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試算!ミサイル誘導レーダー照射問題の日韓主張

 政権が内政の欠陥を覆うために外に敵を作って国民の目を逸らし時に戦争を始めることは何度も繰り返されてきたことで、世論操作の対象たる我々愚民どもは為政者の言い分に常に眉に唾を付けて慎重に真実把握に努めなければ、世の中がどこに転がされていくか分からないが、現在日韓で争っているミサイル誘導レーダー照射問題vs哨戒機艦船威嚇飛行問題も現報道から客観事実はかなり詰められそうだ。物理解析とオリジナルの説明図は当サイト・ページの名物だが、これをやるとお客さんが目立って減ってきてトホホ、痛し痒しではあるが、サイトの際だった特徴は捨てられない(w。
 先ずは、韓国側公表写真(下↓)と、 防衛庁ホームページ掲載資料を見比べることから始めたい。
自衛隊撮影の動画(ユーチューブ)はこちらをclick!

See→日記#429?!韓国公表写真は P3C?!P1? 機影がどうもP1ではなさそう!(2019/02/16追記)

2019年1月24日、韓国国防省が公開した画像。
哨戒機の高度は約60メートルとの説明がつけられている(共同)

「日本の挑発に強力対応を」
  韓国国防相が海軍作戦司令部に指示 レーダー照射問題

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/190128/soc1901280010-n1.html
 【ソウル=名村隆寛】韓国の鄭景斗(チョンギョンドゥ)国防相は26日、釜山(プサン)の海軍作戦司令部を訪問し、海上自衛隊哨戒機が韓国海軍艦艇に「低高度で接近し威嚇飛行」をしたと韓国側が主張している問題について、「友好国への甚大な挑発行為だ」と批判した。韓国軍の規則に従い「強力に対応するよう」指示した。聯合ニュースが韓国国防省の情報として報じた。

 昨年12月の韓国海軍駆逐艦によるレーダー照射問題をめぐり、韓国国防省は、自衛隊哨戒機が最近までに計4回、韓国艦艇に威嚇飛行をしたと主張している。

 鄭氏は「4回の威嚇飛行は、世界のいかなる国の海軍も容認できない非常に威嚇的な行為だ」と強調。「日本はそれを認めるどころか、韓国海軍によるレーダー照射を主張し韓国側に謝罪を求めている。これは友好国に対する『非常識』な言動だ」と強く非難したという。(産経新聞)

【表1】写真からの抽出データ:高度60mよりは2〜3倍高い写真

【表2】図1Dの位置関係で再計算(バンク角22゚)

【図1】飛行姿勢、韓国写真vs防衛省プレスリリース添付資料p5抜粋

【図2】飛行経路@防衛省プレスリリース添付資料p5

【図3】バンク角と遠心力

【図4】平衡バンク角と速度−曲率半径

観察結果は

 軍事的資料なので、性能限界など機密事項は見えないように編集されて公開されていることは当然だろうが、「写ってます」以上の情報がほとんど見られないのは困る。
 まず韓国側写真(上)は水平線など絶対基準がないことで情報が限られてしまうが、確実なことは哨戒機P-1機体の真横やや上側からの映像だから、見上げる角よりも大きなバンクをとって飛行している、すなわち撮影者の廻りを旋回する写真ではある。 機体水平方向より5度程度は上側から見ている。すなわち見上げる角度はバンク角度より5度程度小さい角度である。
 距離は、カメラの画角が分かれば機体長から推定可能だが、具体的情報が無いので、仮定していくつかの推定値を求めておく。望遠レンズでの撮影では近くが暈けやすいものだが、近くのマストがあまり暈けてないし、超広角レンズ特有の歪みも感じられないから標準レンズに近いカメラと思われる。そこで35mmカメラとして焦点距離を標準レンズ50mm、広角28mm〜望遠500mmで写角と機体長角から距離を算出しておく。
 写真のドット座標は、画面全幅1,511ドット、P-1機体左872ドット、同右1,114ドットから比例計算で機体長を見込む角θを算出、機体長をこのtanθで割れば距離Dになり、Dに見上げる角θのsinθを乗ずれば高度Hとなる。θは次項で25゚と推定。[表1]がその算出結果であるが、50mm標準レンズで146m高、かなりの広角である28mmレンズとしても約89mの高度があり、韓国の言う60m高とはかなり違う。(この方法は、日記#425で列車位置を算出したものの応用である)

 一方、P-1から撮影の動画(ユーチューブ)では、水平線が写って居て、機体のバンク角は30度前後と見受けられる。これは一般旅客機の運航制限の最大バンク角と一致する。 東京ー福岡便で福岡空港への着陸アプローチが着陸直前で大きく方向を変えるが、そのときに良く経験したバンク角である。
 P-1の機体自体が輸送機C-1・旅客機B757〜B767クラスを狙った設計の筈だから、通常時に旅客機に近い運航をするのは自然なことである。 バンク角は旋回計で垂直姿勢を追って平衡を確認する。 遠心力と平衡させない飛行では大きな横滑りが発生して不安定化するから、戦闘機の空中戦での「機動」としては活用され、制御限界を超えれば墜落事故であるが、輸送機では遠心力との合力の方向を下方向とする平衡飛行が原則である。

 その30度バンクのときの横向き加速度(横G)は1/√3[G]≒0.57735G、平衡Gとして機体に掛かるGは2/√3[G]=1.1547Gが掛かる。(図3左。但しG=9.8[m/s2]:重力加速度である)。

 ちなみに羽田空港沖故意墜落(1982年2月9日)のK機長が、前夜の羽田出発離陸上昇時に行った60度バンクの飛行は、平衡Gであれば横Gが√3[G]、平衡Gが2Gとなる大変危うい飛行だった。(図3右) が、比較的低速度の上昇中での狂気のバンクだったから、2Gを支えるには速度が足りず、大きく横滑りさせて高度を大きく落としたのを副操縦士の緊急操作で復旧させているのではないだろうか。事故の前夜から墜落寸前の極めて危険な操縦だったことは確かである。
 動画にみる限りP-1は安定した飛行に見える。

 防衛省発表の断面略図(図2D)にはこのバンクがないし、航跡図(図2)でも最接近部分での左カーブがない。韓国側発表の写真と齟齬があるのだ。写真は旋回中はたしかだが、それは他の日の写真か?どちらかが真相と違う。表1の数値にみる限りは、韓国側の説明の方に矛盾が多いのだが、防衛省側説明にも疑問点はある。

 写真を前提に作図し直すと図1となる。ここでの着目点は横Gの値で、そこから旋回回転半径と飛行速度の関係を表して、それが失速速度を上回っていてあり得る状態かどうかをみる必要がある(図4参照)。
旋回速度は旋回Gによる荷重増1.1547Gと、フラップを使わない通常飛行中なので、着陸時の失速速度よりかなり高くしないと旋回できない。
 横G:横方向加速度は、速度の2乗を旋回半径で割った値、α=V2/Rであるから、
   (2/√3)×9.8×R=V2
   R=V2/(2×9.8/√3)

 一方、ジェット旅客機の標準的な離陸速度が150kt≒277.8km/h≒77.2m/s、これより高速で安定した飛行が可能となる。
(地球1周長を40,001kmとして、赤道経度1分の長さ=1,851.898mが1海里、毎時1海里の速度を1kt:ノット)

 バンク角30゚で、限界速度277kmで平衡旋回できる曲率半径は約1000m必要であることが判る。
(図4:「平衡バンク角と速度−曲率半径」参照)
 一方韓国の主張する「高度60mの飛行」から距離を逆算すると、
距離×sinθ=60m、θ=25度
∴距離=60/sin25゚=141.97m、
P−1の速度は278km/h、77m/s以上だから、見える方向が1秒間で最大30.4゚変わる。
(∵θ/2=ATAN((77/2)/141.97)=15.2゚
  ∴θ=30.4゚)
この検証は、基準となる静止物の写った動画が必要。 高速通過なのでスチールカメラでは手持ち撮影は極めて困難だろう。

 防衛省発表では530m先の150m高度で、これは韓国側が表1の焦点距離50mmの標準レンズで撮影した場合の146mに非常に近い値である。だが距離は345mでかなり近い。 これを、見上げる角度θは
   θ=ATAN(150/500)=16.7゚
写真から推定されるバンク角は約5度を加えた22゚前後ということだ。
 バンク角22゚平衡の横Gとしては、
 G・tan22゚=0.404026G=3.959m/s2
曲率半径R=V2/α=772/3.959457=1,497m
にて旋回中を撮影されたことになる。
 日韓双方の差違が誤差範囲かどうかは微妙な値であるが、韓国側が標準レンズ50mm焦点で撮影していたとすれば、防衛省の発表150m高にほぼ一致するが、距離はその65%の345mで不一致である。
 バンク角を防衛省発表の距離530m、高度150mの見上げる角を基準に、5度多くバンクしていると考えて再計算したものが[表2]である。 この数値だと、85mmポートレート用レンズ(ニッコール定番w)で撮影なら防衛省発表にほぼ一致、28mm広角レンズなら韓国主張にほぼ一致!さてどちらだろう。 (海を撮るのに特異な28mm超広角レンズはなさそうという推定は確定しようがない。 現状、高倍率ズームレンズとしては28−300mm、24−240mm(APC換算36−360)、APC18−200mm(換算27ー300mm)などと、焦点距離としては下限の値であり、どちらも排除しがたい)。 撮影データにExifが記録されていれば焦点距離の記録はあり、一発解決なのだが。まさか未だに銀塩カメラではないだろうねぇ?

観測レーダーか?追尾照準レーダーか?

 この解説は 防衛省解説図のp1〜p2で明快。 一般のレーダーならアンテナ1回転毎のパルスの断続として受信されるが、連続波は照準レーダーと判断できる。 間違いようがない。照準レーダー照射は、安全装置を外した銃の銃口を向けるような、一触即発の危険行為だから、国際間で相互に禁止しているのではないか。

接近威嚇飛行か、友軍挨拶か

 韓国主張の「威嚇飛行」か、自衛隊関係者主張の「友軍出会いの挨拶」かの判断は、哨戒機の武装性能と、航跡図とで推定できるはず。 この論点で、航跡図では艦船接近時に左バンク30゚旋回が見られないが、韓国発表の写真では大きなバンクを取って旋回していて相互に矛盾する。どちらかの提示データが誤りである。
 前記資料p7に自衛隊として常時回避している威嚇の飛び方が述べられているし、関係者は「駆逐艦を哨戒機が威嚇する」などナンセンスとしている。 哨戒機は主に潜水艦の追尾・攻撃に特化しての兵装で、秘匿潜水艦に対してソノヴイを投下されるなどして索敵情報を与えてしまうことが最大の脅威であり、重装備で頑丈な駆逐艦攻撃には最適ではないのは確か。

本質は照準レーダー照射問題

 「威嚇飛行」かどうかは写真と動画にみる限り説得力が薄い。 防衛省資料補足p8の韓国駆逐艦写真3葉と同様の飛行だったら唯一の「威嚇飛行」判定は成り立たない。
当初は「照準レーダー照射はなかった」と言っていたのが、「威嚇飛行」と言い出したのは、照準レーダー照射は認めた上での、その正当化と採れる訳で、歪曲の言い逃れは止した方が良い。

双方の政治的意図が主問題では?
 強烈嫌韓安倍 vs 好北朝鮮大統領

 危険な照準レーダー照射が、現場の勇み足エラーなのか、権力中枢の政治的意図で国際的合意に反して引き起こされたのかは重大だが、現場を離れた「オープン戦」は「友軍」のモノでは無いことは確かである。友軍間の妥当な決着を目指すのなら、「ご通行中の皆様」方式で罵り合う中国人・朝鮮人の喧嘩(wでは荒れる一方で決着には至らないのは見える訳で、韓国側の矛盾の多い説明に、安倍晋三がオープン論戦を命じたというのは双方に真相究明&事態の沈静化以上に必要な獲得目標があるのだろう。 事実を曲げての強弁も困ったモノだが、大日本帝国の栄光指向の安倍晋三には十分注意して嫌韓プロパガンダ、憲法9条改廃キャンペーンには乗らないよう気を付ける必要がある。

 かねてより日韓懸案の植民地支配にまつわる慰安婦問題、徴用工問題については、国対国の金銭問題は日韓条約で解決していても、被害者の個人請求権は失われていないという日本政府の当然の認識もあるのだから、過去の人権侵害被害の精算の問題として日韓両政府による回復措置が採られるべきだと、問題顕在化当初から思っていた。
 ところが、現状は「解決済み」一点張りの日本政府と、既に個人補償分を政府として受け取っていて条約で一応完結していることを無視して放置する韓国政府の両側の無責任で問題をこじらせている。 大日本帝国による韓国の植民地化は明らかに不当だが、当時の基準では国際法違反ではなく、列国から支持されていた行動だったから、ソコを踏まえた条約上の解決になっているはず。
 残る個人の重大な人権侵害被害をどう救済するかの課題なのに、民主主義国としては出来るはずのない市民運動の抑制・制御を約する「解決スキーム」で混乱させ、それを撤回して更に混乱を深め、今度は軍事的対決というのだから双方の国民としてはやってらんない思いである。 思想表現の自由を奪うあんな慰安婦合意をしたのは、日本側安倍晋三の著しいファッショ体質をも端的にしめすものとなっている。

2019/01/31 23:55

池上彰解説にポカ!× P3C  → ○ P1  <2>

 わかりやすい解説で定評のある池上彰氏が週刊誌上(週刊文春2月14日号p44)でこの問題を解説していたが、哨戒機「P1」を「P3C」と誤認して解説していた。 プロにもそういうポカがあるんだなぁ!と苦笑。

See→日記#429へ移動 新発見か?!

2019/02/09 23:55

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