震度−加速度の推定

  震度体感観測の時代(1978年規定等)、理科年表には概ねの振動加速度が記載されていた。しかしながら建物の共振周波数で被害が異なるため、振動周波数に対するフィルター特性を定義する必要があった。1991年規定では計測震度が導入されたが、震度だけは被害調査からの認定として残り、また振動加速度表記がなくなった。 1996年には総て計測震度とし、震度5〜6をそれぞれ強弱に分けて、このフィルター特性が制定されているが、震度の加速度表記は復活していない。
  しかし、制定されたフィルター特性図では、もともと破壊力の強い秒周期が利得とされており、これが基準だと思われるので、1978年旧基準を参考に試算してみる。
  1996年震度基準はまず「計測震度」を測定し、それを四捨五入で「震度」とするが、震度5〜6については強弱に分する、というものだから、震度と震度の境界となる計測震度は0.5となる。ここが体感限界:0.8cm/s^2であり、震度0.5がオフセットとなる。
震度−加速度表
      (気象庁震度:1996年制定)
震 度計 測
震 度
※境界
加速度
1978年
震度基準(参考
cm/s^2旧震度cm/s^2
0.0
0.50.80.8
1.52.52.5
2.58.08.0
3.52525
4.580
80
5弱
5.0142
5強
5.5253250
6弱
6.0※ 450400
6強※  7
6.5※ 800


cm/s2≡gal=10-2m/s2
※境界加速度は78年基準に基づく推定
(震度'96年、計測震度となる
※91年旧基準で計測震度計が取り入れられたが震度は被害状況調査で認定され、目安の加速度が無記載となった。それまでの78年基準では加速度が参考値として記載され震度は概ね400gal〜とされていた)
  すなわち、震度との境界加速度0.8cm/s^2を基準に、震度毎に振動エネルギーが10倍:加速度はsqr(10)倍とする対数率で左表の通り試算した。震度5〜6強弱は対数的に等分(等比分割)とした。
  この定義でいくと従前は震度の境界:400cm/s^2だけは唯一の例外で、数列としては800cm/s^2であるべきだった。これは最新の96年基準だと震度=450〜800cm/s^2ランクと推定されて800cm/s^2以下の震度1/2ランク下の震度強になっている。
  中越地震で多数の家屋倒壊が見られながら、震度としてはではなく、強に留まったのはこの基準変更のためとは考えられないだろうか?
【振動加速度−震度定義の推定】04/11/06

震度7:

  気象庁の震度階級で最も強い揺れ。揺れのために自分の意思で行動することができなくなります。屋内では、ほとんどの家具が大きく移動し、飛ぶものもあります。耐震性の高い建物や住宅でも、傾いたり、大きく破損するものがあります。大きな地割れや地すべり、山崩れが発生し、地形が変わることもあります。以前は、震度7は建物の倒壊状況などから決められていましたが、96年から震度計で決められるようになりました。
  震度は、91年までは気象庁職員が体感などにより決定していましたが、91年4月から震度計を使った観測に変わりました。
  その後、96年10月に、それまで震度0から震度7までの8段階だった震度階級を、震度5と震度6で「強」「弱」2段階ずつにした10段階に変更しました。
  阪神大震災の震度7は、被害調査後に認定されました。中越地震での震度7は、震度計で初めて記録されました。
赤旗新聞04/10/31日曜1面解説

  震度定義推定  (気象庁震度)  <teigi>

  震度定義は他の体感物理指標と同じ方法での定義数値とオフセット0.5でほぼ一致する。すなわち振動加速度ので加速度観測値をある基準値で割って、そのエネルギー比を10を底とする対数を「計測震度」とするが、体感最小限界とされる(0.8[cm/s^2])が計測震度0.5となる値を基準値とする。このため他の物理量の音や振動の定義に比べ0.5(=5dB)のオフセットを生ずる。
  「震度については、計測震度を小数部を四捨五入する。強弱は切り上げ側が弱、切り捨て側が強」ということである。「エネルギー比」ということは、加速度比は2乗され対数値では2倍となる。すなわち
計測震度= 2・LOG(振動加速度cm/s^2/基準値cm/s^2)   が基本式になるから
0.52・LOG(0.8cm/s^2基準値 cm/s^2)
10^(1/4)≒ 1.7783=(0.8/基準値) ←(10^(1/4) は、10の4乗根)
基準値≒ 0.44987[cm/s^2]   従って
計測震度= 2・LOG(振動加速度[cm/s^2]/0.44987)
振動加速度0.44987・10^( 計測震度/2)[cm/s^2]   (上行の逆変換)
震度= Int(計測震度+0.5) ←(計測震度の四捨五入式)  となる。
Int{2・LOG( 振動加速度/0.8)} ←Int()は整数函数(少数部切捨)
  単位は無次元。強いて言えばベル[]。音や一般振動では実用上細かな数値が必要なので、これを10倍したデシベル([dB])を常用している。1978〜96年制定分震度表ではイレギュラーだった震度にこの法則を当てはめた改訂であれば物理的には妥当な措置である。
  しかしながら、これでは震度の基準が従前に比べ倍にも大きくなるので、時系列的比較には旧基準との並記が必要になる。これは被害対策など政策決定に直結しかねないので詳細な解説付きで周知されるべきである。
【 フィルターの種類および算式 】   (1996年制定)<filter>
      fは地震動の周波数Hz,yf/10
フィルター      算    式
周 期sqrt(1/f)
ハイカット1/sqrt{1+0.694y^2+0.241y^4+0.0557y^6+
   0.009664y^8+0.00134y^10+0.000155y^12}
ローカットsqrt[1−{1/exp(2f)^3}]
  無論400gal250galの間を分割した可能性も無くはないが、物理的必然性に乏しい。 様々に定義されるマグニチュードは総て対数函数であり、'91年以前制定の震度加速度を1/2にしてしまうような非論理的揺らぎはない。観測スケールをリニアなものに整理したと考えたい。
  震度6〜7は転倒・崩壊・断層移動といった激しい被害が現れる境界のため社会的に細かな区分を要求されるのは無理もないが、それは物理スケールを歪曲するのではなく、細分化して小数点区分を設けて解決すべきである。震度5〜6を強弱に分したのは段階が10倍では被害の様相が大きく違いすぎるので2分割したのだろう。(同一定義方式の音と振動、電磁波強度ではdBを用いて強度段階を10分割している。)これにより震度階級当たり3.16倍、0.5階級で1.778倍の加速度となる。   雰囲気におもねってスケールを曲げるのは震度を物理量たり得なくするもので筋違いだ。もともと震度は福井地震(1948/6)の激甚被害を承けて付け加えられた震度階級だから、その物理量としての整理に若干の年月を要したが歪みが残るのだろうか。
04/11/09 23:00

  国際的震度 改正メルカリ震度階 1931年制定(補足)<kokusai>

改訂メルカリ震度表 1931年制定
メルカリ震度計算値備考

加速度加速度
最小最大最小最大
<0.43
T<1.00.43≦<0.93
U1.0≦<2.10.93≦<2.0
V2.1≦<5.02.0≦<4.3
W5.0≦<10.04.3≦<9.3
X10≦ <219.3≦<20
Y21≦ <4420≦<43.2
Z44≦ <9443.2≦<93.1
[94≦ <20293.1≦<201
\202≦<432201≦<432
]432≦432≦931<非線形
定義
11≦9312005<
12≦20054320<

  気象庁震度は日本だけの適用であり、諸外国では1931年制定の改正「メルカリ震度階」が用いられている。
  加速度の参考値からは、この震度の基準値が、良く見えない。数値の現物合わせをすると、震度段階毎に加速度が10倍の対数スケールになっているので、震度]の下限432galでスケール合わせをしたものが左表である。
  すなわち、基準値0.201galとの比の常用対数を取り、10倍の加速度(100倍のエネルギー)毎に震度段階としたもの:すなわち加速度比常用対数値の倍にほぼ一致する。
  他国では地震の頻度も小さく都市壊滅の福井地震の様な経験が少なかったが、気象庁震度階7下限=400galに相当するメルカリ震度]=432gal以上は激甚被害で細分化されたため、加速度は未定義でリニアースケールではないのだろう。震度1.5毎にエネルギーで10倍という定義法は独特で他に例をみない。常用なら10、純理論解析では自然対数の底だろう。その点では振動・音など他の物理量比較基準である10底の対数を基準とした気象庁震度階の妥当性があることになる。

メルカリ震度= 3・LOG(振動加速度cm/s^2/基準値cm/s^2)  
震度]下限=432galとすると
基準値≒ 0.201[cm/s^2]   従って
メルカリ震度= Int{3・LOG(振動加速度/0.201)} Int{ } は切り捨て函数
振動加速度0.201×10^(メルカリ震度/3) [cm/s^2](上行の逆変換)

04/11/21 17:00

  横方向励振加速度試算  <shindo>

  地震の揺れ方がステップ状やインパルス状では別の分析計算が必要だが、仮に正弦波の繰り返し振動モデル(=海洋低地震モデル)を考えれば以下の概算が出来る。
振動加速度α 最大加速度A・sin(角周波数ω×時間t) であるとき
振動速度 =∫α dt=−(A/ω)・cos(ω・t)+定数
振動幅w  =∫v dt=−(A/ω^2)・sin(ω・t)+C・t
振動周波数f =1Hz、最大加速度800cm/s^2 とするとき、
ω=2π× 周波数f=2πだから
最大振動=A/ω^2 =8(m/s^2)/(2π)^2=0.2026m、揺れ幅で2倍の0.4053m
  とき325は、こんなに揺られては台車の横方向の変位限界を超えてどこかに当たって脱線してしまう! 台車の横方向の応答特性はどんなものだろう?1Hzより早かった分緩和されたのだろうが。    (日記より転載)

  ※ 当該乗務員の報告書要旨が毎日11/08夕刊トップに掲載されているが、案の定地盤が一瞬で飛び上がって放り出され脱線するステップ応答の様相だ。それだと脱線せず元に戻った方が奇蹟と言うべきだ。脱線時のフランジ痕が1つ残るのはその後の脱線なのかもしれない。
2004/11/08 00:50

長周期地震問題=共振と制動問題 <cho_shu_ki>

2階微分方程式のステップ応答   一般的な日本の建物では建物の固有振動周期が1秒前後とされ、地震波の周期がこれに合うと大きな被害になる。気象庁「計測震度」のフィルター特性(先出)はそれに合わせて定義したものだろう。この日本の建物に対する海洋型地震の前提では、断層の跳ね上がりGを直接受ける直下型地震のステップ応答とは狂いが出るし、超高層ビルのように柔構造にして共振周期を非常に長いものにして「関東大震災級の地震による破損を回避」した場合は、想定外の長周期の(共振周波数の)地震に見舞われた場合、揺れが大きく増幅されて破壊に至る懸念がある。直裁に言えば「超高層の夜明け」と言われた霞ヶ関ビルの耐震方法が解説宣伝通り柔構造にして共振点周波数を1Hzより遥かに低い値にしているだけで振動吸収機構(制震機構)がないとすると、その共振周波数の長周期大振幅地震波に見舞われた場合に世界貿易センタービル崩壊並みの大惨事になりかねないということだ。共振現象で振動は数倍〜数百倍になることがある。
  最近長周期地震が存在することが分かり、幸い現在まで超高層の脆弱性を実証する地震は起きていないが、この破壊の懸念を「長周期地震問題」という。

片端開放共振   振動解析的にいえば、簡易に集中定数で考えれば質量と抵抗とバネ定数で共振周波数(=1/共振周期)と減衰定数が決まる訳で、現在の超高層建築では周波数はずらすが構造の内部抵抗による減衰定数をあまり意識していないから、設計値の共振周波数の長周期地震波に耐えられるかどうか保障がないのだ。剛構造の場合適切な内部抵抗を実現するのが大変難しく、地震波のGに対する剛性を増す「耐震設計」で切り抜けているが、純理論的には共振の強さの制御が可能なら、そちらで耐震性を増すことも可能である。右の図は片側開放端の分布定数型共振:伝送路型共振の図だが、伝送路に適切な吸収要素が無いと高調波での共振も起こり得るから共振周期を長くするだけの耐震対応では不十分な場合が起こり得る。霞ヶ関ビル設計時の基準とした関東大震災の振動波形の中心周波数が1Hzとして、模擬実験を交えビル自身の基本共振周波数を大幅に低く設計したことは知られているから、次、次、11次等……高調波共振に対しては一応の振動減衰が得られる特性なのだろうが、当時は未知だった長周期地震の基本波、次振動耐力は未知数である。

  超高層ビルの振動は楽器の弦振動解析のような分布定数型(=進行波+反射波の重畳)として解析するのが適切と思うが、その反射点(基礎:固定端と先端:解放端)近くに速度比例の内部抵抗要素を付加することで振動を吸収することは可能だから、重要な研究課題になる。屋上に設置の制震水タンクは開放端での振動エネルギー吸収の試みの一つと見ることができる。

  振動波は基礎と屋上を往復して、その位相が重なると「分布定数共振」となって大きな偏倚になり建物を破壊する。(片端解放振動だから基本共振波長は一様建物高の約4倍で、共振周波数は基本周波数の奇数倍となる。波動速度は建物固有の定数になる)。しかし途中に振動吸収機構が有れば反射の往復で減衰するから位相が一致しても総合振幅を小さくできる。

[補足] 霞ヶ関ビルにも組み込まれていた振動吸収機構

 霞ヶ関ビルにも振動吸収機構が組み込まれていることが判った。短周期波形のみの関東大震災の振動波形で設計・検証したことは事実だが、制震材として要所に「スリット壁」を配して、これが地震動で破損すると戻りの抗力が無くなり、建物の振動を蓄積しない。すなわちスリット壁が地震動で徐々に崩れている間は、共振が立ち上がらないで済むが、スリット壁部が全部壊れてしまうと振動を吸収できなくなる。ビルの寿命中の大震災に1回は耐える考え方であるが、総て崩れた後の2度目の制震はない。
 現在の振動吸収機構としては、降伏点以上の可塑性領域の大きい鉄材を地震動により変形させることで振動エネルギーを吸収させる方式が採用されている。降伏点未満の変形では弾性領域に留まり、振動は吸収しないで大きくなるが、降伏点を超える塑性変形領域に達すると制震機能として動作する。(2011/04/11追記)
2005/12/20 00:10

共振は無限級数の和                 <Q>

共振すると振動1周期毎に振幅が大きくなり振動減衰と平衡するまで増大する。仮に振動の定振幅Aで、進行波・反射波1往復して再反射される効率をαとして、n回反射を繰り返した場合の単純加算の全振幅Wを計算し、n→∞の極値を算出すれば、以下の通り無限級数の和として求められる。
振動反射率と
増倍度
反射率
α
増倍度
W/A
0.5
0.6667
0.75
0.8
0.910
0.9520
 W=A(1+α+α2+α3+α4+α5+……+α(n-1)+αn)
方程式両辺にαを乗じて
 Wα=A(  α+α2+α3+α4 +α5+α6+…
                ……+αn+α(n+1))
前式から後式を引くと最前項と最後項を残して他項は消去され、
W(1−α)=A(1−α(n+1))
W=A(1−α(n+1))/(1−α)   となるが、
n→∞ の極値を求めると、0≦α<1 だから αn →0
W=A/(1−α)
(W/A)=1/(1−α)   (振動増倍率:Q
減衰率α毎の増倍度は右表の通りとなる。
 すなわち、一往復の反射率αの値により数倍〜10倍の振幅に増倍されることが分かる。(増倍度については、共振回路ではで表しているが、考え方は同様である。)
 逆に言えば往復の吸収率を大きく(反射率を小さく)すれば破損を抑えることができる。高層ビルで言えば振動吸収の制振装置がこれに当たる。初期には振動による水流の抵抗で振動エネルギーを吸収するものが多かったが、共振点をずらせた制震子方式や、低降伏点鋼を使って塑性変形で振動エネルギーを吸収させる方式が採用されている。

 従前「耐震設計」と云っているのは強度を上げてGに耐えるものを言い、共振周波数をズラして波動伝播中に振動エネルギーを吸収しようとする試みとは違うアプローチである。超高層ビルの旧設計では柔構造で共振周波数を低くしてはいるが、振動吸収機構が無いことで長周期地震被害のリスクを非常に高めている心配があるのだ。

2007/04/12 23:55

直下地震はステップ応答解析要           <Step>

ステップ応答  超高層ビルでの長周期振動問題と並んで未解明な振動が、直下型地震断層周辺で水準(標高)が変わるステップ応答の解明だ。阪神淡路大震災では断層線直近片側に集中して倒壊している場所が見られ、超高層住宅の鉄製の主柱が破断していたとかの想定を超える被害が見られ、「キラーパルス」の存在が指摘されたが、その正体は地盤の跳ね上がり、叩き付けの可能性がある。圧縮パルスと伸張パルスとどちらが破壊的なのだろう。現行の減衰正弦波や関東大震災観測波によるシミュレーションだけでは足らない。ステップ応答の打撃に振動が加わり大きな破壊に到る。
 「海洋型地震」と云っても動いた断層の直上は直下型地震であり、そこがたまたま海中なだけ。直下型と云えども震源から離れるに従って海洋型との違いはなくなるはず。地震波の速度が概ねP波で7km/s前後、S波で4km/sとされており、震源深さが10km台というのはS波の数波長分だから、逆に直上の地面からの反射:地面質量が波長:振動周波数に影響して右図のような減衰振動となる範囲が「直下型」なのかもしれない。十分離れた地点の地質はそれぞれの振動周波数の減衰度の違いにはなっても振動周波数そのものを変えることはない。

[[全壊突出の中越沖地震はステップ応答型か?]]   
See→<Killer>

 減衰振動の周波数は外部から与えられるのではなく、集中定数系モデルでは質量とバネ定数(2階微分項の係数と定係数項)によって決まる。地盤に同じステップ変位が与えられても、密度と剛性で周波数が大きく変わる。質量は大きいが岩盤のような強い剛性がない砂地は固有振動周波数が下がる=固有振動周期が長くなるだろうが、減衰も早そうだからどんな結果になるのだろう?外から伝わってきた振動の周波数が変わるわけではない
 中越沖地震('07/07/16)被害の極端な特徴が全壊家屋が半壊より多いこと!繰り返し振動での破壊なら弱点に応じて徐々に壊れるから半壊家屋が多くなり、現に3年前の中越地震では1万戸を超えているが、全壊が多いというのは、地盤の跳ね上がる縦方向の一発の打撃に耐えれば残るが、壊れれば潰れるというステップ応答型モデルが最も分かり易い。断層移動距離は地表に現れたものが垂直方向に1〜2mある様だ。阪神淡路大震災で超高層住宅の主柱が引きちぎられたというのは逆に地盤がステップで突然落ちたと考えた方が無理がない。逆断層の左右で垂直振動方向が逆になるのだ。次いで上下振動が支配的だった場合、座屈(あるいは切断)するかどうかで被害が分かれる。清掃工場の煙突覆いの中間部破断はこのパターンなら合う。
 木造家屋の共振周波数が1Hz前後というのは計測震度計のフィルター特性として採り入れられているが共振というのは繰り返し振動が前提だ。周波数ドメインでの解析ではステップ応答型打撃の破壊は良く見えないだろう。生の地震波形を是非見てみたい。
 TV報道では1Hz前後の連続振動を「キラーパルス」だと解説しているが、家屋の壊れ方をみれば、震源直近の地表に段差が現れるような垂直方向のステップ応答こそ「キラーパルス」と呼ぶにふさわしく地盤の特性で減衰振動が加わり、震源から離れるに従って拡散・減衰して繰り返し振動が支配的になるのではないか。
P波先頭時刻
長岡=10:13:29
川西=10:13:31.5
加茂=10:13:31.5
=10:13:34
妙高=10:13:36.5
糸魚川=10:13:38.5

 と、思って以下の地震波サイトを眺めると、たまたま家屋損壊の多い柏崎地域の波形がなく、まるきり分からないが、唯一、3年前の中越地震の震源地である山古志村の振動強度データで、XYZの垂直成分が1Gを超え最大という珍しい計測値を発見!直下型震央付近特有の現象かもしてない。建物の強度からして上下方向振動と水平方向振動では破壊限界が違いそうだ。柏崎の観測データ自体はあるようなので、波形として公開されるのを待ちたい。
   [山古志:南北524gal, 東西722gal, →上下1059gal 合成1132gal]
 http://www.hinet.bosai.go.jp/topics/common/low/?TOPICS_CF=niigata070716
2007/07/16 10:13:29中越沖地震本震(長岡)

 記録図は1枚1時間で横軸時間軸長が1分、これを縦に60本並べて1時間分を表しているからP波の到達は0.5秒程度の分解能で読みとれるが、地震計そのものの周波数特性:ステップ応答が判らないので断層ステップが見えるかどうか………。2分半に渡り激しく揺れている。S波の振幅変調周期に約20秒がみられるから絵からは良く分からないが20秒という長周期振動があるのかもしれない。あればFFT解析で出てくるだろう。関東大震災波形では長周期分を記録できなかったから、その波形で開発した超高層ビルで長周期地震問題が起きている。S波の到達が私には読みとれないが、約3秒余後の大きな揺れだろうか?5.5秒後だろうか?     (07/07/17追記)

見えた!キラーパルス?   <Killer>

 地震波形をよくよく見れば、周期約1.3秒の大きな地震動が他に卓越して2分前後続いているのが見られる。この周期は日本家屋の固有振動周期ではないか。ステップ応答だけに着目していて気付かなかったが、この振動数が長時間続くのなら共振して破損に至っても無理はない。共振周期の振動が異様に長く続く振動だったから建物の倒壊割合が極端に高いのだろう。これがキラーパルスの正体ではないだろうか?     (09/02/11追記)


 2007/07/16 15:37:46余震

2007/04/16 23:55

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