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Geo日記
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激凹凸地の標高に大誤差!Google Earth
広場の存在で実用的精度

 鉄道ピクトリアルの2009年1月号、特集「勾配に挑む鉄道」で、「勾配改良に伴う路線切換区間」として、代表例の縦断面図・平面図を掲載しているが、それが先にGoogle Earthで位置と標高を読み取って描いた函館本線七飯−大沼−森間と、御殿場線山北駅西側に重なり、Google Earthからの読み取り精度を確認できることになった。諸解析に用いるツールの正確性を確かめて置きたい。See→日記#200試算08/08/13

渡島大野-森
渡島大野−森間 標高図
七飯-大沼
七飯−大沼間 標高図

駒ヶ岳-森
駒ヶ岳−姫川−森 標高図
大沼-森
大沼−森間 標高図
 これまでGoogle Earthから読み取ったものと、記事の図を比較してみると、位置精度は全く問題ないようだが、標高が案の定、急峻な地形で誤差が大きくなり実用困難な状況が生まれているが、一方で駅前広場程度の平坦地があると、その標高はかなり正確だった。だから今後はなるべく線路と同一レベルの平地を捜して計測位置を定めれば誤差を減らせるが、高架線や、掘り割り、山岳急峻地形には対応策が見あたらない。また山岳地形は標高がプラス目に得られる場所と、逆にどう図ってみても20mほどマイナス側の値しか得られない外房線土気トンネル出口のような例もあり、函館本線七飯−大沼間−森では七飯駅、渡島大野駅、仁山駅、大沼駅、駒ヶ岳駅、姫川駅、および御殿場線山北駅ではほぼ適切な標高値だが、小沼湖畔のトンネル出口は25m〜35mほど高めで、下り列車用登坂線はなぜか中間がずっと低めの値であるし、トンネルと橋の連なる地点は値が±30mと大きく暴れてまるで採用できない。また比較対象データのほとんどない小田急渋沢−新松田間では、御殿場線松田駅が61mに対し、下を交差する小田急線新松田駅が57mというのは許容範囲だが、途中の川とトンネルの続く箇所でプラス30m以上の異常箇所がある。
 鉄道だから勾配はそう大きくは変わらず、異常値は捨てやすいのだが、山谷で異常値が連続するところでは処置なしと云うことだ。鉄道内部なら線路データは入手しやすいのだろうが、公式資料が入手困難な一般人が概略を知るにはそこそこ使える方式だったことが判る。

RP813七飯-森
 図2:函館本線七飯−森間標高図(鉄道ピクトリアル通巻813号'09/01号より)
山北駅西方
 図4:御殿場線山北西方 標高図 (松田起点)

 図5:東海道本線御殿場線国府津−沼津間縦断面図 鉄道ピクトリアル通巻813号'09/01号p


 図6:東海道線大垣−関ヶ原間縦断面図 鉄道ピクトリアル通巻813号'09/01号p

北陸トンネル
 図7:北陸トンネル標高図

RP#813敦賀-今庄
 図8:北陸本線敦賀今庄間(北陸トンネル) 鉄道ピクトリアル通巻813号'09/01号p


新松田-渋沢
 図10:小田急新松田−渋沢 標高図

誉田-大網
 図11:外房線誉田−土気−大網 標高図
 RP誌通巻#813号「特集:勾配に挑む鉄道」は、一見、理工学的には得るものが少ない情緒的記事が目立って、立ち読み段階で棚に置いていたのだが、「勾配運転に要求される鉄道車両の特性と技術」(執筆曽根悟工学院大学客員教授)と「勾配改良に伴う路線切換区間」(執筆祖田圭介JR総研エージェント)を発見。公式図による縦断面図が多数掲載されていて、このページでもGoogle Earthで幾つも標高図を作っていたので、比較してみることとした。中央線は写真ばかりで残念ながら数値が無くて比較できず、上越線水上−越後湯沢間はトンネルばかりでこちらがほとんど拾えなかったのだが、新清水トンネルが複線化輸送力増強ではあっても路線としての勾配緩和にはなっていないことを知った。また御殿場線も山谷烈しい東側が難所だと思っていたのだが、一見なだらかに見える西側沼津側も同等の連続急勾配であることを初めて認識。言われてみれば並行する東名高速に「横風注意」と共に「下り坂過速度注意」の警告看板をよく見かけた区間である。大垣−関ヶ原のように標高差100mだが難所で新鋭151系こだまが発煙事故まで起こしているほどだから、旧東海道線である御殿場が連続25/1000勾配を登って455m高というのは桁外れの難所だったことが分かる。小田急新松田-渋沢間も意外な難所だが通勤電車だから表面化せず、外房線大網−土気間もキハ17など180PSディーゼル時代は大変だったろうと思う。20km/h余の超低速で喘ぎながら登る区間だったはず。
 試算:P=FV、V=ηP/F ………(η:総合効率:トルコン、メカ損などを含む)
     =(0.6×180ps×0.735)/{50t×9.8×(25/1000)}×3.6
     =23.3km/h
  (登坂平衡速度)

 興味ある図を全部アップする訳には逝かないが、当方に比較対象図のある分だけ「引用」ということで紹介させて頂く。同誌掲載図のリストは下記の通り。


2009/07/20 01:55

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