[363]

BBS
鉄道解析ごっこ
mail to: adrs
旧
新
Diary INDEX
Geo日記
戻る
LIST
主目次

東北&ほっかいどう銀河新幹線

 「北へ!東北&ほっかいどう銀河新幹線」(2003年〜2006年執筆の模様)という東北・北海道新幹線建設サイトが計画・建設の内部情報に溢れて大変面白い!東京駅と大宮駅間の開通情報が役所と国鉄JRの資料に沿って特に詳しく述べられていまして、最高速度設定も半径とカントなど実際の線路パラメターを示して論議していて、大いに参考になりました。東北・上越新幹線が金喰い新幹線と非難された建設経費に、実は様々関連の薄い事項が乗せられていて額面通りではないことなど、「当事者情報」に満ちて興味をそそられました。

 執筆者は、国交省や国鉄JRの工事関係資料に直接アクセスできる立場の方、「立場を明かせない立場」というのは、もしかして国土交通省のお役人さんかも知れません。それほどふんだんなナマ資料と内情話に富んでいるサイトで、興味に駆られて1日掛けて読んでしまいました。
 「阪神大震災当時に受験生」とは、意外にお若い!「北海道で交通政策を学べる大学」とは?北大?それとも**工大?ま、そうした属性を詮索しなくても、記事内容は興味深いものです。

欲しい一覧出来るIndex    <1.2>

 全文を読もうとすると、一覧できる目次がなくて、章毎に独立の中目次、小目次を辿る必要があって、「次ページ・リンク」も一部のページにしかありません。その構造に気付かないと初訪問では勝手が分からず、かなりの量の記事に辿り着けずに通り過ぎてしまいます。 執筆者当人は記録構造を熟知していて気付かないのでしょうが、この辺は改善されると有難いのですが、。

【 記事補足訂正】    <2>

 一般個人サイトのエラーに気付いても大抵は放置で、優れた内容のあるページですと気が向けばE-mailで指摘して、あとは御当人の判断に任せるのが常です。 たとえば写真サイトに解説ミスを見付けたからといって、無関係のサイトが平場でミスを指摘して訂正したのでは、相手のサイトの信用性を必要以上に落としてしまうことにもなりかねず、実害が生じないものを突いても無意味だからです。
 ところが、ここで紹介している様な全体として良いサイトで、ソースからも信用性が感じられ大きな影響力を生じるところに、明白なエラーがあるのは大変勿体ないので、連絡しようとメアドを捜したのですが、どうも一方通行キャンペーン型サイトのようでどこにも外部接点が見つかりません。
 主要記事のソースもシッカリしており、一部の批判訂正で吹き飛ぶ内容のサイトではないので、団体や学者・研究者サイト、様々のキャンペーンサイトに対するのと同様、サイト上で補足訂正・反論することにします。
 エラーは新幹線建設計画関係の鉄道専門家と思われる執筆者にとってアウェーの個々の技術部分にほぼ集中していまして、そこは執筆者のヲタ部分だろうなぁとは思いました。

 (§2.1項と、§2.3 は共に過去の政策評価や、人物名の間違いで、今直接生きていない非技術的話題につき、本稿末尾に移動します。)

×陥没事故 → 地盤○加圧破裂事故:御徒町事故
  掘進停止後の地盤凝固剤注入忘れ 】    <2.2>

http://haruka.saiin.net/~mirai/shinkansen/513.htm
× しかし着工後も順調にはいきませんでした。陥没事故の発生です。
○ しかし着工後も順調にはいきませんでした。地盤加圧破裂事故の発生です。
 東北新幹線の御徒町(おかちまち)トンネルは加圧シールド工法で施工されて、シールド掘進機内は圧搾空気で加圧されていましたが、12号線地下鉄(都営大江戸線)工事の準備で設置されていた地下コンクリート壁にシールドマシンが当たって掘進不能となり、対策しているうちに周囲の地盤が圧搾空気で乾燥してしまい約1ヶ月後に加圧空気圧で土被り部分が吹き飛んで、残部がトンネル内に崩落し、地上の車を巻き込んだのが御徒町事故の真相です。 掘進停止時点で周囲に地盤凝固剤を注入していれば起こらないで済んだ事故。陥没事故ではありません。
 地盤凝固剤の薬注量は地盤種類毎の目安はあってもリングを巻建てて裏込めしてしまえば薬注の多寡は関係なくなり現場任せの結果オーライが実情でしたから、具体的な工事ミスは、「予期せぬ障害物で掘進が止まった時に充分な薬注を行わなかった」ことにあります。湧水や崩落を抑える「加圧」は最大3気圧程度は行われていまして、周囲の地盤の乾燥が早いので工事停止で速やかに薬注補強措置が必要なのに御徒町トンネルでは忘れられてしまい停止1ヶ月で噴出事故に至りました。「加圧」の潜函工法は血液中の空気で梗塞を起こす潜函病の労災発生が恐くて事故当時は既に避けられがちになっていましたから、新幹線工事という花形のプロジェクトであり地盤もさほど悪くない御徒町トンネルが加圧シールド工法だったことは意外に思われていました。
 この御徒町事故発生で全国のシールド工法トンネル工事が一旦停止しましたが、事故報道状況から結果として掘進停止時の地盤改良薬注不足は明らかで、工事を一旦停止した各現場で入念な薬注が行われた結果、御徒町事故の原因が判って約3ヶ月後に工事再開となった時には地盤がガチガチに固められてしまい、フルパワーでシールドを押して掘削してもほとんど動いてくれない現場が続出しました。 (個人的にはこの工事停止のお陰で作業時間が生まれて、先任のソフト屋さんが解決出来なくなって蒸発して遺された諸課題を何とか埋めて、完成・納入することができましたので、事故の裏事情は詳しいw。実数型の技術計算は入力画面・帳票処理型になりやすいソフトの業界人より、日常的に解析計算に追われている専門職・研究職の方が潰しが効くのかもしれません)

ATS−PはDS−ATC速度制御の基本    <2.4>

http://haruka.saiin.net/~mirai/shinkansen/123.htm
 ATS-Pの停止信号制限では「地上子を踏んだ時だけパターンを発生する」のではありません。発車後、初回に停止距離情報を得ると、その位置までに停止可能速度を常時車上で算出、地上子毎にこの距離を更新してまるで尺取り虫のように走行可能距離を与えるもので、この算出した速度限界が現走行速度に接近すると、警報を発し、さらに強制制動を行うものです。
 この「車上演算方式」が非常に優れていて、安全性を増して線路容量増に繋がった事からD−ATC/DS−ATCに取り入れられ、強制振り子制御で信頼性と実用性を確認した車上データベース方式と組んでケーブル省略でコストダウンを図って輸送力増強を図ったものです。
 「パターンを発生させる」云々とは、変周式ATS−Pから来ているものと思われ、現−Psでの動作表現としては妥当ですし、過速度ATSには適切ですが、ATS−P停止信号では起動するとずっと「有り得る直近の停止位置情報」を持って停止可能速度を演算しながら走るので、パターンは発生しっ放しが実態です。 このパターンに照らして「パターン接近」だの「パターンに当たる」ということが起こります。  ATS−Pこそ、D−ATC,DS−ATC等の基本技術です。この辺りの解説が未整理・未分化です。

基本式を載せたらどうですか!    <2.5>

 張線波動速度は以下の単純な式で表されるので、言葉で様々説明して矛盾をのこすよりも式表現にしてはどうでしょう。時期の経過はあるものの「架線は重い方が良い」vs「架線は軽い方が良い」と対立する結論を並べ、「心線に鋼線を用いて高張力にする」というより、「架線の波動速度を列車速度の1/0.7以上にする必要があり、波動速度Vは以下の通り
  V=sqrt(T/ρ) ・・・・・ T:張力、ρ:線密度」
として現在の理論的実践的到達点を述べて、苦闘の開発史を述べた方が誤解の余地無く明解に理解できますから、この式を見ながら解説を読んだ方が理解しやすいでしょう。近鉄に特許を押さえられて新幹線には採用できなかった「網目式架線」案が、実は失当だったことも良く理解できるでしょう。
 波動速度理論の架線への適用は鉄研公団の整備新幹線用シンプル・カテナリー架線として結実したもので、東海道新幹線開業時は未適用で静的な均等圧理論で設計施工され、その架線トラブル多発対策として架線&張架線張力を大きくする改良が端緒でした。
 しかし張線の振動解析自体は基本的なもので、学部教養課程物理学で「張線の固有振動周期=弦長と伝播速度」を求める微分方程式解法例題などとしてテキストに掲載されており、高校物理でも「弦(張線)の波動速度」として微分方程式を使わない関係式導入で掲載されていますから、机上論扱いされて顧みられなかった理論解析が、苦吟の東海道新幹線トラブル多発対応でようやく現場適用されて卓効を発揮したのでしょう。
     See→張線の波動速度(架線試算) 2003/02/14記

【 饋電関係に多くNG 】    <2.6>

○1-6-2.異相き電方式の変更(上下線別→方面別) http://haruka.saiin.net/~mirai/shinkansen/122.htm

「饋電:き電」は走行電力供給   <2.6.1>

 「饋電:き電」とは走行電力供給を言い、慣例的呼称で架線に+極を繋ぎ「供給線」とし、レールに−極を繋いで「帰線」としています。極性は直流回転機では逆でも差し支えなく、現に誤って±逆接続で長年運行していた私鉄もあるそうです。メカ的なMG(電動発電機)搭載なら逆極性はOKですが、半導体素子を使うSIV(静止型インバータ)等の機器が搭載されていれば当然ダメでしょう。

「供給線」「帰線」というのは厳密な動作実態とは離れても人が動作を理解する為の仮想のもので、「電流が+極から供給線を介して負荷に至り帰線を介して−極に戻る」という想定で回路動作をみようとするもので、金属導線内の電子の流れとしてみるとその想定とは逆方向の「−極から電子が供給され、+極は電子を吸収する」ですから「電流方向」自体が仮想のものであることが分かります。 記事はどうも「帰線」と「饋電」を混同している様です。
  See→AT饋電・BT饋電
<f1>
BT饋電
<f2>
AT饋電
AT饋電
<f2-b>
<f3>
はえ叩き
左端通信線電柱を撮り鉄たちは「はえ叩き」と呼んだSee→#335

 交流電化では基本位相か逆位相(≡逆極性)かということで、位相としては一種の規約化しています。
供給線−帰線は直流電化を引き継いで架線=供給線、線路(電位)=帰線となりました。「本質」を言えば架線も線路・帰線もどちらも電力供給線でしょうが、考えやすさで「帰線」という仮想も有用なものです。

通信障害対応としてのAT饋電、BT饋電    <2.6.2>

 線路脇の通信線に対する誘導障害回避のために、相互に逆方向電流である帰線と供給線を接近させて打ち消し合わせるため、帰線に電流を吸い上げますが、それを吸い上げ変圧器により行う「BT饋電」、倍電圧給電と中点付きオートトランスにより行う「AT饋電」が用いられています。
 AT饋電は、レールをゼロ電位として架線が±供給電圧、帰線が逆極性の±電圧:供給で、架線−帰線間電圧は2倍となり、同じ電圧降下率では2倍の電力供給と、2倍の距離を給電を可能にするものです。 従って東海道新幹線の電源増力改造に際してBT饋電からAT饋電化が図られたのは経済上も当然で、BT饋電では接地電位だった帰線に代わり供給線と同じ耐電圧で逆極性のAT帰線を設けて切り換えた訳で、加えて騒音逓減、架線・パンタ消耗抑制にパンタグラフの集約化と2基並列運転化が行われ、そのため渡り線のある駅構内同一饋電化改造が行われました。See→図f2

 BT饋電では「吸い上げトランス」により供給線と帰線の電流を逆方向で同相同値にしているので打ち消し易いと考えられ、交流電化方式開発当初はAT饋電の吸い上げ機能には自信が持てなかった様です。 国鉄の新技術採用方針は既に枯れた技術をなるべく採用して新規採用トラブルを避けるという基本があり、新性能電車、在来線こだま型特急ばかりか新幹線でもその高速度以外は踏襲されていた方針で、概ね私鉄先行であり、山陽新幹線のAVRに帰還制御方式を採用して大トラブルになったという新大阪事故は実は国鉄としてはかなり例外、現場が「新幹線の設計」で張り切り過ぎたんでしょうか? 「位相差90度で打ち消し」という記事は誤りです。
 交流電化開発当時の鉄道通信線は写真ヲタ等が通称ハエたたきと呼ぶ架空裸線が主流で(See→図f3)、鉛被等のシールド線ではなかったので誘導障害を受けやすく、帰線電流の吸い上げで供給と帰線を接近させて平衡の取りやすいBT饋電採用の動機はありましたが、通信ケーブル移行期として適切だったかどうかの論議は有るでしょう。

パンタグラフ並列運転許容は「AT饋電+上下線同一饋電」    <2.6.3>

 パンタグラフの並列運転は実効離線率を激減させ、騒音も改善するので、摩耗と故障を減らせる構造として是非採用したいものです。例えば離線率1/4のパンタグラフ2基を並列運転するだけで実効離線率は1/16に、離線率1/10なら実効離線率1/100となります。新幹線16両に8基だったのを2基に減らせば摺動騒音は1/4以下(−6dB)ですが、気になる離線スパーク音が大幅に減少しました。 0系は25kV特別高圧引き通し線を設置出来ずパンタグラフ集約化は見送られました。また山形・秋田新幹線車両は集電シューそのものを分割軽量化してバネ支持として離線を抑えることで格段に追従性を改善して1パンダ運転しています。

 BT饋電は、吸い上げトランス毎にBTセクションが必要のため、セクションを短絡するパンタグラフの並列運転ができません。 ∵数km間隔で設置する多数のBTセクションを地上切換セクション化するのはメンテも大変になり不経済で採用出来ません。 地上で列車の進行に従って供給線を自動切り替えする異相セクションは、上下線別饋電なら次の変電所との中間(と渡り線)、方向別饋電では変電所直近と次の変電所との中間に設置なので、変電所間隔25km〜50kmに対して12.5km〜25kmですから新幹線開業時から採用しています。
 在来線交流電化区間の異相セクションは絶縁部としていて、惰性で通過しますが、ここに停まってしまうと動けないことも起こります。

 上下線別饋電では渡り線で位相が異なってセクションを必要として、パンタグラフを並列運転すると√2倍の電圧を短絡するので採用できません。少なくとも渡り線は同相饋電化する必要があります。

 パンタグラフの並列運転を可能にする饋電構造は、中間に吸い上げセクションを必要としないAT饋電+渡り線同一饋電です。

 東海道新幹線の輸送力増強で饋電容量増加が求められて、実質倍電圧饋電であるAT饋電化が安価な増力化であり、その工事と同時に構内同相饋電化が図られて渡りでの異相セクションを無くしてパンタグラフ並列運転を可能にしました。

3相不平衡負荷の設備利用率低下を改善:2相化    <2.6.4>

 異相セクションでの90度位相差は、鉄道の単相負荷を、供給側の三相回線各相になるべく均等に負担させて電力設備の利用効率を下げない為の工夫として、スコットT結線などの3相−2相変換を行っているために生ずるもので、3相では120度位相差の3種の電源群だったのを、2相の90度位相差に変換、それを交互に使うことで3相各相の負荷の均等化を図っているもので、これは通信線への誘導障害逓減とは関係ありません。

3相送電採用の理由    <2.6.5>

 3相方式を採用する最大の理由は、産業モータ用の円形回転磁界をそのまま作れることです。長距離送電では技術的に可能な限りの高電圧送電にして送電損失を減らしますが、絶縁能力を対地電圧Vでみますと、送電電力は3相3線式で3VIcosθ、2相2線式で2VIcosθで、電線量当たりの送電容量は3相も2相も変わりませんから、「3相なら送電効率が良い」というのはどうも原理的なものではなく、かっては4相交流も外国で採用された例もあり、送電線の機械的なスペース・ファクターまで含めての現実・実務上の話でしょう。
 線間電圧で考えますと全電力は3相3線式で√3・VIcosθ、2相2線式でVIcosθですから、1線当たりに換算して、(√3/3)/(1/2)=2/√3≒1.155で、3相が心持ち送電力が大きいのですが、送電線の耐電圧が対地電圧で規定されるのか、線間電圧で規定されるのかで結論が違うことになり、線間電圧で規定と考えると3相が送電効率が若干良いと考えられます。実際は対地電圧で絶縁限界規定でしょうから送電効率は変わらないでしょう。
 明確な違いが出るのは単相2線式との比較で、他の送電方式では帰線電流ゼロで帰線を省略=帰線損失ゼロで高効率化していますので、帰線=接地線にも電力損を生ずる単相2線式は短距離小電力配電仕様で、家庭用でさえ単相3線が主流になって既存設備として古い家屋に残っている状況ですから、比較対照例にはなっても、今、長距離送電線の方式には入りようがありません。

3相不平衡是正重視の理由    <2.6.6>

<f4>
不平衡負荷
東京電力KK  電気料金の計算式
  基本料金=基本料金単価×契約電力
        ×(185−力率%)/100
 3相負荷の不均衡の度合いで電力設備利用効率が下がるので、負荷力率の良否で電力基本料金が違う(See→右枠内基本料金算出式)のと同様の、基本料金設定が求められて、在来線交流電化の最初から改良しているのかもしれません。
 交流電化方式採用の昭和30年代前後は急激な工業化が始まり佐久間ダム、黒部ダム、仲渡ダム、只見・奥只見開発などに続き、東電が尾瀬ヶ原全体の貯水池化まで計画して大反対運動で環境庁も設立されてようやく阻止された電力需要逼迫期ですから設備利用率を下げる低力率や不平衡負荷の改善は特に強く求められたのでしょう。 工業高校機械科の「電気一般」の教科書にも「不平衡三相交流」の節があって注意喚起されて居た程で、本業の電気科期末テストにもまず出題されない(∵解答時間不足)面倒な内容を、機械科でも一応は教えて実務では検討させる切迫性が有ったのでしょうか。
 国立公園の尾瀬ヶ原・尾瀬沼は発電水源として現在も東電が管理していますが、電力業者東電から見たら尾瀬ヶ原標高1400mから奥只見湖700mまでの落差エネルギーを丸々捨てている勿体ない話で、三条の滝も平滑(ひらなめ)の滝も壮大なエネルギーの無駄遣いに見えて、福島第1原発事故に苦吟する今、「せめて三条の滝下(標高1100余m)から取水させろ!」とかのゾンビ要求も充分有り得るでしょう。 超過疎地帯の田之倉湖、奥只見湖を許容する論理なら、ほぼ無人地域であり登山道すら通っていない三条の滝下に小さな取水堰を設けて奥只見湖迄の残り400mの落差で水路式発電を試みるのは当然といえば当然。発電専用なら巨大ダム建設の必要はありません。(逆に小規模で土木ゼネコンが食いつかないかも?)。
 電力機器の利用効率を考えなければ単相直で列車を走らせることは可能で、現にそうしている国もある様ですが、鉄道による不平衡が微々たるものである場合なら許容されます。 しかし新幹線は発電所1箇所分以上の電力消費なので不平衡負荷を見過ごせません。中央リニア新幹線などその莫大な電力消費から原発再稼働前提と言われていますが、開通までに使用電力の手当が必要でしょう。

3相不平衡状態試算

 平衡三相交流の線間電圧をV、1相最大電流をIm、V−I相互の位相差角をθとすると、その伝達電力Pは、P=3・VImcosθ ですが、1相だけから負荷を得ると巻線の電流容量から1.5*VImcosθ しか利用出来ません。
送電線容量でみても単相負荷では1/√3=58.7%に制限されますから、 最悪の場合、実質的な設備容量が本来の1/2=50%に落ちてしまい大変勿体ないのです。
 この救済・緩和策が3相2相変換であるスコットT結線や変形ウッド・ブリッジ結線、ルブラン結線等であり、ヨーロッパでは簡易に単相V結線による方面別饋電で不平衡を小さくしている例もあり、さらに近年は半導体によるインバータにより90度位相変換して2相間を相互に融通して3相間の不平衡を無くしてさらに電力設備利用率を上げられるようになりました。

Y結線3相4線配電線は動力&電灯共用    <2.7>

 蛇足ながら、中性線付きY結線3相4線配線というのがありまして、3相の負荷が平衡状態ですと中性線の電流はゼロになります。 送電線ですと送端から末端まで電流ゼロですから電圧降下もなく、無用のものとして撤去したものが平衡3相3線式。
 配電線にこのY結線中性線付き3相4線式の線間電圧200Vを採用しますと、中性線と3相各相との電圧は200/(√3)=115.47 [V]となります。これは米国の家電電圧規格115Vです。 すなわち米国では低圧200V動力線と、115V電灯線を共通配線で済ませて居られました。

<f5>   3相4線式配電日米比較
 日本では低圧回線が単相3線200V(=100V×2)と、3相3線200Vの所謂「動力線」と2系統となりました。各戸の消費電力が大きくなって単相3線式が主流になった今、どちらの方式が良かったか・・・・・・論議のあるところでしょう。

 日本でもΔ結線の3つの相のうちの1相をとって中点を設けて接地点として単相3線とする変形3相4線式接続で動力200Vと家庭電力単相3線100V×2を同時供給するΔ結線&V結線方式が工場構内から始まりました。 また他国とは違いモータを使う家電はインバータ方式が席巻していますが、インバータ制御LSIが得やすいばかりでなく、小型回転機用(家電としては大型)に3相電源を得やすいかどうかも絡んでいる可能性があります。 小型・簡易型インバータでは3相ではなく2相動作でモータ巻線で4相化という方式も良く見られて、一般家庭に3相動力線が得にくい分を埋めています。

Y結線Δ結線  <2.7.2>

 中性点のある「Y結線=星型結線」は、そこを接地することで砂塵などで送電線に誘起された静電気を安定的に放出しやすいとか、地絡事故検出がたやすく、遮断しやすいとかの利点があり、送受電端の少なくとも一方はY結線とするようです。 交流電化でのスコットT結線の1次側にはこの中性点が無く、中性点を必要とする場合は変形ウッドブリッジ等を採用することになります。 この点、電鉄動力の直流は地絡事故検出が特に難しく桜木町事故(1951/04/24)などの悲劇を生み、対策として車両の難燃化と避難路の確保・明示に加え、地絡遮断を確実にするΔI遮断などが開発・採用されました。
 一方、「Δ結線=環状結線」は、鉄心の非線形から生ずる3次高調波を短絡して、送電線には出ないようにして歪み波交流による瞬時値の異常電圧発生を防ぎますので、水主火従の(+原発リスク抑制の)長距離送電である日本ではこれも特に採用したく、中間変電所などでは同期調相機を接続する3次巻線にΔ結線を採用するなど、YΔ両結線を意図的に併用しています。 電力事情が悪く停電も頻発していた時代、末端家庭用電力の波形がまるでバイオリンの音波形をオシロスコープで見ているように3次高調波が乗っているのが観測されたこともあります。 今はおそらく見られないでしょうが。

 料金契約はこれとは独立で、単相でも動力契約は可能だそうです。逆に大型灯台などは3相交流で点灯していますが、あれは「動力契約」でしょうか?「電灯契約」でしょうか? それとも自家用で部内結線は自己責任基本の「高圧受電契約」でしょうか?やや野次馬的ですが、近年、町のコンビニにまで駐車場の隅に1号柱とキュービクルが置かれて高圧受電の自家用が増えていて、その辺の事情は興味あるところです。「1号柱」というのは電力会社と需要家の間の「責任分界点」として高圧受電の場合に設置されるもので、柱上には断路器が設置されています。蛇足ながら一般家庭向けの低圧契約では、引き込み線が建物に最初に引き留められた場所が「責任分界点」とされます。集合住宅ではそこから各戸毎の分岐までが「集合住宅の共有部分」とされ、電力会社に責任はありません。

【 赤字の2重計上、高利資金調達赤字 】    <2.3>

http://haruka.saiin.net/~mirai/shinkansen/512.htm
× しかも年間約1兆円の赤字と1兆円近い利払いをあわせると、長期債務残高は毎年2兆円近いペースで増加の一途を辿っており、
○ しかも年間約1兆円の赤字は、1兆円近い利払いで生じていて、長期債務残高は毎年1兆円近いペースで増加の一途を辿っており、

 東海道新幹線開業の1964年から赤字転落し、23年後の分割民営化時1986年度の累積赤字が約27兆円(記事では25兆円)とされ、目の子で均して年間1兆円余の赤字で、これはほぼ利子支払い分です。
国鉄法で国が面倒をみるはずだった各年の赤字分=設備投資分を高利の借入金で賄ってその利払いで生じたのが国鉄累積赤字の実態。営業収支自体はほぼ一貫して収支トントンだったのが「国鉄累積赤字問題」の実相です。
自民党への政治献金の30%で最大寄与率を占めたのが鉄道債券で潤った銀行業界からのものでした。
 この辺は記事でも「5方面輸送改善計画の資金計画の失敗で、当初から破綻する事が分かっていた。労務費は原因ではない」と述べていますが、そこは言い方の違いで、目先の収支を超越した必要な社会インフラ整備が国策として先にあり、国鉄法の建前から政府補填するはずのものだから、そのままでは破綻必須の資金計画で工事を進めたのであり、独立企業としての資金計画の無茶に見合う政策的財政的対応を取らなかったから当初計画予測通り破綻したので、国鉄労使に責任を問うべき内容ではありません。人件費・労務費が破綻原因でないのはその通りです。

【 美濃部×達吉(父法学博士) → 美濃部○亮吉(都知事) 】    <2.1>

 阪神淡路大震災1995/01/17当時に受験生だったという執筆者の年代は1977年頃誕生で、2003年末に執筆していますから、生まれる10年前、36年昔の1967年4月都知事選挙で初当選して3期12年在任した初の革新都知事美濃部亮吉氏(1904生-1984没)の名前を、その父の美濃部達吉博士(1873生-1948没)と間違えても無理からぬところですが、達吉氏の方は学説として通説化していた「天皇機関説」提唱の責任を問われて弾圧を受け、貴族院議員辞任に追い込まれて、さらにテロに遭い重傷を負った法学者で、こちらには都知事の経験はありません。単純ミスではありますが、以下のページで「美濃部達吉」博士と誤っていました。
http://haruka.saiin.net/~mirai/shinkansen/502.htm
   × 当時の東京都知事・美濃部達吉氏が    達吉=天皇機関説で弾圧された父の方
   ○ 当時の東京都知事・美濃部亮吉氏が ・・・・と思うが、・・・・・反対理由のニュアンスは違う
http://haruka.saiin.net/~mirai/shinkansen/505.htm
計画決定4ヶ月前の1971(昭46)年6月15日付の公文書で、
   × 東京都知事・美濃部達吉は国鉄総裁・磯崎叡に対し、
http://haruka.saiin.net/~mirai/shinkansen/512.htm
   × 革新都政を率いていた当時の東京都知事・美濃部達吉から



2014/06/30 23:55

[Page Top↑] 旧
新
雑談
Geo雑談
戻る