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(国交省チリ地震サイトより) |
地点 | 緯度 | 経度 | |
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チリ: | S37゚36'54.71" | W73゚35'42.70" | 震源 |
釜石: | N39゚16'16.39" | E141゚53'53.70" | |
経緯差 | 76゚53'11.50" | 215゚29'36.40" =144゚30'23.60" |
2/27発生したチリ大地震の津波の予報で、最大3m高の予報が、実際は1.5mに留まったことで気象庁が謝罪したと報じられています。しかしそれはないでしょう。観測精度、予測精度からみて、地球表面を3分の1周以上伝わって到達する津波の高さが2倍とか半分というのは充分許容誤差範囲の値でしょう。ミスのない現在の技術レベルをきちんと説明せずに謝罪してはいけません。
50年前の1960年に起きたチリ地震津波では、途中のハワイ島の津波波高が1m前後だったことから、その前提で避難準備がされず、4m以上の津波に突然襲われて、142名の犠牲を出しました。
今回のチリ地震津波ではハワイでの津波波高が50年前と同じく約1mと報じられており、大津波警報を回避すべき理由は何処にも有りませんでした。予報値の半分で済んだのはたまたまの幸運で、2倍の6m〜地形次第で45m高に達しても誤差範囲内の状況です。震源も遠く第1波到達時刻は概ね合っていましたから、避難の時間も十分に取れて万一の安全を確保できて、被害を物損に留めることが出来ました。
現在の予報の水準では、大変妥当な精度で大津波警報を出しており、状況の説明と、今後の研究予算のアピールは必要だとしても、「謝罪」はそぐわないものです。
See→津波
「波動速度」を考えますと、通常は波の速度と、それを伝える媒質の速度は違います。例えば空気振動粗密波である音速は1気圧15℃で341m/h(+0.61m/s/℃)ですが、空気自体は静止しています。海水の伝播速度でも粗密波として伝わる場合は1513m/s前後で媒質自体の速度は0なのに、津波では海洋で800km/h(222.2m/s)前後、岸近くで100km/h(27.78m)とされて、時折は立ち上がった水の壁が押し寄せるのが観測されています。このうち、「立ち上がった水の壁」という津波は、媒質(=海水)自体が崩落する速度で岸に押し寄せていると考える方が自然で、媒質である海水が壁状に立ち上がって毎秒最大30mの速度で突進してくると考えるべきでしょう。
毎秒30m/sで陸に上がった水の壁は斜面を駆け上がって最大で「速度水頭」分に達するでしょう。すなわち、速度エネルギーが標高のエネルギーに変換されますから、
「水頭」というのは、水車の動作で、水の速度や圧力を総て落差に換算して表示する方式。 鉛直の圧力計測パイプで圧力を計測して平衡水面の高さを「水頭」と言います。例えば水力発電所での発電能力は、水量×水頭に比例しますので、水頭が問題になります。 |
毎年、大潮の時季(月の公転軌道面が地球の公転軌道面を横切り太陽と月が一直線に並ぶ時の新月と満月時)にアマゾン川を70km/h近くの速度で遡る「ポロロッカ」や、揚子江を遡る大波は、最大5mの水の壁となって上流600km〜800kmに達することが知られていますが、これは海側に一定の落差が出来ると水の壁が出来て高速で走り出すことを示します。津波でも、一定の強さを越えると水の壁が立ち上がるモデルは十分考えられて、非常に微妙な差の生成境界値が予想されます。
それを、運良く立ち上がらなかったからといって、「予報を誤った」という評価は到底出来ないでしょう。
また、濃尾地震で地上に現れた落差5mの根尾谷断層の例からして、海底に突然5mもの段差を生ずれば、その上の海水にも大きな段差が現れて高速で伝播する、すなわち大津波発生となることは否定できません。
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