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逆送電できないの?
   構内回線との接続回路はないの?
アンペア制限と、電力消費量制限の混同!
   大混乱?の(無)計画停電

 未曾有の大震災と未曾有の原発大事故であっという間に1週間が過ぎてしまい、被災者の皆さんには深い同情と万人単位となりそうな犠牲者には哀悼の意を表します。
 現在進行形の大事件にこの鉄道サイトで発信できることはきわめて限られますが、とりあえずの大疑問は、東京電力福島第1原子力発電所が津波で非常電力が得られなくなり、原発の冷却ができなくて大事故化という状況に、なぜ原発からの送電線から逆送電して電力を使えないのか?原発構内変電所に非常用電源に代わって原発制御電力回線と結べる回線は無いのか?という疑問です。
 (報道を総合すると、1系統2回線あった外部電源は地震により全部落ちたようです。独立系である東北電力からの非常回線は無かったことと、非常用電源車は災害を想定した仕様ではなくケーブル長不足で接続できず、1000年余昔の津波記録を敢えて無視、津波による冷却不能の事態で炉心熔融が起こる得ることを国会答弁や県議・運動体から指摘されながら無視: 。バックアップ系統不足と自ら作った安全神話に乗ってしまった想定ミス。2011/03/28追記)

11/03/11 東京電力福島第1原子力発電所 プレス資料
原子力災害特別措置法第10条第1項の規定に基づく特定事象の発生について

   ・・・・2系統ある外部電源のうちの1系統が故障停止し、外部電源が確保できない状態となり・・・・・・自動起動し(た)・・・・・・午後3時41分、非常用ディーゼル発電機が故障し、これにより1、2、および3号機の交流電源が喪失した・・・・
 (プレス資料=http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/htmldata/bi1309-j.pdf

 地震以降、昨日今日18日現在、東北電力から緊急受電すべく、約1.5kmの送電ケーブルを曳いているというのですが、発電所構内の超高圧送電変圧器にはおそらく構内電力用の3次巻き線があって、長距離送電線から電力を逆送すればそこから一定の電力を取り出せるはず。プレス文書では電源2系統中1系統は生きていて、それをなぜ非常電力に代わって原発構内回線に繋げないのかのか?あるいは、その臨時接続工事の方が早いのではないか?非常用ディーゼル発電が何らかの原因で使えなかったら、送配電網は送受可逆性ですから、逆送するのは当然のことで、回線を繋げば動作できるようになっているのではないかという疑問があります。独立系構成は正当な方針ですが、複数の非常用ディーゼル発電機があるから大丈夫だと、主回線から電力を取れる回線を全く設けなかったのだろうか?という疑問が消せません。←←(注:送電線が切れて逆送不能)

 また、地震で即停止というのは原子炉だけであり、蒸気タービン+発電機の停止は必ずしも原子炉と同じではありませんから、停止・冷却までは余熱で動いていて差し支え無いものですから、非常用ディーゼル発電と並行運転でバックアップも考えられて良いことです。事故原発は沸騰水型であり、放射能汚染水で直接タービンを回しますから、その系統の損傷を恐れて一緒に止めるという考え方なのでしょうが、原子炉が停止できないとそれ以上の危険な事態になることを同時に考えたとき、バックアップ電源として働かせることは検討の余地があるでしょう。関西電力の採用している加圧水型では熱交換機からの蒸気ですから尚更タービン以降の即時停止の必要はありません。
 加えて、東北電力とも接続できる電力回線を持っていれば、地震と津波に生き残った回線で処理を続けられるのに、なぜ東電単独の閉域になっていたのか?生家に近い旧陸軍の無線送信所(後に電電公社送信所、廃局済み)には2つの変電所から給電を受けて停電事故に備えていましたが、もっと重大な原子力発電所の構内電力に独立電源バックアップをしてないだなんて、良くもまぁ、安全神話を吹けたものです。

 一刻を争う緊急処理に、標準手順を定めてそれに従うことは当然ですが、想定外の異常事態で何が起こるかを大局的に検討しながら指示を出せる処はなかったのか?たとえば地震と津波はつきもので、冷却の関係から日本では海岸に作られる原発の、非常用ディーゼル発電設備が、「津波を全く想定していなかった」(別情報:津波波高を3.2m、or 5.7mと想定していたが、14m〜17mの津波でダウンした)ために全部停止し再起動不能になったというのは設計段階と日常的安全検証の手落ちで、津波被災時の「原発冷却不能に至る危険な可能性」については数年前に共産党福島県委員会などの申し入れもあったのを放置したようです。

 電源が得られず冷却不能になった場合に、原子炉そのものだけではなく、使用済み核燃料も危険に陥ることを、定期点検のため停止中の4号炉が水素爆発するまで気付かないというのも、信じがたい検討不足ですし、水位警報や水素ガス 発生警告は無かったのでしょうか?設置されてないのでしょうか?長期保存の使用済み燃料棒は強制冷却では事故や故障で過熱するリスクはあるので、自然冷却で安全温度に平衡する設計が設置条件というのは当然の配慮でしょう。自然冷却ではなく、強制冷却にする利点は施設のスペースの問題だけでしょうし、地上からの給水困難な高所に冷却プールを置くのもスペースの問題。非常に危険なものを管理する発想ではありません。(発熱量が指数関数で減少するので、時間が経てば無理なく自然空冷可能。しかし定期検査で停止中だった4号機の使用済み核燃料でも冷却問題発生というのは、やはり無理があるのでしょう。)

 どうも「全面停電はあり得ない」「水位低下はあり得ない」「水素ガス発生などありえない」という虚構の上に規制や対応が決められていた模様です。「強制冷却」というのは、動力による熱移動を図るだけで、熱を大気に捨てることは自然冷却と変わらない訳ですから、非常時のリスクを考えたら、長時間放置が必要なものほど自然冷却方式が望ましいことになります。福島第1原発では使用済み核燃料の廃熱を最終的にどこに放出していたのでしょうか?大気?海水?
 鉄道のATSでいえば、注意信号速度までは運転士が減速するので、「全速力で突入することはあり得ない」として発生した土佐くろしお鉄道宿毛駅突入事故の、ATS-Sx(-Sn、-ST、-Sw、-SK、-SS、-SF、-SN)と同様の都合の良い架空値を選んだ想定ミスでしょう。
 下記の議事録(衆議院委員会会議録)を読むと、吉井英勝議員(京都大学原子核工学科卒、共産党)が原発の具体的なリスクとして炉心熔融や中性子被曝による炉心部の脆性破壊の可能性について繰り返し提起しているのに、政府与党、原子力保安院、経産省のどれもが全く検討していなかったことが判ります。他電力からの予備電力回線を設けている原発もあったのに、なぜ古くからの福島第1原発では追加しなかったのでしょう?東北電力からの予備回線が1回線でも生きていれば原子炉が壊れる前に電源復旧の可能性はありました。この質問を追ったマスコミが無かったのは大変残念。質問前にマスコミ各社科学部など原子力担当にあらかじめ予告して記事にして貰える工夫が欲しかったけれど、マスコミ自身が無条件原発容認方針では報道されたかどうかという問題もあります。
 現場の人たちはギリギリ頑張っていて、2号炉冷却のポンプの燃料を切らせてしまうとか、放射能計測値を何度も間違えるとか、極端な過労時に起こしやすいミスを繰り返していて、現場要員の緊急な補充の必要性を示していると思います。
(7.国会質問movieを追加しました。これらの良い質問は原発被災前に見たかったもの。私自身は10年05月のものしか気付きませんでした。11/04/08追記)

【補足】溶融←熔融

 熔融と溶融の違いは、熱で融点(熔融点温度)を超えたため起こるのが熔融、水や溶剤など媒質に溶けるのが溶融ですが、「熔」が漢字制限に掛かって公文書には使えなくなり意味の異なる「溶融」で代用するようになりました。しかし「溶融」ではあまりに印象が違うので、慣れもあるのでしょうが、公文書ではない当サイトとしましては元々の「熔融」を使います。

2011/03/18 10:15

アンペア制限と、電力消費量制限の混同!
   大混乱?の(無)計画停電

 日曜深夜に突然、発電能力低下による大停電防止のための計画停電が発表されて5区分を3時間ずつ停電とされ連日大混乱となりました。東京電力の最大供給能力が震災により損なわれて約5200万kWから約6割の3100万kWに減少したことで大規模停電の恐れを生じて、その回避のための計画停電だというのですが、発表法や設定法に幾つかの不手際があり、混乱を増幅させたきらいがあります。

 「突然、一方的に、」というのは非難する気分としては分かっても物理的制限対応なので置くとして、どうも単純な配電系統別交互停電案が基本にあって、これが行政区とは無関係のものなのに、それを説明せずに行政区別停電区割り説明をしてしまって、訳のわからない天の声化させたことが先ず失敗。

 次いで、中間変電所以降の大まかな送電単位で停電実施か、需要家配電変電所単位で電力負荷をみながら細かく停電するのかで、最初は東電側の操作が簡単な送電単位の停電計画だったのが、同社幹部からの「23区は除外」方針とか、政府や鉄道事業者からの「鉄道は給電せよ」という方針で、配電変電所(第3次変電所)単位の停電に切り替えざるを得なくなったこと。鉄道の変電所は送配電網上は第3次変電所です。

 更に、電力需要をみながら、対象地域内の変電所を停電させたいのに、逆に停電計画の固定化を求められて、操作がにっちもさっちもいかなくなってしまった!停電しないで済んだことを幸運ではなく東電のドジな無計画と判断されるような状況に陥ってしまったこと。

 そして制限の本質が瞬時電力量制限で、我が家のブレーカーを飛ばさないために、エアコンを切ってから大電力のIH炊飯器を使う、乾燥機、トースターを使おうという話なのに、停電計画では逆に全部を通電させている状態で1区分を最大3時間停電させるというので、停電復帰毎に全負荷になってしまい、合理性を欠いて、土日(12日〜13日)は正常に給電できていたこともあって、原発否定論を押さえ込むための政治的パフォーマンスを疑われるような状況になっています。(東電サイトの解説図では切替区分の停電時間が重なっています。当初の解説は「合理的」な形に修正されました)

 一部マスコミの解説や、深夜放送中止による「節電」が行われて、積算消費電力量制限との混同がかなり広汎にみられます。燃料が足らなくての停電なら電力消費の少ない深夜時間帯の節電に意味がありますが、そうではなく、ブレーカーが飛ぶかどうかの電力重負荷時に節電しよう、エアコンは止めて石油ストーブ、ファンヒータにしようという話なのに、停電のさせ方がおかしいと思います。

 また、一般家庭では「最大3時間の停電」は許容範囲なのでしょうが、連続運転の電気炉では、条件が狂ってしまい数日間は良品が取れなくなるので、停電が無くなるまで無期限休業とするほかなくなるとか小回りの効かない負荷があります。労使の休日配置交渉で長期休日日程が決まっても、半導体製造関係だけはもっと長期の連休に組み替えて操業することも珍しいことではありませんから、そこに1日最大3時間の停電計画が入ると操業停止するほかなくなります。
 そうした長時間の連続操業が絶対条件の生産工程は短時間の輪番停電を受け入れられず 、産業の枠を超えた電力総量規制を加味した長時間の交番使用でやり繰りするほか無いのですが、その割り振りの決定を東電が行うのは無理があり、災害対策として政府が行うべきでしょう。

 不信感を減らすには電力制御所など実操作個所をマスコミ公開して、リアルタイムの電力供給量を表示し、停電/復旧操作毎に電力量表示が動いていくのを国民の目に見せるしかないでしょう。原子力発電関係は、本来危険なものを様々な対策を取って社会的に許容できる危険度に押さえ込んで利用するものなのに、従前、国と電力会社は「絶対安全」「いかなる事態にも対応」という事実に反する「原発神話」で建設を強行してきたものが、今回の震災で4基まとめて制御不能、燃料棒熔融、原発建屋水素爆発、放射性物質飛散、住民避難という超重大災害の発生で否定された訳で、原子力関係者・推進勢力の信用回復は大変困難な状況にあります。

大出力火力発電所も被災

 22日朝日朝刊1面に電力不足の原因を紹介した記事がようやく掲載されました。原発並み大出力火力発電所が2箇所被災していて、きたる夏、冬と復旧できず計画停電が必要という内容で、現在の計画停電のリアルな状況をも説明するものになっていますが、先の情報で原発破損で計画停電と大きく浸透した印象を打ち消すことはできないでしょう。そこは先に宣伝したもの勝ちで、やり得です。

 大損壊した大火力発電所は、福島県広野町の広野火力発電所と茨城県東海村の常陸那珂火力発電所で合計出力480万kWがダウン。問題の福島第1原子力発電所469.6万kWに匹敵とあります。
 現在3500万kWの供給能力を、定期点検や運用停止、修理などで運転休止中の発電所を早急に稼働させ、被害軽微の火力の復旧を急いで買電業者から買うなど総動員して 4月中4000万kW、夏までに4700万kWに回復させるものの、夏期需要ピークが6000万kW、冬季需要ピークが5000万kWと計画停電が必要。
 「新潟県柏崎刈羽原子力発電所は2、3、4号機が定期検査中」とあり、中越沖地震被害から全機復旧して、もう定期検査?と思ったのですが、・・・・・これが東電の目算より早めに動けるとかなり条件は良くなるでしょう。停止に成功した模様の福島第2と、廃炉決定の1〜4号機とは若干離れて設置している福島第1の5号機6号機を復旧させるのかどうか?JR東日本の信濃川水力発電所に、災害特例として許可水量を増やし、その分購入電力を減らして一般への電力に廻すとか・・・・(厳重監視必要)、あらゆる手立てが試みられるでしょう。
   (2011/03/22追記)
2011/03/18 18:45
水素ガス放出管
水素ガス放出管(特許申請)
タービン発電機の水素冷却

【素朴な素人考え】

 水素なら放射線を出す同位体でも大気に比べて非常に軽く上空に飛散するはずですので、その前提で考えますと建て屋の天井にチャンバーを設けて水素が貯まる毎にフィルターを介して放出すれば爆発の可能性も非常に低く、生活圏に放射性物質として滞留することもなかったでしょう。
 大出力発電機は冷却効率の良い水素冷却方式が採用されていることも多く、その場合にはそうした漏洩水素放出対策はされていると思われ、なぜ燃料棒からの発生水素を処理できずに水素爆発に至ったのか?別棟であるタービン棟だけには水素漏洩対策がされているのでしょうか?その辺も疑問です。
 (1モルあたりの質量が水素H2で2グラムに対し、窒素N2約28グラム=N14×2、酸素O2で約32グラム=O16×2、N2:O2=4:1ですから、窒素・酸素混合気である大気の平均質量は28.8グラム/モル(=28×4+32×1)/(4+1))で、水素2グラムは、大気の1/14.4で上空に集まりやすいはず。
 それとも水素の拡散速度が非常に速く、窒素・酸素と一様に混ざってしまい上方置換による収集は不可能なのでしょうか?可能なのでしょうか?捕集した試験管に火を着けるとピューと音を立てて燃えた記憶はあるのですが、化学分野も力を入れてちゃんと勉強しておくんだったなぁ。ゲジゲジと亀の甲羅は付き合いがかなり薄かった!
  →ボイル・シャルルの法則→
   PV=(W/m)RT
     但し、P圧力[Pa]、V体積[m3]、W質量[g]、m分子量、T絶対温度[゚K]、R気体定数=8.314472(15)[J/mol・K]、(W/m)[mol]当量
  旧人類は国際単位SIでは理解困難で、「0[゚C]、1[Atm]、1[mol]の気体体積が22.4[リットル]」という値を基準に記憶しているはず。
すなわちP圧力[Atm]、V体積[l:リットル]、R気体定数=0.08205[Atm・l/mol・K]、W質量[g]、m分子量、T絶対温度[゚K]、(W/m)[mol]当量
)
 (11/03/27追記)

【ベントで建屋内に水素大量放出か】   See→日記#273#4


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