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解析ヲタ入門!

 ATSに拠る停止の動作解析や衝突状況の解析計算法をまとめてみました。読み込めば多くの人が過走事故などを解析して数値的に理解でき、何が起きたのか、何を為すべきか、自分自身の判断が出来るようになるでしょうし、取材するにもどんなデータを収集報道すれば良いかが明確になります。 以下ページに示す演繹計算を行えば1次データが内包する事実を自由に抽出できるようになります。計算自体は中学&高校の、法則は高校1(工)〜3(理)物理の内容ですから、集中して取り組めば何とかなるものです。  →See.[列車制動衝突解析法]

 適用実例では、'05/03/02夜発生の土佐くろしお鉄道宿毛駅突入事故で3日後の5日朝、高知新聞が報じたATS地上子設置位置記事は、最高速度120km/hの列車に対して事故現場のATS設定が橙Y現示制限速度45km/hを前提に51km/hまでしか防御しておらず、副本線の分岐制限ATSは防御としては全く機能して居ない物理的事実を示しています。そこからATS地上子設置規則と管理体制を辿ると、規則通り設置されていることがわかり、それは設計した鉄道建設公団が事前に運輸省に申請して認可を得、落成後は実地検査も受けているはずのものであることが分かりました。すなわち国交省の技術基準に問題があったことを高知新聞が報じたデータが物語りました。

See. →[土佐くろしお鉄道宿毛事故]  '05/03/05高知新聞記事図より
宿毛事故

 2基(2対)設置されて事故時も動作していたATS-SS速度照査は設置が義務付けられておらず、設置検査対象でもないためか、過速度防御としては両方とも無効で、分岐器過速度防止速照がオペレータ(運転士)を処罰するためのネズミ取り型で設置されていることを示していました。(JRでは懲罰的日勤教育を前提のネズミ取り設定が半公認でATS設定基準にあったことを疑わせる設定です)

 この宿毛事故ページは、事故調査委員会の衝突原因の見解と一致して、相違は65秒無操作で非常制動となるEBの影響に言及していないことと、監督庁である国交省の設置位置基準自体に問題が有ることは報告書側が触れてないことでした。直後に尼崎事故が発生して解析ページをアップし、それまでは1日に数10アクセスだった超閑散サイトに連日数1000アクセスが集中し、延べ1000を越えるウイルス処置レターが降って来るほどでした。
 ここで自前の解析が可能であることに気付いた社は、それでチェックして取材・報道できたはずですが、K機長説などの根拠のない憶測は停まらず、宝塚駅折返し時の2度目の非常制動が過走ではなく6両編成誤出発ATSに停められたことは訂正されませんでした。
 しかしながら大手マスコミ各社の記者は超一流大学の上澄み層を採用しており、ちょっと詰め込めばこの程度の基本的な解析は出来て当然のもので、その結果で記事の金看板にできる専門家を捜して詳細の話をすれば物理データに矛盾しない正確な報道が可能になるでしょう。いきなり定期試験に出題されたら上位陣だけが正解する問題だとしても、具体的種明かしがされていれば解ける水準の文章題(応用問題)です。

 まぁ、重要なもう1点は、明らかになった事実をどう整理して本質的結論を導くかという関門があります。
宿毛事故では監督庁のATS設置位置決定式の前提に最高速度が無視されている問題は事故調報告書でも全く触れられておらず、各紙も採り上げませんでした。その原因は解析できなかったのか?それとも記者クラブ制度によるもたれ合いで書けなかったのか?
 どちらにしてもフィールドのブログ・サイトが各自の独自解析による結論をアピールするようになれば、マスコミも当事者も役所も重要な事実を黙殺しきれなくなるでしょう。
 いま、マスコミは「人工衛星かミサイルか」で煽ってますが、技術的に見ればそれは対立的なものではなく、ミサイル実験の設定を人工衛星にして、全世界を標的に狙える性能を確認するための軍事技術確立実験でしょう。「衛星」というのは惑星を周回する軌道を持つもの総てを云い、「人工」が付くからといって軍事目的か平和目的か、有用機能が有るかどうかは問われません。最終段が仮に様々な科学観測装置を搭載していて「純平和目的」であっても、同時に技術的・政治的に全地球上にミサイルを撃ち込める軍事技術が確立されることは間違い有りません。軍事目的にはあまり使えない打ち上げ方式として地上誘導の無い東大ロケットくらいなもので、これもメーカーからは東南アジア某国に輸出されており「軍事転用」の意図が疑われています。現に人類1号衛星スプートニクもそれを追ったバンガードもICBM開発実験の一環として人工衛星を打ち上げたものでした。その辺は調理に使うべき包丁が使用者で凶器に変じるのと裏返しで似た関係ですが。逆に見れば日本のH2Aロケットも弾頭に積み替えれば高性能ミサイルそのものではあります。「ご通行中の皆様」を良く意識して、「平和目的なら尚更自爆装置もない毒物燃料欠陥ロケットは打ち上げるな!」と迫り、拒否されてから「領土に落ちてきたら空中で破壊して被害軽減を図る」とでもやったほうがヤクザ屋政府に国内宣伝用の「得点」をさせないで済むものを、外交交渉抜きに文句のでない自衛隊の訓練とそれ以上に世論の戦時体制容認軍需増ばかり優先させて、小泉・安倍以来のバカボン首相たちの戦争ごっこ好きにも困ったものです。中国もソ連もロケット打ち上げ事故で多数の一般国民の犠牲を出してるはずで、無対策はいけません。

2009/03/31 19:55

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[注]  この種の事前準備は、通常新卒卒業3年でただの人とかで、昨年入社の新人あたりに押しつけられることが多いのですが、実は理工系出身でも得手不得手がありまして、たとえば開発作業用の補助ソフトを組ませても、他人のソフトの焼き直しに留まるという方が多く、一部上場企業の設計開発陣でもオリジナル性の高い内容を導き出して組み込めるのは5人〜10人に一人というのが実態です。特に公表用解析は学校の成績テストとは違い100点満点の模範解答を求められるもので、自分で取り組むか当人が興味を示せばOK!ですが、先輩風を吹かせた無理強いは絶対避けましょう。特に最近の高校物理は暗記物化して詰まらなくなり、解析計算はあまり見られませんから(笑。
 もっとも、生徒たちが手間の掛かる解析などに見向きもしなくなったのは、物理の教科書のせいというよりも、理工系は技術者まで非正規労働者とされ、学生時代は遊び呆けていた文系経営陣に無情に解雇される世の中では近寄らないというもの。経済学部の授業は週に90分が12コマに対して理・工学部は21コマあって、更に1日仕事の解析的な実験レポートが毎週課せられて努力した側が虚業バブルに踊る連中にその尻ぬぐいで首を言い渡される世の中では物作りを避けようとするのは無理もありません。かなりの能力を必要とするはずのソフト屋が真っ先にホームレス化してネットカフェ住人となるなんて、到底やってられないでしょう。