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微妙に違う!土地面積計算
 ヘロンの公式はなぜ不採用?

測量計算
 土地面積の測量は右図の様に土地を三角形に分解してそれぞれ面積を求めて足し合わせるものです。三角形の3辺長が判ってその面積を求める計算方法としては「ヘロンの公式」が丸覚えしやすい形なので、右図2区画を表計算ソフトに放り込んで点検しますとどちらも測量業者の示す算出数値と微妙に違います。なぜか100m2余の土地で海苔1枚分程度の誤差があるのです。

 原因は何か?と図面を追いますと、三角形の3辺のほかに「高さ」というのが示されていて、二重規定になって、測量業者の計算はこの「三角形の高さ」を使って算出していますが、高さの足には測量点(TPM)がありません。どうやって「正確な高さ」を出したのでしょうか?
 誤差の原因は単位三角形の二重規定と、もしかすると三角形高さ計測の不適切・不正確かもしれません。ヘロンの公式で求めた面積から高さを逆算して表示していれば正確なのですが、図面記述からはどちらか分かりませんでした。

 もう一点は測量分解能として1cm表記なので原理的に10−4の誤差は想定されることです。これまで私が無資格で関与(=資格者の下請け)してきた土木計測(測量)ではレーザー測距儀の表示である1mm単位で扱っていましたので10−5〜10−6の誤差精度なのに対し、土地測量では1cm単位に丸めて表記していることで誤差要因となります。

3辺長から面積を求む  <P>

三角形abc

 ヘロンの公式    <f>

 三角形を構成する3辺をそれぞれa、b、cとするときの三角形の面積
  S=sqrt{s(s−a)(s−b)(s−c)}     但しs=(a+b+c)/2
  となる。これを「ヘロンの公式」と呼ぶ。

  S=sqrt{(a+b+c)*(b+c−a)*(c+a−b)*(a+b−c)}/4 である

[ポケコン等プログラム例]        

  • 100 'ヘロンの面積公式
    110 T=0:N=0
    120 CLS
    130 input "A=";A :if A<0 THEN 130
    140 input "B=";B :if B<0 THEN 130
    150 input "C=";C
    160 if A+B<C OR ABS(A−B)>C THEN 300 '非3角形:誤入力排除
    170 S=(A+B+C)/2 '
    180 Q=SQR(S*(S-A)*(S-B)*(S-C)) 'ヘロンの公式(以上2行)
    190 T=T+Q:N=N+1 '数&面積カウント
    200 PRINT N;"面積(A:";A;",B:";B;",C:";C;")=";Q,"累積面積=";T '計算結果表示
    210 GOTO 130
    220 '
    300 input "誤入力!";D '誤入力警告表示
    310 GOTO 130
(THEN 400 では動作せず THEN GOTO 400 とする言語もある。

オペレータが一般化する程、誤入力排除機能が重要)
[試算(筆算可能特異値)]
Q(3,4,5)= 6
Q(5,12,13)= 30
Q(7,24,25)= 84
Q(9,12,15)= 54
Q(12,16,20)= 96
Q(5,5,6)= 12
Q(5,5,8)= 12
Q(13,13,10)= 60
Q(13,13,24)= 60
Q(13,14,15)= 84
Q(13,20,21)= 126
Q(17,25,26)= 204
Q(10,10,14.14213)= 50
Q(2,2,2)= 1.7320508
Q(2,1,1.7320508)×2= 1.7320508
  (See→ピタゴラス数)
測量計算
●三角形5が高さ誤差11.35mmある他は計測分解能1cm以内の誤差。∴「二重規定」が主たる問題

 市役所に聞きますと、各単位三角形毎に「底辺×高さ/2」で面積を表示して、その総和を示す方式が土地図面一般の慣行的表記表記方法で、ヘロンの公式による算出との誤差など考えたこともないそうです。
 2重規定を排する正確さでは断然3辺直算法(ヘロンの公式等)ですが、高校数学の水準ではあり多項計算に慣れてない一般の人が利用するのは若干辛く、操作エラー回避にプログラム電卓が必要とすると、現行方式(=底辺×高さ/2)の許容はやむを得ないにしても、測量資格を持つプロの手による登記は行政指導で3辺直算法使用に誘導して、高さは括弧書きの(面積から逆算した参考値)としてはどうでしょう。現在は当人自身による登録はほとんど無く、まずは有資格者を代理人とする登記だそうですから、ヘロンの公式切換は簡単にできると思います。謄本請求者の検算用には(参考値)を使えますし、面積計算専用計算機を登記所などに置くようにしても大したことはありませんから。

 測量値により面積を試算(下枠表参照)しますと、図の三角形5の高さに最大の誤差11.35mmがみられますから、測量計測点無しに高さを図った疑いもありますが、計測精度はそこそこあったということでしょう。他は計測分解能の1cm以下ですから、主たる問題点は寸法が「二重規定」の図面ということになります。すなわち三角形は3辺長で決定するのに「高さ」という余分なパラメターを指定したことで「二重規定」になってしまったということです。

 微妙な誤差の解消には、測量点間隔から得た3辺長から直接面積計算するように改めれば済みます。パソコンが普及した今、計算は表計算ソフトに任せて、憶えやすく算出結果の正確な3辺直算法(ヘロンの公式等)採用を定める時期ではないでしょうか。上記サンプルラインを見ても、ヘロンの公式演算部はわずか2行だけ、全15行中、入力に3行、誤入力排除に3行、初期化・累算に3行、結果表示に1行だけです。ヘロンの公式は表計算ソフトやプログラム電卓で処理するに適する内容でしょう。

実務ではとうにヘロンの公式採用か

 某家電量販店の電卓コーナーをのぞくと「土地家屋不動産鑑定士用」という帯を巻いた\2000弱の機種がCASIOからもCANONからも発売されていて、さては!と思って厖大な機能一覧表を辿ると「ヘロンの公式」とあります。\1000前後の関数電卓機種には見掛けられませんでしたが、\2000級ですと、プログラムメモリーも付いて、ヘロンの公式搭載機種があるという感じです。どうやら実務的には正確なヘロンの公式を使いながら、登記申請など公式の場では「底辺×高さ」に変換して図面を作り手続きしている人が多い模様です。「考えたこともない」という役所が検討不十分で遅れてるというのが真相かも知れません。2012/08/20追記)

2011/09/14 18:30

東京湾岸埋立地液状化現象
 身近に「共犯者」発見! <g>

八郎潟埋め立て工事
於:寒風山山頂回転展望台八郎潟記念館展示


 水に溶かした土砂で埋め立て工事。東京湾の千葉県海岸と同じ工法!

パイプで送った泥水を、囲いの中に沈殿させて埋め立てる

送泥パイプ

 浚渫土砂も埋め立てに使用
NUS7 03/06/06
千葉市美浜区稲岸公園のC型タンク機関車「NUS7」'03/06

読売新聞2011/09/20火曜日13版37面左上囲み
「液状化 浦安から(1)
庭から復興しよう」

 ディズニーの母国・米国のマイアミにちなんで名付けられた千葉県浦安市舞浜。その3丁目は、東京ディズニーリゾート近くに拡がる閑静な住宅地だ。約20年前、50坪(165平方b)前後の一戸建てが1億円超で売り出され、例年住宅地価では県内トップクラスだ。
 だが、液状化被害で泥土に覆われ、道路は波打ち、あちこちに亀裂と陥没が残った。3丁目の約550世帯の約7割が、家屋が傾いたり沈下したりした。泥は撤去されたが、多くの家はまだ傾き、道路は波打つ。
 FJさん(69)は庭に突然穴が開き、黒い泥水が噴き出した時のことを思い出す。自宅は無傷に見えたが、室内で体は傾き、物が転がった。
 市の緊急調査で「大規模半壊」と判定された。・・・・・・・・
 建設業者の提示した復旧工事の見積額は1000万円弱。被災して売却は難しい。・・・・以下略・・・・
          (11/09/20追記)
 久しぶりに行きつけのスナックに行き、いつもの飲み仲間の資材プラント運転責任者氏らと駄べっていて、浦安から千葉に掛けての激しい震災液状化の話から砂利・砂の説明を受けることになりました。

 最高級材料が川から掘って層別分類したもので、多摩川沿い・荒川沿い・相模川沿いなどにはこれを求めて砂利堀り利権を生じ、京王、小田急、西武など各鉄道会社とも川原まで砂利運搬鉄道を引いていたが、川の供給量を超えた乱獲で枯渇して、質の劣る山砂や、もっと酷いコンクリートをボロボロに痛める海堀の砂や骨材までが使われる様になり、さらに建て替えの廃材処分としてそれを砕いて「リサイクル骨材」にしたり、廃材そのものを埋め立てに使う川崎の浮島地区や東京のゴミ処分場夢の島みたいのもあって、そこだと廃材を取り除いてからでないと土台の杭を作れないやっかいな土地になる。今や川から採った材料は標準値段の1.3掛けの高値で取引されている。川から採った骨材や砂は青白っぽいコンクリート色だが、山土は黄土色から茶色で品質が落ちる。昔、それを浦安に運んで埋め立てに使ったものだ。あんなとこ宅地で売るとは夢にも思ってなかった、などと説明しました。

 黙って聞いていた店のママが「それじゃ浦安液状化の犯人じゃな〜〜い。こんなとこに共犯が居たんだ〜〜!」と混ぜ返して大笑い。大事な常連さんに「共犯」はなかろうてw。指示されて運び込むだけのダンプのオッさんの責任は追及しようがないようです。前ページの全国順位&偏差値表示式とかいうイヤらしいカラオケ機は絶対に店には入れない!とママのご託宣!そこの店のカラオケは消費カロリー表示ですな。
 空き地に砂利を敷き駐車場として使う工事の単価などを説明され、最近繋いだ工事が若干ボラれていたことは分かりましたが、それでも不動産屋ルート発注の50%強の値段で、まぁリーズナブルな範囲の工事費だったことが分かりました。地域の千葉土建組合経由で職人さんに直接繋いだ甲斐はあったようです。再生骨材はこっそり放射能混じりを混ぜられても判らないので、住居になるはずの土地には使用を避けようと黄土色級の白色材料選択を勧告。素人には判りませんからねぇ。原価が上がり、若干ボラれるより重要事項です。

山土の水パイプ送出が影響か?
  東京湾岸埋立地液状化現象   <h>

 右の埋め立て工事写真は、秋田県は男鹿半島寒風山回転展望台内の八郎潟記念館の展示写真ですが、これは千葉市美浜区から東京に掛けての埋め立て工事でも一般的工法でした。水に溶かした山土を送泥パイプで海中の囲いの中に放出して沈殿させ、10年以上も放置して沈殿させて土地にして分譲したものですから、地震でちょっと揺すられると液状化して被害を出すのはいわば当然のことです。(See→日記#270#近隣被害

 八郎潟の場合は「干拓工事」ですから、締め切り堤防で囲った中を排水して標高が水面下の土地を生み、ここを農地にして米を作りましたから、埋め立てたのは堤防部だけです。堤防が切れると再び湖に戻ります。伊勢湾台風の高潮(1959年9月)で堤防が決壊して大惨事になった名古屋の鍋田干拓地やオランダの農地などと同じです。

 千葉市の東京湾海岸は干拓ではなく埋め立て工事で海抜数メートルまで土砂を盛っています。大規模埋め立て工事の発端は実は印旛沼放水路工事の発生土砂の始末で、江戸時代から試みられながら成功しなかった放水路工事を、千葉郡(現千葉市花見川区)柏井付近の台地に水路溝を掘って八千代市内から印旛沼へ流れていた川を花見川側へ逆流させる大土木工事に戦後すぐから取りかかりました。

 千葉郡(現千葉市)柏井地区南側から複線の土砂運搬鉄道2本を敷いて、1本は稲毛区穴川方面、さらに鉄道第1連隊演習線跡を経て千葉公園方面へ、もう1本は花見川左岸堤防上を総武線鉄橋北の土砂ピットまで通し、0−C−0タンク式蒸気機関車が土砂ホッパー車の列車を引いて、ピットに土砂を落としていました。そこで川の水を混ぜて泥として、ポンプで加圧しパイプで現サイクリングロードである旧花見川に沿って海に出て、幕張海岸の埋め立て予定地の囲いの中に送り込んで沈殿させて、以降長い年月を掛けて固めて分譲したもので、今回の震災液状化被害が特に大きかった地域です。
 が、幕張海岸だけではなく稲毛、黒砂なども総てこの八郎潟と同じ水パイプ送泥方式で埋め立てられ、浦安は加えて湖沼部の埋め立てだった模様です(囲み読売記事参照)。

 現在、似たような形のC型タンク車が稲毛海岸埋立地にある稲岸公園の「民間航空発祥の地」碑の北東側にモニュメントとして置かれていますが来歴板をみますと川崎製鉄(現JFE)構内入替機だそうで別物です。

 液状化現象が世間に広く認知されたのは1964年(s.39)の新潟地震で中層建築の市営住宅が傾き転倒した被害からで、粒度の揃った土では起こりやすいとされましたが、千葉県側の東京湾岸はそれ以前に埋め立て工事されたところばかりで処置なしで、基礎杭をきちんと打った中高層の建物や京葉線の高架橋には目立った被害はみられないのですが、何の対策もない平場が液状化による噴泥や地盤沈下、護岸倒壊・側方流動、地下構造物の浮き上がりなどで大変な被害を受けてしまいました。護岸のコンクリート板相互に20cmも隙間が空いて海側に迫り出している(幕張海岸など、花見川左岸河口)とか、東京湾内なのに重なる台風で緩んだ護岸が崩れて流される(稲毛海浜公園)とかの被害がみられます。

 但し戸建て住宅用の地盤強化工事は、柱状に掘って地盤改良剤を注入しながら掻き回し掘り進んで硬化させる工事なら建物が無ければ100万円台で可能で、建物の液状化被害は押さえられるので、その限りでは「人が住めない土地」というのは言い過ぎだそうです。分譲当時の地盤改良工事費が2倍だとしても1億円超の分譲価格だったのなら充分吸収できる費用でしょう。
 千葉市花見川区瑞穂(区役所廻り)地区は胸まで浸かる酷い泥濘田圃を埋め立てて造成した宅地で大地震被害が心配されましたが現実にはアスファルトのヒビ割れ程度で済んで、噴泥一つ見つかりませんでしたから土地造成にちゃんと手を掛けたかどうかの差でしょう。5mほど土を入れた上に更に1m高ほど余計に土を積んで暫く放置していましたが、あれは地盤強化の一環でしょうか?羽田空港内の埋め立てで京浜急行トンネル予定地沿い周辺は道からは5mほど高く土を積んで軟弱地盤から水出ししていました。建物を建ててしまってから改良するから修理費が1000万なので、その場合、経年次第では建て直しの方が有利かも知れません。なお、ガスも水道も長期に出なくなる土地なのは変わりませんから、家は助かるとしても警戒と備えが必要なことは変わりません。

2011/09/17 00:20

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