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却って山崎社長苦境を顕わにしたJR北海道弁護側証人

• 　JR北海道函館線の'96/12転覆事故現場には'97/02、JR貨物会社が過速度ATS設置を決めていて、当時のATS-SFはまだST速度照査ボードを増設しておらずATS-SF＝ATS-SNによる速度照査ですから、旅客列車にもそのまま有効なはずで、旅客会社が設置しないからといって、何もしてない訳ではありません。ここは状況を分かっての目眩まし立証でしょう。
  
• 　基本になる設置基準については、３月４日の国土交通省運輸安全委員会鉄道部会長の松本陽氏の証言があって、
  • 国交省令の解釈基準では、列車が安全かつ高速に運行できるために、カーブ半径はその路線全体の最高速度の80%で通過できるものにすべきだと定められ、
    
  • （最高速度120kmの）福知山線では半径450�bであるところ、事故現場カーブは半径304�bと大幅に下回っていた
    
  としているのに対して、
  
• 路線の最高速度が、国鉄時代の90km/h〜95km/hでは300Rに対して全く問題なく、高速貨物で100km、振り子式ディーゼル特急281系スーパー北斗で130km/hなので、普通列車は速度照査なしで許容できても、高速化された特急と、高速貨物では曲線の速度照査が必要なのでしょう。函館本線仁山事故まではJR北海道にも高速化に際して過速度ATSの設置をしなかった手落ちが有った様ですが、1997年2月のJR貨物による過速度ATS設置決定により函館線大沼駅付近の峠越えについては問題が解消したということになります。
  
  
• 　運輸省の最低半径定義式がどうなのかよく分かりませんが、仮に単純比例計算で450R×(95/120)²＝282Rとなり、300R以下ですから特急の高速化以前は過速度ATSなしでも問題ありません。
  
• 　ところが、全国の特急高速化を検討した「列車速度調査委員会」で特急列車の高速化に向けた規則改定が行われ、該当線区の分岐器高速化改良が図られて直線部を高速化し、曲線部はカントによる制限速度向上を加味し車種別に(均衡カントに対する)不足カント量を許容した「本則＋α」方式という特急用速度制限を採用して43.10白紙ダイヤ改正及び引き続いて高速化する経過で、当初の80%制限を越え曲線過速度ATS設置が必要になることをどこにも検討した形跡がありません。
  
• この時代、副本線へ渡る時の過速度で脱線転覆事故が重なって、ATS-Sロング地上子を流用し列車検知コイルと組み合わせた「分岐器過速度警報装置」（See→下写真）が要所に設置されましたが、直線部の高速化により生じた曲線への過速度進入は全国鉄で置き去りにされて、JR西日本がこの高速制限を特急に限らず普通列車にも採用し、さらに最高速度による曲線半径制限を無視して過速度ATS設置を遅らせたことが尼崎事故の基本的背景となっている様です。さらにこの過速度警報装置はATS-Sそのものの仕様から制限速度60km/h以上には設置できず、60km/h制限の渡り線に100km/hで突入してホームに衝突大破した西明石ブルートレイン事故(1984年)に至りました。
  

  分岐器過速度警報装置 パイプが列車検知コイル、地上子は130kHz警報、 手前向きに設置 (伊豆箱根鉄道駿豆線三島駅入口) See→変周式地上子

  　国鉄民営化後にJR各社でさらに高速化がさらに進み、北海道では先出281/283型振り子式ディーゼル特急スーパー北斗が函館−札幌間を海線（長万部から室蘭本線と千歳線）回りでは130km/h運転（表定速度102km/h運転）して、急勾配・急カーブの多い函館線函館五稜郭−森区間でさえ表定速度92kmで運転していますし、140km/h運転も行っています。（なおJR東日本は山手、中央・総武など大量輸送区間で「本則」が多い様で、高速の「＋α」区間は限られている様です）
  　　　参照→４３．１０ダイヤ改正と列車速度調査委員会
  　　　　（1960年からの検討・高速化に曲線過速度対策がない。
  　　　　ここが曲線半径速度制限装置失念の起源か？）
  　すなわち、松本証言の標準的曲線半径規則は43.10高速化ダイヤ改正以降、路線設計時以外には顧みられなくなっていた様です。！

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