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「非破壊制震」が必要!ダブル震度7熊本地震

 熊本地震では、前震・本震と2度の震度7に見舞われて、特に深刻な建物被害が広がった。
地震での構造物の損壊は、一面、共振抑止吸収作用があって、徐々に入るひび割れで共振による過偏倚倒壊を防いでいるのだが、長時間の揺れで総てが損壊すると倒壊に到る訳で、震度7大地震が2回というのは破損制震の限界を超えさせる大きな打撃である。

 地震による構造物破壊は、一撃破損よりも、構造物の固有振動周波数への共振による振動蓄積で、偏倚限界を超えて損壊することが多い。 東日本大震災で唯一脱線した新幹線仙台駅構内の回送車は、現場の振動Qの高い橋梁の固有振動数に地震波の周波数成分が合致して、長時間続く揺れで振動が40倍にも拡大して線路上で四股を踏む形となり脱線に到っている。 この場合、地震動の偏倚は橋梁の弾性限界は超えてなかったことで40倍の振動になったのだろう。 地震動が1波1波蓄積されて40倍にも大きくなったことを示している。

 偏倚が降伏点を超えると塑性変形を起こして元には戻らなくなり、さらに強度限界を超えて破損するが、粘りの強い材料ならイキナリ崩壊することは少ない。 塑性変形を積極的に利用して非破壊で共振吸収する試みが、様々行われるようになって、補強トラス棒を互いに逆方向で重ねる交点に「低降伏点鋼」の接続金具を置いて、その塑性変形で振動を吸収する製品とか、トラスの取付部に低降伏点鋼アングルを噛ましてそこの塑性変形で振動を吸収して共振を抑える製品がTVコマーシャルで流されるようになった。一旦塑性変形すると硬化して壊れやすくなることはあるだろうが、最初から壊れてしまう前提で制震する「スリット壁」と比べれば非破壊性が大変高い方法で、今後の建物には採用されるべきものである。

※強度を強くして地震耐性をあげることを「耐震」、共振現象を抑えて致命的損壊を防ぐことを「制震」、地震振動を遮断するものを「免震」と呼ぶ。

基本波成分の微少なGuiter波形の周波数測定    <2>

 オシロスコープ波形から周波数(周期)を求める。 ギターの調弦をA440Hzの音叉を基準として5A弦(ハ長調のオクターブ下のラ)で行っていたため、その周波数を楽譜上440Hz、実周波数はギター特有のオクターブ下の220Hzと長いこと理解していたが、それが勘違いだった。 正しくはハ長調のラが楽譜上440Hz、ギターでは220Hzで、そのオクターブ下のラである5A弦は楽譜上220Hz、実周波数110Hzだったのだ。

オシロスコープ画面のドット座標を読み取って時間測定を行う。オシロ時間軸設定4mS/div、チューナー基準周波数415Hz(本来は440Hz)
画面スケール10div@X軸、左端0縦線(79, 680)、右端10縦線(1787, 680)、→(1787−79)/10=1708/10=170.8 Dot/div
縦スケール両端がやや広めに見えるので念のため1,9縦線8div間の座標は1(251, )、9(1616, )、→(1616−251)/8=1365/8=170.625 Dot/div
繰返し波形峰4個:W1(284, )、W4(1519, )、→(1519−284)/(4−1)=1235/3 Dot/Cicle
繰返し波形GL4個:W1(255, 680)、W4(1487, 680)、→(1487−255)/(4−1)=1232/3 Dot/Cicle
従って1周期=(1235/3)/170.8×4=9.6409055ms 逆数→1/9.6409055ms×(440/415)=109.97 Hz (−0.03%)
  別1周期=(1235/3)/170.625×4=9.65079365ms 逆数→1/9.65079365ms×(440/415)=109.86 Hz (−0.13%)
0急勾配1周期=(1232/3)/170.8×4=9.617486ms 逆数→1/9.617486ms×(440/415)=110.24 Hz (+0.22%)
  別1周期=(1232/3)/170.625×4=9.627350ms 逆数→1/9.627350ms×(440/415)=110.13 Hz (+0.12%)

 加えて、波形は4波1単位で一見、440Hzを基本波として110Hzで深い振幅変調を掛けている≒ON-OFFしている波形に見える。すなわち基本波である110Hz成分はほとんど無く、440Hzが主で、側波帯として1/2振幅の±110Hzの330Hzと550Hzを主要素とし、110Hzの3倍調波±330Hz、5倍調波±550Hzが若干混じる=110Hzと770Hz、990Hzを含む波形となっている。 See→合成波形図:左下↓←。 この波形では、適切なフィルター特性の無い周波数カウンターではスライスレベル次第で実周波数の2倍〜4倍を示しかねない厄介な波形である。

観測波形そっくり!:変調率約60%、方形波5次高調波近似

方形波5次高調波近似の周波数成分

合成波形と周波数分布=搬送波4fを方形波1fで75%変調
@5次高調波近似。偶数次は最強の4倍周波以外不存在
(以上、(3)式の表計算Excelグラフ機能による描画)
 周波数成分として並べれば弱110Hz、330Hz、強440Hz、550Hz、弱770Hz、微弱990Hzという構成である。左下図は変調係数M=0.75(変調率π/4×0.75≒59%)で、4倍調波を方形波の基本波で変調したものを表計算Excelで描画している。観測結果と良く一致している。
 近似波形式からの計算に拠れば振幅強度比としては、(π/4)×0.75≒60%変調として(∵定係数(4/π)を省いて波形を作っている)、 (1/5)110Hz、(1/2)330Hz、 (1/M0.75)440Hz、(1/2)550Hz、 (1/6)770Hz、(1/10)990Hz という構成である。基本波対4倍調波が実に6.67倍と逆転! 倍音を主に構成されて基本波のほとんど存在しない波形ということだ。 基本波の存在しない楽器については爺様のs30年頃のラジオ雑誌記事にあったが、その波形を見るのは今回初めてだ!

 また、最大周波数成分とA音叉の440Hzとが一致している。 この周波数の一致がA音叉での調弦がピッチパイプ(調子笛)よりずっと楽だった基本的な理由だろう。

 計測誤差が±0.1%〜0.2%というのは、ドット数が1000前後の計測としては高精度で妥当な値。波形と軸の交角が大きい方が正確な読み取りが可能なので峰→峰測定よりも、GL基準のデータを採用する。測定誤差で+0.1%ということだ。全画面で1ドット分だから1波形分としては究極の精度である。 波形に乗るノイズは背景音のTV番組が含まれている。ノイズを減らして真面目に計測すべきだった。

 ギター・チューナーの基準周波数が国際標準の440Hzではなく半音低い415Hz設定なのは、近頃握力が弱くなってFコード(全弦セーハ)が押さえられなくなっての窮余の措置。音叉では周波数が固定されて出来なかった調弦。それでもビリビリ言う。ダメですなぁ。

 計測法は、オシロスコープソフトで音を取り込んで固定表示させ、プリント・スクリーン・コマンド(Prt Scrキー)で画面をペースト・バッファーに取り込み、グラフィックソフトに吐き出して、画像ファイルとして記録。ファイル形式はサイト上での扱いやすさからjpg形式を指定した(→右波形写真click!)。観測数値はドット座標より算出する(→波形下に計算例)。ソフト自体に座標を読み取る機能があるから、グラフィックソフトなしで計測できる。
 Handy Oscilloというフリーソフトと、ノートPCのマイク端子にマイク(内蔵マイク可)、花子フォトレタッチを使用。時間軸と感度を適切に設定のこと。
   Handy Oscillo: http://www.vector.co.jp/soft/win95/art/se376225.html 烏谷 隆 作
See→日記#386-3 パソコンがオシロスコープに変〜身〜!

基本波が存在せずに基本波が聞こえる!    <2.1>

 先出のギター5A弦、6E弦の音は基本波が全体の1/10程度しかないのに基本波の音程が主音として聞こえる。
またスピーカーの低域共振周波数が100Hz〜250Hz前後でそれ以下の周波数は聞こえないはずなのに、5A弦実周波数110Hz、6E弦実周波数82.5Hzが難なく聞こえている。
もっと極端は、そのスピーカーでバッハのトッカータとフーガの超低音パイプオルガン演奏がちゃんと聞こえてしまう!10m高のパイプオルガンというと、開管共振(1/2波長共振)で16Hz(C2)くらいで再生可能周波数領域の3オクターブ〜4オクターブ下の、スピーカー特性だけで1/64〜1/256に減衰する、アンプまで含めれば数千分の一の周波数領域がフツーに聞こえる。
   Fr(10m)=341/{(10×2)/0.95}≒16.2[Hz]・・・・・・ 音速=341m/s@20℃、共振筒長=10m、短縮率≒0.95、開管半波長共振 と仮定。
   (C2=16.352 Hz、C1=32.7.3 Hz、C=65.406 Hz @理科年表「楽音の基本周波数」)
あるいはグリークラブがハーモニー誇示で440Hz、550Hz、660Hz、770Hzを奏でると、人の耳には最大公約数周波数の110Hzが聞こえる!
(音楽相でいえば、イ長調でドミソシ♭=T7和音でハモると対数律調律でも2オクターブ下のド音が聞こえる!上記整数律ではより美しく響く)。その現象をハーモニーと呼び、和音の原理である。最大公約数周波数が和音の基音であり、そのまま和音音名(A7コード)になる。「7」は属和音(ソシレ)の基音から音階で7番目の音(ファ)を加えている意である。 すなわち1オクターブ上の基音から2半音下の音。ドミソの7コードでは2半音下のシ♭が近い音。聴感が「不安定」評価は平均律で、整数律の整数比からの狂いが大きいためだろう。
ところが、高調波の全くない正弦波信号を加えてもその周波数はスピーカーやアンプで減衰して聞こえない。系の下限周波数200Hzに対して20Hzは1/10で、減衰特性が20dB/dec(1段減衰)としても−20dB、通常の3〜4段減衰なら−60dB〜−80dBとなって聞こえないのは当然なのだ。オクターブ換算で1段1/2〜4段1/16、−6dB/oct〜−24dB/octだ。

種明かしは、人の耳は、高調波成分が揃っていればたとえ基本波を除去しても基本波音程が聞こえるのである。

2016/08/21 05:05

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