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JR西歴代3社長起訴決定
懲罰的日勤教育見逃しは不足だが
ようやく均衡の取れた処分

神戸第1検察審査会議決

[神戸新聞詳報]

神戸第1検察審査会の議決要旨

 尼崎JR脱線事故で、JR西日本の歴代3社長を起訴すべきだとした神戸第1検察審査会の議決理由の要旨は次の通り。

 【議決の理由】

 審査会は起訴相当議決の後に再度の不起訴処分(嫌疑不十分)がなされた理由について2009年12月4日付不起訴裁定書で指摘された個所についての証拠を重点的に再検討し、検察官に対して審査に必要な資料の提出を求め、審査申立人に対する尋問も実施した。

 また歴代3社長の公訴時効が迫っており、審査会としては議決時期が公訴時効完成後になるのは絶対に回避する必要があると考え、時間的制約がある中、審査会の開催日を増やすことで、審査会議内容の充実に努めた。

 【カーブの危険性】

 JR西日本では1997年のJR東西線開業にむけて神戸線と福知山線から東西線に入ることができるようにするため事故現場のカーブの半径を600メートルから304メートルにする変更工事を実施、工事は96年12月に完成したが、カーブの半径を約半分に縮小する変更は類例がない。

 また、JR東西線の開業に伴い、列車の本数を急増させるとともに時速120キロで走行可能な新型車両207系を大量に投入した。

 その結果、カーブは手前の区間の最高速度が120キロになり、転覆限界速度104キロを大きく超えることとなり、JR西管内に多数存在するカーブのうちの一つにすぎないのではなく、特に危険性の高いカーブとなった。従って、代表取締役社長だった3人には現場が危険性の高いカーブであったとの認識があったと考える。

 【信頼の原則】

 96年12月のJR函館線の貨物列車脱線転覆事故は、半径300メートルのカーブで貨物列車が速度超過により脱線転覆した事故だった。

 3人は、いずれもJR西の代表取締役社長として鉄道本部長を指揮する立場にあり、かつ、総合安全対策委員会の委員長として運転事故などの防止業務を統括する立場にあった。そのため、函館線の事故を精査し、未整備だった福知山線の自動列車停止装置(ATS)の整備を鉄道本部長以下の職員に指示すべき注意義務があった。

 JR西では、函館線の事故は本件と同様のカーブで発生した事故であることや、カーブが直線よりも脱線の危険性が高いことは認識されており、危険なカーブにはATSを整備していた。函館線事故は、総合安全対策委員会で十分に審議すべき事項であり、その審議が十分にできなかったのであれば、3人は総合安全対策委員長として十分な審議日数を確保すべきだった。

 JR西で、代表取締役社長と鉄道本部長との関係は、監督者・被監督者という支配関係にあるため、結果が免責される信頼の原則を適用すべきではない。

 【最後に】

 事故現場は、JR西がカーブの半径を600メートルから304メートルへと類例のない変更を実施し、かつ、カーブ手前の直線速度120キロから現場のカーブの制限速度70キロへと50キロも急減速を要する個所にし、現場は脱線可能性が高いカーブとなった。

 JR西では、今回の事故以前から、危険なカーブ個所にはATSを整備していたから、事故現場のカーブを脱線可能性の高いカーブとして認識し、最優先にATSを整備すべきだった。

 カーブが危険であるということおよび運転士の取り扱い誤りや居眠りなどによりブレーキ操作が適切に行われないことを想定して可能な限りの安全対策を取ることは市民感覚としても当然のことだ。

 審査会において検討してきた証拠に照らすと、3人がカーブの危険性を認識していなかったとは到底考えられず、カーブの変更時およびその後の代表取締役社長であった3人は、カーブに最優先にATSを整備すべき義務を怠ったものであると言わざるを得ない。

 すなわち、現場のカーブはJR西の管内に多数存在するカーブのうちの一つにすぎないのではなく、最も危険な個所の一つだったので、多数の人命を預かる鉄道事業者で、かつ、わが国有数の規模を誇る会社であるJR西における安全対策の基本方針を実行すべき最高責任者であった3人には、カーブにおけるATSの整備を鉄道本部長以下の職員に指示すべき義務があったと考える。

 また、96年の脱線転覆事故は当時の全国紙に掲載されており、3人はJR東西線開業直前の同様の半径での脱線転覆事故を考慮し、カーブにおける安全対策を再確認すべきだったのに、何ら対策を取らず、カーブへのATSの整備を指示せず放置した結果、乗客106人の命を奪い、485人(兵庫県警発表は562人)に傷害を負わせるという未曾有の事故を発生させたのであるから、刑事責任を免れることはできない。

(2010/03/26 20:42 神戸新聞)

 尼崎事故発生のJR西日本歴代3社長の過失責任の有無について検察審査会が予想通り不起訴決定を覆して起訴相当の議決を行い、これは検察審査会法の改正を受けて裁判所指名の弁護士により強制起訴の予定と報じられました(右カコミ記事参照)。
 井手氏ら絶対的権力を握っていた歴代3社長がお構いなしで、処分権を十分には与えられていなかった技術系幹部(鉄道本部長)で事故当時は子会社社長で事故後の改善の先頭だった山崎4代目社長のみの起訴という検察の処分では、稼ぐ最優先の真の原因者が免罪されて、技術系のエラーに集約されて逆のメッセージになっていましたから今般の検察審査会の起訴相当議決でようやく均衡の取れた処分になりました。
 [See]→
    日記#219= 不公平な従属的技系幹部だけの起訴
         懲罰的日勤教育こそ重要な事故誘因,
    日記#228= 歴代社長、懲罰的日勤教育推進者は訴追されるべき

学童転落死亡事故での校長・教師刑事処罰より責任明確

 この議決について、予見可能性がどうのこうのと検察の不起訴理由をなぞった「厳密な立証」を口実の免罪論が根強く流布されていますが、国鉄分割民営化の立役者にだけ特に厳密な責任立証を求めるのは妥当じゃありません。審査会起訴相当議決と同時期に報じられた、校舎屋上明かり取り窓からの学童転落事故で校長と担任が業務上過失致死を問われて罰金の簡易起訴で決着していますが、この事故の方がよほど「予見可能性」は低いでしょう。
 原因は、「天窓」であるプラスチックの明かり取りドームが、子供が上に乗って暴れるには元々強度不足なのに加えて、紫外線などによる経年劣化で脆くなっていて踏み抜いて落下してしまった訳で、強度と防護柵については設計設置側の責任とも云うべきものでしたが、校長と担任教諭がその措置を取らず、ドームに乗って遊んでいるのをみても注意しなかったことを理由に刑事責任を問われています。
 工学系からみれば、経年劣化の著しい合成樹脂素材に半永久的強度を期待する方が誤りで、人が立ち入る場所であれば柵でガードするなり、寿命を設定して定期交換するなりの策は必須で、建築側の責任が大きい様に見えます。
 先日、山手貨物線(湘南新宿、埼京、NEX)の五反田駅付近で電車が通信ケーブルを引っ掛けて架線と混触し長時間不通になりましたが、その原因は通信ケーブルの屋外敷設に固定具ではなく、筐体内などでの配線結束用でナイロンやポリプロピレン製の結束帯=インシュレータで取り付けていたため直射日光の紫外線で劣化し工事から1年余で外れて垂れ下がって事故になったもの。臨時雇いでなく、そこそこの経験ある常用の技術者だったらまず知っていたでしょう。TVアンテナの並行フィーダーやそれを支えるインシュレータが経年でボロボロになるのはメンテ経験があれば誰でも知っています。

 私自身の最近の体験でも、インバータ式蛍光灯シーリングライトの修理を4基ほど手掛けましたが、蛍光管を保持するポリカーボネイト樹脂と思われる透明の部品がボロボロになっていてランプ交換だけで折損してしまい、仕方がないので測量用のナイロン道糸で蛍光管を釣って応急修理しましたが、高照度型102W〜144W (=30W+32W+40W →細管27W+34W+41W →高出力細管38W+48W+58W)機とはいえ、人工光による経年劣化で、たった8年(灯具増設時)〜18年余(=新築時設置:器具製造印は'92年製で符合)でプラスティックスがボロボロというのには驚きました。
 これを機に身の回りを点検しましたが一定の強度を要するプラスティックスの寿命というのは概ね10年前後の様です。洗濯機を置く丈夫なプラスティク台(洗濯機防水パン)は、洗濯機の足が当たる部分4個所がボロボロになって2個所は床に突き抜ける大穴が空いて、2個所は八方にヒビが走って裏に抜けていますし、洗面台の収納棚を支えるポリアセタール樹脂の部品は2個とも真っ二つに飛び散ってネジだけ残して棚が落ちています。また食器戸棚やテーブル、椅子などの家具も10年余で接着剤が劣化して木組みが緩んでガタガタになっていましたので接合面に接着剤を塗って締め上げて組み直しました。ヒビに気付いて3mm厚ベニヤ板をクッションに挟んだ足からはそれ以上ひび割れが拡がりませんでしたから、丈夫なはずのプラスティックが一番薄いベニヤ板より脆く弱く劣化したことになります(防水パン自体は銘板をみるとNationalロゴの松下電工製で粗悪品ではない様です)。テーブルタップも硬化していてひび割れなど劣化が目立つものは交換、ADSLモデムケーブルも7年ほどでかなり硬化していて既に何本か交換しています。こうした経年劣化は消耗部の寿命と割り切って定期交換するか、劣化のない金属製を選ぶ方が良いでしょう。

 しかし、一般人がそのプラスティックの経年劣化と脆弱性を知っていたかとなるとかなり疑問があります。特に教職者は1か0かの思考法に慣れて、五十歩と百歩の違いを重視する理工系型評価ではなく、歩んだ事実には本質的差違がないという考え方をしがちな人達なのに、建造物の一部である天窓の明かり取りドームが劣化して子供が乗っただけで壊れるかも知れないなんて発想は、材料強度が全くの専門外だけになかなか困難だったのではないかという疑問があります。設計者がその注意義務違反、過失責任を問われたのであればまだ納得性はあるのですが、ユーザー側である教員だけが刑事責任を問われた処罰は如何なものかという抵抗感はぬぐえません。

 この事件の刑事処分に比べたら、曲線での過速度転覆脱線である尼崎転覆事故の予見可能性は審査会議決のようによほどハッキリしていて、検察が何をためらって不起訴処分としたのか大変いぶかしく思います。

以下余談:
インバータ式蛍光灯器具故障修理    <INV>

 老人世帯で視感度が落ちているため部屋の照度を2倍〜3倍以上高めにする必要があって、高効率高照度の店舗・事務所用の65W直管器具(FL65D管)も使っていましたが、流石にそちらは保持部であるソケットに丈夫な樹脂が使われていて18年経過していても崩壊することはありませんでした。家庭用電気器具というのは業務用よりかなりヤワに出来ているのが分かります。

外付きにした電源コンデンサー
200WV 100μF 85℃ (FCL-30:30W天井灯器具)

ボロボロの蛍光管ホルダ(透明樹脂が黄化)
インバータ高照度細管3管式144W器具

劣化折損したポリアセタール樹脂製部品と補修接着
 合成樹脂が経年劣化は予想を遙かに超えるもの。こんなにも脆弱なものだとは!ケーブルを結束帯で屋外の手摺に止めて設置したというのはあまりの無茶(JR東日本通信インフラ工事で五反田駅で支障)

100V40W単管ラピッドスタート高力率型安定器
(FL-40:40W天井直付器具)温度フューズ無?

ボロボロに劣化破損した洗濯機パン
800W×640D Nationalブランド
 デスク照明に使っていた従来型のラピッドスタート型直管40W器具が、再使用を始めて4日で点灯しなくなってしまい、分解してみると磁気漏れ変圧器型安定器の1次巻線が断線。NETで補修部品を探すと\4500.前後と高価なのでこれは廃棄決定し、作業台上にあった40W+32Wインバータ器具に交換。

 ただ、65W蛍光管を小売りしている店が見つからず、メーカは代理店を紹介、代理店には「そのへんで何処でも小売りしてます」とあしらわれ、100本単位なら売るとか意地悪されて、ネットでようやく小売を探して補修用込みで半ダースばかり入手しましたが、実際は電気工事屋など業者向けの小売店が各地にあるはずで、零細業者保護で一般客の相手をしない様です。バブル崩壊以来のこの不況で電気工事業者なんて絶滅寸前と言えるほど酷いことになって追い詰められて自殺した業者もいますから、死なない程度には保護しているのでしょう。

劣化不良ケミコン
ケースが膨らんだ容量抜け不良の
電解コンデンサー(ケミコン)
[インバータ蛍光灯器具修理]

 インバーター式蛍光灯器具は吊り掛け改造に加え、本来の修理としては、
  • 電源のケミカルコンデンサーが冬の雀のように丸く膨らんで、見るからに容量抜けというのを交換が1基、
  • プリント基板両側に焼き付いた黒い付着物を水とエチルアルコールで全部清拭しただけで復活再点灯が2基、
  • 最大電力では点灯したけれど、減光モードは復活せずが1基で、
 直流電圧は400V以上出ていて正常なのだけれどプリント基板に這う10本を越える多数のジャンパー線を追い掛けきれずに途中で断念、基板も劣化し元は薄い緑のガラスエポキシ色なのが、発熱部に近付くに従ってベーク板色に変色するグラディエーションが見られる状況。先は長くないようで、フル出力モードだけで使っています(w。

 容量抜けコンデンサーは105℃定格なのを、手許にあった85℃定格で間に合わしたところみるみる減光して1ヶ月後には使い物にならないほどに劣化。そこでコンデンサーを器具外に取り付けて配線して使用中。最近は秋葉原で売られるケミコンが従前の85℃定格から105℃定格に切り替わりました。それを使えばコンデンサーを外付けにする必要はありませんが、熱気の抜ける穴を開けた方が熱劣化を防げるでしょう。

 街の電気屋は首都圏大都市圏周辺の団地を対象に団塊世代向け高照度144W〜130W換装キャンペーン・セールでもやれば、かなり売れると思うのですが、最近のミニバブル崩壊以降、高照度144Wインバータ機などほとんど出なくなって店に置いてないのだとか、。144W高光度インバータ型は、8〜9年前は\16,000.くらいから売られていたのに、今は\22,000.余〜零細製で\17,000.というのは高出力型は売れ筋ではなくなっているのでしょう。しかしその良さが分かれば団塊世代には大量に売れます。

 92年頃の100W以上のインバータ式蛍光灯器具といえば¥6万以上はしたはずで、ついつい貧乏臭く修理に手を出したものですが、それほど難儀しないで直せる範囲のトラブルは趣味の日曜大工と同レベルの老化防止の暇つぶし。トライされる方は、くれぐれも内部の400V余の電源部には注意して修理・整備して下さい。
 プリント基板を止める、ナイロン製バナナプラグ様の留め具はヤットコで挟めば膨らみが引っ込んで基板を外せます。修理する構造ではないので、ダメモトでトライして下さい。また発熱部である半導体素子の冷却フィンを金属ケースにネジ止めして放熱を図っているので、接触部の熱伝導率を下げないようシリコングリスなどを補充して過熱を防いで下さい。

2010/04/04 23:55

シーリングライト落下事故発生!    <fall>
大直径フード着脱に耐える強度喪失

 外径730φの144W高照度シーリングライト(天井灯)が、天井への取付ネジごと根本からテーブル上に落下して、半透明プラスティックカバーに多数のヒビが入っています。
 そうなった原因は、天井コネクターをネジ止めしている石膏ボードがグズグズに崩れてネジが抜けたためですが、そうなったのは蛍光灯器具を天井に位置固定するスポンジが経年劣化してドロドロになり使えなくなったので撤去して使っていて、照明器具半透明カバーの止め構造が外周部にあり、その着脱トルクにコネクター取付部の石膏ボードが耐えられず次第にグズグズになっての落下と判明。
 スポンジなんてちょっと温度が高い処に使えば数年でドロドロになるもので、位置決めには不適な材料ですから、蛍光灯器具が回転しないための固定足を付けてない構造欠陥によるトラブルで、他でも多発している可能性があります。
 幸い人身事故にならずに済み、落下した器具も元通り動作しましたが、設計の欠陥であることは確かです。発火事故ではないからリコール対象かどうかは微妙とはいえ困った構造です。他にも同一構造のシーリングライトも3個所ほど心当たりがあり事故防止に位置固定しなければいけません。
 事故個所は取り敢えずインバータ式102Wペンダント型器具(吊り下げ式)を取付ましたが、光源の位置がシーリングライトより50cm下がり、壁など周囲は心持ち照度が下がったため、総光量は減っているはずなのに却って明るく感じます。

2010/04/27 00:35

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