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ヲイヲイッ!勘弁してよ〜!

ベントした水素が建て屋内で大爆発!
半可通がマニュアル無視で指示命令
440V系の第一原発支援に220V電源車を送って働けず!
原子炉緊急停止時の命綱=送電線は非原発用の耐震基準
ってホント?!

半可通素人がマニュアル無視でプロに指示命令    <1>

 緊急事態に思わぬポカをしでかすのはよくある事で、そうならないためにマニュアル化した想定と実地訓練を繰り返して対処し、一朝ことあれば先ずは想定に沿って一挙に対応を取りながら、想定から外れる部分について考えながら修正していくべきものだ。

 だから、送電系統につながる特別高圧鉄塔が激しい地震で崩壊して冷却電源を失った福島第1原発で最大設定値5.7mとしてしまった迂闊な想定を超え浸水高16mに達する巨大津波で非常用ディーゼル発電機までもが停止して冷却動力を失った後、緊急冷却タービンや蓄電池に頼り冷却水を供給し続けて、水が尽きると海水冷却に切り替えるというのはマニュアルのシナリオ通りだから、その流れで作業する限りは特別の変更判断は要しない。事前想定とは違うことをする場合に特別の判断が必要なわけで、それまでは事前想定通りの措置を進めるのが筋だ。

注水中断なしは他幹部も知っていた
   週刊朝日'11/07/22号p141第4段L−7〜
   福島原発最高幹部匿名氏談

 全面停電で冷却不能に陥り暴走を始めた原発を爆発させないために必死の手立てを取っているときに、海水注入中断は絶対に有り得ず、それは東電幹部の一部も知っていたはずだが、行き掛かり上訂正できず、「吉田所長の独断で給水継続」として政府・管首相との関係を切り抜けた。

 後知恵でいくらでも脚色できる面はあるが、これは拾って良い「事実」だと思う。本社技術系幹部が冷却の絶対的重要性を知らなかったというのはなかなか考えがたいからだ。しかし主力の文系幹部は迎合方針だったのだろう。現地で奮闘する吉田所長だけに管首相支持無視の正当操作決定の責任を負って貰う、打撃最小の巧みな方針。事故現場で命がけの陣頭指揮で技術的には正しかった所長は現場からは外せない。

 しかしこれで東電の発表は、益々真相との意図的乖離を疑われるようになって諸刃の刃になった。本来は、イラ管相手に迎合することなくストレートに技術解説して半可通指示命令を引っ込ませるべきであった。公聴会のやらせなどで騙してばかりだから、技術的に絶対譲ってはならない事項で断固突っ張ることが出来なくなったのだろうか?

 また、建屋カバー設置は放射能の飛散防止目的ではなくGoogle Earth等で世界に実情が曝されるのを避けるための本店主導・政府同意の愚行らしい。現在はGoogle Earthで「福島第1原発」を検索すると、鉄骨剥き出しに吹き飛んでいるナマの事故現場がそのまま見えている。    '11/07/13追記

 この基準で見たとき、福島第1原発吉田所長が真水切れを受けて海水注入を開始したのは想定マニュアル通りであり、想定にない特別の技術的事情が生じない限り、継続しなければならない。
 ところが東電本店は、科学的技術的必要性とはまったく無関係の「イラ菅=菅首相の不興」を理由に注水中断を決定。「海水注入は真水が尽きた場合の次の工程として予めマニュアルで決まってる!」とイラ管に説明すべきところを黙って引き下がってきて本社に状況連絡したことになるが、そんなことをしたら却って危険度を増すので、事故対処に直接責任を負う者としては到底受け容れられない。しかし、そういう妥当な主張を聴いても理解できない本店幹部たちが現場責任者の反対を抑えて停止決定を強行すると却って面倒だと思えば、技術的にはわからんチンたちの無茶な決定を無視して注水継続したのは無理からぬところだと思う。技術的措置の流れに反する横車を通そうとしたのは東電本店幹部たちだし、技術的事情も分からず怒鳴り散らして海水注水を非難したのは原発半可通の菅直人首相ではないか。
 ここでもし吉田氏が本店との協議の場できちんと理由を含む見解を述べて海水注水停止という想定手順にない新たなアクションに妥当な理由が無いことを指摘していれば、たとえ本店決定無視でも注水継続は非難のしようが無かった。生命にかかわる重大な緊急事態での知識不足素人の間違い決定なのだから。

 首相指揮は細々のプラント操作は現場と専門家に任せて、もっと大枠で指示をしてもらわないと困る。たとえば直ちに放射能汚染地図を作って、その結果を公表して緊急避難命令を出すとか、現地に所長を含む具体的指示部隊を置いて助けるとか、上としてのやり方は幾らでもあるのに、総司令官が一番槍のスポットライトばかりを追って、基本方針を出せないのは大変悲劇的事態である。

土嚢じゃ正面からの42km/h激流に耐えられない    <2>

 福島第1原発吉田所長が大きな余震による津波の危険対処に第1原発を覆う防潮堤設置を求めたことに対して本店は「土嚢を積む」と決定したことで、吉田署長は「災害現場を理解しない机上決定!」と怒り心頭とか。それは当然だ。
 土嚢というのはジワジワ水位が上昇した場合には耐えられても、水壁に真正面から高速でぶつかられてはひとたまりも無く吹き飛ばされてしまう。水力発電で速度水頭を扱う電力会社の判断としてはあまりに無知蒙昧、愚の愚の判断である。河川の護岸で土嚢が有効なのは流れの方向に沿う設置だから動圧を受けないで済むからである。今、大規模余震による大津波に襲われたら、到底収拾のめどは立たない。

 福島第1原発を襲った大津波は15m高のタンクを全面水没させ、後ろの丘を22m高まで遡上したと報じられているから、速度水頭としては6m〜7mあったことになる。0.6〜0.7気圧相当の大きな圧力だから土嚢でもつとは到底考えられない
 水自体の速度V2=2g×遡及高H (gは重力加速度9.8m/s2)だから、
速度V=sqrt(2×9.8×6)=10.8m/s=39.0km/h〜
 〜V=sqrt(2×9.8×7)=11.7m/s=42.2km/h の猛スピードで押し寄せてきたことになる。
 (正味の津波の高さが10mだったという報道もあるので、遡上高22mとの差12mが速度水頭だと考えると
速度V=sqrt(2×9.8×12)=15.3m/s=55.2km/h だったと算出される)
真正面から押し寄せるこの高速津波を土嚢で防げるのだろうか?まず無理では?。
 東電本店はなぜ責任ある技術者の科学的根拠ある重大見解を無視、棄却してしまうのか!?政府も同様だが、、、。

440V系の第一原発支援に220V電源車を送って働けず!    <3>

週刊ダイヤモンド
’11/5/11号p47上段L3〜
     大前研一氏談

 ・・・・、今回の事故は、非常用外部電源を喪失したことで原子炉の冷却ができないという深刻な事態に陥りました。しかも、原子炉の機器が440/6000Vで設計されていたのに対し、駆けつけた日本製の電源車は100/200Vだったので、まったく使えませんでした。
 一般市民が電池を買いに行くのだって、その機器が単1〜単4、006Pの9Vかは調べてから買いに行く。それを、福島原発の低圧系が440Vなのに、220Vの電源車を送ってしまい、長時間かかって到着したものの、用を成さず時間を無駄にしたことで事故を深刻化させただけだった!という週刊誌記事にしばし唖然(週刊ダイヤモンド2011/5/11号p47上段L3〜大前研一氏談)。双方の仕様も確かめずに電源車を派遣したのか!要求仕様も付さずに電源車派遣要請をしたのか!工場現場だと三相三線200Vと単相三線100Vが圧倒的ではあるが、稀には三相三線100Vとか440V配線は見かけるし、レンタル業者のディーゼル発電機は三相四線星型結線式で三相200Vと単相115Vを得るか、単相100Vを得ていた。電力会社で原発への派遣が考えられる電源車が、なぜ全電圧具備ではないのだろうか?
 根拠の無い安全神話にドップリ漬かり、リスク想定の検討を舐め切っているから、内容ではなく「電源車」というレッテルさえ運べばよいという軍隊将棋型の単純化がされて疑問にも思わなくなる。

ベントした水素が建て屋内で大爆発!
   4号機爆発も3号機からの水素だ!    <4>

 水素爆発の原因は、炉心からジワジワ漏れ出した水素の爆発ではなく、圧力容器の爆発を防ぐための「ベント」で大量の水素を建屋内に放出したことで、何らかの火花が引火・爆発したとの見解がFriday誌に掲載された。こうした事態を想定して建屋を大きく開放できる構造になっているそうだが、それが閉じられていて建屋が吹き飛んだのだとか。ベント時に建屋外に放出していたら、あるいは建屋を解放して大気に逃がしていたら、あんな大事にはならずに済んだ。
 それなら2号機建屋がやや原型を留めているのは、大津波で若干解放してしまったからで、4号機の爆発も3号機ベント時に噴出した大量の水素が配管やピットなどを伝って4号機棟に進入して爆発したのではないか。それは4号機使用済み核燃料プールの燃料破損が無いことと符合する。

   [補足]排気水素が逆流、爆発か
       東電側「設計に不備」    <4.2>

 6月4日の朝日朝刊1面トップに「排気水素が逆流、爆発か/1号機 東電側「設計に不備」と報じられた。それはベントの配管と、建屋内のガスを放出する配管を合流させていて、全電源喪失でガス放出配管の弁が開いていて、ベントした水素が建屋内に逆流して水素爆発に至ったと述べている。
 これは先の写真週刊誌の報道が、「操作を誤って建屋内にベントした」ことで水素爆発したとなっているのを、朝日紙上で「操作を誤っては居ない」「逆流は予想外」(「ベントの排気が爆発したのは事実」)と爆発原因の大筋を認めて補正・弁明したが、それは重大な設計ミス、検討不良の存在を認めたことになる。
●まず、ベントの排気配管と、建屋内の排気配管を合流させる必然性が無いのに、合流させたことで、合流点から外気までの排気抵抗圧で建屋内への逆流になった。別配管であれば逆流は起こらない。
●全電源喪失の危険な可能性を国会審議(吉井英勝議員質問など)で指摘されていながら、自公政府として「理論的可能性であって、現実にはあり得ない。」として「全電源喪失対策は考慮する必要なし」という通達を維持したことで、大津波の対策促進や、停電時に遮断弁が開いてしまうことや、ベント時の逆流防止には合流させない独立配管が適することを認識する機会を奪った。
 信号系統のフェイルセーフの考え方から言えば、落ちてどういう状態になるかのは重要な判断なのだが、建屋排気弁は停電時には閉じるべきなのか?開くべきなのか?そういう判断が無かったとしたら、それも安全設計の検討不足である。(11/6/5追記)

原子炉緊急停止時の命綱=送電線は非原発と同じ耐震基準    <5>

 原子炉を緊急停止した場合の後処理用エネルギーが莫大に掛かり、普通なら送電線を逆送した電力で冷却することを今度の原発爆発災害で初めて知った。今度の震災では地震そのもので発電所構内の送電鉄塔が崩れてしまい、送電・受電不能になったことで非常用ディーゼル発電機が起動して核燃料崩壊熱の除去を継続したのに、肝心のディーゼル発電機と冷却用海水循環ポンプが津波に見舞われて動かなくなり、大事故に至った。原子炉緊急停止時に非常冷却用のタービンがあって自動起動していたが、熱交換機への冷却海水が止まるとこれも用を為さなくなる。
 そんな重大な冷却電力を供給する送電線の耐震基準が、原発用の特別のものではなく、一般基準で建てられていたため地震そのもので崩壊、10日余も復旧できなかったとは。
 そういう関係を知らずに中越沖地震での柏崎刈羽原発のトランス火災を軽く見ていたが、実は大変危ない事態だった訳だ。あの時点で原発送電系統の耐震性を見直して耐震補強していれば、全電源喪失は避けられた可能性はある。安全神話で真摯な検討が為されなかったのではないか?かって工高電気科で「原子力発電」の講義は受けているが、薄いテキスト1冊きりで、訳の分からない抵抗RコンデンサーCの並ぶ等価回路が無解説・無定数で掲載されているだけで、最も重要で奥の深い安全維持問題が絡む詳細は全く説明されなかった。

「想定のエラー」は安全神話に幻惑され真面目な検討を放置した結果    <6>

 これだけ誤判断を繰り返すというのは、不眠不休の収束作業による疲労困憊というだけではなく、自らの安全神話に浸って、過酷事故は起こらないという思い込みの下で、リアルな事故想定シミュレーションをして来なかったから、一挙一動に未検討のエラーが出てしまうのではないだろうか。既にメルトダウンしているなどとは思いもよらなかったからこそ大量の水素を想定せず建屋内に吐出して水素爆発の大事故にしてしまったのだろう。

 2006年来の吉井英勝議員の原発津波冷却不能質問URLを日記#269に記したが、あの具体的な冷却不能の指摘を「あり得ない、起こりえない、純理論上の仮定」と切り捨てた結果の、質問通りの大惨事になったわけで、無批判に引き継いだ現行民主党政権の責任も大きいが、むしろ、原発安全神話を日本全国に振り蒔いた原子力村と歴代自民党政府、その与党公明の責任は極めて重大である。
 なお、吉井英勝質問の総論部と言うべき原子力発電問題の1980年前後からの不破哲三質問が5月初旬発行の「前衛」6月号誌上に吉井質問と共に一括掲載されていて、問題点がきれいに理論整理されていて、総武線稲毛駅の本屋で衝動買いしてきた。この本はほとんどの本屋には置いて無くて、千葉は旧市街の老舗本屋か、稲毛駅高架下でしか見られず、仕事途中の新宿か神田神保町で入手することが多くなる。激越右翼誌とか灯台とか宗教本はどこの本屋にも売っているというのに、左側マスコミの凋落は朝日ジャーナル休刊辺りから著しく激しいものだ。だが、赤旗新聞販売店で買うと定期購読を迫られそうなのがおっくうで敬遠だ(w。書物はやはり衝動買いに限る。

「電気自動車」は原発前提の製品?    <7>

自宅コンセントからの充電は無理では?

 省エネ、脱原発の一環として、さまざま検討されているが、電気自動車になった場合、「容量の小さい自宅コンセントから充電可能なのか?」という疑問に突き当たり、さらに現行レシプロエンジン車と、電気自動車でどちらが効率が良いのかを突き詰めると、火力発電+電気自動車と、レシプロエンジン車の総合効率がほとんど同じで、電気自動車に特別の利点が無く、長時間の充電を必要とする弱点が目立つことと、深夜の充電のために現行の家庭での消費電力を超える電力が必要となり、車充電専用コンセントや、専用スタンドが必須となる、CO2削減に夜間の原発電力を利用するスキームなのだと気付いた。原発利用が前提でなければレシプロエンジンと蓄電池によるモーターのハイブリッド車の方が効率が良く、何より手軽なのだ。

電気自動車VSレシプロエンジン車    <8>

 レシプロエンジンのエネルギー効率は概ね25%前後とされている。残り75%は最終的には熱として捨てられている。
 電気自動車は、インバータとモータ部の総合効率を仮に80%としても、充電による損失もあるので充電効率も仮に80%として、ガスタービン式複合火力の熱効率を45%(千葉火力LNGタービン(ACC)で49%)、送電配電効率を80%と仮定すると、総合効率ηは、
   η=0.45×0.8×0.8×0.8=0.2304〜0.25 
 電気自動車25%効率は、レシプロエンジン車25%と変わらない。発電所の大型化で排ガスを減らせるかどうか、充電にはかなりの手間が掛かって便利にはならない。
 唯一、絶対的な効果は原発の夜間電力の利用だけである。原子炉は熱ストレスを避けるため日常的には熱出力調整は行わないから、余った熱エネルギーは冷却材を介して捨てている。夜間捨てている熱エネルギーを、電気自動車が電池の充電に使うことによって、原発エネルギーの採算性向上が図れるというわけだ。

電気自動車の充電量は?    <9>

 レシプロエンジン車の日常的使用状況として次の様に想定し、電気自動車に換算する。
通勤使用の場合、片道40km=往復80kmを毎日乗車し、燃費がガソリンでリッター当たり10kmを走行、ガソリン1リットルの熱量を12,000Kcal/lとすれば、1日に費消する運動エネルギー量Eは、1cal=4.185J で、レシプロエンジン効率0.25との仮定だから、
   E=(80/10)×12,000.Kcal×0.25=24,000.×4.185KJ=100.440MJ
この運動エネルギーを充電効率0.8、メカエネルギー変換効率0.8のモータから得るが、8時間律の充電を行うとして充電電力Pを求めると
   P=100.440/0.8/0.8MJ/(8×3600)s=5.449KW、
   電気料金@24.13×5.449×8=\1,052.、 ガソリン代@150×(80/10)=\1,200. 機材代でほぼ同水準
 100V換算で約55Aの電力が8時間必要で、これは一般家庭の電力契約20A〜60Aを超えかねず、夜間契約としても約2倍になる。100Vコンセントは20Aが最大、200V充電専用コンセントで換算60Aということだろう。60A容量では今のままの家庭用コンセントでは利用できず、充電専用コンセント、あるいはバッテリーを持ち込んで交換する充電スタンドが必要ということだ。が、オール電化推進政策を一旦取り下げている状況で、当面の電力不足下での普及はなかなか難しい。

 以上の通りなら、脱原発政策を採れば、電気自動車にメリットが無くなるので儲け優先の企業からは猛烈なアンチ脱原発運動、原発維持拡大工作が行われ続けるだろう。
 急激な管降ろしの動きも、脱原発に見える管首相のパフォーマンスに対して、与野党にはびこる原発養殖議員たちの策動という見解も説得力を持ってくる。自身の半可通を意識せず、総て自分で仕切りたがり、大局の流れを作るのではなく、スポットライトを追いかけてそこで踊るだけの軽薄さにはうんざりなのだが、せめて座敷牢に閉じこめて、有能な実務者が場所場所で力を発揮できる体制が必要だと思う。阪神大震災時の村山首相の直接のリーダーシップは見えなかったが、能力の高い実務者にそれぞれの分野を任せて転がしたから、被災者支援や復興は桁違いの規模の違いがあるとはいえ、節々での愚劣なパフォーマンスで流れを堰き止める管支配下の現状よりはずっとスムーズに見えた。

2011/05/31 00:15

自然エネルギー転換への課題    <10>

 実務は思いだけでは動かないので、自然エネルギー利用への切替に際してのネックも整理しておこう。
 まずは、水力発電と地熱発電を除く多くの自然エネルギーは発生条件が変化する自然条件次第になり、ムラが有るので、蓄積保存が必要だが、電力の蓄積技術は小容量に留まっていて、ハイブリッドカーや電気自動車のニッケル水素蓄電池〜リチウムイオン電池程度に留まっていること。大規模な蓄積装置として実現しているのは、揚水発電だが、総合効率は発表されていない。定出力運転で夜間は大量に捨てられている原発エネルギーを少しでも利用して発電コストを下げる試みだから、原発が全面停止になったり、夜間もフル利用されるとあまり意味のない設備の様である。超伝導や超流動は研究中で、弾み車も鉄道車両に適用できるかどうか程度の小規模で実用に今一歩である
 電気2重層蓄電器は高効率で有望だけれど、まだまだ容量が小さすぎて用途が極めて限られる。現在、貨車の滑走防止装置(アンチスキッド装置)の電源として実車で実用化試験が進んでいる筈だが、、、、、消息不明。電車への利用はあまりに瞬間で、実用化にはほど遠い状態。
 化学電池の弱点として、低温での極端な性能低下があり、雪の日はエンジンが起動できなかったという原因の多くはこの低温による特性低下のためである。ニッケル水素(←勘違い。高価だが高性能なリチウムイオン電池を入手)リチウム・イオン蓄電池を使った電動アシスト自転車の使用経験でも、15℃以上と、降雪時の0℃付近ではその実走行距離=実充電容量が3倍ほどは違う。フル充電で当初50km近く走れたのが、降雪下では15km余がやっとなのだ。今冬それに気付き、寒い早朝に乗る予定のあるときは、走行用電池を外して居室内に置いて温度低下を防いで利用し、途中エンコを防いだ。バッテリーの上がったアシストバイクで坂を登るのはかなりきつかった。太陽電池など蓄電が必要なシステムの蓄電池にの蓄電時には強力な断熱・保温が必要なのではないか?充電時には発熱があり、その除去が必要だから背反の性質で困る。電池に保温ヒータでも付けることになるのだろうか?

 発電方法としては、水力はダム適地が既に無くて一旦終わった方法で、既存水利の未利用落差をどの程度掘り起こして利用できるか(水力発電では水自体は元の河川に戻すが、落差分の区間は水が無くなる。JR東日本信濃川水力発電所の過剰取水により水流枯渇問題など)、地熱は温泉利用権が絡むから、諸外国では既に日本製プラントが稼働しているが、温泉大好きの日本では先取利用権と競合してその権利調整がネック。太陽光、風力、潮力、波力はエネルギー密度が低いことで大規模な施設が必要で、現在の技術では直ちには埋めきれず、開発資金と開発期間が必要なこと。

 発電段階で捨てられる60%もの熱エネルギーに着目すると、熱水などとして利用するコジェネレーションシステムだと、その廃熱回収分の効率向上が期待され、遠くの原子力発電所や大規模火力発電所(49%)より高効率化が可能であることを示す。取り敢えず廃熱の1/5=12%回収できれば、総合効率としては52%に達し、長距離送電損失も無いのでさらに有利になる。リニューアルされたコンバインドサイクル発電(=LNG燃焼ガスタービン発電の廃熱でボイラー式の発電も行う千葉火力発電所、JR東日本川崎火力など)の効率49%は、現状での究極の熱回収をしていて、旧型火力発電設備の更新と、新設のさらなる高効率化が開発課題であることをしめしている。(温度差の少ない方が効率を上げるのが難しい)

 さらに省エネルギー対策としては、建物の断熱性の飛躍的向上には、今から基準を定めてもその全面適用には建物や機器の寿命だけの年月が必要だし、夏の防暑は、太陽熱を建物内には入れない工夫で冷房電力が大きく変わる。すなわち、室内のブラインドやカーテンでは、反射光分は減るが、遮蔽物本体とガラスに残された熱は排出しなければいけないから、建物の外側で遮断する方式の方が有効だ。すなわち外吊りのブラインドか、植栽で日差しを遮り、外気中に熱を放散すればその分冷房は無用になる。開口部として太陽に向いた 3 m2 の窓があると、晴天で 3kW もの熱量が室内に照射されるので、これを受け入れれば強力暖房になるし、遮断すれば冷房力の大きな節約になる。熱線吸収ガラスも良いが、それを外気の循環で冷やさないと、その放射熱でかなり暑いことは近年のJR東日本の電車でも経験する通りである。
 自然エネルギー切替までの繋ぎの化石燃料(?)として、大量のメタン・ハイドレート(メタン氷結鉱床:バミューダトライアングルでの旅客機行方不明事件の真因ではないかと指摘)の存在が指摘されているが、地球温暖化のCO2源であるところが泣き所だし、更にはこのメタンガス氷結鉱床の気化こそが地球温暖化の真の原因ではないかという説もあって、実用化は技術的にはたやすい様だが、どの程度使って良いかはこれからの検討になる。

太陽電池を検討    <11>

 取り敢えず太陽電池について検討しておこう。
まずは基本数値として、太陽光エネルギー密度≒1[kW/m2]
太陽電池の変換効率≒5%〜20%、通常15%前後
斜入力補正=cos30°=0.866 併設太陽熱温水器=5%
DC-DCコンバータ効率≒90%
バッテリー充電効率≒75%、 コンデンサー蓄電利用効率=90%
DC-ACコンバータ効率≒90%

 一般家庭の消費電力を仮に30A max、300kWH/月=10kWH/日とするとき、有効日照時間を9時〜15時の6時間とすれば、1日10kWHの電力量を供給できるだけの電力を6時間発生させなければならないから
  Pp=Sp=10/6/0.9/0.75/0.9/0.866/0.15=21.1 m2 の太陽電池が必要。
 曇ってしまうと発電量は大幅に減り、写真の標準露光で考えると、晴天でLV=13、曇天で10.5 だとすると1/2(13−10.5)=1/5.6 だから、太陽電池面積は21.1×5.6=118.3 m2 必要となり、住宅地売買なら事前申請義務が生じる広さとなる。

 現在の15%効率の向上、保温性の改善、遮熱/廃熱方法の工夫、残り85%の有効活用法開発が必要だが、即効一発の解決策はまだなく、目標・期限を切っての改良、開発の努力の積み重ねが必要である。ドイツの脱原発方針もかなりの長時間を予定しているが、その経過で不足する電力を原発中心のフランスから買うというのは、やむを得ぬ必要悪か。外からの供給が不可能な日本では、切替完了までの間の想定外の需要に備えてリスクの少ない原発をキープしておくとか、工夫がされるだろう。だが、無制限の継続はいけない。どうせ原子力もいずれは尽きる資源なのだから。
     (11/6/5追記)

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