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増力6動軸機関車が4動軸より劣ったのはモータ直列接続か?
「国鉄話法」は避けて!誰にも明瞭な解説を期待  <1>


ED78/ED94EF71
出力[kW]19002700
軸配置B2B 4動軸BBB 6動軸
メーカー日立東芝・三菱
供給電源20kV50Hz単相交流
整流・制御低圧タップ、サイリスター制御
モータ結線4基並列2基直列×3並列
単機牽引力
最大[Ton]
300
330
430
450
重連牽引力540(連結器制限) 650

●電動機の直列接続は考えられない愚策
●福米線での運行では、雨天・降雪時はED78では全く問題ない場合でもEF71では運転不能となることがしばしばだった。

○?委員会の結論?「モータの直列接続は自己再粘着性能を劣化させる。EF71はその委員会結論に反する設計で失敗した」の意か。
○ED45-1 vs 1.5倍増力ED70 での空転頻発、自己再粘着特性の研究結果がEF71開発では生かされなかった失敗例。
 鉄道ピクトリアル誌に、「鉄道技術との60年」という標題の連載を在野の大御所鉄道学者曽根悟東大名誉教授が執筆されていてずっと拾い読みしているのであるが、その連載(9)(2021年9月号p113)で、技術的実態把握に困難を来す奥歯にモノの挟まったコラム(右枠)に戸惑って、何度も読み直してしまった。

 明白な客観事実から紐解いていくと、先ずは運転現場情報として、運転職場出身の山形機関区区長H氏を直接訪ねて聞き取った内容は、増力したはずの6動軸EF71は雨天・降雪時には4動軸ED78/試作ED94より牽引能力が低くて困った=「粘着条件の悪い雨天時や積雪時は悲惨で,ED78なら全く問題ない場合にもEF71では運転不能になることがしばしばで,計画数値とはかけ離れた実態」が知らされた。とあって、思いもよらない驚愕の事実。福米線とは奥羽本線福島-米沢間の33/1000急勾配峠区間。

 その一番の原因?として挙げたものか、「このような知識からすれば、EF71で主電動機を直列接続にした主回路を構成するなどは考えられない愚策なのだった。」とあって、抵抗制御の直流電気機関車では標準的なモーターの直列接続を強く否定している。EF型電気機関車6モータの直並列制御では、6基直列→3基直列→2基直列と切り替えて起動するのが標準的。

 「このような知識」というのは、整流式交流電気機関車ED45-1での驚異的な粘着力特性と、その増力型本線仕様ED70での激しい空転現象から、委員の一人、臨時車両設計事務所入江則公氏が「自己再粘着特性」の研究で博士号を取得し解明して、委員会の結論となっていたことを指しているが、曽根名誉教授記事には「主電動機の直列不適」だけが説明されている。

 「委員会」とは国鉄の電気局電化課に対応する鉄道電化協会が課題毎に招集構成したものであり、鉄道電化協会傘下の検討委員会である。 近代的車両開発に、従前の国鉄の部局では対応困難で、「臨時車両設計事務所」という特別の組織を作り、従前、部局別に「協会」が作られて、臨時車両設計事務所関連協会には、車両関係ではなく電気関係:電気局電化課に対応する鉄道電化協会が、各種課題の「委員会」を構成して提言を出していたものを指している。
 ED78からEF71へのパワーアップ開発で、その委員会での検討結論に逆行する設計が行われて大失敗作となった。 当時の国鉄内セクショナリズムと、再粘着調整に苦労したED78とは開発者を替えたことで、委員会の結論は無視されて急勾配増力機関車の開発で原型に劣る失敗作を出した、と読み取った。

説明を ED45-1 基準に組み替えたら分かりやすいかも


(電気機械2:蓮見孝雄著高工10-1027実教出版s.31/1/25刊p210)
 初代の交流整流式電気機関車 ED45-1 が驚異的な粘着力を発揮できた構造としては、
が、挙げられる。ここを基準に直流車両での抵抗制御を考えてみよう。

 直流電化での抵抗制御式では、起動時はまず全電動機と起動抵抗器を直列に繋ぐから、1軸が空転すると、その空転トルクは最大粘着力の半分以下、しかし電流はほぼそのままだから主電動機の駆動トルクは変わらず、余ったトルクで加速、回転速度が急上昇して、空転を激しくする。 6動軸EF型なら起動直後は6電動機と全起動抵抗が直列に繋がって、架線−レール間の直流1,500Vに繋がっている。起動後でも主電動機2基を直列接続していて、3回路並列で走行している。
 新形式の電車はもっと極端で、電動車が2両1ユニット8主電動機を、4基づつ直列にして、直並列制御を行うので、起動時は主電動機8基と起動抵抗全部が直列接続となり、空転すると急激に電圧と回転数が上がって空転を助長するから、空転回避に少なめの加速力に設定するほか無い。

 これら直流抵抗制御電動車に比べたら、整流式交流電気機関車 ED45-1型の粘着性能(=空転悪化回避性能)が良いのは、整流電源直結で、起動抵抗は使わない、主電動機4基並列接続であって当然の話である。
 委員会として、その理論解明をして公に報告しているのに、全く無視して、EF71を直流電気機関車並みの主電動機2基直列3組計6基で増力設計してしまい、結果、主電動機4基のED78より粘着力が劣るというのだから、曽根先生としては、呆れるのか?怒り心頭なのか?頑迷な旧国鉄派に真実が受け入れられる言い方を捜しておられるのか?いずれだろうか?

 さて、ここで近年のVVVFインバータ制御の車両構造を考えると、「1C4M」〜「1C1M」構造(C変換装置、M電動機)で、主電動機の直列構造は存在せず、しかも連続制御で、加速中のトルク変動は無い構造だ。 ED45-1電気機関車並みの高粘着力が期待されるのは当然だ。
 EF200型6000kWは1C1M×6で直列電動機無し。EF210型3540kWも同様。 抵抗制御のEF66型3900kWでは、車重100.8Ton(=最大軸重16.0×1.05許容×6軸)で共通なのにVVVFインバータ式には到底歯が立たない。
 総武線では、E217系11両編成で4電動車、15両編成で6電動車で、前に故障編成を繋いだ30連で東京トンネル両国口30/1000勾配を登ってくる!平地加速力2.2km/h/sは、30連の勾配抵抗を僅かに越える地下鉄規制基準の値。 209-500番台、E231-0番台は10両編成4電動車で平地加速力が2.8km/h/s。
 そう考えると、VVVFインバーター車の怪力振りは当然ということになる。
 E231-500番台、-0番台総武残留組やE233の10両編成6電動車は、軽負荷、信頼性向上、さらには速達ダイヤ化加速度・減速度向上準備なのだろうか?総武線国電の運行時間は旧国時代に比べて10分前後速くなっているが、さらに数分縮めるのか?それともホームドア設置のための余力を作っているのだろうか?

 ED45-1と同時試作の、交流直巻電動機式ED44の真の役割は何だったのか?最大牽引力がED45-1と並んで大きかったことは伝えられているが、整流子のブラシの火花が激しくて新聞が読めるほどだったとか、列車運行1行程毎にブラシを磨いていたとか、起動が滑らかではなく、突然トルクが大きくなるとか言われて(「低トルク説」も見たが以上の誤解と思われ)、整流式のED45-1方式が選ばれてED70/ED71が開発された訳だ。
 が、ED45-1、ED44両機のメーカー試作時の国鉄は、交流機関車を輸入するか国産にするか検討中の段階で、フランスに交流電気機関車10台輸入の交渉団を派遣、相手から100台購入を言われて購入交渉が膠着状態の処、ED44用の交流直巻モーターが廻ったと言う連絡を受けて急遽引き合い両数を3台に減らして敢えて交渉を決裂させて帰国した様である。 国産は元々産業界・通産省の強い方針だった。 その流れからするとED44、ED45-1は共に交流機関車輸入路線阻止の当て馬だったのが、最初にED44用の交流直巻モータがヒットしたように見える。 「起動が滑らかでなく突然トルクが大きくなる」のは交流直巻モーターの特性としてトルクが電流の2乗比例だから、電流を比例的に増やす従前の制御では当然の特性ではないか? 電鉄の直流直巻モータでは界磁が不飽和時の2倍〜5倍の励磁電流で強く飽和していて、実質のトルク特性が電流比例になっているから、それと比較して交流直巻電動機では、「トルクが突然大きくなる」感を生じるのだろう。

国鉄の非論理硬直性指摘か?

 曽根悟先生の連載「鉄道技術との60年(9)」(鉄道ピクトリアル2021年9月号p112)は副題が「国鉄系鉄道関係諸協会との付き合い」となっている中での、委員会提言が無視されてのEF71設計失敗例が上記コラム記事だ。 雨天・降雪時の牽引力が、4動軸のED78より、6動軸の増力型EF71の方が低くなるほどの酷い失敗として指摘している。
 本文冒頭節では、基本技術は国鉄が中心に開発していながら、その現場応用となると私鉄がかなり先行して、国鉄は受入拒否の愚となっている指摘がされている。 いわく「・・・・・・民鉄型ATSに見られるように、基本技術は国鉄が開発しながら、・・・・・・ATSを全線に整備したものの類似事故は無くならず、国鉄から(運輸省鉄道局に)出向していた運輸官僚の指示によって民鉄が世界に先駆けてJR(国鉄)よりも数十年も早く運転ミスによる悲惨な鉄道事故をほぼ根絶する保安システム(ATP)を実現したのである」(p112左段L13〜)としている。
 記事の「運輸官僚」とは、後の国鉄電気局長石原某氏だが、私鉄に対しては1967年(昭和42年)年頭に私鉄ATS機能通達(鉄運s42第11号)を発して衝突防止策を徹底していながら、出向から復帰した本体の国鉄では実現できず、JR化後の東中野追突事故1988/12を期に、ようやく東西の国電区間のATS-P換装が始まった。 過走防止ATS義務化は土佐黒潮鉄道宿毛事故2005/3を期に、終端駅にのみ設置、曲線過速度ATS義務化通達はさらに福知山線尼崎事故2005年だったから、結局、国鉄は自らが中心で開発したATS技術の適切有効な採用が私鉄より22年以上遅れたのである。 私鉄ATS機能通達を発した当事者である石原某氏が電気局長になっても、国鉄の頑迷は破れなかったのである。 曽根先生の記事は、やや以て廻った言い方をしているが、国鉄の理不尽な頑迷さを指摘しているのだろう。 国鉄が基本技術を開発しながら、その応用では私鉄など他に先んじられた他の例について連載(16)での詳述を予告しているから、記事原稿は既に上がっている模様で、来春頃の発売を楽しみに待つことにしよう。


人流減少だけでは全くダメ!菅首相
実効再生産数<1 が収束条件!
  =感染力比例の強力遮断必要
 <2>

 感染爆発状態でのオリンピック継続の理由として、菅首相が述べたのは「人流が減っている」、「ワクチン接種で高齢者感染死亡が大幅に減った」、「オリンピックは感染とは無関係」というので、またまたの非論理、非科学性の鉄面皮に怒りを感じてしまった。
 感染が増大・爆発するか終息するかは、一人の患者から次の患者に感染する確率:実効再生産数が1を境に、大きければ増大・爆発、小さければ順次ゼロに収束していくものだから、感染力の非常に強いデルタ株(インド株)が流行の中心となった今、従前の感染防止対応では足りず、強い感染力に応じた、実効再生産数を1以下にする強力な感染防止策・遮断策が必要だ。 それを無視して「人流が減った」ことだけで対策が足りるというのは感染爆発促進である。
 また高齢者の新規感染率が減っても、感染者数が10倍以上なら実数は増えてしまう。医療を受けられないで命に関わる医療逼迫は変わらない。 さらに全国で1日の新規感染者数が急増して1万人を越えた状態で、入院できる限界が迫って医療崩壊状態になりつつあるというのに、平時の祭典:オリンピックの強行開催を続けて、「パンデミックはオリンピックを続けられる程度の軽度の危機」という緊張緩和・人流増大メッセージを出し続けているのだから、外出自粛など徹底される訳がなく、欧米を追った感染爆発に向かうのは当然の話だ。 元々移動量の低い層が五輪テレビにかじり付いて外出量は減らしたとしても、移動量の多い層が益々激しく動いて接触機会を増やしていたら、外出総数が減っても、接触量は増えて、さらに感染力増大で、感染激増は無理がない。単純な外出数でみてはいけないのだ。 学術会議人選拒否問題も、学術的能力を評価して人選する法規定で、学術会議が推薦しているメンバーを、学術的には推薦委員会を上回る学術能力は有さない首相周辺が「法規定の学術能力評価」で拒否するなんて有り得ない、非合法、恣意的人事を強行している訳で、非科学、妄想のアベ・菅強権政治が続いて、権力を振り回すだけで国民に被害を撒き散らしているのは大変困ったモノだ。


s.38年移転千葉駅比較  <2>


s.38年、移転後s.41年の千葉駅
 千葉までの複々線化はs.56年(1981年)、現在はさらに総武線から成田線ホームの分離でホーム1本2線が加わり、15両編成対応に延長され、駅ビル改築工事中で、通過線(A)と国電−房総線接続線が撤去されて作業スペース化している。
 s.38年(1963年)夏季臨時ダイヤでは153系電車6連を臨時準急として千葉駅でパンタグラフを降ろして固定し、その先の非電化房総西線をディーゼル機関車DD13重連に電源車としてクハ16を連結して館山まで往復運行した。 上りで千葉で分離したDD13の重連に牽かれるクハ16電源車は、幕張駅までは1両の旅客扱いだったが、乗る客は見られなかった。(乗車可能が分かって、迷っている10秒間でドアが閉められ発車してしまった!実に惜しかったw!&DD13重連牽引電車準急は休日臨時で、それと思われる153系6連の走行姿を何度か見ている。RP誌2021年9月号p124記事に「中野-館山1往復」とあった。)


移転前旧千葉駅
房総東西線は基本千葉駅始発で、ディーゼル準急だけが新宿・両国方面からスイッチバック運転していた。


千葉駅成田線、総武線ホーム分離後配線。東千葉駅は信号的には千葉駅構内である。 総武線千葉駅上り第2場内信号↑。中継信号と進路指示器(→)が点灯中。

2021/08/01 23:55

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