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リング空隙の裏込め(埋め戻し)不足では?
調布外環大深度隧道上陥没事故

 東京調布東つつじヶ丘の段丘崖下(羽毛下(はけした):湿地帯:国分寺段丘崖?)に造成した宅地の大深度地下を外環道の2本のトンネルが掘進していて地上が陥没して建物にも被害を与えたことが報道されている。
 さらに9月半ばから現場ではシールド・マシン先端のカッターを回せなくなって掘進不能に陥り事業者は10月に掛けて専門家に相談する重大事態となり、国交省にも報告して、掘進面に潤滑のための起泡剤やベントナイトなどの添加剤を注入して回転させた経過があり、廻らないカッターを前後動かして繰り返し試行した時の振動が地上に伝わり、土を掘り過ぎてしまった可能性があるが、住民には伝えられなかったことが報じられた。続報:See→日記#452

[図1] シールド掘進機
:東京湾横断道トンネル   <F1>
(マシン径=切削外径14.17m>リング径14.00m=トンネル外径)


(担当JV発行パンフより、セグメント組立作業中に図修正。上下ジャッキに注意)

【シールド掘進機】

 シールド掘進機の掘進推進力は、トンネル壁を全周で軸方向に押す油圧ジャッキ群の反力として得る。 掘進方向制御は、加圧するジャッキを選んで「ジャッキパターン」で行う。
先端の掘進カッターを回転させて、ジャッキから推進力を与えることで切り羽の土砂を削って後方に排出して掘進する。
 シールド機の掘進で全周で伸ばしたジャッキを、セグメント挿入のため下側から 順に縮めて、セグメントをトンネルに締結、リングとして組立て、順次ジャッキを 伸ばして加圧、掘進前方の土圧とバランスさせる。 (倉敷水島海底トンネル事故は停電で油圧が無くなってバランスを崩しトンネル崩壊・水没したと疑われている)

ありがち陥没原因、    
 大深度地下法に無理  <1>

 シールド工法での地盤陥没の通常の原因としては、 トンネル壁であるリング外側の裏込め不足(埋め戻し不足)が考えられる。加えて工事が地盤から地下水を抜いてしまうと地盤沈下を促進する。 掘進工程としては、シールド・マシン先端のカッターで、リングの直径(=トンネル外径)より若干太めの穴を掘って、その余裕でセグメントをトンネル先端に取り付けて組み立ててリングを構成させた上で、余分に削った分を土砂やコンクリートで「裏込め」してトンネル外壁として固定する。(東京湾横断道トンネルではこのリングの内側に防水を施してさらにコンクリートを巻建ててトンネル内壁としている)。 この「裏込め」が不足すればその分地盤に影響して周囲の地盤が変形して、時に陥没する。 トンネルの土被りが40m以上あれば地上までは影響せず陥没しないという「建前」で掘進自由の大深度地下法があり、事故現場はその適用工事である。しかし、戦前の東海道線丹那トンネル掘進工事でも落盤事故の真上の丹那盆地に陥没を生じており、条件次第では深度40mどころではない。 大深度地下法には確たる科学的根拠は無く、例外も充分在りうる一種、業界の経験則→学界の通説である。すなわち法律的な建前ではあっても、科学技術的な絶対的結論ではないから、地上権に全く無関係にトンネルを掘れる法規定には無茶がある。

現場は軟弱地盤:羽毛下では? <2>

 陥没現場:東つつじヶ丘は京王線の南側で新宿寄り仙川若葉町の崖の下、「羽毛下(はけした)」であり、地形としては野川源流の国分寺段丘崖の延長、世田谷区成城学園下に続く崖位置に直近で合流する谷の模様で、羽毛下を小川が流れている直近だから、当然軟弱地盤は想定され、特に段丘崖直下である小金井市の野川公園付近では自然湧水が多数あるような地盤が不安定な領域だから、トンネル掘進の影響範囲が法定の40mを越えることは充分あり得ると思う。 「法定」の40m以深であっても、予め地盤を固め、頻繁な土木計測を行うなど軟弱地盤に合った非常に慎重な工事が求められている。凍結工法などで「マヨネーズ層」にトンネルを掘った東京湾横断道や羽田空港トンネルの前例は有るのだ! 軟弱地盤に住んでしまった被害者が悪いのでは無い→某Fuji TV!愚ワイドショー(追記行)。 隣接する若葉町と東つつじヶ丘を結ぶ道路が地図にあまり見当たらないのは境界付近の若葉町が急な崖と崖下の小川になっていて、急な階段道・歩道が通るだけだからだ。陥没事故地点から100m前後の斜面には武者小路実篤記念館・実篤公園がある。

必要裏込め断面積4平方米余 <3>

 片側2車線の道路トンネルとして外環道と規模の似通っている東京湾横断道トンネルの略図(図1)を見ると、トンネル外径14.0mに対して、掘削外径14.170mを掘っているから、空隙断面積が 3.761[m2(= π(14.172−14.02)/4∵円面積S=πD2/4)もあるので、大量の裏込めが必要である。
 外環道トンネルの外径が仮に少し太めの16.0m、掘進外径を16.17mとすれば、その裏込めすべき空隙断面積は 4.295[m2 (=π(16.172−16.02)/4)在ることになる。
 東京上野の東北新幹線御徒町トンネル陥没事故は、加圧シールド工事で地下鉄トンネル準備工事壁に当たって掘進不能のまま1ヶ月経過して地盤が乾燥してしまい、薬液注入などの地盤強化をせず放置していたためトンネル内の加圧空気で吹き飛んだ、避けられたはずのポカ事故だった。 今回、掘進不能になるほどの大きな礫に気を取られて、羽毛下の軟弱地盤での裏込めが不十分になったとしたら、今の技術水準なら「ポカ」だろう。

土砂の採りすぎ=裏込め不足? <4>

 前出、日曜版スクープ報道にゼネコン関係者の言として「土砂の取りすぎ」の記事の意味を考えると、トンネル断面分の土砂は取り除く必要があるが、実際にはシールドマシンはトンネル直径以上の掘削径で掘ってリング組み立て作業の余裕を得ているから、「裏込め」といって、その多く掘った分を埋め戻しているのだが、埋め戻し切れてないこと=埋め戻し不足=裏込め不足を「土の取り過ぎ」と言っている模様。
 当方、電気技術者として、土木計測器&処理ソフト開発・設置・運用補助を請け負って東京湾横断道や京急羽田空港など4〜6本のシールド・トンネル工事を経験しているが、そこでは「裏込め」、「裏込め不足」という直截な言葉が使われていて、「土砂の取りすぎ」という間接表現は聞いたことがなかった。 埋め戻し量の管理指標の相違と捉えれば、どちらが正しいという事ではないが、具体的内容が解りやすい表現の方が優れているように思う。

少なくは無いシールド事故 <5>

 シールドトンネル工事の陥没事故としては、8年半前の2012年2月に岡山県の倉敷水島湾で起こったJX日鉱日石海底トンネル崩壊事故があり作業員5人が亡くなっているが、明確な事故原因の報道は見当たらず、鹿島自身は「シールドマシンのテールシールブラシを3段から4段に増やす」、「セグメント組立時の停電対策として、非常用発電機を設置」といった対策を採っていて、停電時の位置状態維持と、シールドマシンとリング・トンネル間に問題があったと判断して工事再開したようだ。東北新幹線御徒町トンネル事故は土砂を加圧空気が吹き飛ばして大穴が空いたが厳密には「陥没」事故ではない。 他にも水没事故で人命が失われたりしていて、残念ながら、より安全と言われるシールド工事の労災事故は少なくない。
   See→「JX日鉱日石海底トンネル崩壊事故/ 何が問題だったのか?」日記#294
      「泥水加圧シールド工法」日記#130
    See→倉敷海底トンネル崩壊事故【シールド工法】12/26/2020追加(原因解説)
    ※ 赤旗新聞日曜版11/08/2020号p35のスクープ。

2020/11/06 14:55

国際宇宙ステーション、11/19夕
 関東の280km上空を東へ通過  <7>

 今日11/19夕方は一種天体ショーで、木星&土星付近を月が通過するのと、強く輝く宇宙ステーションが東に走って火星の先で消えるのが見られた。
 夕方の買い物とウォーキングに出て、雲間から時折見える五日の月(=正午月齢3.9日@理科年表、広義では三日月、厳密には11/17の正午月齢1.9が三日月)と、木星、土星、火星などを歩きながら見ていたのだが、そこへ国際宇宙ステーションが西側から飛び込んできて、天頂近く南東方向の火星の東でス〜ッと消えたのが17:39頃だった。 上空400km?の日没で見えなくなった模様。地上の日没は16:32(@東京11/19)だから、宇宙ステーションの飛ぶ上空は67分遅いことになる。 大昔に高高度を飛ぶリレー衛星などを眺めたことはあるが、直径30mのアルミ蒸着バルーンだったというのに、それほど目立った輝きは見られなかった。国際宇宙ステーションは傍の火星(−1.5等星@11/19)よりズッと明るい別格の輝きだった。

 待てよ!日没時刻の遅れtと地球の半径Rから、宇宙ステーションの軌道高さHが推定計算出来るはず!
すなわち、
(1).日没線は日没点で水平=地球半径方向に直角、
(2).宇宙ステーションの日没点は、地球の自転速度ωと、日没時間の遅れtの積でその間の自転角θが分かり、
(3).地球中心Oと、地上日没点と、宇宙ステーション日没点で直角三角形を構成していて、その斜辺が、R+Hで、 (R+H)・cos θ=R になっている.
(4).すなわち、軌道高度H=R/cos θーRR(1/cos θ−1) で求められる訳である。
   地球の半径Rは、40001km/2π、・・・・・・・・・・π は円周率≒3.141592653589793・・・・・・・・・・
   自転角θ=ωt=67/(24×60)×360゚=67/4=16.75゚、
 ∴軌道高度H=40001/2π(1/cos 16.75゚−1)=282.08 km
公称400kmより低めの=282.08 kmを飛んでいたことになる。 軌道の反対側(地球の裏側)では500km以上を飛んでいるのだろうか?!

 それより前の17時頃、南西方向は輝く木星の真下に月齢4.0の月が見えていたのだが、時間経過につれて東に移動して20時頃には木星の概ね40゚方向に移動したのは驚き。月の公転はそんなに早かったのか!と思った。
月は見かけ上、29.53日周期で地球のまわりを公転しているから、1日の移動角は12.09゚、1時間で0.50796゚東方向に動いている。月の視直径が概ね0.5゚(視半径 0゚15'32.88"0.51827/2゚)だから、1時間で月面直径ほど東に移動し3時間では約3直径東に移動するのだが、比較対象の木星があったので初めてそれに気付いた訳だ。 永らく自然現象の現物を良く見てなかった!体力維持のウォーキングに重いカメラは持ち歩いて無くて撮り逃し大変残念!ウォーキングを供にしていたうちのカミさんは「国際宇宙ステーション」であることには半信半疑。当方、全然信用されていないのは不徳の致すところ!光点が一定光量でゆっくり飛んできて、突然スッと消える尾を引かない流星なんて有り得ない。光量からして超大型人工衛星:国際宇宙ステーションだ。
 国際宇宙ステーションの公転周期は90分前後で、軌道の傾きは赤道面から 51.6 ゚程度だから、地球の自転と軌道が交わる辺りが日没後か日の出前(上空ステーションには陽が当たっている状態)になる辺りで数分間づつ見えているはず。 緯度が51.6゚以下の地域なら少なくとも数日に1回は見えるはずなのだ。See→東京観測

 なお、明け方直前の東の空には現在、金星:明けの明星が輝いていて、運が良いと地平線近い水星が見えるはず(金星の出=03:58、水星の出=05:07、日の出=06:24、@11/22東京by理科年表2020)。 空気の濁って光害激しい都会地でも5惑星くらいは見えている。

2020/11/19 22:55

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