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見かけの多重化 vs 真の多重化
中央総武線高圧ケーブル火災

 中央・総武線を半日以上止めた高圧ケーブル延焼火災の現場検証写真(右[写真1])をみると、プラスティック製のトラフに収納された高圧線正副2回線が一緒に延焼し短絡して停電に至ったことが分かる。
高圧ケーブル延焼火災
[写真1]カバー丸ごと延焼:飯田橋付近高圧ケーブル延焼火災@sankei新聞
https://www.sankei.com/images/news/190225/afr1902250033-p1.jpg
特別高圧ケーブル地上配線
[写真2]ここも脆弱点か?!カナフレックス・パイプ2本でケーブル2回線受電
特別高圧地上配線露出部@京成津田沼変電所引き込み部
2段スタック配線
[写真3]3相高圧線2段スタック
@津田沼変電所先
3相+単相5線高圧線
[写真4]3相+単相@京成5線高圧線
太い線2本は走行用1500Vdc饋電線
特別高圧ケーブル×2
[写真5]複々線電柱両側に高圧ケーブル正副2回線(相互にバックアップ回線)
低圧側で有電圧側に切り替える@総武線花見川橋梁

 鉄道での交流高圧線は、列車走行用電源とは別に、信号関係と駅での電力を供給するものであり、三相交流が多く、信号もここからの1相を使っている。 かっての高圧線は圧倒的に架空線で、一時は裸線さえ用いられていたのが、場所によってケーブル化されて地下パイプやコンクリート製トラフ収納となったが、延焼火災現場は更に可燃性のプラスティック製トラフになっていたことで丸ごと延焼してしまった。

 また高圧線を正副2回線にしているのは首都圏など重要路線での停電回避のために2重化しているもので、多くは複線・複々線の線路の両側に分散して1回線ずつ配線していて相互に独立性を高めているのだが、所々に2段スタック配線で相互の独立性を損なう場所も見掛けられる。 たとえば総武線、京葉線は基本的に高圧線を線路の両側に離して独立性を高めて架設している[写真5]。

 ところが例外もあって、津田沼駅先から幕張電車区(車両センター)までの間は架空線の2段スタックでバックアップ回線相互の独立性としては弱まっている[写真3]。 飯田橋駅付近の火災現場はバックアップ回線同士2本を並べてしまったことで独立性が弱まり両方が延焼してアウトになったということだ。 京成電鉄や近鉄などの高圧線5本線は信号電力のみの2重化だが、電柱丸ごとが損なわれると停電する独立性の弱いものである[写真4]。

 ケーブル収納のトラフを堅牢なコンクリート製から扱いの楽なプラスティック製に切り換えるのに際して、2回線を相互に大きく離していれば事故に遭っても片回線は生きていてトラブル回避できていた訳だから、地上置きに過度に拘らず線間を離して相互の独立性を確保した方が良いのではないだろうか?簡易な3本撚ったケーブルでの架空線も良く見掛けるしコストは上がらない。
 京成津田沼変電所が特別高圧線2回線をそれぞれカナフレックス・パイプに通して2本並べて引き込んでいるが(右[写真2])、影響の大きさから考えたら相互に距離を置いて1回線は線路の北側から直流変電所に引き込んだ方が安心だろう。

 信頼度の向上のために多重化するのだが、相互に独立させた多重化にしないと、片側のトラブルに影響されてもう一方も落ちてしまう「見掛けだけの多重化」、気休めの多重化になってしまう。 初歩的、原始的多重化の例としては、小電流の通信制御用リレーに使われる「双子接点」がある。 大電流では2接点を並列接続する場合がある。 信頼性向上に銀合金接点を採用したり、雰囲気による腐食抑制に高価な白金接点を用いたり、電源系ではスパーク吸収回路の採用などの工夫はあったが、接点不良の発生確率が非常に高いので、リレー可動部の接点を2個設けてどちらか一方が接触・導通すれば動作して故障を減らせるのだが、リレー制御・駆動部は多重化されていなかった。 今回の延焼事故のように、可燃性のトラフ、ダクトで覆った高圧回線を2本接近して並べてしまっては火災に対しては多重化されて居らず、不燃性にして熱遮断するか、線路の両側に配するのでないから気休め的多重化に留まってしまった。 原子力発電所の安全性説明がまさにこれで相互に独立していない安全策を、独立だと見なして人類有史以来からの事故確率などというシロートだましの馬鹿げた安全神話プロパガンダを行っている。 現実には、とんでもない高頻度での原子力事故発生でその安全神話の虚偽性を暴露している。 それは丁度、「万年は生きる」と言われて買った夜店のカメが、翌朝は死んでいてクレームを付けると「それは一万年生きての寿命だ!」という笑い話と同構造である。


無茶は韓国国会議長か?日本側か?  <2>

 朝鮮慰安婦問題の解決について韓国の国会議長がインタビューに答えて「日本の首相か王が『申し訳なかった』と一言謝れば決着が付く。 戦犯の息子である王が謝罪するのはふさわしい」などと述べたことを捉えて「不敬だ、謝罪しろ!」的な反応が懐旧復古派安倍政権ばかりかマスコミまで席巻している。 他の立場の存在を一切認めないIS(イスラム過激派)型思考には呆れてしまう。 首相などの謝罪という問題解決「案」の提示も認められないのか! 日米開戦の真珠湾攻撃をこぞって大歓迎した狂気の状況を彷彿させるではないか!

 客観的事実としては、日独伊三国同盟の枢軸国対反ファッショ統一戦線の連合国の闘いで、大日本帝国降伏後の戦後処理として、西欧連合国側世論の多数派は天皇を戦犯として処断することを求めていた。 アメリカ議会には天皇戦犯処罰決議案まで提出されている。 イタリーのムソリーニは民衆のリンチで殺害され、ナチスドイツのヒトラーは連合軍に包囲されてピストル自殺、大日本帝国天皇HIROHITOをどうするのかでは戦犯扱いが世界の多数世論だった。 それが占領軍日本統治の政策的見地から免罪され政治的権能を有しない形で残されてきたもので、ファシスト国と闘った諸外国の目から見たら「天皇戦犯説」は常識だったから、戦犯処罰されるかどうかは紙一重の状況だったのだ。 昭和天皇が占領軍司令官マッカーサーを訪ねて「責任は自分にある」旨述べたことも明らかにされている。

 韓国・朝鮮側:国会議長が慰安婦の問題解決法を記者に尋ねられて「日本を代表するものの謝罪の意思表明があれば解決」「総理大臣か日本の王」という表明をしたからといって違法不当な点は何処にも存在しない。 朝鮮側には朝鮮側としての見解はあるのだ。 だが、解決策は双方の合意で成立するものだから、受け入れられない点は断って、双方が受け入れられる一致点・妥協点を求めていく事務的作業が解決交渉の中核的部分である。 ここに交渉当事者ではない市民団体の行動規制を盛り込んだら将来的に収まる保証などなく、両国政府がわざわざ地雷を仕掛けている様なものだ。 被害当事者の頭越しの政府間合意でもあって、当初の懸念通りの展開となって解決スキームが崩壊している。
 日本政府側の立場としては、朝鮮からの徴用工や慰安婦個々人の請求権の存在は認めているのだから、国を代表しての遺憾の意:謝罪表明を誰がするのか、官房長官談話なのか、首相談話なのか、国会決議なのか、天皇なのか、問題解決するのであればいずれか双方で合意できるものを選べば良いのだ。 天皇の謝罪はダメで、安倍晋三首相の謝罪はもっとダメ(実はこっちが圧倒的に大きい?!)だから、天皇謝罪拒否に託けて首相謝罪の芽を摘んでしまおう、再び「朝鮮征伐」を仕掛けようとでも言ってるような昨今の過剰反応対応である。 それに「アジア侵略に対する遺憾の意を表した天皇の『おことば』」も有ったはずで、憲法に定める通り「内閣の助言と承認を必要とし、内閣が責任を負う」規定で、実質は内閣が作った声明なのかも知れないが、形の上では既に天皇の遺憾の意は表されていて、極右世論、マスコミが煽るような禁忌ではなかった。 安倍ら復古派の大日本帝国無謬論はこの天皇の遺憾の意:見解表明まで吹き飛ばしてしまったのである。 右翼歴史修正主義の権化:桜井某女史など週刊誌上で韓国国会議長をあべこべに「歴史修正主義者」となじって自分への非難を交わしているのは笑ってしまう。
 双方の認識と見解が違うから一致点を増やし妥協できる点を捜す交渉が必要なので、この不一致点だけをことさらに採り上げて反韓国感情を煽るというのは非常に悪質な政治的プロパガンダと言うべきである。

 そもそもで言えば、日韓条約で政府間の問題は解消し、朝鮮人個人に対する韓国人被害者への金銭補償分は韓国政府に一括して支払っていて、以降は基本的に韓国政府が対応すべきもの。 日本人がアメリカ駐留軍から受けた損害を日本政府が補償しているのと同じ構造である。 それで収まらない事態が生じたら改めて交渉申し入れは明文で規定されている。北朝鮮の被害者補償については今後の国交樹立時の交渉に委ねられるだろう。
 侵略・植民地支配・慰安婦に対する謝罪も(See→外務省サイト) 河野内閣官房長官談話@1993/08/04村山首相談話@1995/08/15 で一旦決着していたものだ。
 それを「日本を取り戻す」とか言って、河野談話・村山談話取り消し方針表明、慰安婦営業売春婦論、朝鮮併合正当論の蒸し返しで根本からひっくり返したことで再び大問題になり、日本国としての過去の態度表明を無にして再度態度表明を必要にしたのは安倍晋三首相ら極右派・歴代政権ではなかったか。 国としての正式態度表明である村山・河野談話の取り消し方針など出すから「取り消しの撤回」に留まらず、新たな態度表明を求められるのは当然のことではないか。
 「応募の朝鮮人工には日本人並み〜時に並以上の待遇で雇っていた。今回、裁判勝利の朝鮮人労働者は条件の良かった自発的応募で『徴用工』ではない」という弁明がされていて、当時の朝鮮内国扱いで現場は大増産が求められて日本人が一緒に働いて技術を維持し増産していた状況から、優遇傾向は有り、応募者が労働現場で一律奴隷労働とはかなり異なるようだ。採炭などで熟練工の率先指導無しにシロートが奴隷労働で増産出来る可能性はない。 今も日本の海外現場援助・自衛隊工兵隊の建設援助が大好評なのは指導監督側も一緒に実作業に加わっていることで、身分で作業を峻別する西欧やアジア植民地型とは違うことだ。 そうであれば国としても存在を認めている「問題の徴用工の待遇はどうだったのか」の解明と態度表明は必要だし、日本社会での朝鮮人蔑視・偏見は別だろう。 困難な土木工事になると朝鮮人労務者を「人柱」と称して生き埋めにした話はあちこちに転がっていて何の態度表明もないし、関東大震災での流言飛語による朝鮮人虐殺行動の全面否定も有り得ない主張ではないか!たとえば上高地の釜(ガマ)トンネル工事とか、北海道は 常紋トンネル工事(←即時リンク切れ!19/03/13代替:タコに「朝鮮人」が抜けている→)、 常紋トンネル@wikipedia などで人柱にされた朝鮮人を含むタコ部屋労働者の犠牲者の白骨が発見されていることに対する国としての態度表明はあったのか!? 全くないままに都合の良いことばかり並べるから弁明が口先だけのものになり全く説得力を持たないのだ。
 サンフランシスコ講和条約で「日本が侵略戦争を行った」事実を認めて独立を承認されたのが戦後日本の出発点になっている。 それを根底から覆して、根拠のない情念の大日本帝国無謬論を持ち出して国際的には窮地に陥ったのが安倍首相。 とんでもない「外交の安倍≡外交音痴の安倍晋三」である。 サンフランシスコ平和条約締結数10か国を相手に改定交渉を要求して、当然受け入れられないから、全締結国を相手に戦端を開こうとでも言うのだろうか?

 以上は照準用レーダー照射問題とは全く独立である。 現場のエラーの謝罪で片付けられた「友軍」間の事件を、存在しないと言い張って大問題にしたのは、上層のエラーか?対立を煽りたい政治判断か? P1での事件に無関係のP3Cの写真で反論(See→日記#429)し、そのことでの再反論もないというのは日韓それぞれにどんな思惑があるのだろうか?

「天皇退位表明」とは何だったか  <2.2>

 安倍内閣がかなり露骨に押し留めようとした様に見える天皇退位は、同情的世論の流れに抗しきれず、天皇の求めた退位一般法ではなく、一代限りの特例法の扱い、すなわち次の天皇は自由には退位できない縛りを掛けて成立、実現させた。特定の結論を持った審議委員を任命してその答申の形で退位一代限定を強行する茶番が演じられた。 一代退位は結局安倍晋三の気に入らない、現天皇の「お言葉」封じである。 が、今後、「上皇ブログ」などで見解表明されたら安倍らはどうするつもりだろう? 天皇の国事行為には「内閣の助言と承認」という憲法上の縛りは在るが、天皇を降りてしまえば明文の禁止規定はない。

 「天皇戦犯論」は天皇側からどう見えるかは是非とも考える必要がある。 昭和天皇の認識としては、「政府決定の再考を求めても変わらなかったものは認可するほかなかった」「日独伊三国同盟など大反対、対米開戦反対の意は、通せなかった」となど思っていて、「案の定の敗戦に戦犯を問われて処刑されかねない立場にまで追い込まれた」ということのようだ。 戦火に肉親知己・財産を奪われた庶民側から見たら「鶴の一声で止められたはず」という想いは強いが、天皇自身の認識としては内閣・御前会議など覆せない環境に縛られてということの様である。

 中曽根政権以降の大日本帝国復古路線が安倍政権で特に強まって、「大日本帝国を取り戻す」スローガンのもと、アメリカの下請け戦争体制まで作られてしまい、その裁可を拒否できる立場にはないのだから、最低限、天皇退位の自由は確保して、戦争政策裁可は絶対に避けたいと思うのは無理がない。 自ら希望して獲得した地位ではなく、意に染まぬ決定に巻き込まれて、戦犯処刑のリスクを負わねばならない間尺に合わない立場は自由意思で降りられる制度にして貰いたいということだ。
 平成の30年間にわたり、いつ、戦前型の帝国主義侵略路線に戻るのか気が気でなかったなかで、戦跡・激戦地を精力的に巡って、敵味方関わりなく鎮魂・慰霊の旅を続けて平和路線を強調し、安倍・中曽根らの好戦路線とは必死に距離を採ってきた様に見える。 大日本帝国回帰の安倍晋三らの神輿や駒にされては、フランス革命に散ったルイ16世一家や、ロシアのニコライ2世一家の運命をなぞってしまいかねない、冗談ではない!と思うだろう。

 そういう状況下で、自由意思での退位を求めて安倍らに長期に黙殺されてきて、最後の手段としてTVを通じて意思表示したものが、安倍ら必死の巻き返しで一代限定特例法にされてしまった。 次の天皇には退位を認める制度はないということで、開戦の政府決定に対する拒否権はなく、承認せざるを得ないままである。 それは酷い話だ。 意思を持てない実質スタンプ・マシンであることが今は憲法に定められている。
 歴史的に見た天皇は永らく「神輿」あるいは「錦の御旗」で、国の実権を握った勢力に担がれてきたのが主の姿で、担ぎ手の乗り移りに失敗すると、壇ノ浦の藻屑と化したりした訳で、明治以降だけが絶対君主として君臨して敗戦、戦争責任を云々される事態となった。 そういう理不尽なリスクは背負いたくないと思う方が人として普通ではないだろうか?

 皇太子妃の「適応障害」も、発病原因である過大なストレスを与えている環境から隔離すれば劇的に改善されるもので、現に、オランダでの長期静養は症状改善に卓効があった。 あること無いことネチネチと週刊誌に漏らして皇太子妃攻撃を組織している宮内庁役人たちから距離を取って、症状回復を実感させることを繰り返したら、体調に次第に自信が付いて回復は促進される。 それは職業性の過労疾患:頸肩腕症候群背腰痛症や反応性鬱病の回復治療法と全く同じ構造である。 過負荷で座屈してしまった心と体を、昼夜を問わず動けるときに動いて、繰り返しの回復経験、成功体験で復活強化させて健康体にもどしていくものだ。
 それをあべこべに、昼夜逆転の生活は不当だとか、国内公務に就けないのに国外訪問は不当だとか、宮内庁長官までが底意地悪く攻撃を煽り続けて、回復困難な檻に閉じ込めていたぶっている。 子供の同級生が「穀潰し!」と罵倒したというエピソードは、皇太子妃競合敗北勢力の足の引っ張り合いの、醜悪な「大奥物語」の一端で、天皇制そのものを蝕んで崩壊させているのは支配勢力内部矛盾であり彼らの勝手だが、現行制度上、そうした間尺に合わない立場から抜け出すことができないというのは人権問題だろう。 憲法上は皇室の公務など天皇以外には存在しないのだから、健康回復第一に考えれば、非常に快調だった外遊、オランダ静養に再び出掛けて回復を早め、「国内よりも困難な国外公務に挑戦して頑張ってる」とでも吹いてイビリ派が無根の攻撃をできなくするなど有効な手はまだまだある。 ヴェトナム侵略戦争派遣のアメリカ空母のイントレピッド4人の会のように国外脱出支援市民運動組織だって不当弾圧覚悟で脱出を手助けしており実現不可能じゃない。 あのときは彼らの亡命成功後に、アメリカ兵の国外脱出が日米安保条約上密出国には当たらないとして表向きは、お構いなしになったのだった。
 既に皇太子妃のなり手がなかなか得られない、制度上のピンチは迫っていて、自然崩壊も射程ではあるなかで、更に困難を増す個人攻撃が宮内庁長官・役人を含んで行われているのはまさに自壊現象で、サッサと退位の自由、皇籍離脱の自由を認めて一般国民になるのを認めれば良いことだ。
 現皇后(正田美智子氏)が皇太子妃に決まったときにそうした皇室姻戚心待ち組が悔しがり「粉屋の娘が皇后になるなんて認められない!」などと息巻いていたことは我々下々にも漏れ伝わって、そうした嫉み・反感を一身に受けて健康を害したことも有った様だが、現代は更に、マスコミ・リークによる陰湿な大規模攻撃が加わって耐えがたいストレスになっているのだろう。 新潮や文春など低劣な弱いものイジメのメディアが良く売れるというのは国民のレベルの反映ではあるが、その面倒な身分から脱出する術が無いというのはやはりおかしいではないか。

共和制は大局的な世界の流れ
南北朝鮮は王政を排し共和制で独立。日本は?  <2.3>

 特定の個人が生まれながらにして運命が固定されてしまい、さらには政府の失政の付けまで背負わされる間尺に合わない立場は前項に述べたとおりで、長期的には、いずれ共和制に流れるのだろう。

 日本の場合、上層階級内部の激しいバッシングに畏れをなして、適切な皇太子妃を得がたくなっていて、支配側の自己矛盾として「皇統」が絶えつつあり、男系が切れたところで自然消滅で共和制移行が見えている。 小泉政権時代に女性天皇容認法改正が準備されたが、傍系男子誕生でひとまずは継続されることとなったが、確率的にはいずれ断絶はさけられまい。 皇室の特例法で側室を認めても「大奥」に入りたい人などなかなか現れないだろう(w。 万一の事態には落とし胤、忘れ形見が忽然と現れるのは200年前、江戸時代の時代劇の世界、現代にはそぐわない。 政治的には共和制指向の共産党でさえ「現憲法を遵守する」として象徴天皇制は長期に継続させる方針だから、外から整理されることは無いが、肝心の皇統が自然に絶えて無くなるということだ。

 現在の南北朝鮮は共に君主を戴かない共和制を採っているが、日韓併合前の朝鮮は李王朝支配で、長期に清の属国の地位にいたモノが、南進してきたロシアの属国となるか、新興の日本の属国になるかで兵力を伴う勢力争いを始めて、さらに民衆の動きに怯えてロシア大使館に避難して政務を執るような醜態を演じて、国の独立を守る強い方針は持っていなくて、朝鮮に対する日本との覇権争い:日清戦争で清は排撃され、李王朝は日本の皇族扱いになって日韓併合に至っている。 その不甲斐ない経過もあってか、ソ連進駐の北朝鮮だけでなく韓国側も独立に際して共和制を採って軍事独裁の李承晩政権が樹立された。
 「君主」はなかなか問題で、傀儡政権の神輿にされることが多く、日本の傀儡、満州国の愛新覚羅溥儀(ラストエンペラー)に始まり、フランスが押し立ててヴェトナム再占領を図った神輿のフエ王朝、イギリスのアヘン貿易を取り締まれなかった清朝、拡大侵略主義に丸ごと乗った大日本帝国など、弱点にはなり易いのだ。 もっともドゴールのフランスもアメリカもヴェトナムへの「懲罰戦争」を仕掛け南シナ海の軍事占領を試みる中国も制度としては共和制で第2次大戦後も、軍事力で覇権を求めていて一律ではないが、「君主」が傀儡にされ易いことは確かである。


2019/02/28 23:55

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