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Geo日記
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[111]. 福知山線尼崎惨事1周年を前に

 福知山線惨事1周年を前に,しばらくの間いくつか疑問に感じていたことをメモしてきたのだが,当日にアップしても後の祭りで事件忘却への儀式の一環として埋もれて効果が薄いと思いその1週間前に急遽アップすることにした.結構事故関連アクセスがあるようなので巧妙な監督責任の隠蔽や永年の重要安全装置欠陥の無視などの問題をもっと深く理解した上で1周年報道をして貰いたいと思ったからだ.情緒とセンセーショナリズムにのみ頼る報道姿勢からは適切な改善の方向は生まれない.

 歴史的にみれば,鉄道運行の安全装置ATSについては,赤信号についてが1967年の私鉄ATS通達の仕様で決着が付いているのを,国鉄JR欠陥ATSへの適用を未だに避けて虚偽答弁(05/05/16)までして擁護している問題と,1968年頃に頻発した過速度脱線転覆事故に対する過速度ATS設置の行政指導が最近まで全くなく,尼崎惨事後の昨年5月の曲線速照義務化通達が初のものであり,過走防止速照義務付けも100km/h超路線の行き止まり駅に限ってしまい不十分だったため,ATS-Sxでは同じ速度制限装置を使うのに曲線速度制限に全く触れないままに福知山線惨事に至っている.以上,赤信号のATS問題と緑信号のATS問題がずっと懸案になっているが,曲線など一部を除き2点とも放置されている.

 もう1点は他の事業者の教訓の共有化に欠ける体制を挙げたい.横浜駅で輪重抜け脱線を経験した東急電鉄が対策として輪重比90%内管理とガードレール設置を行っていたのに,そこに相互乗り入れする営団地下鉄日比谷線中目黒駅では2000/03/08に,まさにその2点が原因で惨事となっている.中目黒事故では事故前に社内からも輪重管理・輪重計設置要求が出されているのに敢えて拒否して,うるさ方労働者の多い半蔵門線車両に限った輪重調整だけ行っているなかでの避けられたはずの事故だった.運輸省・国交省の指導監督の放棄といって良い事故だった.かっては路線の最高速度まで認可していた運輸省が,2000年の中目黒事故までガードレール設置基準を持たず事業者任せにしていたとは驚きだった.昨年クリスマスの羽越線いなほ14号の強風による転覆も同様で,何度も転覆事故が起こりながら防止策をあまり深く掘り下げていない.

2006/04/19 21:00
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