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どこが問題だったか?福島第1原発事故現場
野良配電盤地絡故障事件

 福島第一原発事故収拾作業現場で使用済み核燃料貯蔵プール冷却に使う電源盤が長時間にわたり停電して、その原因が鼠が配電盤に入り込んでショートさせて地絡、保護回路が連動して他の配電盤も落としたためだったことが判り、原因究明に長時間を要したことと、トラックの荷台に置かれた仮設配電盤だったことで厳しい非難を浴びています。加えて、構内電話としたPHSが通じない領域での故障で情報伝達に難儀し原因究明に手間取り、未曾有の原子力災害対応途中のトラブルとして不安感が特に強調されました。

 しかしながら、事故収拾作業現場としてみると、その論調には乗りがたい点もあります。一刻を争う緊急対応として粗雑は承知の作業も数多くあったでしょうに。原子炉事故発生直後は、再臨界による爆発まで想定される命懸けの緊急事態で、一刻も早く冷却するために消防車どころか、自衛隊のヘリコプターまで動員して2階から目薬的な冷却パフォーマンスまで演じて事故収拾作業への集中を図った経過から、排水パイプも総て地上を這う臨時設置で、絶えず漏れっぱなしを塞ぎながら使っている訳で、想定していなかったシビヤアクシデント処理中に次々起こるトラブルをモグラ叩きの様につぶしながら押さえ込むもので、この臨時措置の不安定さは事故収束まで続くでしょう。応急配線を状況展開に合わせて切り換えるたびに通常は一旦停電させて作業する訳で、6000Vを通電したままの「活線作業」は配電線以外の一般現場ではごく例外です。

 この間に、事故対応臨時設備をリスクの大きい部分から順にどれだけ安定化するかの話で、今回地絡事故で停電した「使用済み核燃料冷却プール」は、対応時間に数日間とかなりの余裕があって、取り敢えずの緊急冷却の必要はなく、手順を追って配電盤側の故障個所を捜して復旧しても十分間に合うという判断なのでしょう。
 修理が予想外に手間取って温度が上限に近付いたら緊急注水など他の即効的手段を採れば良いわけですから、オペレータ側からすれば想定範囲の安全領域で、大問題になるとは思っていなかったと思います。
 メンテに手出しできない一般ユーザーが使う高圧受電設備ならトラブル予防に「鼠侵入防止網」など、かなり厳密なものが必要になりますが、事故現場に張り付いているのは一応は電力の専門家たちであり自分で手を打てる人達が操作する分には、不具合を治しながらの対応でも許容範囲だと思うのですが・・・・・。

 結局、実質の問題としては臨時配電盤周辺の構内連絡網が動作できず連絡に齟齬をきたしたことで原因究明に時間が掛かったので、連絡不能領域の放置が事故収束作業の怠慢として責められることになりますが、未曾有の「原子力災害」という中での、状況の分からない電気トラブルへの一般国民の強い不安感を、電力機器を日常扱う側が読めなかった齟齬が大きいのではないかと感じました。厳しい批判が湧くのはデタラメな「安全神話」で一般国民をずっと欺いてきた当然の報いではありますが、地絡修理実務方を責めるべき内容ではありません。

若年者過半数が非正規労働では当然の実情
奨学金返済滞納率1/4!    <2>

奨学金滞納率  進学ローン化した奨学金の返済がデフレ下では特に過酷であることを日記#322-2で指摘しましたが、弁護士らが「対策会議」を設立して奨学金のあり方を考える集会を開いたとするニュースのなかで、滞納者数が貸与人数の1/4以上にものぼるという驚くべきグラフが掲載されました(右枠内グラフ)。さらに、有利子奨学金が70%を占めて無利子貸与は30%前後、払えなくなると「延滞金」を課してブラックリスト登録して信用決済の場から閉め出して破綻させてしまう非情・不当なサラ金型債権回収となっています。これではもはや「奨学金」とは呼べず取り立ての厳しい教育ローンに過ぎません!

 先の試算では、日本育英会の奨学金総額(高校+大学)は借りた時代の高校卒初任給\6,500.の約50ヶ月分が、返済時の高卒初任給\65,000.換算では5ヶ月分に圧縮されて大変返済しやすくなっていたことを指摘しました。当時の正社員での就職率は90%以上と非常に高く、そこまで返済が圧縮されれば支給制か貸与制かは実質ほとんど問題にはなりませんでした。

 翻って現状は、青年の過半数が身分の不安定で低賃金の非正規労働で、しかも20年間も続くデフレ物価安定で借入額そのままの返還を求められて、非正規派遣の身分では賃金が低すぎて奨学金返済の余地がほとんどないことで、貸与人数の1/4強の返済者が延滞者となっており、大学を卒業しても半数近くが意に反して非正規・派遣社員となる現状では奨学金を返せる当てがないので、奨学金は申請せず、進学も諦めてしまい、実質的に奨学金の意味を喪わせています。

 ここはやはり国際標準である「教育無償」を日本でも批准した条約の通り実現するべきで、奨学金は有利子などもってのほかで、貸与ではなく渡しきりの支給制に切り換えて、国として優秀な人材を確保していく必要があるでしょう。
 かっての日本育英会奨学金は一般貸与が無利子、特別貸与は一般貸与の3倍〜後年1.5倍を支給して一般貸与との差額分は返還免除としていました。さらに教育・研究職などに一定期間就くと一般貸与分も返還猶予・免除していました。このように奨学金・特別貸与には当初は国・社会に必要な人材確保という性格が強くみられたのです。その経過からして、所得水準で返済を猶予して、十分な収入のある正社員からはきちんと返して貰うという運用も本来可能です。今の回収優先で自己破産に追い込む様なサラ金型教育ローン奨学金は直ちに改めるべきです。
 堀江モン村上型、首切り推進の大企業型人物のような、自分だけ儲かればよく後は野となれ山となれという手合いに返済無用の奨学金支給などトンでもない!という気持ちになるのは当然ですが、優れた人物たちに十分な教育を施して国民が働く場を作って貰うなど社会皆のために働いて貰うというのが本来の主旨でした。それを首切り「合理化」を進めて職を奪った企業に補助金を支給するようなアベコベ政策で国全体を疲弊させていることが問題。
 この状況は定年後の技術者達を1/3〜1/4の低賃金で使う「定年後再雇用制度」に押し込もうとして、東南アジア各国の技術指導に追いやって高度の製造ノーハウを皆バラまいてしまい、そちらに製品シェアーを奪われて国内では立ち行かなくなった、目先の利益のみを追って自分たちの首を絞めた愚と共通の奨学金=教育ローン化です。授業料無償、奨学金は支給制を日本でも常識化しなければなりません。

これ以上、どう解雇自由にするのか?
安倍・小泉・竹中派遣屋会長の新自由主義横暴路線  <3>

 派遣労働の自由化で、企業は受注に合わせて人員採用と解雇を繰り返すようになり、将来の生活設計の立たない非正規社員が青年労働者は過半数を越えてしまいました。非正規社員ですと結婚どころではなく、最近のアンケート調査では交際している異性が居る割合が正規社員の半分以下といいます。出産が急激に減り、年齢別人口分布がかってのピラミッド型から、かってのフランスのようなネギ坊主型分布になって、近い将来急激な人口減少が予想され社会が成り立たないほどの酷い状況になりました。派遣期間が1年とか3年を越えると直接雇用にするという「規制」は企業側の脱法措置で、期間到達直前に解雇して再雇用する形で長期に不安定な派遣・非正規状態に置かれて、裁判をして直接雇用を認めさせても、1年契約などの罠を設けて、ここで「合法的報復解雇」を強行するという不当なやり方が、日本を代表する大企業の多くで採用されています。これ以上、どう解雇を自由にしろと言うのでしょうか!
 「派遣」の形を取ることで、労働組合に結集できなくして、首切りも賃下げも企業の思うままにして、御用組合連合各労組は短期間派遣労働の更なる自由化を要求する酷さ!1985年頃、この労働者派遣法と、労働運動粉砕を目指す国鉄分割民営化法が通されて、左派排除・総評解体、御用連合支配が図られて、以来20有余年を掛けて低賃金で身分不安定の非正規労働激増の現在に至りました。
 今論議されている解雇の自由化は、正社員の解雇自由化で、裁判で解雇無効の判決が出て不当解雇が明らかになった場合に、金銭を払えば合法とされる、無制限な解雇の自由化で、恣意的な解雇の合法化!労働者を守る労働組合死刑法となる悪法です。

 これまでも企業が使う労務対策書には「負けて勝つ方法」などとして、労働組合の運営を担う活動家を不当解雇して職場から排除し、数年掛かりの裁判で職場復帰したときには御用組合を強化し配転や威嚇で活動家の影響力を断って会社の意のままに職場支配する方法が積極的に紹介されていました。私自身、新卒幹部要員研修時に資料として読みましたし、労働基準監督署の査察を上手く交わす接待術とか搦め手のあの手この手などを伝授されたものですが、それらをさらに進めて強者である企業側を規制して対等交渉の保証を目指す法律を企業側に都合良く変えてしまい、不当解雇という判決が出たら被害者の合意など関係なく金銭を支払いさえすれば解雇自由にするというのです。
 労働組合を結成して個人個人では無力の労働者に力を付けて使用者と対等を目指して交渉して労働条件交渉するというのが労働法の建前で、それを金銭支払いで根本から崩してしまう労働者奴隷法が、今財界が要求し安倍首相らが検討している解雇の自由法です。現状の派遣労働者だけでなく、正社員からも労働組合を使った交渉手段を奪ってさらに劣悪な労働条件押し付けを図ろうとするもの。経済的民主主義を根本から破壊してしまう「規制緩和」で、資本側は絶対に手を出してはいけないタブーです。これは実に酷い!「労使の対等な交渉」どころではありません。雇用関係ではすべて言いなりしか認めない徹底した独裁体制です。安倍晋三首相・竹中平蔵人材派遣パソナグループ取締役会長らは日本をかっての「怒りの葡萄」の時代のアメリカにまで貶めようと言うのでしょうか!

2013/04/04 23:30

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