【電鉄の整流方式】

 交流から直流に変換する方法としては、800V程度までの低い電圧に回転変流機など回転機が用いられ,静止型として高圧にも使える水銀整流器が用いられたが運転と保守に手間が掛かり構造も複雑で、整流子面のフラッシュオーバー(沿面短絡)や水銀整流器の逆弧事故も多く,安定したシリコン整流器の出現で半導体整流器に移行した。

[回転変流機/電動発電機]

回転変流機構造
実構成は4極直流発電機型=6相(3相)同期電動機型が主<F1>
回転変流機展開構造
回転変流機電機子展開構造図(拡大図)
<:F2>
DC:4極48溝重ね巻AC:6相回転電機子
回転変流機JR西日本交通科学博物館展示
←直流(整流子)側/8極回転変流機/3相交流(スリップリング)側→
鉄道雑画帳:回転変流機:JR西日本交通科学博物館展示 <F3>
http://koedaka.cocolog-nifty.com/blog/2004/06/053.html
8極12相(=3相)構造か?60Hz→15rps=900rpm定格

励弧極付水銀整流器回路図
単相励弧極付水銀整流器回路図 <F4>

センタータップ式整流回路とは

 交流の一方方向だけを通す整流回路を「半波整流」と呼ぶが、相互に逆極性の交流をそれぞれ半波整流すると、お互いの非導通期間を埋めて「全波整流」となる。これを整流用トランスで実現すると、2次巻線中央から出力する様にみえることから「センタータップ整流回路」と呼び、2極真空管(整流管)や水銀整流器を用いる場合の標準回路である。その理由は、陰極の加熱・予熱・制御などに別電源や位相制御装置を必要とするが、センタータップ接続で陰極を共通接続にすれば複数の整流管でこの陰極別電源や制御装置を共通にできるためである。
 上図も共通陰極であるし、整流用双2極管といえばKX-80、6X4、5U4G、5AR4/GZ34など共通陰極型であり、ラジオやTVセットに常用されていたが、その整流回路もセンタータップである。真空管でブリッジを構成するには最低3個の陰極(カソード)廻りの電源が必要だったから、陰極(カソード)共通のセンタータップ式回路以外が採用されることは先ずなかった。

 このセンタータップ回路を採用して電圧調整するには変圧器2次側の電圧切替部を半波整流の数だけ使うか、変圧器の入力電圧を変えることとなる。初期の交流電気機関車に多く用いられた「高圧タップ式」=降圧変圧器の前に電圧調整の単巻変圧器を置く構造は、電圧切替部が1組でセンタータップ整流を行う構造であるが、特別高圧での電圧切替の不安定さと単巻変圧器分の重量増(約1/4〜1/6)から大電力シリコンダイオードブリッジの普及とともに使われなくなり総て低圧2次側での電圧調整となった。
 当初の回転機型では「電動発電機」よりも効率の良い「回転変流機(→右下写真)」が主に用いられた。回転変流機では回転子と巻線が交直両方で共用されており、直流側リードは各整流子セグメントに繋がれ2組のブラシで直流負荷側に繋がれる直流電動機・発電機の構造で、この巻線から3等配で引き出した交流側リードはスリップリングを介して3相交流電源側に接続する電機子回転型同期電動機の構造で、巻線が交直共通で電流が相殺され,負荷電流による電気子反作用が交直両巻き線で相殺されて同寸法の電動発電機方式よりも遥かに大きな電力を扱えたので鉄道用直流発生装置に多用された。碓氷峠アプト式の電化はこの回転変流機を使って行われた。
 右写真の回転変流機は8極(4極対)構造で、大阪の交通科学館展示なので60Hz用なら15rps(=60/4)=900rpm定格と思われる。
 整流子の絶縁の問題で800V〜1,000Vを越える電圧の回転変流機は安定的に作れなかった。電動発電機も回転変流機も可逆的であり電源側への電力回生制動を許容する。

 なお「ベルトーロ」とは,直流電動機と同構造の電機子を回転させずに固定して,3相交流による回転磁界の中に置いて,ブラシを同期電動機で磁界に合わせて回転させて固定された整流子から直流を得,スリップリングを経て直流を取り出す構造の交流−直流変換装置を言う。回転変流機が界磁を停止させて電機子を回転させるのに対し,ベルトーロは磁界とブラシを回転させて電機子を停止させる構造で,鉄道には単純な構造の回転変流機が使われた。
6陽極水銀整流器略図

[水銀整流器]           <mercury>:<F5>

  回転機の整流子の保守を避けたい場合やもっと高電圧を使う場合には「水銀整流器」を使った。安定運転に励弧極が必要だったり、逆弧現象などを起こさぬよう運転温度や真空度を管理し、また真空ポンプも拡散ポンプのある2段式の本格的なものが必要なので運転に注意が必要で、水銀陰極が波打ってアークが不安定になる車載には問題が多かった。日本では陰極共通のガラス製の3相用3〜6陽極水銀整流器をその形から「タコ」と呼んだ。

  右図は単相センタータップ式水銀整流器基本回路であり1サイクル2パルスとなる。3相交流を整流する場合はこれを各相重畳させて1サイクル6パルスの3相センタータップ回路となり、1相流通角を延ばして2次側の実効巻線容量の低下を抑える相間リアクトルを追加した「相間リアクトル付2重星形結線」が水銀整流器(半波センタータップ整流)での標準回路となる。
  陽極(アノード)はカーボン製、陰極(カソード)は水銀、この間に制御格子(グリッド)を置いて電圧制御し点弧時期を遅らせ位相制御(=流通角制御)を行う。
  主回路が小電流時にアーク放電を維持するため主回路より低い電圧をかける励弧極(エキサイター)を設けることがある。励弧安定器のリアクトルの働きで励弧巻線電圧がゼロの瞬間にもアークを維持して他の励弧極に転流する。アーク維持に励弧極を使えば高電圧の主回路にアイドル電流を流すより1桁以上電力損失を減らせるし、主回路の流通角も小さく制御できる。
  最初のアーク発生は点弧極(イグナイター)を用い、全体を傾けて水銀で陰極と短絡してから戻して発生させるとか電磁石で点弧子と陰極を短絡させるなどして起動する。このほか逆電圧時に陽極に陽イオンが当たらないための無電位のバッフル(バッファー)などを設けている。
 アーク放電というのは放電自体で陰極からの熱電子放出を伴うものを言い、水銀灯や蛍光灯など陽イオンの衝突点が赤熱しての熱電子放出が主だが、水銀陰極の場合は熱電子説に限らず大きな電界(電位勾配)説などがあり電子放出機構はつまびらかではない。グロー放電が冷陰極放電でほぼ一定電圧で基準電圧発生素子たる「定電圧放電管」に利用されたのに対し、アーク放電では電流が増えると放電電圧が下がる負性抵抗特性を示し概ね数10V〜20V弱とされている。
 陰極が液体水銀だから車載すると振動に煽られ不安定となり、後述エキサイトロンの卓越に見られるよう励弧極設置など放電安定化対策が大きく影響する様である。

  試作交流電気機関車に搭載された「イグナイトロン」、「エキサイトロン」はゲート電極付き「単極水銀整流器」の製品名の一種であり,多陽極式よりも逆弧を起こしにくいし,メンテも1素子丸毎を予備品と交換すれば良いので、それを真空ポンプの要らない封じ切り構造として車載用に採用した。据え置き用としては水銀拡散ポンプを使った2段排気式もあった。
  炭化水素や炭化硼素などの耐熱高抵抗素材を「イグナイター」(点弧子)として水銀陰極に浸けて交流電圧を加えて点弧する方式をイグナイトロン、フイゴ式の水銀噴射ポンプを駆動して陰極水銀を励弧極に吹き付けて点弧する構造をエキサイトロンと命名した。但し機関車搭載用に開発された実製品では、励弧極付イグナイトロンや多極式とか、ゲート電極のないものはものは存在しなかった。
  試作の整流式交流電気機関車ED45 1(三菱)、ED45 11(東芝)に車載のイグナイトロンは高速走行振動でアークが断続し不安定だったが、ED45 21(日立)に搭載したエキサイトロンはそれよりは安定でアークがチラつきながらも継続した。エキサイトロンには水銀陰極中央に相対した励弧極があり振動で水銀液面が揺れても外壁に励弧極がある構造より振動の影響が抑えられている。さらにイグナイターがもげる事故も複数発生した。水銀整流器が振動に弱いことは事前に予想され、枕バネにコイルバネを使った揺れ枕式構造の高速用台車を用いて揺れを防いではいたが、それでも間に合わなかったもの。
(07/05/01 エキサイトロン/イグナイトロン構造を加筆。真空ポンプ配管に着目。参考資料:電気機械2、工学博士蓮見孝雄編著、実教出版1956/01/25初版\164。5.4水銀整流器の原理と構造p199〜p229.p210図,p211) <F6>
  回生制動が必要な場合は、ゲート制御電極付き水銀整流器を使って、位相制御(流通角制御)による電圧制御と,逆接続の回路を設けたり回生モードの逆接続にして電力回生に必要な交流の逆方向電流を許容した構成にした。
  運転と保守の大変さから、安定したシリコンダイオードが出現するとそちらに移行し、ED45もシリコンダイオードに換装した。
<tron><F7>
  なお「サイラトロン」とは水銀ガス入り熱陰極3極管であり、かっての波形観測装置CRTオシロスコープの時間軸(鋸歯状波)発生回路の定番だったもので、単相整流の位相制御のためのゲート制御パルス発生に使われた可能性は大きいが、一部鉄道ファンに伝わる「整流器」ではない。熱陰極構造で鉄道の大電流を扱うにはかなりの無理がある。
  一部鉄道マニアがゲート極付きの各種水銀整流器と混同したものだろう。「トロン」の語感で水銀整流器であるイグナイトロン、エキサイトロンの類と勘違いしたものと思われる。クライストロン、マグネトロンがマイクロ波発振管、トリニトロン、クロマトロンがカラーCRTの一種だから特殊な真空管の命名だろう。パラメトロンはL又はCの制御で1/2周波数を発生、増幅、位相記憶させるものだから全く毛色が違う。
  鋸歯状波は定電流充電されるCR積分回路のコンデンサーを繰り返しサイラトロンの一瞬の放電が短絡して電圧を落とすことで発生させるから真空管自体の動作としてはインパルス発生でゲートトリガパルス発生と同じである。小型品の定格を見ると、平均電流0.1A、最大電流90Aなどとあり急峻なインパルス動作であることが判る。
  尚、3相交流整流では移相器といって3相誘導電動機と同様に回転磁界を生成、回転子の2次巻線誘起電圧の位相が固定子との相対位置で変えられることで3相水銀整流器の位相制御を行うのが定番だった。
<F8>
3相センタータップ
<F9>
相間リアクトル付2重星形
(↑同一結線の別表現↓)
相間リアクトル付2重星形
60度位相差の3相星形結線2組
(名称の基となった結線表記)
  <F9b>

[シリコン整流器]

  後年、電力損失の少なく安定した大電流のシリコン整流器が開発されて、それ以降シリコン整流器方式となった。水銀整流器の順方向アーク電圧降下が≒20V前後〜最大60V程度に対しシリコン整流器なら逆耐電圧で3素子直列としても1V×3×2前後で済み予熱も不要で高効率のうえ動作が安定だから水銀整流器を一掃した。交流位相に合った逆方向電流を許容しないので電力回生は不可能になり、他に力行車両がない場合は回生失効するので、大落差降坂などの回生電力を確実に消費させるためには回生電力吸収装置や電源側に回生電力を送り返す変換機が必要となった。

[サイリスタ(SCR)整流器]

  制御電極(ゲート電極)の付いたシリコン整流器(SCR)をサイリスタと呼ぶが,これにより水銀整流器同様に位相制御(流通角制御)をして電圧調整をしたり,定格出力以上で電圧を下げる垂下特性を実現することができる.

【整流回路】

[センタータップ式]     <C-Tap>

  整流回路は、水銀整流器に陰極共通の3相用水銀整流器が使われ、その陰極付属設備は相互絶縁が必要なのでそれを1本化したいことから、トランスとの接続回路は逆極性の巻き線の半波整流を合成して全波整流(両波整流)とする「センタータップ式全波整流」(=星形結線式)が基本とされ,更に多相式では巻線の流通角が小さく非効率な欠点があり,次項の改良をして多用した。(=大電力を扱う3相水銀整流器にセンタータップ式回路そのままで使うことはほとんどなかった)

[相間リアクトル付2重星形結線]   <W-Star>

  センタータップ接続整流は流通角が小さくトランスの利用率が悪く大型化させるので,相間リアクトルを挿入して各巻線の流通角を大きくして実効容量低下を抑えている。
この接続を特に「相間リアクトル付2重星形結線」と呼んで水銀整流器式の標準的結線となった.3相交流では6相式(6パルス式)となる。

[単相ダイオード・ブリッジ式]  <1Φ-Bridge>

 比較対照用として単相全波整流ブリッジ方式を挙げる。波形は正弦波の絶対値。すなわち2相(2パルス)式。シリコン整流器を用いる単相交流車両はこれである。最近のゲート式はゲート素子によるブリッジ接続。
<F10>
単相ブリッジ接続
<F11>
3相ブリッジ接続
12相式整流回路
<F12> 12相式整流回路

[3相ダイオード・ブリッジ式]  <3Φ-Bridge>

  シリコン整流器に換わると、当初は水銀整流器を置き換えただけの「相間リアクトル付2重星形結線」で使ったが,陰極付属設備がないため新しい設備では整流器を「3相ブリッジ接続全波整流」としてトランス巻き線の単純化を図った。3相交流の整流では6相式となる。参照→12相ブリッジ

[12相式]    <12Φ>

  リップル(脈動)分を小さくするため、特に大出力変電所では3相交流をそのまま全波整流して6相整流するのではなく3相結線とΔ結線の巻線を組み合わせて位相差30度の交流を作ってそれぞれ6相整流して直列,或いは並列に重畳し合計12相(12パルス)整流とすることで脈動周波数を2倍に,脈動P−P振幅を4半分以下にした。(先出「相間リアクトル付2重星形結線」方式にもこの12相式は採用可能。1次側Δ結線とY結線を計2基組み合わせれば位相差30度となり12パルスとなる)
 1994年に通産省資源エネルギー庁から出された「高調波抑制対策ガイドライン」に基づき1995年に通産省から「高調波抑制対策技術指針」が出されて、以降はこの「12パルス変換器(12相整流器)」が用いられるようになってきている。

[平均値,整流波形・リップル比較]

    別紙「整流波形と周波数成分」参照
6相整流フィルター例 (50Hz)
平滑リアクトル=0.56mH
n・fL mH C μF fr Hz50Hz
fr比
Z比Ω(要追加)
RmaxZ.56mH
62.3 122 300.5 6.0 0.071.06
122.85 25 596.2 11.9 0.102.11
181.26 24 915.2 18.3 0.153.17
240.93 16 1,304.7 26.1 4.22
(高調波フィルターを効かすには下図リアクトルの挿入要す!)
平滑リアクトルと高調波フィルター <F13>

平滑リアクトルと高調波フィルタ: <Filter>

  平滑リアクトルを直列に挿入してリップル(脈動)分を阻止している。平滑リアクトルはリップル周波数に比例してインピーダンスが大きくなるから周波数成分が12n倍(50Hzで600×n Hz、60Hzで720×n Hz)である12相方式は脈動抑制に大変有効である。

  更にリップル分による通信線への障害軽減のため,平滑リアクトルの先に直列共振による高調波フィルター群を設置している。
  6相式で基本周波数の6,12,18,24倍の高調波を,
  12相式で基本周波数の12,24倍の高調波を直列共振回路で短絡している。
  しかしながら、通信線がケーブル化で誘導障害を受けにくくなったことと、負荷である電車線のインピーダンスが極めて低く(1500V−6000Aとして0.25Ω)、この高調波短絡はあまり効いていないとして平滑リアクトル以外の撤去が検討されている例もある。実際に誘導障害が現れた場合には電車線への流入を阻止するもう1段のリアクトル(とコンデンサー)を挿入してインピーダンスを大きくするT型構成(図示)としなければ、回路定数から推定しても高調波フィルターにはあまり吸収されないだろう。


国鉄型6〜12相整流フィルター

平滑リアクトル=1.1〜1.3mH、
+150%負荷で1.0〜1.2mH
日本国有鉄道規格JRS31735-2G-14AR
電力濾波器(直流1500V用)
(24次吸収LCが無い)

L [mH]
[μF]
実効
抵抗 Ω
定格
電流 A
50 Hz 60 Hz
6相61.20.82 240 ≦0.07 80
12 0.40.27 180 ≦0.10 20
18 0.250.18 120 ≦0.15 20
12相120.40.27 180 ≦0.10 40

[高調波成分の送電線・電源への影響]  <Harm>

 整流波形が正弦波でなく高次の高調波を多く含むので,長距離送電ではその伝搬距離が開放端基本共振波長である1/4波長や更に閉端共振波長である1/2波長に近づいて強調され,波形にピークを生じて絶縁に問題を生ずるなどの悪影響がありうる。たとえば50Hz24倍調波=1,200Hz1/4波長が62.5km(=300,000km/1,200/4),半波長が125kmに対して,発電所(1次変電所)からの送電距離が300km/h〜500kmあるのは東京電力猪苗代・奥只見,関西電力黒部水系,JR東日本×阿賀野川信濃川など普通に見られることである。See→[進行波・反射波干渉]
 だから,電鉄変電所での高調波阻止吸収対策はゆるがせにできない。

 分布定数回路である伝送線としての特性は基本波にも影響するがこちらは1/4波長1,500kmに較べて送電距離が短く,集中定数のコンデンサーとして扱って「同期調相機」などで特性補償している。

 また,鉄心の飽和特性から一般配電網でも奇数次高調波を発してピーク電圧波形となり絶縁に悪影響を与えるが,これは対称の3相交流なので各相相互に1/3周期差があり,3n次倍の奇数次高調波電圧(3,9,15,21……3×(2n−1)倍)はΔ結線に拠って同相で加算されて短絡され,その短絡電流で打ち消されるので,いずれかのトランスにΔ結線を用いている。入出力とも結線であっても,「同期調相機」などのための次巻線がΔ結線であれば同様の効果がある。
  (他の奇数次高調波5,7,11,13,17,19,23,25,29,31,35,37,……,に対しては短絡効果が少ない。新幹線品川信号事故では車両洗浄装置用3相トランスの13次調波650Hzが力率改善(=進相)コンデンサーとの共振で強調されて,信号停電の無信号停止02信号時にノイズとして階上の信号室に送り出され,停電でも生きていた副搬送波+30km/h/0km/h信号波=60Hz+36HzSSB変調されて746Hz≒749Hz:70km/h現示となり衝突寸前となる重大誤動作を起こしている.品川電車基地からの合流点手前の30km/h制限+P点0km/h停止信号が70km/hに化けて,その直前を回送列車が出庫して行ったのだ!だから高調波と通信障害を軽視出来ない.)

 尚,結線は中性点を直接,或いは抵抗を介して接地して送電線に生ずる静電気を逃がすことができるし,1線地絡事故に際して他2相に突然絶縁耐力が問われる高電圧が掛からなくて済むので,送電線では送受電どちらか一方は結線を用いる。(但し,低圧配電線は必ずしも結線があるとは限らない.Δ結線・結線の1相を単相3線にしてその中性点を接地することが多い)

<F14> 並列饋電基本(π型饋電):図3.1.1:
複数変電所から饋電.両端高速遮断器は連動

<F15>饋電区分所:図3.1.2

<F16>饋電タイポスト:図3.1.3は、エアセクション無用の筈
おそらくトレース・ミスの校正漏れ.See→F20:図7.13

<F17>   エア・セクション標識(JR)

<F18〜23>饋電タイポスト(図7.13)には
エアセクションがない○

【饋電方式:(直流)】 <kiden> 2015/11/29追記

 右掲載の結線図でほぼ理解できる。図の直流高速度遮断器は通常運転状態ではONで、過電流異常を検知して自動遮断される。饋電形態としては「片饋電」、「T型饋電」、「並列饋電」があり、並列饋電では並列回線の遮断器同士を連動させている。

[T型饋電・片饋電]

<F22>「電気鉄道ハンドブック(以下HB)」p498図7.15参照.
 最も単純な饋電法で、路線の端部は片給電になる。しかし変電所がそのまま並列接続されていると、地絡事故電流の検出が困難になるため、桜木町事件(1949年)後は後述の並列饋電に改良されている。

[並列饋電=π型饋電]

<F14>参照 「鉄道技術ポケットブック(以下PB)」p164図3.1.1
 変電所毎にエア・セクションを設けて架線を区分し、その両端変電所から並列的に給電する方法で、「並列給電」と呼ばれ、また結線略図から「π型給電」との呼ばれている。遮断は両端の遮断器を連動させて行う。
 架線は適宜エア・セクションで区分して饋電を分けている。エア・セクションは運転状態では饋電線を介して変電所構内、饋電区分所で短絡されている。
 パンタグラフのシューがエア・セクションを短絡して通過するが、その両側の負荷に不均衡があるとパンタグラフ・シューに短絡電流が流れて、停止したままでは架線が過熱し熔断する危険があるので、エア・セクションに掛かる停車は禁止されていて、万一緊急停車の際には直ちにパンタグラフを降ろす必要が有り、標識(F17写真など15連対応)が設置されている。セクションを短絡しても停まらなければ支障はなく、車両側に高圧母線引き通しがされていても差し支え無い。
 架線・饋電線が変電所構内で短絡されているので、そこを介して隣接変電所から次々電流供給されるが、必ず遮断器を介して接続されるので、事故電流はT型饋電の様な変電所の単純並列方式より検出しやすい。
過電流遮断は、変化率遮断法(ΔI 遮断法)で行う。

[饋電区分所]

「電気鉄道HB」p499図7.11、図7.12 & 「鉄道技術PB」p164図3.1.2 (エア・セクションは無用で誤記)
変電所分担毎に停電させるには中間にエアセクションと饋電区分所を置く。饋電区分所は多くの場合饋電タイポストを兼ねて電圧降下を緩和させている。片側停電時のセクションオーバー事故防止に無加圧セクションを置いて、停電時には連動して接続を開いている事業者もある。

[饋電タイポスト]

「鉄道技術PB」p164図3.1.3のエアギャップは不要。おそらくはトレース間違いの校正漏れ。「電気鉄道HB」p499図7.13が正しい。
 並列饋電変電所同士の中間で、上下給電線を短絡して、饋電線での電圧降下を緩和させる。

[上下線一括・方面別饋電]

「電気鉄道HB」p499図7.14
 饋電線での電圧降下を緩和させ、簡易化させる方式として、上下線一括饋電とする。上下線独立には停電できない。

[セクション・オーバー対策]

 エアセクションの片側停電時のセクションオーバー事故防止に無加圧セクションを置いて、停電時には連動して接続を開いている事業者もある。自動連動としては、片側停電時はさらにサイリスタ・ストッパー。パンタグラフによる通常のセクション短絡では電位差解消装置がある。
 直流饋電のエア・セクションはパンタグラフによる短絡は許容しているが、停止状態では負荷の不平衡による電位差短絡電流のため過熱して架線が破断・溶断するため、セクションに掛かって停止した場合には即座にパンタグラフを降ろす必要が有る。
See→エア・セクション短絡停車回復操作:日記#247

[セクション短絡停車対策]

直流セクション  パンタグラフがエアーセクションを短絡したばあい、セクション両側の負荷の差でパンタグラフを介して電流が流れるが、通常はエアーセクションが高速遮断器2基を介して短絡されているから障害を起こすような過電流は流れず、支障は起こらない=何処にでも止まれる建前である。
 ところが、時折エアーセクションに停車しては架線熔断事故を1960年代から繰り返していて、運転規則としてはエアーセクションに掛かって停車した場合には直ちにパンタグラフを降ろして引出操作を行うよう定められている。
 その原因として考えられるのが、エアーセクションの位置が変電所から大きく離れていて高速遮断器を介しての短絡距離が長い場所=加速区間など運転上の都合でセクション設置回避があって、遠くにセクションを設置している場所である(上図右側の延長セクション)。 たとえば総武快速線下りの幕張変電所エアーセクションは約1km千葉寄りに設けられていて、このセクション先の線路脇には「停車禁止区域」の表示がある。セクションを挟んでの短絡距離が都合2kmに及ぶので、饋電線と架線の電圧降下が大きくなり、セクションを短絡するパンタグラフを通る不平衡電流がほぼ抵抗反比例の大電流となって熔断事故に至るのだろう(See→停車禁止標識)。
 そういう理由で熔断するのなら、変電所内に置かれていた高速遮断器2基をエアセクション直近に移設することでセクション短絡距離が伸びないようにすれば防止できるはず(上図左側の延長セクション)。 高速遮断器は変電所同士の中間にある区分饋電所にもあって、変電所の遮断器と連動して遮断動作させているので、エアセクション両側の高速遮断器を変電所外のセクション直近に設置することに問題は無い。

[交流セクションは完全絶縁:短絡禁止]

BTセクション  [交流セクション]の場合、給電変電所の切り替わる「異相セクション」では電源電圧の√2倍の電位差があり架線同士を絶縁棒で繋いでおり瞬時でも短絡を許さない。在来線ではここを力行せず惰性で通過する。
 新幹線の異相セクションは、両端をエア・セクションに区切られた「切換セクション区間」を設けて、地上で給電側変電所を列車位置により自動で切り替えて、力行通過を許容している。(西欧系高速鉄道では不採用)。切換セクションでは高圧母線引き通し(=複数パンタグラフ並列運転)車両も支障なく通過できる。
 新幹線での高圧母線引き通し(=パンタグラフ並列運転)は、高速走行時の騒音低減対策と集電改善・実効離線率抑制のために採用されたものだから、母線によりセクション短絡しないよう自動切換セクションとAT饋電方式と駅構内同一饋電は必要条件になっている。
 「BTセクション」は一応は短絡許容だが、セクション短絡中は帰線電流の吸い上げができずレールを流れて、瞬間に大電圧が発生して故障する条件があり、2〜3セクションを設けて電流制限用抵抗を挿入して緩和している(BTセクション図、参照)が、車両側の母線引き通しまでは考慮していない。近年の新設交流電化区間はAT饋電方式として問題の多いBTセクション設置を回避している。

[ΔI遮断の改良:並列饋電]

 隣り合う変電所同士で協調して負荷を負担して変化率遮断で大電流遮断対応としたのが桜木町火災事故対応の「並列饋電」化&ΔI遮断だったが、更に変電所前セクション通過時の電流急変を半減させ,電流変化検出もセクション前後の合計で行う様にしたもの.
 最大出力6000kW定格のJR貨物大型電気機関車EF200が力行でセクションを通過するとその電流急変を事故として誤検出して変電所が落ちる事故が続いたため,この並列饋電加算遮断化改良を行った.が,時既に遅くJR東海から15ノッチ制限(最高25N)を申し渡されてJR東海領域に入線する量産機は最大出力3400kW余に設定されてしまった.但しこれは高速時の出力低下措置であり実運転上の最高速度低下を来すが、自重と粘着係数の支配する起動時・低速時にはあまり影響しない。

【 交流饋電方式 】 <AC_kiden> 追記

2015/11/29、  2006/05/28 23:55

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