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目の子設定で制動距離不足?TGV試験運転転覆事故

TGV脱線転覆事故推定
  [あり得る事故原因]

●制動距離が固定で、余裕ゼロ設定状態に、+10%速度で突入試験をしたため
 減速不十分で217km/hで過速度転覆。
●   〃         〃    +15%速度で突入試験をして
      〃 243km/hで過速度転覆。
●何らかのトラブル。試験といえどATP(ATC/ATS)を外して青天井の運航は考えがたい。
2015/11/28作図
 TGV新線の開通前の試験運転で、専用新線から在来線に合流する直前の曲線で脱線転覆事故を起こして高架から運河に転落するなどして、試験列車に添乗の乗客ら11名が亡くなった。 事故現場は高速新線の320km/h運転から在来線合流のための160km/h制限945R曲線に入ったところで、事故時は+10%の速度での運転試験をしていて曲線突入速度が243km/hであったと報じられているが、閉塞割り距離程とか、減速度、余裕といった設定データの報道はない。

 +10%高速試験運転として転覆状況を試算してみると、
という仮定数値とする。
Vo^2=2αLa ・・・・但し α:加速度、La:加速距離、Vo:速度 より、
減速距離L=(V2^2−V1^2)/2β であるから
320km/h→160km/hの最小減速距離Lb=(320^2−160^2)/2β ・・・・・・(必須減速距離)
この距離で352kmから減速した場合の曲線突入速度V2をもとめると、βが消えてしまい
V1^2−V2^2=2βLb=2β[(320^2−160^2)/2β]
              =(320^2−160^2)
V2^2=352^2−(320^2−160^2)=(217km/h)^2
160km/h制限に217km/hで突入!この場合、設備設定の問題で、運転士に責任はない。(243km/hではない!)。速度を10%上げて同じ距離で減速するには減速度βを21%大きくする必要があるのだ。(∵1.1^2=1.21:+21%)

すなわち横Gで(217/160)^2倍=1.84倍。
尼崎事故が75km/h制限に112km/h突入だから (112/75)^2=2.23倍。
尼崎事故での転覆限界速度が約105km/hで75km/h制限だから (105/75)^2=1.96倍。
日本の曲線制限の方がTGVより厳しいから実質は同程度の過速度進入だったことになる。

 なお曲線突入速度が報道通り243km/hだった場合の初速V1を逆算すると、
V1^2−243^2=2βLb=2β[(320^2−160^2)/2β]
     V1^2=(320^2−160^2)+243^2=(369km/h)^2 
          ・・・・+15%。この場合なら、設備設定不適だけでなく、運転士が悪乗りに過ぎる高速試験か!?

 もしTGVのATS/ATCがDS-ATC同様の位置基準車上演算型(パターン方式)で、減速距離に十分余裕をもった設置だったら、+15%過速度試験か、あるいは制動距離余裕不足か、いずれにせよもっと手前からブレーキが掛かり事故にはなってない。
320km/h→160km/h減速距離設定に、余裕距離を全く取っていない状況で、目の子で10%増し〜15%増し速度で試験してしまうと、このような事故になるので、全保安装置が正常に動作していて起こりうる有力な事故原因推定だ。
試験条件推定エラー、設計ミスってことだが、先ずは限界確認試験に一般人乗客を乗せては絶対にいけない。
   cf.信号・標識・保安設備について語るスレ23
     http://peace.2ch.net/test/read.cgi/train/1441821155/#679n,681,685,686

 カーレースでホームストレートを最大速度で駆け抜けて第1コーナーに突入する場合、コーナーの通過可能速度は決まっているから、どこまでギリギリの位置まで突っ込んでブレーキングするかでタイムが大きく変わってくるが、鉄道の曲線制限と、そのブレーキングポイントは、諸条件や各列車のバラツキに対する余裕を採る必要があるのは当然だ。しかしながら、ヨーロッパ系の鉄道は日本に比べて曲線制限もかなり緩く、事故発生限界にかなり近い値を安全限界に採っているようである。事故箇所の945Rの制限速度が160km/hというのは、横G換算で、
G=V^2/R/g=(160/3.6)^2/945/9.8=0.213G となる。
 日本の在来線はこれが0.08G〜特別規格の東海道新幹線で(245/3.6)^2/2500/9.8=0.189G だから、
少なくとも東海道新幹線の 1.128倍〜在来線基準では 2.67倍の横G で、日本よりも転覆限界に近くリスクの大きい「安全設定」となっている。
 そのフランスが、320km/h→160km/h必須制動距離をどう保障しているのだろうか?カーレース型のギリギリ設定が速達化のためには最も合理的だが、何らかのバラツキ要因が作用してプラス目に振れた場合の安全度をどの程度確保しているのか?というのが先の計算と作図である。 想定に対して僅か+10%の速度でも転覆限界に達してしまう!最高速度の+10%試験というのが減速区間長に想定されていたのかどうかが問題になる訳だ。

 さらに、日本の在来線の曲線制限横Gの2.67倍もの限界速度に引きずられてか、東海道新幹線の特例としてTGVの1/1.128倍横Gに迫っているが、嘗ての日本では、カーブ線形を路線の最高速度の80%で突入しても脱線転覆に到らない半径にしていたと、これは尼崎事故の裁判での国土交通省運輸安全委員会鉄道部会長松本陽氏の証言だった。 それが国鉄の列車速度調査委員会の検討で先ずは電車特急・ディーゼル特急に対して「本則+α」(=許容不足カント)方式を適用して、曲線制限と最高速度を160km/hを目指して当面130km/hと、かなり大幅に引き上げたことで、曲線にそのまま突入すると転覆の危険を生ずるようになり、高速車に対しては過速度ATSが必須の状態に変わった。 JR西は普通列車に対しても高速基準を適用して速達化を図ったが、それに必要な過速度ATSは網羅的には設置しなかったことで尼崎事故を起こしてしまった。 国鉄の列車速度調査委員会の高速化結論以降に過速度転覆のリスクが生じた訳だが、尼崎事故発生まではJR東海以外は必要な安全装置:過速度ATSを必要箇所に網羅的には設置してなかったのである。結果の重大な「うっかりミス」なのかもしれない。
 今回のTGVの転覆事故は、システム配置側のそうした「うっかりミス」なのだろうか?



昭和33年6月日立製作所製MT46主電動機銘板↑本体↓

中空軸平行カルダン軸可撓継ぎ手部↓

【主電動機MT46採用車両出現時期】
モハ90系101系s32製 15:84=5.60
6M4T〜8M2T
川崎車両、日本車輌、近畿車輛、汽車会社。0番台−500番台CAB付、奇数・偶数パン付
モハ20系151系s33製 22:77=3.50
2M2T
川崎車両、近畿車輛、汽車会社各1編成
クハ26、モハ20、モハシ21、サロ25、こだま
増力MT54換装181系化(MT46外す)
モハ91系153系s33末 19:80=4.21
2M2T
準急東海型
モハ82155系s34製修学旅行電車
クモハ157系s34製 19:80=4.21
4M2T〜4M3T
DX準急日光号:MT比で急勾配対策
クモハ159系s36#2修学旅行電車
クモハ161系s37上越線とき→増力MT54換装181化
モハ401/421s36 17:82=4.82
2M2T
交直両用近郊通勤型50/60Hz:≠4.21

主電動機MT46初代?展示    <2>

 鉄道技術展@幕張メッセでs33.6製MT46主電動機単体の展示を発見(右写真)。
s.33製というと、初代在来線こだまモハ20と中央線通勤車モハ90用、東海型モハ91用だ。こだま用とき用は後にMT54に増力されて取り外されていて、一部は使い回しされているが、製造年次からすると展示品はモハ20在来線こだま用の一つである可能性は大きい。

 MT46主電動機というと151系では峠越えなどで発煙事故を繰り返し、101系10連では発電制動は常時断で運行するなど「非力なモータ」という印象が強いが、子細に見ると他の車種では問題なく運行されており、151系と101系固有に問題があったと考えるべきだろう。

 まず101系(旧モハ90系)は「全電動車」を前提に設計された車両だが、急速な輸送需要の増大に呼応するために10両編成化を試みたが、電源容量が足らず、新規投入の予算も足らなかったことで、モータのない付随車2両を追加して、6電動車4付随車(6M4T)編成で切り抜けることとなった。その結果、発電制動を使うとモータの発熱量が限界を超えることで、発電制動は使わないこととなった。これは設計の問題ではなく使用条件変更重負荷化で初期機能を停止させることになったものである。この矛盾解消に、定格速度を実稼働に沿って落として増力MT55主電動機を使う103系を開発した。

 こだま151系は最高運行速度の110km/hに対してギヤ比3.50が過小でモータに無理が行ってると考えるべきだろう。 2M2Tユニットの車種では、ギヤ比の大きい東海型153系が4.21、4M2T〜3T登坂性能の高い準急日光157系も4.21、上越線特急とき161系も準急日光と同じ4.21のはず、6M4T〜8M2Tの101系がギヤ比5.6。そのいずれもが最高速度110km/hであり、ひとり151系こだまのギヤ比が極端に小さくなっている。 特急こだまの運行実態に合わせてギヤ比を153並161並にしていれば、関ヶ原新垂井付近の登坂(標高差111m)などでの過熱発炎事故は回避できたはずである。 しかし、山陽線の難所瀬野−八本松の換算25/1000勾配10kmの登坂でも151系特急・153系急行共に登坂補機で押し上げられており、151では後補機の「走行中解放」などというヲタ好みのアクロバティックな運転をしてたが、瀬野八230m高もの登坂にはMT46では若干出力不足ということか。153系についてはやや余裕を採ったのか?の感もあるが、勾配路線の準急日光号157特急とき161の4M2〜3T編成に準じると153系4M4T編成に登坂補機連結はやむを得ないのだろう。

 151/161系は出力100kWのMT46から後日、120kW出力のMT54に換装して181系となり、以降は発煙事故を起こしていないので、問題は解消された。

 「鉄道技術展」の開かれる幕張メッセまでは徒歩7,500.歩前後、距離にして5km程度で、NETからENTRYすれば無料入場書式が送られてくるもので、毎回、チラリとは見に行っている。今年は11/11〜11/13だった。近年は線路脇に進入すると列車が止まってしまい、手が後ろに回りそうで、アブなくて近付いては見ていられなくなった。 鉄道技術展では、様々の鉄道アイテムが展示されていて直接見ることができるので、かっての見物の代替にはなる。
 かっては線路脇の犬走りを通って登校したとか、7kmを歩いて気動車区や電車区を覗きに行くとか、畑の勝手踏切を渡って小学校に通ったとか、ホームのない信号所で通勤通学客が勝手に乗り降りして次第に駅にしてしまうとか、近道に鉄橋を歩いて渡るとか、かなりオープンだったのだが、当人自身の危険だけでなく近年のテロ問題もあり管理強化・立入禁止はやむを得ないところだろう。
 レールのテルミット熔接実演はいつも大人気で黒山の人だかり。あれは鉄道総研の一般公開で始められた取り組みで、いつもは夜中の作業で人知れず行う作業なのが衆人環視の中で恭しく熔接作業するもんで、おっちゃんたちも心なしかうれしそう(w。東海道新幹線での冬期レール折損の原因とされて一時は「ボロミット」とまで呼ばれて排除されたテルミット熔接法だったが、真相は冷却作業の不適切で、降雨中に熔接して内部歪みを残したとかの箇所が後日折損するだけで、条件管理をきちんと守れば優れて適切な工法なのだとか。
 小型化したノーズ可動分岐が今年も出品されていたが、まだ受注には繋がらないようで、騒音対策としては従前型の弾性ノーズ可動分岐が採用されている様である。ノーズ可動分岐が現場から嫌われるのは最低でも普通のポイント2基分の連動・鎖錠などの切り替え機構が必要なことらしいが、両渡り分岐などを考えればそれは若干横着。沿線に静かな夜は積極的に保障すべきだ。京王、小田急、東急などさほど高速ではない箇所に唐突に従来型のノーズ可動分岐が設置されているが、あれは密集市街地での騒音対策試験だろう。(See→日記#178-6)
 大宮の新交通システムに納入する新車が現物展示されていたが、考えてみればモノレールの上路式・下路式も共にゴム・タイヤ走行で、基本的には新交通システムと同じ物。札幌のゴムタイヤ地下鉄はなぜ「新交通システム」ではないんだろう??と考え込んでしまった。
 様々なセンサーと遠隔計測システムが面白い。従前、ストレーンゲージを貼っていたのが新センサーに換わっていくかも知れない。



NHKマツさんのお陰で安酒高騰!



 ニッカといえば、口当たりの良い安いウィスキーをずっと供給してくれている我々貧民の味方だった訳だが、NHKの連続ドラマ、まっさんの放映以来売れに売れたようで、スーパーではしばらくの間、2倍近い高めの酒(左)しかなくなっていた。 報道機関としては御用安倍チャンネル化が最悪だけれど、こんなところでも庶民に害を及ぼすなんて実に困ったもの。 それがようやく出回って早速入手(右写真)。さほどは呑まないたちなので半年近くは保ちますか。
 学生時代、研究室でコンパといいますと酒とサカナの買い出しに行く訳ですが、スネかじりの身で安酒ねらいとしてはCM洪水のREDか口当たりの柔らかいBLACKかで争いになり、先に買った方の勝ち。コーラで割って辛さを隠して呑むより口当たりですからねぇ。REDは教授にも「悪い酒だねぇ!」と感嘆的に安酒のお墨付き戴いてしまって・・・・・。

 「バイト先じゃ、お客には角か、だるま以外出せない!」とサントリー・オンリーだった愚息も、「へ〜、口当たりが良いね」などと言って飲み始めたが、気付いたときには未開封のボトル丸々2本を呑まれていた。わが親不孝者!の説明では「だるまはハイボール用に作られてる」のだそうで、「水割りでは辛いだろう」との御託宣。ま、当方、あまり酒好きという訳ではないようだ。樹氷とか「トリスを呑んでハワイに行こう!」も辛口というか口当たりのきつい酒だったからニッカの柔らかさが目立つのだが。

2015/11/30 23:55

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