束力の有る集団の意思決定手段だが、何の集団で労働組合加入・結成の多数決を行ったのかが報道では判らないのだ。(念のため運動には詳しい赤旗新聞も覗いたが、そこにも説明はなかった)

 日本なら労働組合は自由設立主義で、労働者が結集すれば労働組合活動として認められて労組法の保護対象となり、たった一人の組合員でも会社には交渉応諾の義務はある。
 敗戦後、ポツダム組合と揶揄される状況で、それまで違法視され弾圧された労働組合を育てるべき状況となり、労働組合法に定められた諸手続きに労働組合名で参加するときだけ、その規約に労組法5条に定められた内容を明記していることが求められる。 労働委員会制度への参加と、それによる労働組合としての法人格取得である。 労働委員会での審理を続けてきて、審判の出される直前にこの制限で規約改定を求められることがあるのはそのためで、組合員への年1回以上の会計報告に当たり、組合員数1桁〜3桁の零細の労働組合に職業的な公認会計士による会計監査を求めるのは現実的ではないから、それが規約に明記されていれば、公認会計士ではない無資格者の会計監査であっても労働組合自体の内部行為として追及などされていない。 日本政府と一部の都県が全労連を排除しているのは労組法2条を恣意的に適用した事実上のレッド・パージである。 経営側の利益を代弁している養殖御用組合は明文で排除が規定されているのに全く適用されていないのだ。
 さらに従業員の過半数を代表する労働組合・代表者との合意事項は未加入者・少数組合を含む全社員に適用になる。 また会社が労働組合への加入・脱退に口を挟めば労働組合法に規定された「不当労働行為」とされる違法行為である。

 フィリピンの場合は「代表組合制度」があって、従業員の過半数の委任を得た労働組合だけが交渉権を有して、少数組合は交渉できないことで、進出企業は戦闘的組合を抑止するために会社側が結成させた養殖御用組合だらけになっている。 日本でも国策として総評壊滅・連合育成で、大企業労組中心の養殖御用組合支配を策していて本質は同じであるが、不当差別を受けながらもまだ全労連が闘うナショナルセンター目指して交渉権を持って生きてはいる。 いずれにせよ労働組合への支配介入の不当労働行為そのものであるが、武装闘争を掲げる中国毛沢東型で活動する非合法のフィリピン共産党の実質的な企業活動否定方針の浸透もあって、従業員達を代表する勢力をも敵視して問題解決を困難にしている。

 個人加盟の職業別労働組合が基本のアメリカで、「組合結成の賛否多数決投票」など有りうるのか?!というのが基本的疑問だ。
交渉結果の一律適用を前提に交渉権委任で一本化するかどうか、工場闘争委員会設立の委任投票とかは有りうるが、労組結成投票とは違う。 全体の一本化に失敗しても、個々の労組の交渉要求を否定することにはならないだろう。
 「多数決」を行うには、その前提となる拘束力を持つ組織が必要だが、一種「社員会」の様な組織が形成されていて、交渉権を外部労組に委任するかどうかの多数決投票なのだろうか?あるいはアメリカでは事業所単位の社員組織は労働組合としては認められないのだろうか?!
 特定個人と会社の交渉は、労組の集団的条件の交渉とは別物だから、クローズド・ショップなど特別の合意がない限り労組の代表交渉権が決まっても、平行して交渉されるだろう。

 そうしてみたときに、今回の「労組結成投票」とは何なのか?日経も東京も報道は全く説明になってないのだ。日本でも判る報道をして貰いたい。

アマゾン「富の再分配」遠く
 米物流施設で労組結成否決
  賃金格差、拡大続く

日経 2021年4月11日 2:00
【シリコンバレー=白石武志、ニューヨーク=大島有美子】米アマゾン・ドット・コムの物流施設における労働組合結成の是非を問う従業員投票が9日、反対多数で決着した。米国の施設で初となる労組の誕生を回避したことになる。約2カ月に及んだ労使の攻防は、テック大手に富が集まるなか、待遇が思うように改善しない労働者の不満も浮き彫りにした。

米IT(情報技術)大手内部の給与格差は大きい。米求人サイトによると、アマゾンのデータサイエンティストの年収は10万ドル(約1090万円)を優に超える一方、倉庫労働者らの年収は3万ドル台にとどまる。グーグルのソフトウエア技術者の年収は平均で13万ドルに達するが、製品販売員はその3分の1だ。こういった状況下で出てきたのが労組結成の動きだ。

アマゾンの南部アラバマ州にある物流拠点での投票結果は会社側の圧勝だった。米メディアによると、9日午後時点で労組結成への賛成は738票、反対は1798票で、反対票が投票総数3215票の半数を超えた。

2020年末時点でこの施設に勤務する約6000人の従業員の半数超が組合結成を求める運動に署名していたにもかかわらず、結果がひっくり返ったのはなぜか。

一つは新型コロナウイルスの影響を抑えるため、直接投票ではなく郵便投票が採用されたことがある。経営側は投票までの約2カ月間、従業員向けの説明会を開催。15ドルの時給や福利厚生など、組合がなくても待遇改善に努めると訴えた。

従業員にとって、労組結成は年500ドルの組合費が徴収されるなどのデメリットがある。これまで個別に会社側と待遇などを交渉していたが、労組に交渉権が移ることを懸念する声もあった。

アラバマ州の最低賃金の時給は半分の7.25ドル。倉庫が立地するベッセマーは大きな産業がなく、ある従業員は米メディアに「確かに待遇は恵まれており、組合がなくても生活は維持できる」と話す。新型コロナで生活の先行きが見えないなか、労組不要の論調に傾いていったもようだ。

労組結成を主導した小売り産業の労組「RWDSU」は9日、経営側が投票を違法に妨害したとして、投票結果について労働当局に異議を申し立てる考えを示した。アマゾンの広報担当者は「我々が従業員を威嚇したというのは事実ではない」と主張する。

自動車をはじめとする製造業の退潮傾向が続いたことで、1980年代前半に20%を超えていた米国の労働者の組織化率は足元で10.8%にまで下がった。組合加入率が2割を超える英国など欧州に比べ低い。近年多くの雇用を生んできたITや流通業界では労組結成のケースは少ない。

富の配分の偏りは大きくなっている。米マサチューセッツ工科大学(MIT)のデービッド・オーター教授らは「生産性の向上に見合った賃金上昇を求める能力は、労組の加入率の継続的な低下によって弱まった」と指摘する。技術革新の恩恵はホワイトカラーに集中し、1963〜2017年の54年間で大学院修了の男性の実質賃金は約2倍に増えたが、高校卒業の男性は1割の上昇にとどまった。

アマゾンの世界の従業員数は1年前の1.6倍の約130万人、米国内でも90万人に達するとされる。格差に不満を持つ層は厚みを増している。

今後の焦点は、今回の投票結果が他の企業やアマゾンの他拠点にどのような影響を及ぼすかだ。労組を支持基盤とする民主党は大統領職と上下両院の多数派を占める「トリプルブルー」を実現。格差への不満と政権交代で組合活動の活発化が加速する可能性がある。

米グーグル親会社のアルファベットでは21年1月、団体交渉権を持たないながらも米IT大手で初となる労組が誕生している。今回、労組結成を主導したRWDSUはアマゾンの他の拠点から問い合わせを受けている。

一方、「アラバマ州での失敗は、他の拠点での労組結成の機運をくじくだろう」と分析する専門家もいる。労組結成による格差の是正が容易ではない。バイデン政権の誕生後、ウォルマートが自主的に平均時給を引き上げるなど、従業員が組織化しないよう予防線を張る企業の動きも目立つ。

アマゾンやグーグルなど米国のテックの巨人は、独占問題やプライバシーを巡って逆風にさらされている。一物流拠点における投票は否決に終わったが、分断修復を急ぐ米国で格差是正のうねりが収束したわけではない。デジタル時代に富の集中を謳歌した各社は、富の配分のあり方について直視を迫られている。

Amazon労組結成、投票で否決
 支援者は異議「会社の妨害工作あった」

東京新聞2021年4月10日 21時18分
 【ワシントン=吉田通夫】米南部アラバマ州にあるインターネット通販大手アマゾン・コムが運営する倉庫での労働組合結成を巡り、是非を問う従業員による投票は9日、反対多数で否決された。結成を支援してきた小売業界の労組「RWDSU」は、会社側の妨害工作があったとして異議を申し立てる方針という。

 投票を監督した全米労働関係委員会によると、結成を求めた738票に対し、反対は2倍を超える1798票集まった。有権者数は約5900人で、投票率は52%だった。

 RWDSUなど結成賛成派は、会社が組合を敵視する会議に従業員を参加させていたなどとして異議を申し立てる方針。これに対し、アマゾンは声明を発表し「事実ではない」と妨害工作を否定した。

 今回の投票は、倉庫労働者が、本社社員との所得格差の是正や過酷な労働環境の改善などを求め、2月から3月末まで郵便投票を実施。格差是正を掲げるバイデン大統領も労組結成を支援する考えを示し、注目されていた。



2021/05/18 23:55

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