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電気検測車上でのATS-Sx地上子の応答は?

 電気検測車の導入によりATS-Sx地上子の点検を走行しながら行うようになったが、進行現示対応の地上子の停止現示での可否判断を行う訳で、それまでの単変周地上子は短絡部にコンデンサーを付加して、非停止現示での共振周波数を105kHzとした。動作時は、警報が130kHz−129.7kHz、即時停止が123kHz、速度照査が108.5kHzであるから、正常時は周波数そのままで良いが、故障時にはどんな応答をするのか?検討・算出してみよう。

 その構造としては、有効動作周波数a用として接続されているコンデンサーCaに、待機時無効周波数0に下げるためのコンデンサーCを付して構成しているはず。接点が不導通故障しても停止現示側とするためである。小電流では熔着故障は起こらないのだから。  その故障モードとしては 1).コイル断線/各素子短絡、 2).Ca断線、 3).C断線、接点不良、ケーブル断線・短絡、が考えられるが、
3).は常にアクティブで、無条件の停止現示動作で顕在化するから電気検測車の守備範囲外。
故障状況 1).2).でどういう振る舞いをするのだろうか?
1).コイル等断線・短絡では無応答だから、登録台帳データベースとリアルタイムで突き合わせて「断線・短絡警告」を出せる。
2).のコンデンサー断線故障では共振周波数はどう変わるのだろうか?
変周式地上子
故障周波数
84kHzは制御振り子車車上装置の自由発振周波数。
ATS-Sx=103kHz、−Ps=73kHzが自由発振周波数。
−Sx地上子は105kHz待機。 −Ps地上子は73kHz待機。

【 ATS-SN速照地上子の検測 】

コンデンサー共振
kHz
動作備考
CaCbC0
正常値105.0進行検測車計測
異常値×123.0即時停止C0断線含む
××130.0警報R1不接触含む
×178.1Ca断線
×109.3Cb断線
××201.6Ca、Cb断線
[速度照査] 3つの時素を持ち速照、待機時は130kHz警報。
列車検知で123kHz即時停止が高速側時素まで続き130kHz警報に復帰
低速側時素で105kHz非停止となり、時素20秒間保持し、冒頭の警報状態に復帰。
 角周波数ω=2πf ・・・・・・・・・・・・・・・ (0)
として、正常動作時は
   ωa2=1/LCa ・・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)
   ω02=1/L(Ca+C) ・・・・・・・・・・ (2)
 主コンデンサー断線の場合は
   ωx2=1/LC ・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3)
 であるから、(2)&(1)より、
   Ca+C=1/Lω02 ・・・・・・・・・・・ (2)'
   Ca    =1/Lωa2 ・・・・・・・・・・・ (1)'
 (2)'−(1)'
      C=1/ω02L−1/ωa2L
        =(1/L)*(1/ω02−1/ωa2) ・・・・・ (4)
 (4)→(3)→→÷(2π)2←(0)
   ωx2 =1/(1/ω02−1/ωa2
    fx2=1/(1/f02−1/fa2
      =f02・fa2/ (fa2−f02
∴   fx=f0・fa/ SQRT(fa2−f02) ・・・・・・・・・・・・・・・・ (5)
(5)式を適用する故障条件として、
動作周波数a=  130kHz、123kHz、108.5kHz
待機周波数0=  105kHz、84kHz、75kHz
それぞれ算出すると、右の表に示す通りである。
「変周式」による検出が前提なので、アクティブ周波数は、待機周波数より必ず高い。また制御振り子のマーカー地上子としては待機時105kHz共振で差し支え無く、84kHzはあくまで車上の発信周波数である。ATS-Psの73kHzは4周波数(80、85、90、95 kHz)を検出するために必要である。
 検測結果がこの値であれば主コンデンサーの断線不良と断定できる。検出をFFT方式として必要な検測信号を送信すれば、共振点は得られる筈である。

 ちなみに、警報と即時停止の2機能をもつATS-SN速度照査では、主コンデンサーにコンデンサー2個を逐次付加して130kHzと123kHzを得て、最後の20秒間が無照査の105kHzとなるから、単純に共振周波数から分かるのは主コンデンサーの断線故障時の178.1kHzだけ。 主と追加1コンデンサーが同時に切れれば201.6kHzだがその発生確率は非常に低い。追加2コンデンサーが切れるか、R2接点の接触不良だと即時停止123kHzとなり、試験車に非常制動が掛かる。 R1接点接触不良では130kHzとなり警報音鳴動。
 では追加1コンデンサーが断線したらどうなるか?試算!まずは正常動作時は、
   ωa2=1/LCa ・・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)
   ω02=1/L(Ca+C1++C2+) ・・・・ (6)
   ωb2=1/L(Ca+C1+) ・・・・・・・・・・ (7)
C1+断線の場合の共振が
   ωx2=1/L(Ca   +C2+) ・・・・・ (8)
 であるから、(1)&(6)&(7)より、
          Ca=1/Lωa2 ・・・・ (1)'
   Ca+C1++C2+=1/Lω02 ・・・・・ (6)’
   Ca+C1+    =1/Lωb2 ・・・・・ (7)’
 (6)'−(7)'
          C2+=(1/L)・(1/ω02−1/ωb2) ・・・・ (9)
 (1)’と(9)→(8)→÷(2π)2←(0)
   ωx2=1/{1/ωa2 +(1/ω02−1/ωb2)}
     fx=1/SQRT(1/fa2 +1/f02−1/fb2
・・・・・・・ (10)

 ここでa=130kHz、 f0=105kHz、 fb=123kHzであるから、
  x=1/SQRT(1/1302+1/1052−1/1232)=109.3 [kHz]
となる筈である。
故障地上子の現物で確かめようは無いが・・・・・・。電気試験車が良否判定だけでなく、故障原因まで推定してくれると設計・製造やメンテに返して品質安定性の向上に資することができる。

2016/01/18 02:55

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