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韓国ビル揺れ高Qの共振現象か!?
地震波共振損壊の懸念示す


ビルの揺れ エアロビで?
韓国39階建て、避難騒ぎ
    専門家調査結果

 ソウル市東部の広津区にある39階建ての複合商業ビル「テクノマート」で5日、原因不明の揺れが起き買い物客ら数百人が避難する騒ぎがあり、12階にあるフィットネスクラブでのエアロビクスが原因との暫定結果を明らかにした。韓国メディアが報じた。

 ビルは一時、閉鎖措置が取られた。当初はビルの基礎部分の損傷や地盤変化などが原因として挙げられたが、調査の結果、エアロビクスによる振動の周期と、問題の揺れの周期が似ていたことが判明した。

 揺れが発生した当時は約20人がエアロビクスをしており、集団による振動が建物全体の共振現象を起こし、上層階で揺れを大きくさせた可能性があるとしている。

日経2011/07/20水13版42面右上(ソウル=共同)


韓国・ソウル高層ビル振動問題
 調査チーム、
エアロビクスが原因
  との暫定結果発表

 韓国・ソウルで7月5日、高層ビルが地震が起きていないのにもかかわらず揺れた問題で、調査チームは、このビルで行われていたエアロビクスが原因との暫定結果を発表した。

 このエアロビクスは、テコンドーとボクシングを組み合わせた「テボ」と呼ばれるもので、ダイエットエクササイズとして韓国で生まれたもの。

 実験では、高層階で観葉植物が揺れ、振幅計でも揺れが観測された。
実験に立ち会った職員は、「いすに座っていたら揺れを感じ、頭痛というほどではないが、少し目まいを感じた」と話した。

 揺れの原因を調べていた専門家チームによると、エアロビクスと建物固有の振動の周波数が一致して、偶然「共振現象」が起きたもので、建物の構造自体に問題はないとしている。

(07/20 12:36)FNNフジニュースネットワ−ク
  http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00203754.html


揺れの原因はエアロビ
韓国高層ビル めまい訴える人も

 【ソウル=時事】韓国ソウルの高層ビル「テクノマート」(39階建て)の中高層階で5日、原因不明の上下の揺れが起き入居者が3日間待避した問題で、安全検査に当たった専門家は19日、集団でのエアロビクスが原因との暫定結果を明らかにしました。聯合ニュースが報じました。

 当時、12階のフィットネスクラブで、テコンドーとボクシングをアレンジしたエアロビクス「テポ」を約20人でしていました。当初、揺れの原因として、土台の損傷や、座席が振動する映画館、風などの可能性が指摘されましたが、テポによる振動の周期が問題の揺れに最も近かったといいます。

 19日に再演したところ、高層階が上下に揺れ、軽いめまいを訴えた人もいました。専門家は共振で揺れが大きくなったが、安全性に問題はないとしています。

2011/07/25月曜日(6)面あかはた国際面コラム:
ソウル=時事通信社配信(7/26追記)

 高層ビルの不可解な揺れの原因がビル自体の固有振動数にエアロビクスの集団的動きの周波数が一致して振動が累積される共振現象であったことが暫定的結論として解明されました。
 しかし「建物の構造自体に問題はない」という判断の根拠は報道にはなく、そちらが解明されなければ安全宣言はできません。日本の超高層ビルのかなりの部分がこの共振の問題を未解決のまま抱えていて、試算により危険度の特に大きい地帯とビルも特定されており、大震災前の早急な対策が待たれている状況ですから、斯界の権威の安全レッテルに留まらないもっと突っ込んだ記事が求められるということです。
   See→長周期地震動/分布定数共振/波動伝播共振

 「共振」というのは、振幅が突然大きくなるのではなく、元となる振動が1波1波積み重なって大きくなり、無限に積み重なって究極は(共振の鋭さを示す)Q倍の振幅になるものです。振動の包絡線で見ると、
 A(t)=A0・(1−exp(−t/T))
   ・・・・・・・T:時定数、t時間、
      A0:最終振幅、A(t):瞬時振幅
 という形になり、振動体の強度限界を超えたところで損壊が始まり、その分振動のエネルギーが吸収されます。

 弁慶の釣り鐘、義経の釣り鐘の説話は物理的には共振現象による振動増倍の話です。どうもストーリーが二通りあるようで、巨大な釣り鐘を弁慶が指一本で押し続けて大きく揺らして人々を驚かせたという話と、弁慶が釣り鐘を揺らそうと力一杯に押してもビクともしなかった釣り鐘を華奢な義経が指一本で押し続けて大きく揺らして弁慶を凹ました話が有るようで、いずれにせよ指一本で動かしたわずかなストロークが累積され振動のQ倍されて大きく揺れたという話です。地震の場合、この最大振幅まで建物が耐えられるかどうかの話ですから、地震の振幅が0.5mでも、それがQ倍されて耐えられるのかどうか、たとえQ=10でも5mに増倍されることが考えられて損壊強度を越えてしまわないか?という懸念です。

 電気回路や共鳴装置ではQは100倍を優に超えますが、一般建造物の場合は内部損失が大きく、また振動回数も大きくないためか、損壊してもそれ自体が振動を吸収して累積させず倒壊に至らずに終息する様です。「スリット壁」というのは、その部分が地震の変位で壊れることで、振動エネルギーを吸収して振動の累積を防ぐものです。弾性範囲ですと戻る方向に押したのと同じ力が働きますが、壊れると元に戻る方向には力が働かず一方通行になるからです。
   See→※ 弁慶の釣り鐘揺らし
   See→※ 義経・弁慶の釣り鐘揺らし Ctrl-F "釣り鐘"

振動的ステップ応答
ステップ1回の振動。
これが自由振動周期に合って繰り返されると振動が大きく増大する
 例外的に振動数が多くて倒壊家屋が多かったのが中越沖地震2007/07/16で、木造家屋の共振周波数1.3Hzの強い地震動が2分以上続いていましたから部分破損に留まれなかったのでしょう。長周期地震動が長時間続いた場合に制震機構のない柔構造超高層ビルではどんな揺れになるのでしょうか?

 今回の韓国高層ビルの場合、もし低降伏点鋼などによる振動吸収機構が組み込まれていて、問題の振動が小さくて弾性範囲の変形に留まり降伏点には達しなかったというのなら危険の問題ではなく、住み易さの問題でしょうが、そうした分析的発表無しに安全宣言だけ出てくるのは戴けません。日本の原発と同じく根拠のない安全神話になってしまいます。

 記事によると39階建てビルの12階フロアーで約20名(右枠リンクFNNの動画では30名くらいに見えます)が一斉にエアロビ体操をして、その周波数が建物の共振周波数に合致したということですから、同期して動いた質量は約1トン(=50kg×20人)で、これが床の摩擦係数μの範囲内で横方向振動を加えたとすると、μ=0.2と仮定すれば、水平方向に±200kgfの力で振動を与えたことになりますが、それが全館に伝わるというのは建物があまりに柔らかすぎる気もします。
共振立ち上がり


【共振節フロアー】

次数13 579
節階──27 321127
126.00 15.611.148.67
231.222.2917.30
333.4326.00
434.67

 1階が地上なので、「原点0フロアー」として位置計算し、仮に2.4捨2.5入で共振階と判断する。
 太字は共振の節にほぼ一致するフロアー。
階の中間でも共振することは有り得るが、、。

 振幅ではなく応力で考えると共振の節と腹が入れ替わる。

片端開放共振
駆動階

 エアロビの基本振動としては左右4ステップずつというのが基本ステップだとすると、踊った音楽のテンポの1/8が振動の基本波と考えられ、曲のテンポが毎分120拍なら毎分15往復4秒周期となり、左右2ステップなら2秒周期で振動を与えたことになります。
 39階建ては、屋上を含めて39フロアーが基本波の1/4波長、12階は11番目のフロアーで、基本波波長に対しては1/4×11/39≒1/14.18≒1/14での駆動ということは、基本波1/4波長に対して1/3.5、基本波の半波長に対して1/7ですから、これを半波長とする振動は丁度基本波に対して7次高調波の節の位置で±200kgfの力で振動を与えたことになり、そこが振動を伝えやすい特異点だった可能性があります。(右図参照→)7次高調波の振動の節は12階、23階、34階付近に現れるはずですが、基本波、3次、5次の方が振動し易いはずなので、実際はどうだったのか、調査結果の続報が待たれるところです。

共同、時事>フジ!記事の質

 同一事件のソウル発共同通信、日経記事とFNN記事をカコミに並べましたが、どちらが意味ある内容豊富な報道か!とみると、前節の状況推定で引用した情報はほとんどが共同通信ソウル発であり、有用な記事だったことが分かります。それに対しFNN記事からは状況理解を深めるための料理できる情報がないのです。「エアロビクス」と「共振」だけでは状況を推定しようがありません。リンク動画が現場の雰囲気を良く伝えていますが、センセーショナルに煽るだけというサンケイ型記事の酷さがこれほど明確になるとは、・・・・・・・・。『予混合爆発』に『拡散爆発』とか、つい最近も玉落とし発電の疑似永久機関特許(=低効率水力動力特許)に乗ってしまうとか、科学的思考は酷く苦手で縁遠い新聞のようです。

 同一ソースの時事通信電を5日遅れで報じたのはあかはた新聞。他に遅れても重要な情報は報じる姿勢は可。新情報は「縦方向振動」。
 縦方向駆動力としては総重量1,000kgが同期して飛び上がるとすると、静かに置くだけで静止荷重の2倍以上ですから、ピーク・ピークで3,000kg〜4,000kgの垂直方向駆動力で揺すられたことになりますが、垂直方向振動というのはそのフロアーは激しく揺らせても、上方階にそんなに伝わるのか?各階の床の固有共振周期が揃っていて各床毎に共振しているのではないか、主柱はその各床一斉共振に耐える強度が有るのか?という疑問を生じます。5日遅い報道なのだから、具体的な共振周期は是非報じて欲しかった。

 他は共同電と同じ情報で、情報出所を共同電は韓国メディア、時事電は聯合ニュースとしていて発端はどうも同一ソースの模様。FNNは出所表示が無いので独自取材と思われますが、真に必要な情報をほとんど落としてしまう様では、通信社を排した自主取材も意味がありません。(7/26追記)

【参考】
長周期地震動/分布定数共振/波動伝播共振
定在波の生成

2011/07/21 23:50

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