《 小目次 》 (04/08/29追加)
- 鉄道事故とATS略史
追補
- 車両の基本性能に関わる事故
- 国鉄型「滑走防止」装置=フラット防止装置=過走助長装置!
- 新幹線大過走事故
- ひかり号名古屋380mこだま号岐阜羽島1〜1.3km過走事故
- 鳥飼事故も滑走検知装置絡みか!
- 滑走の絡む過走事故6件!
ATC 確認ボタン待ち押し説
(金沢工大永瀬論文)
- ノーハウの敷衍で防げた可能性のある事故
● | 56/10/15 | 重連時非常制動不達非改造 | ……………… | 参宮線惨事
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● | 63/11/09 | 振動解析法貨車に未適用 | ……………… | 鶴見惨事
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● | 72/11/06 | トンネル火災時脱出優先 | ……………… | 北陸トンネル惨事
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● | 73/02/21 | 停止よりフラット防止優先方式の過走事故
| 鳥飼脱線、岐阜名古屋過走
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● | 74/11/12 | 標準マニュアルが無く、禁止方式を支社が採用
| 新大阪駅信号誤現示事故
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● | 04/06/02 | 非常停止伝達手段:信号電源遮断法未制定 | 紀勢線冷水浦事故
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- ATSの基本性能に関わる事故
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ATS・ATCは、車両側の減速性能が正常で、取扱が妥当なら安全に停まれることが前提の装置。従って、故障や、元々の欠陥、氷結など想定外の異常はカバーできない。積雪時の事故だった西武田無や名鉄新羽島はこの型の事故だし、重なる初期型新幹線
0系
100系過走事故も常に滑走防止装置が絡んでおり、制動よりもフラット防止を優先させた「国鉄型滑走防止装置」に基本原因(論理設計エラー)がありそうだ。
<kassou>(04/01/27)
前後台車の速度が違うと「滑走とみなして」
ブレーキを前後とも緩解して再粘着を図る「フラット防止装置」が国鉄型滑走防止装置。制動距離を保証するアンチ・スキッド装置ではない。衝突防止には車輪が3角になっても制動を続けなければならない場面が想定されるのに、国鉄型は、2つの速度センサーが違う速度を検出すると「滑走発生」とみなして
遅速両方を緩解!これでは、条件次第で大滑走も無理もない。
この装置は
103系試作車(
1963年後半)と
201系試作車に採用されたが、量産時には共に取り外され在来線では量産移行後使用されなかった。しかし初期型の新幹線車両
0系と
100系では全車に装備されている。
重大な欠点は、ブレーキが有効な高速回転側の軸も一緒に緩解すること。
ATS・ATCによるブレーキでは、再粘着後の制動は一旦滑走したからと云って、ブレーキ段階は弱められないから制動→滑走→全緩解→再粘着→制動→を繰り返して制動距離が大幅に伸びる危険がある。現に新幹線では
1〜1.3kmもの超長距離を含めて
過走事故を繰り返している。手動運転では一旦滑走に気づけば、閉そくの制動余裕などを念頭にブレーキを弱めて滑走直前の最適な制動が可能だから、運転操作で吸収でき、過走してもそこそこだが、この時の自動制動式では再粘着後も一定ブレーキ力で加減できない.
安全確保の点でこの国鉄型滑走防止装置を見た場合、
- ATC減速指示≒衝突防止と、フラット防止では、衝突防止が絶対優先項なのに、逆順のフラット防止を優先したシステムエラーが基本原因で過走事故発生
- 次いで滑走軸だけでなく、制動が有効な粘着軸までブレーキを緩解する横着な制御。緩解は低速軸と固着軸に限るべきだった。
- そして高速側の滑走検知基準として低速でも車輪が回ってれば緩解しない制動優位の基準を選ぶべきだった
この国鉄型滑走防止装置は早急に改良、あるいは廃止した方が良い。
在来線担当に運良く適切な判断をする人が居て、アブナイ滑走検知装置の採用を2度とも拒否・撤去(試作車)したのだろう。
spc!!#今の
VVVF車の滑走防止装置は滑走側台車だけを緩めるアンチスキッド制御の様である。JR北海道高速車両に採用された鉄道総研の「マルチ・モード・ブレーキ」などは4軸独立制御で、各軸の速度変化率が大きく+に振れるのを再粘着とみなしてエアーを込めるなど、降雪氷結高速時の制動距離を保証する微妙な制御を行っている。
ひかり号名古屋380mこだま号岐阜羽島1〜1.3km過走事故
'65/5名古屋駅で
380mもの過走事故発生、
'67/7&/11豪雨の悪条件下で岐阜羽島駅停車の
ATC制限でブレーキが掛かったが、この国鉄型「滑走検知装置」では滑走を検知すると高速回転側(滑走していない側)の台車のブレーキまで緩解して、再粘着すると再び
ATC制限超過で滑走限界を超えるブレーキが掛かって再度滑走検知、ブレーキ全緩解を繰り返して
1〜1.3kmもの大暴走に至った。
対策として、
'65年の名古屋での
380m過走では一旦滑走検知後は、列車先頭の速度計軸にはブレーキ力を
50%減らしたが、
'67年に岐阜羽島で再度大過走が発生し
1000m以上も過走したので更に油圧をゼロにした。しかし滑走してない軸のブレーキを弱めてしまう弱点は無視され、そのまま温存されて、後年
'98年の
名古屋駅での2度の過走事故に至る。速度計軸非制動の措置で過走距離が少なくなったから若干効いてはいるが、主原因を放置だから相変わらず過走するのだろう。
鳥飼事故も滑走検知装置絡みか!
「絶対停止」の
03区間を過走して本線を支障し脱線、衝突寸前の危険な事態となった鳥飼電車基地脱線事故(1973/02/21)も、油垢汚損が基本原因とされ、
03区間の延長で幕引きされたが、事故詳細経過を読み直すと明らかに滑走防止装置絡みで制動距離が伸びて絶対停止区間に収まらず発生した事故であり、その本質はATCの責任ではない。車両側制動特性の問題である。
cf. 鉄道業界・無かったことにしたい出来事#696
http://hobby3.2ch.net/test/read.cgi/train/1063372922/696n 04/01/11 14:34
1965/05/04 名古屋駅ひかり
17号
380m過走事故.(奇数番号は下り).
対策は
滑走検知後停止まで速度計軸の制動空気圧を50%弱くする.
1967/07/23〜/11/ 岐阜羽島オーバーラン事故。
1300m、1000m過走.(新幹線事故、柳田邦男。
但滑走距離は出所不詳)。対策は
滑走検知後停止まで速度計軸の制動油圧をゼロにする.
1973/02/21 17:30:40 新幹線鳥飼電車基地過走本線支障脱線事故.
対策は
03信号区間延長、噴出油量の適正化
1998/08/05pm 新幹線名古屋駅でこだま
414号&
418号とがオーバーラン!
それぞれ約
80mと
50m。(偶数番号は上り:東京方面行き:金沢工科大論文)
対策不詳。
国鉄型滑走防止装置搭載車を老朽廃車か?
HP:鉄道を斬る
新幹線名古屋駅における「こだま」号オーバーランの意味するところ
http://www2.kanazawa-it.ac.jp/knl/nagase/comment6.html

(98/08/15金沢工大永瀬教授記)
永瀬論文はここで過走原因としてJR東海公式見解の線路への油の付けすぎと、教授の独自見解として、確認扱いの待ちボタンで、高速のまま緩解されることを挙げているが、国鉄型滑走防止装置の弱点には全く触れてない。しかし、その初速は
ATC分岐制限の
70〜80km/hであり、それは在来線の進入速度と同等以下の値(∵ホーム長
420m16両/在来
320m15両)で、減速度の無理はしていない。滑走で誤緩解すれば再粘着して直ちに
30km/h照査で常用制動が掛かるのだから、それだけでは大幅な過走は説明しきれないと思う。
'65/5名古屋過走
380m、&'67/7岐阜羽島駅過走
1,300m〜1,000mは、対策として先ず滑走検知後の速度計軸の制動空気圧を
50%弱め、それでも
1,000m過走したことから、さらに制動油圧をもゼロに制御しており、加えて名古屋駅過走
380mでは
70km/h制限と30km/h制限の境界点である
B点を
100km/hで通過したが、
'98/8名古屋駅過走では制限値が
80km/hに上がった他は、そんな過速の痕跡は無かった。従って名古屋は
1回の滑走検知緩解だけで
80m過走とは考えがたい。
<knowhow>
[ ノーハウの敷衍で防げた可能性のある事故 ]
新幹線新大阪信号誤現示事故(1974/11/12)で、技術基準が文書化され徹底していれば起こらなかったことが分かり、ノーハウのマニュアル化決定したが、それが早くから徹底していれば防げたはずの事故がある。
- 56/10/15 参宮線六軒駅脱線転覆衝突事故:重連では非常制動が伝わらない欠陥で安全側線で停まりきれず転覆し,対向車が衝突。上越線では重連運用対応済みで機関車の制動管を太くし中継弁を設けたが,他は放置
- 63/11/09 東海道線鶴見事故.ワラ1型貨車競合脱線!実車試験の省略で軽荷重時走行特性不良見落し。旅客車両高速化の振動解析法を貨物には敷衍せず!
- 69/12/06 06:20寝台特急日本海(青森→大阪))北陸トンネル内で車両火災が発生したが,乗務員は即時停止の運転規則に逆ってトンネルを脱出して消火し無事鎮火。ここで運転規則を改定していれば3年後の北陸トンネル惨事は避けられた!ところが国鉄当局はアベコベに、規定違反を楯に乗務員を処分し、3年後の「北陸トンネル火災きたぐに惨事」の引き金を引いた。
- 72/11/06 北陸トンネル急行北国車両火災.30人死亡714人負傷。69/12車両火災の教訓が運転規則に反映されず!トンネル脱出へ運転規則改訂。先の特急日本海乗務員の処分は取り消されたが、不当な処分をしてきたぐに火災を大惨事にした当局側の責任は不問にされ、事故に遭遇しただけで惨事化の責任のないきたぐに乗務員を生け贄に幕引きを図る刑事責任追及の裁判が長期に行われた。結果は無罪で確定したが、'00/03中目黒事故での保線係や、参宮線事故の乗務員など、現場を生け贄に幕引きを図り、当局を免罪する検察の不公正なやり方は糾弾されるべきだ。ちなみに急行きたぐにとは43/10ダイヤ改正を期に特急日本海が誕生して急行日本海から変わったものである。(トンネル火災の青色部分'04/06/27追記)
- 73/02/21 17:30:40 新幹線鳥飼電車基地過走本線支障脱線事故.'65/5 名古屋&'67/11 岐阜羽島オーバーラン事故との関連性で想定外の過走を追求できたはず.塗油過剰と油垢原因に矮小化して幕引き.
- 74/11/12 新幹線新大阪信号誤現示事故:ノーハウのマニュアル化決定.国鉄中央では「電圧制御にフィードバック制御は使わない」と定められていたが、支社段階に徹底せず、制御応答のリンギング周波数から03→210誤現示発生。(帰還系の位相特性に見合わない強い負帰還が掛かっていて応答が振動的になり、その振動周波数が210信号として検出された)
- 「電圧制御にフィードバック制御は使わない」というのは、製造者側に帰還制御系の設計技術が不十分だった時代の、ユーザー側の防衛手段として有効だった。しかし帰還回路の設計技術&解析法が普及したいま、納品時に過渡応答試験をすれば判ることなので、仕様に「応答が振動的でない」ことを加えれば使ってよい。今は、おそらくその様に改められている。
- 04/06/02 07:15 紀勢線冷水浦駅(無人)先丸太乗上げ脱線。 (信号電源停電停止法の確認)
07:00頃国道陸橋上でトレーラ横転、丸太33本下り線に落下、和歌山行き快速は07:11加茂郷駅出発CTC対象信号を過ぎていて閉塞信号しかなくて止められず、07:11列車無線で呼ぶが回線切断され不通。ホームで乗客が手を振るが伝わらず脱線11人負傷。現行規定では手の打ち様がないが、タイミングとしては信号用高圧線を停電させると、信号消灯、ATS-SWロング鳴動で停められた。新幹線では巨大地震被害などに備えて、架線停電により全列車を停止させるが在来線には一斉停止指令がない。それに替われるものだ。設備のあらゆる機能を駆使したサバイバル法は追求・蓄積しておいた方が良い。北陸トンネル惨事でも、その3年前のトンネル火災でマニュアルを改めていたら大量犠牲を出さずに済んだはずなのだから。
「基本性能」に関わるかどうかの判定基準を述べた
別紙:「ATS−Pとは」を見て頂きたい。この論議が抜けると、ともすると悲劇の
ATS−Sxの様に、現物があって、個々の機能の比較に留まってしまい、現象面の防止策を泥縄式に継ぎ接ぎして苦闘する基本的原因にもなってしまう。
下記の事故一覧をみて、
1)ATS-Sx,2)ATS-P,3)ATC,4)私鉄仕様ATSに現在残る安全保障上の課題は以下5項目が考えられる。
☆ | 冒進許容防御であること |
| 1), | | 4), | 私鉄も小事故は少なくない
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☆ | 信号の速度照査がないこと
| 1), | | Sx速照付加改善案
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☆ | 連結時の速度制限が無い
| 1), | 2), | | 4), | 目視と感の連結作業
|
☆ | 入替系にまだ不投入扱いが残る模様 | | | | 4),
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☆ | 曲線・臨時速度制限が組み込まれていない
| 1), | 2), | 3), | 4), | Sxはロング地上子1個で可
|
以下、事故略歴
(前頁にて詳細既出)
- 無ATS・ATCに因る事故
- 1941/09/16 山陽線網干(あぼし)駅急行追突事故
- 1956/10/15 参宮線六軒駅脱線転覆衝突事故.40人死亡.出発信号冒進.重連非常制動不調非改造
- 1962/05/03 21:37 常磐線三河島駅2重衝突.
- 1966/04/01 ATS−S/ATS−B/ATS−A 国鉄全線に設置完了
- 1967/01/ 私鉄ATS機能についての運輸省通達(s42年鉄運11号)
=常時投入、3段速照、下段20km/h以下
以下、事故原因分類
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◆ | 警報なし | | ■ | 過走防止装置なし
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● | 絶対停止なし | △ | 冒進許容防御
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▼ | 信号速度照査なし | ◎ | 常時投入なし
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▽ | 制限速度照査なし | ★ | 操作・運用方式制度不適切
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原因 | 発生日 | 事 故
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| 1966/04/01 |
ATS−S/ATS−B/ATS−A 国鉄全線に設置完了
| 1967/01/ |
私鉄ATS機能についての運輸省通達(s42年鉄運11号)
● | 1967/08/08 | 新宿駅構内タンク車衝突炎上事故.場内冒進
| ◎ | 1968/02/15 | 東海道線米原駅衝突事故.入替後ATS電源入れ忘れ
| ▽ | 1968/06/27 | 東海道線膳所駅貨物列車脱線転覆衝突
| ●▼ | 1968/07/16 | 中央快速線御茶ノ水駅追突事故.
| ●▼ | 1972/06/23 | 京浜東北線日暮里駅追突事故
| ★ | 1972/11/06 | 北陸トンネル急行きたぐに火災.
| ▽ | 1976/10/02 | 第1姫川事故(曲線過速警報なし)
| ■ | 1982/01/29 | 天王寺駅快速過走
| ■▼ | 1982/03/15 | 名古屋ブルトレ紀伊衝突
| ▽ | 1984/10/19 | 山陽線西明石駅ブルトレ富士分岐機過速度脱線大破事故
| ●▼ | 1988/12/05 | 東中野駅追突事故
| ▽ | 1988/12/13 | 函館本線姫川駅付近曲線過速コンテナー貨車脱線転覆事故
| ● | 1989/04/13 | 飯田線北殿駅正面衝突事故
| | '89/〜 |
ATS-B区間全面ATS-P化.JR東西過密線区に導入
| '89/11〜'94 |
各社ATS-Sx化.絶対信号直下地上子即停止、地点速照設置
★ | 1991/05/14 | 信楽高原鉄道正面衝突事故:誤出発。在線クリア非回復=特殊自動
| ▽ | 1996/12/04 | 函館本線で曲線過速で貨物列車が脱線転覆
| ★ | 1997/08/12 | 東海道線沼津近郊片浜駅付近追突脱線転覆事故
| ◎ | 1997/10/12 | 特急スーパーあずさ,大月駅で入替電車と衝突し脱線転覆
| △ | 2001/04/18 | 東海道線富士駅冒進事故
| ★ | 2002/01/03 | 名鉄新羽島駅過走脱線事故
| ★ | 2002/02/22 | 鹿児島線海老津−教育大前間追突事故
| ■ | 2003/10/18 | 名鉄新岐阜過走し駅激突
| ★ | 2004/06/02 | 紀勢線冷水浦(無人)先,快速落下の丸太に乗上げ脱線
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mail to:
adrs
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Last Upload:
ATSスレ復活10-14
=01/10/07,♪鉄道総合58-59=01/11/06を加筆修正
Last Update:
04/10/16 (08/16分割 ,6/27, /07, /02/29, /01/27, 03/12/25,Org 12/21)
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