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壁が突然発火…「伝導過熱」家庭でも 築地火災の原因か2017年8月4日21時25分http://digital.asahi.com/articles/ASK8466RRK84UTIL04R.html?_requesturl=articles%2FASK8466RRK84UTIL04R.html&rm=244 東京都中央区の築地場外市場で起きた火災は、火元がラーメン店の厨房(ちゅうぼう)内だった可能性が高く、出火原因は、コンロから、近くの壁に熱が伝わってこもり、突然発火する「伝導過熱」によるものだったとみられることが、警視庁の調べで明らかになった。 築地場外火災、火元はラーメン店か 「伝導過熱」の疑い伝導過熱による火災は、一般家庭の台所でも起きることがある。東京消防庁によると、昨年、管内で伝導過熱が原因で起きた火災は21件。ほとんどが飲食店や工場だったが、3件は住宅で発生していた。2007年以降でみると、計62件が住宅で起きている。 諏訪東京理科大学の須川修身教授(火災科学)によると、厨房(ちゅうぼう)の壁は下地の木材の上に石膏(せっこう)ボードなどの断熱材を入れ、ステンレスなどを張るのが一般的。通常なら伝導過熱は起きないが、改築を繰り返して断熱材が省かれている場合などには起きる恐れがあるという。 伝導過熱は出火まで時間がかかる特徴がある。須川教授は「壁裏からの出火はすぐに見えないし、においも届きにくく、火災感知器も反応しづらい」とその危険性を指摘する。飲食店で起きたとみられる今回の火災については「熱が毎日、木材にたまっていき、発火点を超えたのだろう」とみる。 |
「低温蓄熱による発火現象」@科学警察研究所鑑定「何故起こる鉄道事故」山之内秀一郎著(JR東日本会長)2000/12/22東京新聞出版局刊p234L10〜p237L8より 火事については私にも苦い経験がある。1972年7月、国鉄の名古屋鉄道管理局運転部長だったころの話である。 私が着任する直前に、山陽本線の、兵庫県と岡山県の県境付近で、急行列車の郵便車一両が焼けるという事故が起こっていた。幸い人間に被害はなかったが郵便物の大半が焼け、中には厳禁や有価証券もあったので、被害は一億円を超えるとのことだった。 着任後まもなく、事故と公安担当の課長たちが私のところへ来て「すみませんが、岡山県警に行っていただけませんか。県警がこの件を調べていますが、原因は煙草の火によるものなので、部長が一言お詫びを言っていただければこの件はおさまりますので」 早速翌日、新幹線に乗って岡山へ行き、県警本部を訪れた。 p234↑ 穐山(あきやま)さんという担当の警部は、「煙草の火のために火災を起こしまして・・・・」と言いかけた私を遮って、 「部長さん、燃えた車輌を見やはりましたか?」 「いえ、まだです」 「それならすぐ見に生きましょ」 すぐに県警の車に乗って、警部と一緒に火災を起こした車輌を見に行った。証拠物件として押さえてある郵便車は、無残に半分ぐらい焼けていた。 警部は私に最もひどく燃えた部分をよく見なさいという。そして「原因は暖房管の過熱ですな」という。 「そんな馬鹿な。私は煙草の火が原因だと聞いている。大体蒸気の熱ぐらいで火が出るはずはない」 「部長さん、私は国鉄の名古屋工場にも行って、検査中の同じ形式の郵便車を見てきました。この写真を見て下さい」 見ると、車両の床下から木の床の穴を通って車内に入る蒸気暖房管の周囲の木材が、真っ黒になっている。明らかに熱で傷んでいることが分かる。私は返す言葉がなかった。 「部長さん、ちょうどいい時に来やはりました。これから調査をさしていただきます。」 再び県警の車に乗って、火災事故の起きた場所を管轄する伊部警察署に向かった。 p235↑ そこで午後二時頃から十時ごろまで、担当の警察官の方から突っ込んだ尋問を受けた。 p236↓ 完全に事件の被疑者なのである。最後に供述書に印を押すときになって、書いてある文章を見ると、私が言ったこととかなりニュアンスが違う。 「こんなこと言ってません」 「でも、部長さんはこう言わはりましたろ」 「いや、かりにと言ったはずだ。それが抜けると意味が全く違ってしまう」 こうした押し問答の末、やっと印を押した。 その後、この警部さんからは科学警察研究所の「低温蓄熱による発火現象」についての論文を戴いた。 ご承知の通り、大気圧のもとでは水が沸騰して蒸気になるのは百度Cである。 この温度で木材が発火することはまず考えられない。 ところが蒸気機関車から十両以上の長い編成の客車に暖房用の蒸気を送るためには、蒸気圧を高くする必要が有る。 その場合には蒸気の温度は百六十度Cぐらいになる可能性がある。 それでも木材に火がつく温度とはとても思えない。 ところが、この論文によると「低温蓄熱現象」という現象があって、百六十度C程度の温度でも長い時間続くと木材の中に熱が溜まって発火することがあるという。 これは知らなかった。 このころから私自身も、どうやら発火の原因はこの蒸気の熱ではないかと思いだした。 国鉄が火災の原因は煙草の火だとしたのは正しくなかったのだった。 その後も捜査と訊問が何回も続き、私だけではなく、現場の検査担当者も何人か召還を受けた。 ところが、それに労働組合が抵抗した。検査担当者には責任はないはずだから岡山県警には行かせないという。 なんとか現場長を通じて説得したところ、今度は名古屋の新幹線プラットホーム p237↓ で、労働組合が検査担当者が新幹線に乗るのを妨害した。 こうしたトラブルもあったが、「大学の工学部を卒業した私でさえ、こういう現象があるとは知らなかった。 そういう難しい判断の責任を現場第一線の人たちに問うのはおかしい」と主張した。 この事件は約二年後に不起訴と決まった。ちょうど私が本社に転勤する直前だった。 挨拶のため岡山県警を訪れると、穐山(あきやま)警部は私に「部長さん、国鉄総裁の責任を追及するしかありまへんな」といって微笑んでくれた。 |
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