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航空燃料系以上の電池対策が必要
 ボーイング787リチウム電池発火事故

 Boeing 787型機に採用した高性能のリチウムイオン蓄電池から発煙・発火した事故が続き、主バッテリー発火では緊急着陸しました。近日中に事故調査報告が出されると思いますが、着目点が2つあります。
 一つは過充電・過放電を防ぎ発火させない充放電制御をすることですが、もう一つはリチウムイオン電池の性質から何等かの故障で発火は有り得るものとして、それが致命的にはならない構造にすることです。航空機の場合後者採用が重要になりますが、可燃性の電解液が機体内に漏れていたというのは、機体内への燃料漏れと同質の危険な事態です。燃料系統同様の隔離構造が必要なのに、裸設置だったことになりますから、まずその改良が求められるでしょう。電池故障の代替機能は明文の報道はありませんが、炭化するほど燃えても地上に帰還していますから、バックアップはあったようです。

 パソコンなどに使われるリチウムイオン電池がゴミとして廃棄されたのを圧縮収集して発火する事故が多発して注意喚起されていますが、携帯電話やパソコンからの発火事故などが続いていて、SONYが屋台骨が揺らぎかねない全世界規模の大掛かりなリコールをしていましたから、発火の危険性はもっと周知すべきですし、逃げ場のない用途では発火を前提に安全を保障できる設計が必要でした。金属リチウム自体が水を得て発火すると消火困難なのに加えて、電解液が石油ベースで条件次第で可燃物となるので消火剤にも注意が必要で、発火リスクの大きかった燃料系統同様に、危険性に見あった隔離措置を取れていなかったことが問題とされるでしょう。かってアメリカでボーイング727機がオーバーランして胴体下の燃料パイプが折れて燃料に引火し乗員乗客のほとんど全員が焼死した事故があり、以降全機に対策を採っています。今回のリチウムイオン電池発火はそれに匹敵する事態です。

 アメリカで焼損したのは「補助動力装置用のバッテリー」と報じられていますから、静止状態からの起動には影響しても、飛行中は主エンジンが動作していて主制御部は動いていた模様。そこは大丈夫の様です。
 「補助動力装置」というのは日本航空東京-大阪123便墜落事故時に、圧力隔壁破損で垂直尾翼とともに吹き飛んで注目を浴びたものですが、飛行機を地上装置の助けなしに起動させエンジンを掛けて飛び立てる状態にするための圧搾空気と油圧と電力を生成するガスタービン動力の装置ですから、ボーイング787の補助動力装置も同じ機能だとすると動力飛行中は無くて済むもので、飛行機用リチウム電池一般の対応で解決します。ジェット旅客機で初めてこの「補助動力装置」を搭載したのはボーイング727型機で、非常に優れたSTOL性能(短距離離着陸性能)と併せ電源供給など地上支援設備のないローカル空港での就航を可能にしました。

 なお、マスコミ論調で「主」電源か「補助/副」電源かを重視してトラブルの重大性を云うものもありますが、トラブル時も含めて常に必要な電源容量が得られて故障が他に及ばなければ電源の主副のレッテルは意味ありません。補助動力装置の後付の仕様として「飛行中を含むいかなる状態でも起動可能」という項目が入ったので、補助動力装置用バッテリーの損傷で起動不可能になるのか?それとも主バッテリーからのバックアップで起動できるのか?という問題は生じて、全エンジン停止状態から復旧・エンジン起動するのに補助動力装置起動が必要ですが、今回のトラブルでは主エンジンが正常に働いていたので電力供給はされていて、補助動力装置の起動は無用だったはずです。
 鉄道の例では、主要線では信号用高圧電源が正副2系統あり、どちらでも電圧の得られる側から動作電源を得ているとか、新幹線アナログATCが3系統多数決方式で単独の「主」は無かった例があり、「主」を限定する意味はありません。私が常用する総武線や京葉線では6000V3相交流2回線3本×2組計6本が見られますし、隣を走る京成電鉄線でも信号電源用単相回線と一般電力兼用予備信号電源3相交流1回線の計5本の高圧配電線が見られます。

 日本航空123便の事故で一挙に520人の乗客乗員が亡くなりました。しかし世界は毎年の航空機事故を重ねながら飛行機の利用を続けていて、それは可能性としては空中衝突するとその2倍の1,048.人の犠牲が出ることを暗黙の了解事項としています。どこまでを許容範囲と考えるのかとなりますと、事故被害の広がりが有限であることから、旅客旅行キロあたりの発生率でみられて暗黙の許容になっているように思います。
 それに対して、一旦事故が起これば、30万人から数100万人が住まいも仕事も失う原子炉事故は、専門家による発生確率の推定自体が間違っていて、実際には独立発生ではないために桁違いの発生確率があって、しかも一旦事故になると回復の方法がありません。50年間の運転で54基中4基が大爆発というのが日本の実績で、16万人〜30万人が避難を強いられている、それは果たして許容できるリスクなのでしょうか?!

工業高校専門科目の
 教科書会社だった「実教出版kk」    <2>

 東京都教育委員会(と横浜市教育委員会)が目の敵にして圧力を掛けて採用を総て撤回させた社会科の教科書「高校日本史A」(教科書番号:実教302)の発行元である実教出版kk(03-3238-7700)は、工業高校生向けに分かりやすい専門教科書を作っていた会社です。
実教10-1027電気機械2
実教出版kk「電気機械2」
実教302高校日本史A
実教出版kk「(H25新課程)
高校日本史A」紹介へ
実教A309高校日本史A
実教出版kk「
高校日本史A」紹介へ
身近で聞いたことのある会社と思ったら、微かに記憶しているだけでも電気機械1・2、電気応用(照明計算など)、電気通信、製図などの教科書が同社発行のものでした。濃い緑色のソフトバックの表紙に銀文字のタイトルが特徴でした。
 技術系の競合教科書出版社としては大手が「電気学会」編纂とするコロナ社があり、たしか「電気計測」は電気学会編纂でしたが、その内容はお互いかなり毛色の違うものでした。オーム社は専門書・特に強電関係と理論系では定評がありましたが教科書の記憶はありません。「アナログ・コンピュータ」はオーム社でした。地下鉄サリン事件のオウム出版と間違えられたりして(w。あの事件後、全書店に信者達が必死に売り込みを掛けてました。あれとは違う電気技術系の老舗です。)

 高校生が微分・積分を教わるのが2年生末〜3年生なのに、それを必要とする専門教科は1年生からあるので、微分積分を使わないで諸原理を正確に教え理解させる必要があり、数学的表記としてはオーソドックスでスマートな電気学会テキストに比べて、初級数学の範囲で泥臭くても分かりやすい実例からの解説が目立ったのが実教出版刊の教科書でした。制御回路を含むモーター開発技術の職場で、内容の分かり易さから理学部物理学科、通信学科出身者の新人教育に引っ張り出したのが大学講座テキストではない、この実教出版刊「電気機械1」でした。(See→日記#256J中段:物理学科卒・・・・・・)

 感覚的に言いますと、東京書籍刊の「数学」教科書の解法はスマートで一般的な解法で、読者の数学的素養次第では抽象的で判りにくかったのに対して、績文堂刊矢野健太郎編の「応用数学」教科書が測量など実務に即したイモっぽい解法をして取っ付きやすくなっていたのに似ていますが、専門科目の方が生徒のレベルとのギャップが大きいので、解説の涙ぐましい工夫が良く見えたということだと思います。数学コンプレックスのある私には東京書籍版の方が格好良く見えていたのですが、生徒皆が判ることに重きを置けば、泥臭い解説に軍配が上がるでしょう。
 あるいはパソコンソフトのマニュアル本で、重箱の隅を突く秀和システムトレーディング本が大学講座テキスト、概説本で一応使わせてしまう技術評論社本が工高用:実教出版教科書と言ったら感覚的に近いでしょうか。

 その「実教出版」が文系教科を含んだ総合的な教科書会社になっていたとは全く知りませんで、まさか社会科関連のこんな話題でクローズアップされるとは夢にも思いませんでしたが、高度の専門的内容を高校生に理解できるまでに分かりやすくするノーハウを日本史の教科書にも適用したことで学校現場では分かり易さが評価されて教科書採択決定されたものの、東京都教育委員会の愚行を客観的記述で暴き出してしまったことでその都教委から不当な干渉を受けて採用決定を取り消したのだなぁと感じました。
 国旗国歌法制定時には「他に及ぼさない」ことを強調して思想信条表現の自由の侵害ではないと弁明していましたから、東京都教育委員会が強行している処分や解雇がそこから外れるのは明らかで、そのことへの評価抜きに客観事実の指摘をしただけの教科書でも狭量な極右権力主義者たち東京都教育委員会には許せなかったのでしょう。
 都教委には目の敵にされる教科書ではあっても文部科学省検定済み教科書ですから大したことを書いてある訳ではないでしょうが、高校では世界史を選択して日本史はパスだったので、都教委採択妨害発禁本を改めて読んでみるのも良いかと実教出版に電話しました。そこで「各地取次店を通じて」というので、紹介された取次店(千葉教科書販売043-242-4421)に電話しますと「新規教科書の一般販売は4/1以降で、発注もそれ以降」で、関係者に予め配布した見本本は「千葉市では『幕張総合教育センター』(043-276-1166)に行けば見られるが、入手はできない」というので、入手には春まで待つしかないようです。ダミー書店でも介してamazonにでも出してくれると良いのに。都教委御用達極右扶桑社は不採用の教科書を一般書店ルートで平積みにして売ってましたが、まともな側は報復回避に隠れて売らなければいけません。

集合ポストに意思表示シールを    <3>

 集合ポストの私の区画に以下の張り紙をして、不当な言論弾圧を抑制することにしました。これの印刷物&版下コードは流用勝手です。


主張・見解・報告ビラは部屋のドア・ポストに投函下さい

内容の支持・不支持・保留は読んで私が判断します.

投函&「依頼による投函」は不法侵入ではありません.

私のポストへの主張ビラ 配布阻止は知る権利の不当侵害です.

────────────── 言論の自由擁護・民主主義擁護・ビラ弾圧阻止の個人行動 ──────────────

 最高裁の不当判決もあり、権力側による言論弾圧はゼロにはならないにしても、配布依頼の貼り札のある場所でのでっち上げ逮捕はかなり難しくなるでしょう。ビラを欲しくない人だけが「投函拒否シール」を貼れば済むものを、何もせずに弾圧の罠を仕掛けて他への配布を妨害するような言論自体を敵視する卑劣な行為を放置してはいけません。かっての特高警察支配下、ナチス支配下、大日本帝国直輸出北朝鮮の悪夢は、制圧されて動けなくなる前に市民各々が止めませんと。

 見解表明のビラ配布だけで22日〜70日以上も拘束されては多くの場合、職を喪う過酷な事態に陥るので、それに見合った被害側の反撃としては、ビラ配布妨害犯を民主的地域世論で断固糾弾すべし!と思っていますが、一般の人にはそうした認識があまり無い様で、褒めごろし方式では逆に支持を失いかねないので、ストレートな批判と意思表示方式で暴挙を縛っていくしかなさそうです。
 先の三鷹市下連雀UR住宅での法定ビラ配布妨害は、「選挙の自由妨害」か「威力業務妨害罪」と「暴行罪」に該当するはず。弾圧被害者と被害団体は是非逆告訴して欲しいものです。悪質なビラ配布妨害犯側のやりたい放題にしてはいけません。

警察長官狙撃事件オウム「名誉毀損」
調布駅南口暴行事件の調布署対応と同種    <4>

 警察庁長官狙撃事件が公訴時効を迎えるにあたり、捜査に当たった警視庁が「個人特定は出来なかったが、オウムのグループの犯行」と名指ししたことで、オウム側が「名誉毀損」による損害賠償の訴えを起こして、金額以外はほぼ請求通りの判決が出たことが報じられています。
 一般庶民感覚としては、今も教祖に帰依して、殺人教義を信奉して集団で暮らし、「正当性」を主張し続けて弁護士さえ屁理屈でやり込めてしまう危険なカルト集団に警戒の目を向け続けるのは当然のことだと思いますが、警視庁はその範囲を超えて、起訴しなかったのに「犯人だ!」と断定して主張し続けたことで、損害賠償(慰謝料)だけでなく謝罪文交付まで命じられることになりました。無罪推定の原則からすれば、捜査機関が犯人を特定できずに不起訴となった事件の「犯人」を名指ししてはそうなるのは当然でしょう。サリン噴霧・拉致殺害など現実に実行して隠蔽したことに関する厳重警戒宣言に留めていたら敗訴は無かったでしょうに。

 「調布駅南口暴行事件」の無罪判決確定を承けて調布警察署が同じことをしています。「証拠の出し方を失敗して無罪にされてしまったが、あれは間違いなく犯人だ!」と、地域の校長など学校関係者を集めた席や、経営者団体との懇談の席などで警察幹部が「解説」していることが伝わっています。「警察学校で、証拠の扱い方の失敗例として良く教える」という話も漏れ伝わってきています。冤罪を長期に闘って晴らした少年達に対して、あまりに酷い扱いと言うほかありません。長期の裁判中は就職困難なのを調布土建組合(東京土建労組調布支部)が支えて両立させましたが、こちらも全く同じ構造なので、裁判での無罪確定後に公式の場で「間違いなく真犯人」説を振りまき続けた調布警察署としての態度表明が必要でしょう。See→順応[照度と視力]日記#305-5後半、調布駅南口事件

弁護士 坂本福子さんご逝去   <5>

 女性差別解消裁判などで大きな足跡を残された弁護士坂本福子さんが1月12日、80歳で亡くなられたそうです。ご冥福をお祈りします。

訃報  坂本福子弁護士は、女性差別問題の相談に労働組合婦人部でお招きしたことがあります。
 手許の客観資料としては女性差別の具体的証拠も良く揃っていて大変有利な提訴条件はあり、実際に裁判提訴となったら私も縁の下の力持ち役で社内の賃金・格付け分布調査や賃金計算など裁判資料作成実務を引き受け、運動にも裏方として5年10年と参加せざるを得ないと覚悟していましたが、残念ながら不発に終わりました。

 資本側からの労働者攻撃の重要な一環であった連合結成で争議そのものを無くする動きの中、男女差別解消は、運動の課題としては重要で、資料も良く揃っており、元々の賃金制度の成り立ちが、電機労連(電機連合)男女別学歴別実在者賃金分布に合わせて折れ線近似をして、そこに社員を当てはめて賃金水準を業界並みに引き上げたものですから、一部は組合自身も噛んでいて、差別そのものを後付の理由で湖塗したものは明らかでしたから、裁判技術的には大変スッキリと主張立証ができるケースで、坂本福子弁護士からは提訴し易い条件と言われていました。

 しかし、総評を吸収合併して闘いの目を摘む連合結成の大方針のもとで、連合指向派からは地域の全労連や中立組合との絶縁が大前提とされて、それら地域労組の役員・活動家でもあり共にたたかう御主人たちとも絶縁することが当然に要求されて、組合の本気の課題にできるかどうか、弾丸が後から飛んでくる様な状況では到底争議は闘いきれないと逡巡するうちに時季を失してしまいました。
 現在、電機連合(電機労連)SONY労組が仙台で非正規解雇と闘って実績を上げていますが、それは元々が「電機労連の鬼っ子」で御用化路線を拒否した自主独立路線の組合で、上部が連合に参加したからといって、単位組合の労働者擁護の方針は変えなかったので、上の言いなりに自分から積極的に「地域団体と絶縁」を要求して排除するところとは全く違います。
 争議は、全生活を掛けて家族ぐるみで闘うことが要求される大変な営みです。それをご主人たちとその労組との接触を断って、単独で闘えということの実質は、女性差別撤廃要求そのものを裁判手続きだけに閉じこめて、世論形成で押し込む「運動」化は絶対認めない=判決無視を可能にして争議はやめさせて勝たせない(=国鉄1048解雇1審勝訴を逆転させた主導権を握った右翼社民の基本方針)という強い意思表示でした。現に、連合は争議否定でその発足前に傘下単産加盟組合の争議を次々終結させていました。
 労働組合結成以来の一致点で闘ってきた経験では、連合派の方針:要求実現より反全労連優先することを「内部矛盾」化された対立状況を乗り越える馬力が足りずに時季を失しました。
   See→(日記#247の以下の章の第4節〜5節のエピソードがその僅かな穴埋め措置でした)


2013/01/20 00:10

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